同月内更新だいぶ久々かも 次の書きためが豊富なわけでもないですが…
さて…夜泊石の用意を終えて、次は『霓裳花』。鍾離さんが案内してくれた店は、港の水面近くというまさかの場所にあった。
…表通りを歩いていればほぼ見えず、沖合いに見えるような大きな船が寄せてきたらその陰になってしまうような立地。失礼ながらここ本当に大丈夫な店か?と思ってしまったけれど、そういうものらしい。…まあ璃月港、平地が狭いし仕方ないのかな…。
「ふむ…育った環境や交配状況によって『霓裳花」の特質は変わるが、店主が用意したものは、どれもいい状態で保存されているな」
少々いざこざ未満のことはありつつ(割愛)…今は鍾離さんが3種類*1の花を注文して、それらを見せてもらっているところ。
…博来というこの店主、余所者にはまるっきり塩対応だったので、やっぱり地元向けの店ではあるんだろう。それなら別にこの立地でもいいわけだ。嫌な納得感だった。
「例えばこの品種。枝が生い茂り、
「はあ、旦那は詳しいですな。私もそこまでは知りませんでした…」
というか、また鍾離さんの知識が炸裂してるな。私たちを置いてけぼりにするどころか、店主も感嘆させていた。本当になんなんだこの人…テイワット版雑学王じゃん。クイズ番組があったら引っ張りだこでしょ…。
「
「今振る!?そ、そんなにすごくないよ」
そして急に話を向けられた蛍が小さく飛び上がっていた。マイペースすぎるぞ玄人さん。高く買われているのは良いことだろうけど。
「それで、鍾離。この3種類のうちどれを選ぶのがいいんだ?」
「店主、全部もらうぞ」
「またかよ!?」
「芝居を観るときは一番人気の役者を選び、鳥を飼うときは貴重な
「知らない人生訓だ…」
「だが、今回は俺の信条だけが理由ではない」
「あ、そうなの…?」
それで…またしても富豪発言で飛び上がるはめになったけれど、どうやら夜泊石のとき同様に事情があるらしい。また何か目利きの方法が、とかか?…蛍も鍾離さんの外套を掴んでいた手を離して、聞く姿勢。
「伝統によれば、品種の異なる『霓裳花』をそれぞれ香膏にし、『七天神像』の前に捧げることで、岩王帝君が気に入ったものを選んでくれるそうだ」
「全部並べて、選んでもらうってこと?なんか占いみたいだね…」
「こういう古い時代の仕来りや複雑な伝統は、時代とともに簡略化されていったがな。しかし今回は、3700年に
「なるほど…」
…
「それで…ふむ…モラは持っているか?」
「また持ってないのかよ鍾離!?」
「一回別行動してたのに!?」
…ただ、またしてもこうなるあたりなんとも締まらない。てっきり取りに戻ってるものだとばかり……いや、それは『公子』に借りを増やしに行ってない私たちが言えたことじゃないかもしれない。
状況的に自腹か……私のほうはある程度余裕作ってるけど、花の相場なんて考えたこともないなぁ…なんて、遠い目をして考えていたけれど―――
「えっと…お客さん。すみませんが、ひとつお聞きしてもよろしいですか。これらの花は、岩王帝君に捧げるものなのですか?」
「そうだけど…」
「それならそう早く言ってくださいよ…あの『迎仙儀式』のあと、私もいろいろと良くない噂を聞きました。不吉なことは口にしたくありませんので省略しますが…とにかく岩王帝君のことが心配で、噂が事実だったら…と気が気ではなかったのです。岩王帝君のためとなれば、お金は取れません。どうか、私からの気持ちということにさせてください」
「えっ!?い、いいのか…?」
「岩王帝君がいなければ、私みたいな一般人の住む場所などなかったのです。それに…この『霓裳花』がこうして重宝されているのも、岩王帝君の作った詩が始まりなんですよ」
「へぇ…ここまで色々見聞きしてきたけど、璃月って本当に神様からの恩恵で出来上がった国なんだな…!」
…なんと、博来さんのご厚意に救われる形に落ち着いた。しかも夜泊石のときのように半額ではなく、タダ。商人から利益を奪うのは(略)だったんじゃないんですか??が…岩王帝君の名声ってすご……
