好評だったら続きます
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グルメタウン中心部────
”美食屋”の集う酒場「Bar ヘビーロッジ」
世界中から名だたる美食屋が”食の情報”と”仕事”を求め日々訪れる酒場…
より屈強な美食屋を求め依頼人も多く集まることから別名「出会いの酒場」とも呼ばれている
そんな酒場には「あるスープの噂」を聞きつけた美食屋たちが大勢集まっていた。
「酒だぁ!!酒を持って来い!!」
「食い物も足りねぇぞオラぁ!!」
「うりゃーっ!!オレの勝ちだぁ!!」
「もっと食える奴ァ居ねぇのかァ!?」
「コラぁーっ!!やかましいぞてめーらァ!!」
「もっと静粛に飲めねえのかぁ!!」
「”グルメ賞金稼ぎ”ブルボ」や「”南の島の大食いチャンピオン”ドランカー」などそこそこ名の通った美食屋たちが騒がしく飲み食いするヘビーロッジ。
そんな屈強な男たちの喧噪の中にまるで似つかわしくない少女が一人。
「サーロインキノコ*1のステーキ…噂通りの美味しさですね。」
丁寧な動作でステーキをおいしそうに食べる彼女は黒舘ハルナ。
周りの大柄な男たちと比べると小さくかわいらしい彼女であるがれっきとした美食屋の一人である。
「なァ、お嬢ちゃん…」
そんなハルナに顔中傷だらけの男が話しかけてくる。
彼は「グルメヤクザ」副組長のマッチだ。
「席を譲ってくんねーかな?そもそもここは子供が来るところじゃねーんだぜ。」
「……。」
脅しを気にすることなくハルナはステーキを堪能し続けている。
マッチが顔を少ししかめ、周囲の空気が張り詰めていく。
「ダメですよオジさん。貴方も美食屋なら分かるでしょう?彼女だって立派な美食屋だ。あなたに止める権利はありません。」
ハルナの向かいに座っていた「グルメ
「お前だって子供だろ少年、さっさと帰ったらどうだ?」
「子ども扱いしないでください。ボクだってもうお酒も飲める年だ。どかすなら力ずくでどけてみれば?」
「強がるなよ、お前らもオジさんみてーな顔になりたくねーだろ?」
「キズが多いのは弱い証だ。ガードが下手なんだねオジさん。」
マッチは腰の刀に手を当て、滝丸は構えをとる。
酒場が一気に緊張で包まれた。
「私の美食を邪魔するなら容赦しませんよ?」
ステーキを食べ終えたハルナも席を立ち、愛銃を構える。
「何だ?お前もやる気か?」
「食後の運動には丁度いい相手ですわ。」
「ようし…ゴングを鳴らしたのはお前だぜ!!」
まさに一触即発……その時だった。
「コラぁおどれら!ワシの店で暴れんじゃねーぞ!!」
「Bar ヘビーロッジ」の
「大人しく待ってな!!もうすぐ『カーネル氏』が来店する時間だ!!」
その声を聴いたハルナは銃をしまう。
滝丸も構えを解き、マッチも刀から手を離した。
__________
「100億出そう、見事ワシの依頼に応えてくれた者にな。」
「”センチュリースープ”挑戦したいものはついて来い…!!」
「「「うおおおおおおおお!!!!!」」」
年商20兆の会社「グルだらけ」会長であり、今回美食屋をここに集めた依頼主であるカーネル・モッコイはそう宣言すると、美食屋たちは立ち上がって大声をあげていた。
そんな美食屋を観察するモリ爺、彼の別名は”
(強そうなのは…トリコにあそこのヤクザとグルメ騎士…ってとこか…)
(いや…)
モリ爺は騒ぎ立てる美食屋たちとは対照的に黙っているマスクの男とハルナの2人を見て何かを感じ取る。
(あの
「気をつけて行って来なよトリコ。荒れる旅になるかもしれんぞ。」
__________
「この寒さの中で食べるシルバーアイスはまさに格別…やはり寒いときにアイスを食べるとおいしいという噂は真実のようですね。少し寒さが物足りないですが…」
ハルナは全長400メートル総重量20万トン、世界最大クラスの「砕氷船」でセンチュリースープが眠っているアイスヘルを目指していた。
アイスヘル
それは最南端に位置する氷の大陸。
年間の平均気温はマイナス50℃であり猛獣の捕獲レベル以上にその厳しい気候から、危険区域に指定されている。
また、冷凍保存などの技術の無かった昔、美食屋たちが己のフルコースの食材を保存するために持ち寄ったとされ「美食の冷蔵庫」とも呼ばれている。
そんな美食屋たちの食材が眠る冷凍庫、グルメショーウインドーから溶け出した天然のスープ。
それこそが今回の目的、センチュリースープだ。
一世紀に一度、メタンハイドレードの発生によって氷が解凍されることから「センチュリー」の名前が付けられており、この機会を逃せば当分は飲めない。まさに幻のスープなのだ。
そしてメタンハイドレードが溶け出しているという情報を手に入れた”グルメ大富豪”カーネルは美食屋を集めてそのスープを手に入れようとしているのだ。
