ちょっと文字数が多すぎた気がする 相変わらず調整が下手
「ふぅ…いちおうこれで任務完了、っと。…なんかごめんね、手伝ってもらっちゃって」
「いえ、お気になさらず!」
清泉町から、アカツキワイナリーを横目に通り過ぎて、南側にある湖のほとり。青色の塊が四散するのを見届けて隣に話しかければ、相手――メイド服と鎧の合の子みたいな装束に身を包む少女、ノエルはなんてことないという笑顔を見せた。
ディルックさんからお呼びが来るまで、色々な依頼をこなす日々を送っている。
蛍(&パイモン)とはその時々で別行動になったりならなかったり…だけど、なんだかあちらは別行動のたび厄介そうな出来事に遭遇してる気がする。”海賊の秘宝”を餌にガイアさんの手のひらで踊らされたり、たまたま知り合った
というか私が同行したときだって、リサさんと一緒に盗まれた図書館本を探した末、秘境に潜むアビスの魔術師をぶちのめしたりしていた。蛍ってほんと……厄介ごとに好かれる、主人公の
それはさておき。今回の、というか今まさに済ませたのは、氷スライムの群れを討伐する任務。どうも大型の氷スライムが出ているらしく、氷元素に対して溶解反応を起こせる炎元素か、超伝導反応で弱体化させられる雷元素が好ましい…とのことで、雷元素で近接型の私に冒険者協会から話が来たわけ。
で、ノエルと合流したのはたまたま。ノエルはノエルで別に任務を受領していて、どうもその目的地までの道のりの途中に私の目的地があるとわかって、是非お手伝いさせてください!と名乗り出てきた。
…私としては、どうせ多対一の戦闘なんて慣れっこだし一人でもよかったんだけど……すっごい真っ直ぐな眼差しで見つめてくるものだから断るに断れなかった。Theやる気。虎杖君かな…?これ、蛍以外にも思うときが来るとは…。
…まあ、結果的にはよかったけどね。私、岩元素の使い手は初めて見たけど………ノエルちゃん、
しかもそれだけじゃない、ノエルちゃんは岩元素の力を使ってバリアを張れる。それも平面の一枚じゃなくて、環状に取り巻いてこちらの動きに追従してくれる……そう、まるで鎧を身にまとっているようなものだった。…こんな完成度の高いものを、自分ばかりでなく他者にまで…!と内心感激したものだ。
「ありがとね。あの大型とか一人じゃ手こずっただろうし、だいぶ助かったよ」
「ふふ、そう言っていただけると嬉しいです!」
そんなわけでこちらの被害は最小限のまま、小さい雑魚はあっさり蹴散らして、やたらしぶとい大型もごり押しで片付けることができてしまった。…まあ蛍も私も普段からけっこうごり押し戦法だけど、分かりやすくシールドで守られているだけでもたいへん楽だった。守りの戦術ってあんまりないからなぁ呪術界…ある程度以上は個人の生得術式によるし、結界まわりは天元様の管轄だったし。
ともあれ、氷スライム討伐任務はこれで完了。周辺に他の魔物の気配もない。氷スライムの名残で冷えた空気が肺に心地よい程度。気がつけば湖面はすっかり凪いでいて、先ほどまでの戦闘を感じさせない
「せっかくですし、少し休んでいかれますか?」
『冒険の証』に任務完了の記帳が済んでいる*2のを確認していたら、ノエルがそう声をかけてきた。というか、すでにどこから出したのか風呂敷的なものを軽くバサバサと振っていて、少し休んでいく気満々な感じだった。…けど。
「…いや、遠慮しておこうかな。ノエルも任務があるんでしょ?」
「っあ、そうでした!私としたことが……ですが、大丈夫ですか?先ほどお腹が鳴っていましたが…」
「耳聡いね…?大丈夫だよ。動けないほどじゃないし、手持ちもちゃんとあるから」
「そう、ですか…わかりました」
ノエルは少ししょんぼりした様子だったけど、出していたものをいそいそと片付けると、スカートの裾をつまんでぺこりと――あっなんか聞いたことあるけど初めて見たこれ*3。
「では、私はこれにて失礼いたします」
「うん、慌てず焦らずご安全にね。またね、ノエル」
「はい!またどこかでお会いしましょう!」
颯爽とどこかへ走っていく後ろ姿を見ながら…すごく真面目で真っ
「…慌てず焦らずご安全に、か…私たちの持ち得なかったものでは…?」
