探索フェーズ100%でお送りして参ります
…四方八方から、ずっと風が吹いている。そんなふうに感じる。まだ上空に残る暴風の障壁の音のほかは、私たち5人の行軍がたてる音のみ。蛍がこのワープポイント動くかな?と言いながら触れてあっさり起動させる一幕があったのは、まあ
「ここは…風龍廃墟の正門だな」
「あ、まだ入り口だった…下にも遺跡が広がってる。でかいな…」
ふいに視界が開けた先には、雄大な景色が広がっていた。ここから、遥か遠くに見える巨大な建造物――おそらく城塞――まで、大きな陸橋が伸びている。城塞の下は湖のようで、当然のように欄干なんてない陸橋の下にも遺跡が広がっているのが見える……なんか遺跡守衛が闊歩してるけど、見なかったことにしようかな…。
「オイラたちにとっては広いけど…トワリンはあの大きな体で、どうやって巣まで戻るんだろうな…」
「まあ人みたいに歩くんじゃなく、彼は飛べるからね」
「オマエ……そういうことにしとこう…」
…確かに、ちょっと気になるところではあるけど…私としては、あれほどの巨体で飛び回るんだから暴風の障壁なんてものともしないのでは?と思える。
まあ所詮は他人…他龍?なので。考えてもわからないことは放棄して……意外にしっかりしてくれている陸橋の上をゆく。意外にしっかりしてくれてるけど欄干はないし、念のため端は避けて。このはしわたるべからずってなんだったっけ。
「…けど…やっぱこの感じ、一筋縄じゃいかなそう」
「何かあった?」
「…あの門の向こう、さ…」
…陸橋を渡り終えるあたりで、誰からともなく足が止まった。
目の前には、来訪者を迎える門が
「行き止まりだな…」
「行き止まりだね」
「一応、横に道は伸びてるけど…っ、遠回りかぁ…」
門に向かって左には階段があるけれど…少し登って見たところ、こっちは陸橋の下に広がる空間へ下りる道らしい。…アレ*1、見なかったことにしたかったんだけど、できないかもしれない……まあ、その時はその時か。
「…あ!なあ、あそこの屋根にでっかい穴が開いてないか?」
「…ほんとだね」
ふいに声をあげたパイモンが指さす先は……門の向こう、いっとう大きな塔のような建物。見れば、そのてっぺんの卵形の屋根に大穴が開いていた。…何かデカいものが突っ込んだようにも見える。
「ここは風が吹き荒れているから…風域を利用すれば、あそこに行けるかもしれないね」
「あ、そうか…風の翼…」
「そうだな!回り道になるけど、行こう!」
「うん。回り道になるけど、行こう」
とりあえず下へ向かうのは確定になるけど、どこへ向かえばいいかわからない状況ではなくなった。行軍を再開して、緩やかな坂を下りていく。…ところでその復唱は何なんですかね。"回り道"を強調されても…と思うんですが。
「ぅ…けどこの廃墟に、アビスの魔術師が隠れてたりしないよな…?も、もし出くわしたら、そこは勝ったことあるディルックの旦那に…!」
「相手を甘く見ないほうがいい。…あ、いや。これは別に自分の腕を自慢したい訳じゃない。奴らには予想外の手が残されているかもしれないという意味だ」
「まあ…確かに。『知っている世界ばかりが全てじゃない』、ですね」
想定外というのはいつでもある。私も呪術師として何度出会したことか*2…まあ、用心しておくに越したことはないってこと。
…"してても上回ってきやがるのが想定外。用心ってのはあくまで心構えの問題"…師匠もそう言っていたのを思い出す。あの人は享年28の割に
「そうだね。だからボクも、君たちと行動を共にすると決めたんだ。君たちの安全のためにね。はぁ、ボクってばホント真面目すぎ。詩人には向いてないよ」
「オマエ…龍の涙探しにも参加しないで、ずっと酒場で呑んでたくせに…!」
「まあまあ…」
パイモンを
「ya!!」
「っ!こんなとこにもいるのかヒルチャール…!」
…いいや。足手
相変わらず、四方から鳴り響く風の音。風に揺られて、時おり目元をよぎる髪を押さえた。私だけだからな素の長髪なの……いったん後ろで束ねておくべきかもしれないけど、ヘアゴムとかは持ってない。ま、いいか。まったく集中できないってほどじゃないし。
風龍廃墟はとても風雑に入り組んでいて、いつだったかオフで行った姫路城を彷彿とさせるけれど………蛍が謎の嗅覚*3で宝箱を見つけたり、たまに風の翼を広げたりしつつ、今のところ順調に進めている。暴風の障壁が残る場所は何ヵ所かあったけど、石造りの道をぴったり塞いでいるところには出くわしていない。
「見てみろ!あそこ、風域がある!」
「ここから、上まで行けるかも…」
蔦が這う壁を登ってみれば、強い風がびゅうびゅうと吹き上げる場所があった。蛍につられて見上げると、いつの間にかあの塔のような建物の下まで来ていたことがわかった。というか、あの塔…
「あんまり外壁らしい外壁はない?なくなってるのかな…けど、まわりの青い輪っかは何なんだろう…」