美食を堪能しながらアイスヘルまでの船旅を楽しむハルナだったが、こうしてのんびりできる時間はあとわずかだろうと考えていた。
ウウウウウゥゥゥ…
砕氷船の警報が鳴り響き、大砲が発射される音が次々聞こえる。
「おや、もうこんな海域ですか…」
「グレイトレッグ*2の群れだぁー!!」
海中から次々に船によじ登ってくる四足歩行の凶暴な鮫、グレイトレッグに襲われる美食屋たち。
それぞれが立ち向かっているが対処できているのはほんの一握りといったところか。
そんな生半可な攻撃を通さない分厚い肉を持つグレイトレッグをハルナは
「刺身がおいしいと聞きましたが…微妙ですね……。」
「おっと!グレイトレッグの腕は身が硬くて食べるのには向いてない、背びれがおすすめだ。」
「ふむ…。」
それを聞いたハルナは背びれにかぶりつく。そしてその味に納得する。
まさに背びれは大トロのような濃厚でジューシーな味だった。
「おいしい…。」
「だろ?ちなみに腕はうまい出汁が出るぞ。」
そこでハルナは声をかけてきた人物のほうを向いた。
「おや、美食四天王のトリコさんでしたか、初めまして。黒舘ハルナと申します。以後お見知りおきを。」
世界に存在する30万種類の食材のおよそ2%を見付け出したそして足のサイズは45cm、キャラソン2曲持ち、功績を称えられてトリ港という港さえ作られた美食屋四天王の一人、トリコだ。
”美食人間国宝”節乃の依頼でセンチュリースープを手に入れるため、カーネルの依頼に便乗する形で料理人の小松とともにアイスヘルを目指していた。
「ハルナか…。」
「トリコさん、知ってるんですか!?」
「ああ、サービスの悪い店は食への冒涜として容赦なく爆破するその姿から”グルメテロリスト”の異名を付けられた美食屋だ。」
「グ、グルメテロリスト!?そんな危険人物が…。」
「おいおい小松、そんな心配そうな顔すんなって、ハルナが爆破するのはサービスの悪い店だけだ。誰だってそんな食材へのリスペクトが足りない店に連れてかれたら怒るに決まってるだろ。」
「で、でも爆破するのは…。」
「なあハルナ、今日は
「…今回は内緒で来ました。それとトリコさん、そのグレイトレッグ貰っても?」
自分で仕留めたグレイトレッグを食べ終えたハルナはトリコがノッキングしたグレイトレッグを要求する。
「別に構わないが、そうだな……。よし小松!俺とハルナで仕留めてる間に捌いて刺身にしといてくれ!」
「えっ、ええ~!?」
「アイスヘル前の腹ごしらえですか。いいでしょう、美食四天王の実力見せてもらいますよ。」
グレイトレッグとの戦いに向かうトリコとハルナ。おいしい食材を前に二人は欲望をむき出しにしている。
そんな2人の様子を眺めながらグレイトレッグを捌く小松は、あることに気が付いた。
(ハルナさんの背中に…尻尾?それに羽みたいな…)
「ノッキング完了!さて…」
「こちらも終わりましたわ。」
よじ登ってきたグレイトレッグをあらかたノッキングし終えたトリコはハルナの仕留めたグレイトレッグを確認する。
(急所を的確に撃ち抜いて一発で仕留めている……14歳にしてこのセンスか……)
「ん~♡先ほどのモノとは比べ物にならないほどおいしいですわ!それにこの醤油との相性が……。」
「それはグルメタウンで買った醤油バッタ*3で…海に出るって聞いたから魚料理に合うんじゃないかと思って持って来たんですが、役に立ったみたいでよかったです!」
ハルナは小松の捌いたグレイトレッグの刺身に舌鼓を打ち、喜びから羽と尻尾をバタバタさせていた。
(
トリコはそんなハルナにペットであるテリー*4の姿を重ねながら刺身を味わっていた。
「なあハルナ、ここの食材はうまいか?」
「ええ!もちろん!」
「そうか…捕獲レベルも
トリコの言葉を聞いてハルナは一旦食べる手を止める。
「トリコさん、美食とは料理や食材だけで決まるものではありません。それを食べる環境によっても大きく変わるものです。」
「例えばこのグレイトレッグだって捕獲レベルはたったの6ですがこうして自分で倒し、小松さんに料理してもらい、氷海を眺めて潮風を浴びながら食べたからこそよりおいしくなっているのです。」
「だからこそ!私はお粗末な美食を提供する輩が許せないのです!」
「ははは!いい心構えだな!」
「なんだか、サニーさん*5と気が合いそうですね……。」
「氷海ウツボだあー!!」
「おっ、氷海ウツボか!こいつは蒲焼きがうまいんだ。」
「まあ! では小松さん、調理の用意を済ませておいてください!」
「えぇー!?」
こうしてトリコ、小松、ハルナを乗せた砕氷船はアイスヘルを目指して突き進む。
道中次々と襲いかかってくる猛獣たちも腹ごしらえを済ませたトリコたちの敵ではなかった…
14歳はミスじゃないぞ!この小説のハルナはブルアカよりもちょっと若いぜ!
でもアイスヘル編だけの予定だから役に立つことはない設定だぜ!
他の美食研は…展開次第ってことで