ノエルのためを思って出た言葉だけど、思いっきりブーメランが返ってきた気がする。…まあ、仕方ない。命懸けな上に万年人手不足な環境だから、そこまで気を配る余裕はあんまりなかったってわけで。
翻って見れば、ある程度は慣れてきたように思える*4この世界も、やっぱり手放しで平和って言えるわけではなくて。呪霊がいない代わりに魔物がいて、呪詛師でなくとも悪人はいる。違うのは、それに対処できる人員の数か。西風騎士団への入隊も、『神の目』で元素力を扱えるのが必須というわけではないようだし。
国外に出たことがない私としてはあまりにも慣れない環境で、うまくやっていけるかどうか不安だったけれど……案外、これまで通りでいいのかもしれない。なんて。
とりあえずモンド城に戻って、冒険者協会の窓口に行って、蛍たちと合流かな…漠然とそう考えながら、私はポケットからスマホを取り出した。電源を入れればもうなんか勝手に開いている地図。今いる場所から右上にスライドして、モンド城を表示して…拡大すれば、新しく増えた菱形のマークがある。
…あ、そうそう。蛍をはじめ、みんながよくやっていた不可思議なワープ。これまで私はずっと他人に追従していく形をとってたけど、あれはテイワットに散在する
ファンタジーすぎてもはや笑うしかないけど、シンプルに移動時間の短縮になるのは助かる。……
「…じゃあ、パパッと行かせてもらいますか」
蛍(&パイモン)は現在モンド城内にいる。それを確認してから、私は画面の菱形に触れた。
…訂正。これまで通りじゃダメかもしれない。
「えぇっ、ちょっと!?」
「お、おい!?日依!?」
「ちょっ、大丈夫!?は、早く大聖堂に――」
「い…いや、そんなんじゃ、ないから…」
…地図のアイコンを頼りに蛍を探して、アンバーと風車に登っているのを見つけて……そこで私は、思い出したように襲ってきたすさまじい空腹で倒れた。あぁもうまたやってるよ
「えっ日依、外でノエルと会ったの?」
ところ変わって、ここは『鹿狩り』。蛍に背負われて緊急搬送(概念)され、鶏肉とキノコ串焼きによる応急処置(概念)を受けている*5。ただ3本というのはちょっと多いので1本はパイモンにあげた。困ったときのパイモン(食べ物限定)です。しかしその体躯で私より胃の容量が大きいのは何かしらのバグでは?
ちなみにさっき蛍とアンバーが風車に登っていたのは、「慕風のマッシュルーム」というキノコを採集していたのだそう。見せてもらったけど、なんか傘が裂けてる不思議なキノコだった。
まあ、それはさておき…蛍とお互いの本日の動向について報告し合っていて、私がノエルの名前を出したら、わきで耳を傾けていたアンバーに驚かれた。
「会ったけど…もしかして、なんかマズかった?」
「いや、全然そんなことはないよ?だけど、今の時期に会えたのは珍しいなって思ったから」
「珍しい?」
「うん…ノエル、風魔龍の件からは遠ざけられてるから」
「遠ざけられてる…?」
思わず
「私は直接関わってないから、聞いた話になるけどね。ノエルは西風騎士見習いのメイドで、私も先輩として面倒を見ることはあるんだけど……すごく粘り強くて生真面目で、いつも他人のために全力で尽くす子なんだよ。自分にできる人助けなら何でもやりたいし、実際やっちゃう、って感じなの」
「実際やっちゃうんだね…」
「器用だし、気配り上手だし、力持ちだからね。いろいろ実績があって、モンド城の中じゃ有名だよ!…だけどそんなだから、自分のことなんか二の次で、どんな危険な場所にも飛び込んでいっちゃうの。それで倒れて寝込んじゃったことも何回かあった。だから今、龍災が落ち着くまでは、ジンさんやガイア先輩が面倒を見てるんだって」
「絶対無理しすぎるから逆に止めてる、ってことか…」
「それはそれで大変そうだね…」
…なるほど。つまり公に奉仕する精神が強すぎて暴走するから手綱をつけられてる、ということか。なんだか残念なようにも思えるけど、でもなぁ…確かにあの感じ、吼えるトワリンにも揺るがず毅然と立ち向かっていきそうな気がする。岩元素使いって大体そうなんだろうか*6…。
「まあ実際、すごく強くて頼もしかったね……私もあんなに多才だったら、何か違ったかなぁ」
「日依、なんかしんみりしてるね?」
「いや…昔の話。回りにすごく心配かけちゃった時期があったなぁって。私は実際に無理が祟って倒れたし」
