ちょっと長めか うまく話割れなくってぇ…
「お、お前たちも見たんだな!?やっぱりお化けいただろ!?」
真っ白な影を見た厨房から、言笑さんのところへ
私は幽霊を見てすぐ、泡を食っているパイモンを蛍に
「な…なあ、日依はなんとかできないのか?」
「私?いや…あいにく専門外だよ」
パイモンがふと思い付いたように話を向けてきたけど、残念ながら。人の負が
リカちゃんみたいなのに成ってればあるいは、と思うけれど……この世界の理に呪力は(少なくとも私の外には)ないようだから成ることはないか。そもそも(…こう言うとリカちゃんに悪いけど)成るべきではないだろうし、リカちゃんと同等のモノに成っていたらさすがに勝てそうにない……呪力でどうこうするべきじゃないのは確かだな。残念ながら、今回は引っ込んでいるしかなさそうだ。
「お化け、かぁ…ゴレットさんは知ってるのかな?このこと…」
「そうだね…聞いてみよう。知らないなら一大事だし」
…まあ、そういうわけで。頭を抱えている言笑さんはひとまず放置して、私たちは早足気味に受付を再訪することにした。
――した、のだけれど。
「はぁ…まったく。元は大泥棒のくせして、その程度のことで怖じ気づくだなんて」
…ゴレットさんの反応はそんな、完全に予想外のやつだった。…言笑さんが元は大泥棒とか別に聞きたくはなかったけど、仮にも客の前で言っていいのかそんなこと……じゃなくて。
「その程度って…」
「お…オーナーは、お化けか怖くないのか?」
「そういう類いのものなら、今までたくさん見てきたもの」
「…ということは、あの子のことを知ってはいる、ってことでいいですか?」
「ええ」
ゴレットさんは、相変わらずにこやかなまま。…いることは知っていて、危害を加えてくるような存在じゃないこともわかっている。ただ職員に周知してないってことは、出現箇所が定まっていないか、あるいは意図的に伏せているか……ってとこか…?
「…そういえば、仙人が旅館にいるなんて、他の人は知らなかったのに…」
「しーっ…その続きは、私の秘密だからね?」
パイモンは何かに気づいたようだけれど、ゴレットさんが制していた。人差し指を唇に当てて、片目を閉じてみせて……なんというか、
「それで…どうしましょうか、この状況」
「それなら、あなたたちの方からあの子に、もう人を驚かせるのはやめなさいって言ってきてもらえないかしら?」
「言って聞くのかな…」
「うぇ…オイラたちがか…?」
「あなたたちをいいように使ってるわけじゃないわよ。"人の魂は仙人ほど強くない"…あの仙人の言う通り。仙人との関わりで傷ついてしまわないよう、まずはお化けから慣れるといいわ」
…その文言知ってるんですね…はさておき。なんというか、要するに「仙力より先に霊力」ってことでしょうか。なるほどと
…2人とも、もう私の呪力には当てられてるよな…という気はするけど、まったくの別物*3だし関係ないか。それに、なんだか存在自体が特別そうだしな…何が起きるかわかったものじゃない。
「お、おう…でも、どうやってお化けを説得するんだ?」
「この旅館の掛け軸には、この璃月に千年伝わる『降魔印』が描かれているわ。それを見てきなさい。そして、この旅館の周りで"完全な降魔印が見える場所"を探してみて?」
「これが、『降魔印』…」
"上の階の掛け軸がわかりやすい"と助言を受けたので、早速そちらに向かって見たそれは…文字通りの印だった。
仏像とかでいう『降魔印』は、片手の人差し指で地面を指すやつだけど……これはあんまり関係無さそうだな。例えるなら、"眉"と"届"を足して割ったような感じ。漢字だけに?……虚しくなるからやめよう、こういうのは。
「これを、この旅館の周りで、か…」
でも、この印ひとつ探すってのは…けっこう骨折れるぞ?"周り"がどこまでかは、まあこの島の中であるのは間違いない…と見ていい、のかな…。そうであってほしいんだけど、高いところから見下ろしたら岩礁の形が、とかありそうで……
「んん…?オイラ、これっぽいの見た気がするぞ?」
「えっ、ほんとに?どこで?」
「ええっと…たしか、旅館の外だ!蛍が採集してるときだった気がする!」
「採集…もしそれだったら、上から見下ろす必要はないか…?」
「そうだね…よし、見に行こう!」
「うわっ!?出たぁ!」
…果たして、パイモンの証言が大当たり。外で見つけたそこで、完全な見え方を確認していたら…降魔印が淡く光ったように見えた。
その次の瞬間には、光の中からあの真っ白な少女の影が飛び出して、どこかへ走り出して…
「蛍行って!」
「え!?行くけど、日依は!?」
「なんかやっちゃったら
ダッと走り出した蛍を、若干距離を開けて追いかける。
…おそらくただの幼い少女の脚と、戦闘力の高い蛍の脚ではいっそ可哀相になるくらいの差があるので、あっさり追い付いた…と、思ったけれど。
「っ、消えた!?」
「蛍、あっち!」
「逃げる気だ!追うしかない、女将の話だともう消えないはずだ!」
「しょうがない…蛍、ちょっと失礼!舌噛まないでね!」
「えっちょ、わあああっ!?」
蛍の指が届く寸前で、ふっと消えてしまった白い影。厨房のときみたいだ、と思っていたら…橋の向こうで揺らめくのが見えた。なるほど、瞬間移動とはなかなかやる!