「見に行ってみようか。少なくとも、入れないわけじゃないはずだよ」
ウェンティさんはためらいなく風の翼を広げて飛び出した。…まあ、ものは試しとも言うことだし。
…確かに入れました。ここは遠目に見えていた塔の中。まさかの実体を持っていた輪っかにおでこをぶつけたりはしたけれど、その少し下は普通に通れて。1、2…6本?の柱を外枠として、中央に丸い穴の空いた環形の足場がある。塔はそんな造りをしていた。…あ、いや、上のほうはまだ外壁が残ってるっぽい。
宝箱に食いついている蛍を放置してぐるりと見渡せば、ひとつ上の環が崩れかかってきているところがあった。…石造りとは思えない融けた飴みたいな状態でなかなかの恐怖を感じるけど、慎重に、安全を確かめつつ、そこを登っていったら…
「っ…!?」
「日依?…動いてないみたいだね。まあ、避けていこうか」
…ずっしりと鎮座する遺跡守衛がいて、思わず息が詰まった。ただ後ろをついてきたウェンティさんの言う通り、力なく項垂れていて動き出す様子はない。それでも一応、念のため、折り返して柱を伝っていくようにして……1箇所、足場が張り出した場所に出た。
そして、びゅうびゅう吹き上げる風域に乗り、宙に舞い上がれば――
「ふぅ、っ…」
風の翼を閉じて振り向けば、先ほど潜り抜けたいびつな大穴。卵形の屋根の下には……異様な雰囲気は感じなかったからそうだろうと思ってたけど、やはりトワリンが体を丸めていたりなんてことはなく。さっきまでよりやや手狭な環形の足場があるだけだった。
ただ、ウェンティさんは何か感じるところがあるらしい。
「これ以上は行けないけど…この遺跡には、古い封印が施されているみたいだ」
「これもトワリンの仕業なのか?」
「いいや、違うよ。この廃墟は古代都市で、トワリンは一時的に身を置いているにすぎない。そもそも、ここは『四風守護』の時代よりもずっと古いものなんだ。モンドは王のいない自由の都だけれど、モンドができる前、ここはある暴君が治める地だったんだ」
「古代都市…でも確かに、この規模はそうか…」
「機会があれば、君たちにもその物語を聞かせるよ。ともかく、封印を解けば道は開けそうだね」
封印を……大丈夫かなぁ。
「…僕の知る考古学の知識からすると、あの『導光装置』が鍵になるはずだ」
「考古学…『導光装置』?」
「ああ。散らばったパーツをすべて元の位置に戻せば、『導光の儀式』は完了されるはずだ」
あの、と視線を向ける先には、ぼんやりと青く光る祭壇のようなもの。…ディルックさん、本当に単なる酒場のオーナーじゃないでしょ。まあこれまでの動向とジンさんの「先輩」発言から
「それでここの封印は解ける、ってこと?」
「見たところ、装置は正常に動作しているようだ。パーツもそこにあるな…装置に設置して、また様子を見てみよう」
少し離れたところに落ちている、きらきら輝く正四面体。蛍が触れると、強い光を放ちながらふわりと浮き上がって…蛍の背後を漂いはじめた*4。
それでちょっと楽しげな蛍がそのまま『導光装置』へ近寄ると、正四面体…装置のパーツが蛍を離れて、『導光装置』の台座へ吸い込まれていっ――
「っ…?」
「わ、っ」
…今さっき、この環状の足場の、真ん中の空間…青く光ったよな?今見たら何もない。『導光装置』は輝きを増して、台座の上で何か回してるけど…。
「装置の解除方法は合ってるみたいだね。4つあった光の輪がひとつ消えたよ」
「光の輪…あれ、ここの封印に関わってたんだ」
ウェンティさんが…目敏いのかなんなのか、親切にもそう教えてくれた。ここからじゃよくわからないというか、そもそも光の輪がいくつあるとか気にしてなかった*5けど…。
封印が解けたら何が起きるんだろう……見た感じ、この丸い穴に合わせて何かが現れるのが自然、なのかなぁ。
「この塔にはまだ3つ、光の輪がある…つまり『導光装置』をあと3つ探し出さないと、全ての封印は解除できない、ということか。ひとつはここから見えているが…残りはきっと廃墟の中、この塔を中心に分布しているはずだ。探そう」
「こんな装置と封印だらけのところに住んでて、トワリンは面倒じゃないのか?」
「まあ人みたいに歩くんじゃなく、彼は飛べるからね」
「オマエ……そういうことにしとこう…」
…なんか、すごく見覚えのあるやり取りだな…。
・日依
探索フェーズでできることは少ない。専門外なので…
宝箱ガン無視勢。まだ気が引けるし、モラ以外で恩恵の実感がないので
・蛍
見せ場か少ないので口数少ないトレジャーハンターみたくなってきたな…
・パイモン
空を飛べるぶん違ってくる視点が探索フェーズでお役立ちになるんだろうな…と思ったり
・ウェンティ
生き字引の水先案内人神感
・ジン
存在感が薄くなってすまない…
・ディルック
激つよ酒蔵オーナー(とても雑な説明)
まさか考古学の知識まで飛び出してくるとは…