なんか好き勝手に虎の威を借りてるようで、申し訳なさも湧いてくるけど……ひとまず璃月の商人の皆様がとても敬虔で、岩王帝君が物理的にも心理的にも影響力の大きい存在であることはよくわかった。だから
「…とにかく、礼を言う。これで俺たちの憂いはひとつ解消した」
「サイフを忘れた鍾離のせいだろ!」
「いえいえ、ほんの気持ちですよ」
「それで…花は手に入れたけど、これをどうやって香膏にするの?」
「できれば香膏を作れる職人を探したいが、俺の知り合いにそのような人物はいないんだ…」
「鍾離の友達ってみんなお金持ちそうだもんな…」
「そういうものなの?」
「産業として数えられるほど盛んに作られるものではないからな…あくまで市井に伝わるものだ。専門の職人というのは聞いたことがない。それにそもそも、香膏については女性のほうがよほど詳しい」
「鍾離さんよりも…?」
…てっきりこれまで通りに鍾離さんのコネでなんとかなるものだと思っていたけれど、ここで壁にぶつかるとは……ちょっと
「だから、都市の中で探してきてくれないか。一般の家庭の女性のほうが作れるかもしれない」
「そういうものなんだ…なんか不思議な感じ」
「だったら…この璃月港の中で、いい香りのする人を探せばいいってことだな!」
「そういうことなのかな…」
儀式に使うからには格式高いものを用いるのかと思ったけれど、案外そういうわけでもないらしい……ひょっとすると、"そのほうが多くの人が関われるから"だったりするのかもな。身分や貧富がどうであれ、仙人の前では等しく凡人であり、岩神にとっては庇護下の民なのだろうし。
それはそれとして、パイモンが意気揚々と口にした方法はちょっと…
「俺は七天神像のあたりで待っている。香膏が完成したら、そこで落ち合おう」
そして個人主義丸出しの識者先生は手短にそれだけ伝えると、どこかへ歩き去っていった。まあ鍾離さんも鍾離さんでまた別に、色々と儀式の準備を進めてるんだろうと思う。職人を手配とか云々言ってたしな。
それはそれとして、今度こそちゃんと財布持ってきてくださいね…。
✫ ✫ ✫
「それじゃ、私たちも出発しよう」
「うん。けど…どうしようかな。手当たり次第聞いてみる…?」
…まさかここに来て、鍾離さん経由の専門家じゃなくて、一般市民から探し出さなきゃいけないなんてね…。いちおう聞いてはみたけど、こういうしらみつぶし戦法にいい顔をしないのはわかってる。特に
「冒険者協会に行って聞いてみようぜ!もしかしたら、作れる人がいるかもしれない!」
「たしかに…いなかったとしても情報は集まってそうだね。そうしようか」
びしっ!と手を挙げたパイモンの名案を採用して、私たちは歩きだした。
…こういう現地情報、モンドだったら酒場で聞いてみるといいんだけど、璃月でも同じかはわからないし、そんな感じの酒場があるかもわからない。その点、冒険者協会はいろんな人の出入りが多いし、あちこち回ってる冒険者からの情報ももらえそう。
日依も隣でうんうんとうなずいていた、けれど…
「じゃあ、私はなんか討伐依頼受けて別行動しよっかな」
「えっ?な…なんで急に?」
「いやぁ…"儀式への捧げ物"となると私、あまり触らない方がいい気がしててね」
「んん?どういうことだ?」
「言ったでしょ、私のこれは呪力、呪い…もちろん考えすぎかもとは思うけど、私はどっちかと言えば儀式ぶっ壊す側だからね」
「「ぶっ壊す!?」」
「あ、もちろん今回そんなつもりはないよ?今まで任務でやったことあるだけ。邪悪なやつを…杖持ちとかアビスがいる集落を掃討する、あんな感じ。だから、
まあ別にいいけど、そもそも旅だって専門外だし、と日依は笑ってみせたけど…そういえばそうだった。日依は、自身のことをどちらかと言えば邪悪だって考えてるふしがある。私たちはそうとは思えないけど……ウェンティみたいに見えたら、この考え方も変わるのかな…。
「まあ、ここまでは私の個人的な話として。現実的な話、手持ちが有限だからっていうのもある。まさか『公子』からの資金を懐に入れる気にはなれないし、千岩軍にももう追われないみたいだし、そろそろきっちり稼いどこうと思って」