そっちがその気ならこっちも、というわけで、蛍を抱えあげて*4急行することにした。現状、私が『鎧袖』を使うのが一番速い!
そうして、またも追い付いたら…
「ぁ、また消えた…いや、っうわぁ!?」
真っ白な少女は、木の下にある何かと重なるようにして消えた――と思えば、その何かが動き出す。
岩の塊にしか見えなかったそれは、おもむろに起き上がり……宙に浮き上がった。ずんぐりした胴の上のほうで、なにやら見覚えのある光が灯って――ごうっ!!と、先の尖った腕が振るわれた。あ、危な…!
「うおぉ!?あ…あの負けず嫌い!壊れた遺跡守衛に憑依したのか!?」
「うっそでしょ!?」
「うわっ!?ちょ、っ!や、やば…!」
「なんとか、隙を見つけないと…!」
…まずい、憑依云々を抜きにしてもこいつだいぶ厄介だ。空を飛んでるぶん、動きの自由度がモンドのやつとは比べ物にならない。自重に縛られないから素早くて、それなのに一撃が、重い…っ!!
「ぐ、うぅっ!」
「日依!」
「いいから!」
――呆気なく吹き飛ばされて、地面を転がる…受け太刀*5は無理だな、と頭の片隅で判断しつつ、蛍に油断しないよう声を飛ばす。ちょうど目線ぐらいの高さまで浮いてるからコアが遠い……なんとか、隙を突いて叩き込むしかない。持久戦か…嫌な響きだよ。
…戦闘のさなかで判ったこと。ヤツは動きこそ素早いものの、隙は結構多い。なんか無意味になにもしない時間がちらほらある……休みなく戦い続けるのは仕様上無理なのか、あるいはパイモンが『壊れた遺跡守衛』と言っていたからそれなのか。
「おぉい!卑怯だぞー!下りてこーい!…うわあぁ!?」
「パイモン隠れてて!気持ちはわかるけど!」
そして――これはこのタイプの遺跡守衛*6に一律の仕様らしいのだが――ある一定以上のダメージを受けると、上空からの射撃形態に移行するらしい。コアがさっきまでより明るく、分かりやすく…狙いやすくなった代わりに、接近が難しくなった。爆撃が雨のように降ってくるし!!
「日依、アレ届きそう!?」
「届く、だろうけど、っ…威力は出せないと思う!」
蛍が言うアレとは『迅雷』のことか。射程はそこそこあるから、たぶん届くとは思うのだけど……接近の難しさゆえここまで何度も使ってたから、マーキングの呪力はもうほとんど残ってないだろう。弱くても
「直接ぶっ叩くしかない。私が蛍ぶん投げるか、逆の方がいいか、っ…!」
あいにく蛍も、あそこまで高いところに届く攻撃手段は持ち合わせてない。だから、届かせるしかないんだけど…この猛攻の中でそれをやるのは賢明じゃないな。蛍も首を振ってるし*7。
「しょうがない…蛍、武器しまって離れてて!巻き込んじゃ悪いから!」
「えっ?いいけど、何するの?」
「これで撃ち抜く」
「撃ち抜く!?」
普通に投げても届くかどうかの微妙な距離…憑依してるからなのか仕様なのかわからないけど、よくわかってやがる。だから、術式を使う。モンドの龍災以来しばらくお留守番だったから、感覚取り戻さなきゃ。
「――『繊域』」
蛍が手ぶらなのを横目で確認して、着弾しない地点を探って――拡張術式を発動。電気…今は雷元素*8を巡らせる。
握りしめていた手を開けば、長杖は地面に落ちる――ことなく、磁場の中で浮き上がった。…これ、そんなに上等な武器ってわけじゃなかった*9らしいんだけど、もうすっかり私の武器だな。私の呪力が完全に浸透してるから、ぶっちゃけ『繊域』がある程度適当でも十二分に動かせる。このまま、照準を定めて―――
「…っ!!」
「うわっ!?」
蛍の驚く声をよそに、撃ち出された長杖はまっすぐに飛んで――狙いどおり、赤く輝くコアを打ち砕いた。…よかった、全然覚えてる。
空中で大きくのけぞった遺跡守衛はそのまま……克服していた重力を思い出したように、まっすぐ
ズンッ…と地面が震えたのを感じるが早いか、ふたたび剣を握った蛍が駆け出していく。…長杖の回収も『繊域』でやろうとしてたとこなんだけど、まあ横着はしないでおくか…。
・日依
幽霊は専門外の呪術師
『繊域』、初出はアレ(―――あ、駄目だ)だったのでしっかり使えたのは初 相棒のように使ってる得物が一番効く
語彙縛りプレイ状態
・蛍
色々ビックリな旅人
お米様抱っこは肩に担ぐやつだよ
・パイモン
一応場所を伏すためMVPになっていただいた案内役
・言笑
勝手に過去をCOされる料理人の図
・ゴレット
色々あるらしいオーナー
なお本人も魈様の笑顔を見たことはないそう