「今日も倒れてたけどな」
「それとこれとは別件。ちょっと重めの話になるけど……慕ってた人が、次から次へと帰ってこなくなった時期があってさ」
「日依がここに来る前の話?」
「うん…」
ふいに思い出した、昔のこと。私がまだ呪術師見習いだった頃のこと。…そういえばアンバーには前の私のこと話してなかったな、と気づいたけど…まあある程度濁していけばいいか。…そそっかしいけど頭は悪くないし、以前から戦闘職だったことぐらいは勘づいてるだろうと思う。
「本当なら、まだ新入りの私がそこまで気負う必要なんてなかっただろうけど…それでも置いていかれてばっかりで、自分の無力さが許せなくて。…当時私の先生になってくれてたのが、自他ともに認める最強の人だったんだけど」
「自他ともに認める最強の人だったの???」
「うん、自他ともに認める最強の人。…私もそうならなきゃって、焦った。ただ一人、師匠って呼んでた人も
…あの剣呑な呪術界で、それでも明るく
「でも、私は先生やノエルとは違ったから…結局、倒れちゃって。周囲にも無理するなって止められて、諦めた。やっぱり…孤高でいられるのは、それだけの天賦の才能があるからなんだと思う。最強の先生がまさしくそうだったし」
「そんなにスゲーやつだったのか?」
「スゲーやつだったよ?純粋に強い上に生まれつき特別な眼があって、いろいろなものが視られたから。…そういう類いのものは、たぶん私にはなかった。でも、それで諦めるんじゃなくて…『ないなら上じゃなくて、周りをしっかり見るんだ』、って。…私の師匠からの受け売りだけど、って言われてさ」
倒れてしまった自分が本当に不甲斐なくて、情けなくて悔しくて仕方がなかったけど……パンダ君からそれを聞かされたとき、師匠の遺志を受け取ったような気がして。
「いい人だね、日依の師匠」
「お
…なんだか、師匠のことをこうしてちゃんと思い出すのは久しぶりかもしれない。呪術師としてやってると、過去に想いを馳せる余裕なんてなかなか…それこそ
「まさか、こんな形で日依の昔の話が聞けちゃうなんてね…」
「なんかごめんね?急に重たい話始めちゃって…特にアンバーには、こういう話してなかったのに」
「ううん、大丈夫!…けど、なんか意外かも。今の日依はなんか、さっぱりしてる感じするから」
「なんつーか、悩みなんかあんまり無さそうな感じあるよな」
「パイモン、それは褒めてるのかな?」
「い、一応いい意味で言ったぞオイラは!」
「ふふ、冗談」
わたわたと
「…『笑顔を見せ合える仲間がいるくらいが、精神衛生的には一番良い』んだっけ」
もうずいぶん昔になるけど師匠、そんなことも言ってたな…町の喧騒と穏やかな風を感じながら、何気なく空を見上げた。……あ、ここ違う空か…まあいいや。
そして、翌日。私と蛍は、ディルックさんから召集の知らせを受け取った。…まだ3日くらいしか経ってないよ?ワイナリーの業務もあるだろうに、すごいなあの人…。
当初、冒頭は世界任務「リスクを冒す」で考えてたけど参考動画のどこで見てたか完全に見失ったので諦めました。依頼任務に変更です
・日依
ついに倒れた(空腹で)。10話で言及してたやつを実演してみせるサービス精神(そういうわけではない)
過去編がちょっとだけオープン。普段あまり話したがらないのは重たい話をするのに抵抗があるため。けど今回はなんだか話したくなった
・ノエル
初心者応援ガチャでお馴染みの頼もしいメイド。生真面目でまっすぐなパワータイプ
自らを省みない鋼の奉仕の精神を持つため、風魔龍案件からは徹底的に遠ざけられている。2回も出くわしてる日依はなにげにラッキー
・蛍
聞き役に徹する旅人の図
日依の昔の話に興味津々ではある
・パイモン
食事を忘れる日依に愕然。これ香菱が聞いたらなんて言うだろうな…。
・アンバー
聞き役に徹する偵察騎士の図
自他ともに認める最強の人…???
・香菱
名前だけ登場。璃月キャラだけどモンドのある特定の地点に行くと勝手に伝説任務が始まる。
じゅ側にオリキャラが生えました。日依の"師匠"は原作開始時にはすでに故人です。飄々としてるようで語録が死語評価されるタイプの人格者
追記:ほぼ2ヵ月でしたね もう計算ができなくなってきてて俺僕私は