「あ、そういえばそっか…じゃあ、香膏は私たちだけでってこと?」
「蛍のだいたいなんでもそつなくこなすところは心配してないよ。まさか戦う羽目になることもないだろうし」
「そりゃそうだ!こんなムグッ!?」
…日依は私がちょっとモヤっとしたのを察したみたいで、明るい声で話題を切り替えた。現実的…た、確かに。そう言われれば一理ある。霓裳花は店主のご厚意で無料にしてもらえたけど、ただでさえ高いお買い物*2で『公子』からの資金は尽きたところだし……そっか、また一度会いに行かなきゃダメか………
要するに、ここからは得意分野で分業ってことだね。私は得意ってわけじゃないけど、物分かりがいいとは昔からよく言われる。ちょっと面白そうだし、頼りにされてるから頑張ろう。…何か変なフラグになったら嫌だから、パイモンの口は押さえておいたけれど。
「二人の分までちゃちゃっと済ませてくるから、今は任せといて」
頼もしい日依はそう言って、見えてきた建物…冒険者協会(璃月支部)への階段を足早に上っていった。
「…よし、無事に3種類とも香膏ができたわ。ええ仕事っぷりやったよ、助手さん」
璃月港、
『春香窯』自体は陶器の店だけど、副業として香膏を作っているという彼女は『万民堂』のキッチンを借りる許可まで取ってきてくれて、香膏の作り方を手取り足取り教えてくれた。
「あんたって、心の想いのまま努力できる人なんやね。貴重やわぁ」
…ただ、ずっと何か勘違いをされてるみたいなんだけど。まあ、仕方ないか…"この伝統は忘れられて長い"って鍾離さんは言ってたし。それで忘れられた代わりなのか、それとも以前からあったのかはわからないけど、今の璃月では香膏に別の意味合いがあるらしい。
「さてと。ほな、それぞれの香膏について紹介するな。ちゃんとタイプの子に合わせてプレゼントするんよ?」
「け、けしからん…けど、一応聞いておこう…!」
「ふふ♡1つ目はな、甘くて夢にあふれた感じ。若い女の子が好きな香りやね。
2つ目は高貴なイメージがあって、お金持ちのお嬢さんが気に入ってくれるはずやわ。
最後のは優しい香りやけど長持ち。ほんのりスモーキーさも感じさせる…大人のお姉さんに受けがええと思うよ。…ちゃんと覚えとう?間違ったら大変やよ?」
「お、覚えた…」
ええっと…『金屋蔵嬌』『山の花錦』『縹渺たる仙縁』の順番だよね。いちおういちおう聞いておいたけど、そ…そうなんだぁ…って感じ。これから役に立つかはあんまりわかんないから…お兄ちゃんが好きそうなものでもないし……。
「よろしい。うちに手伝ってほしいことは、これでお仕舞いやな?ほんなら最後に、うちからもプレセントとしてひとつ助言したるな」
「助言?」
「三股するんやったら、まずどこから手ぇ着けるべきか、よう考えなさいよ♡」
「………」
…引きつった苦笑いしかできなかった。だいたいなんでもそつなくこなせるって言われたけど、さすがにこれはわかんないよ…。
実況でのコメントでも「ここだけ異様なんだよな…」と言われていた香膏まわり とても難儀しておりました
・日依
ウーン今回どうしようかな…と悩んで別行動にしちゃった
聖側のものあんまり触りたくない。
同級生に既婚者()はいたものの、浮わついた話は全くなかった。当人が本当に(それはもう師匠が腹を抱えて笑うほど)無関心だったので
得物をある程度自在に空中操作できる能力&中距離狙撃技(迅雷)があることを考えると遺跡守衛にかなり強いように思える 当人はゴツい外見に苦手意識をお持ちですが
・蛍
久々の視点が登場 後ろのプレイヤーが相当手練…いやなんでもない
実際のゲーム内では希薄な人間性を出していくのがちょっと大変
・パイモン
ちょっと 影薄めになっちゃったかも 案内役らしさは健在
・鍾離
金銭面以外は信頼されている有識者先生
・鶯
まさか冒険者協会のすぐ近くにハナコ(概念)がいるとは思わず、誠に草でした
実況者様方の反応も面白すぎて激化反応
細かいことだけど思ったよりだいぶ訓読みなの若干モヤる あらし姉さんだったりうぐいすさんだったり "帰離原"も"キリはら"らしいし…