(なんか短めになっちゃったかも)
「は、っ!?」
ビシャアアンッ!!というすさまじい音に、全員――トワリンまで含めて――の動きが一瞬止まった。はじめは何がなんだかわからなくて…一拍遅れて、なんの音かわかった。…
頭が動くより先に、目はそっちを向いてた。トワリンの『終天のフィナーレ』でダメージゾーンになった足場…そこに取り残された上に、トワリンの突進をまともに食らった日依がいる場所――
「ごめん蛍、お待たせ!」
「っ!?ひ、日依!!?」
――には、誰もいなくて。いないって思ったら…風の翼を広げた日依が、いきなり目の前に降りてきた。さっと手のひらを向けてくるから、私もハイタッチ…じゃなくて!
「日依!?オマエ、さっき怪我してたんじゃ…!」
「もう大丈夫だよパイモン、
パイモンもウェンティも…ちょっと離れたところにいるけどジンさんもディルックさんも驚いてたけど…日依のひと言で、すぐにトワリンに向き直った。
…首元で妖しく光る凝血も、よく見ればだいぶヒビが入ってる。あともうひと押し――
「っ、こっちもか…!」
「ひえぇ危ねぇ!」
「パイモンは隠れてなよ、っ来た…!」
「トワリン、待ってて!もうすぐだから!」
――そして。途中で2発目の『終天のフィナーレ』があっただけじゃなく、新たに岩を落としてくる攻撃も始まったりして…けっこう焦った。でも今、ディルックさんの斬撃を受けたトワリンが足場に横たわって、攻撃は止んだ。これで何度目のダウン?とにかく、トワリンのためにも長引かせるべきじゃない。
「っ、日依!」
「わかってる!」
トワリンの背中へ一気に駆け上がったら、反対側から日依が同じように跳び上がってきたところ。目が合ったら、会話はそれだけ。お互いに得物を振りかぶって、
「せやぁっ!!」
「これで最後っ!!」
――剣と杖による挟撃。それで、すでに細かいヒビに覆われていた凝血は――ついに、大きな音を立てて砕け散った。
「―――――!!!」
声にならない咆哮をあげて、トワリンが暴れまわる。それに呼応するように、吹き荒れる風が…っ!!
「ヤベェ!ここ、もうすぐ崩れるぞ!?」
「そ、そんなっ…うわ!?」
「っ…掴まれ!」
あたりを見回していたら、足場が傾きはじめて――とっさに隣の日依の手首をつかんで、ジンさんが伸ばしてきた手をとったけど、もうほとんど坂じゃなくて壁…ダメだ、落ちる…!!
「く…っわ、ぁ…!!」
地面の感覚が完全になくなって、背中が下に。見上げた先には空と、眠るように目を閉じた日依―――そこでトワリンの吼える声が聞こえて、背中に強い衝撃を受けた。
…いつのまにか閉じていた目を開けたら、青い空。雲がすごいスピードで流れていく。下は固いような、柔らかいような…動いてる。飛んでる?
「っ、これって…!」
起き上がってみれば、空に近い青。羽ばたく翼が今までにない近さ……トワリンの背中の上だ。背中にそびえていた凝血は影も形もなくて、傷もすっかり治ってるみたい。
蛍、と呼ばれて、見ればジンさんとディルックさんはもう起きていた。パイモンと日依は私の隣。ウェンティは……ほぅ、というため息が聞こえた前方に、あお向けで寝ていて。
「…こういうふうに一緒に飛ぶのは久しぶりだね、トワリン」
『…先程、何故…昔のように『守れ』と命令しなかった?』
「キミに、アビスの言いなりになってほしくなかった。でもだからといって、ボクの命令に従ってほしいわけでもないんだ。"神に命じられた自由"は、ある意味不自由だろう?」
話しながら起き上がったウェンティさんは、手元に風元素を集めて、トワリンの背中に落とした――風元素が、トワリンを包み込んでいく。羽ばたきにも力が増したように思う。これは…?
『これは…風神眷属の力か?しかし、我はもう四風守護ではない』
「肩書きがなくても、キミはボクたちを守ってくれたじゃないか。これからはボクの祝福とともに、もっと自由に飛ぶといい!」
風神の祝福……具体的に何をしたかまではわからないけれど、少なくとも、トワリンがアビスの呪いに苦しむことはもうないんだろう。屈託なく笑うウェンティに対して、トワリンは何も言わず…いっそう力強く、翼をはためかせた。
「んぅ…うおっ!?お、オイラ達飛んでる…トワリン、戻ったんだな…!」
「パイモンは普段から飛んでるでしょ」
「『幻想の翼』でな…あ、見ろ!」
目を回してたパイモンも起きて…気がつけば、雲間に地上の景色が見えはじめていた。そして、パイモンが指差した遥か前方には、見覚えのある建物…モンド城が見えた。
「…終わったんだね」
「そうだな…ずっと緊張してたから、オイラもうお腹がペコペコだ…」
「ホントに緊張してたからなのかな…まいっか。日依も起きて!…日依?」
…隣で寝てる日依から、返事がない。何度か揺すったけれど……なんの反応もない。あ、あれ?息は…ちゃんとある。けど、目は開かないし……
「お…おい?日依?大丈夫か?」
「大丈夫だよ。けどすごく疲れてるみたいだから、そっとしておいてあげて」
心配になったけれど、返事は予想外の方向――ウェンティから返ってきて、思わずパイモンとそろって目をぱちくりさせた。
「ウェンティ?何かわかるの?」
「さてね。少なくとも、日依の雷元素はもう空っぽみたいだよ。こういうときは
「そうだな。ここは私が」
「あっいや、私自分で行くよ!大丈夫!」
ちょっと、食い気味に止めておいた。心配しなくても、西風大聖堂にはもう何度か行ってるし…あとジンさん、たぶんこれから騎士団長(代理)として忙しくなるだろうから。今は落ち着いてるみたいだし、言わないでおこう……
「それ以前に、君はこれから忙しくなるだろう。代理団長殿」
「あっ…そ、そうだったな…!」
…という気遣いは水の泡になったけど。…仕方ないから、隣で眠る日依に目を向けた。たぶん足場が崩れるときにはもう気を失ってたみたいだし、目が覚めたら色々と話しておかないと…
「…あれ…」
ふと、気がついた。日依…左の袖が裂けて血が染みてるのがわかるけど……傷のほうはもう治って、痕も残ってない。いつの間に…ジンさんかウェンティが治療したのかな…?
・蛍
ただし日依の搬送任務は追加された
・日依
起死回生(物理)をかました呪術師。詳細は後述 とりあえず黒閃を出したのが効いた
でも昏倒したので次回はお休みです
・パイモン
やはり動かしやすさがすごいマスコット
・ウェンティ
自由の風神
風元素力(ぢから)カンストムーブ再び
・ジン
ゲームでは無いけどやりそうなムーブしてもらうなど
・ディルック
旦那言っちゃいそうだなと思ったので…
・トワリン
満を持して後書きに登場
これからは自由に空を飛ぶ