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「まいったな、まるで氷の迷宮だ…。」
「この中から”オーロラ”を見つけ出すのは骨ですねトミー様…。」
「そだね。」
彼らは美食會の一員。
世界中の食材を牛耳ろうとする危険組織であり、目的の食材のためなら乱獲、強奪、殺戮など手段を選ばない極めて悪質な集団であり、IGOからも危険視されている。
「めんどくさ!ブッ壊そかこの
「え・・・」
「孵化せよ”爆虫”ども…!!」
__________
「何だ!?」
「…なんですか今の音は!?」
突如聞こえた激しい爆発音、そして氷山の一部が崩壊していく凄まじい音で眠っていたハルナたちは目を覚ました。
「あれは…爆発…!?」
「この氷山をあれだけ破壊できるとはただの爆発ではありませんね……!!」
爆発物を取り扱うことの多い”グルメテロリスト”のハルナからしてもあの規模の爆発には驚きを隠せない。
「すぐに用意しろ、出発するぞ。」
「え・・・!?」
「“敵”……ですか、トリコさん。」
トリコは鋭い目つきで爆発の起こった地点を睨んでいる。
「ああ…俺たちと食材を奪い合う敵、今のはおそらくそいつらの仕業だ…!!」
(やはり来たな美食會…!!奴らは「
かつてトリコは美食會と宝石の肉を巡って争いを繰り広げ、見事勝利していた。
「急ぐぞ!!」
トリコの号令で一行は再びアイスヘルを進み始めた。
走り出して数分、爆発は何度も何度も起こっている。
「む!近いな!」
「敵ですか!?」
「違うぞハルナ!
だが幸運にもトリコの優れた嗅覚がセンチュリースープを捕らえた。
「スゴイ!まだオーロラは見えてないのに!?」
「センチュリースープの匂いは一度セツ婆の店で覚えてるからな。おそらくこのあたりの地下だ!!」
「セ…セツ婆ってあの!? スゲェ…」
「美食人間国宝セツ婆の料理の話、もう少しお聞きしたいですが…その余裕はなさそうですね…!!」
「ハルナ!?」
突然振り返り背負っていた狙撃銃「アイディール」を手に取るハルナ。
「気をつけてください!!何か来ます!!!」
次の瞬間、凄まじい数のクワガタが上空から突っ込んできた。
ハルナはアイディールを空に向かって構え、引き金を引いた。タァン!と大きな銃声が響いた。だが、弾丸とほぼ同じ速度で飛び回るクワガタは素早い動きでそれを避ける。
「速い……!!」
「わァ!!」
「小松!!」
そしてそのまま小松へと突撃する昆虫。鋭く立派な鋏を持つそのクワガタの鋏に挟まれれば小松などひとたまりもないだろう。
小松を庇うトリコ、しかしクワガタは止まることなくトリコの強靭な肉体をそのまま食い破り始めた。
「ぐっ…」
体内でもぞもぞと動くクワガタに思わず顔をしかめるトリコ。だが、苦戦しているのはトリコだけではない。
「ぐあぁぁああぁあ!!!!!」
シンの腕を骨ごと自慢のハサミで切断するクワガタ。シンの腕はかろうじて千切れていないがその痛みは凄まじいものだ。
だがそれでも終わらない。クワガタは怯んだシンの顔に飛びつき右目を抉り始めた。右目を潰されたシンは堪らず倒れこむ。
「シン!!」
マッチが怒りを爆発させ飛び出してきたクワガタに斬りかかるも、ハルナの弾丸ですら捉えられないクワガタに避けられ、逆にマッチが斬りつけられてしまう。
そして更に後ろから迫るクワガタがマッチの首筋に噛み付こうとする。
「────速い!!」
「マッチさん!!」
弾丸では落ち落とせないと分かったハルナはアイディールの銃底をマッチに食らいつこうとするクワガタに叩きつけた。
地面に叩き落とされるクワガタ。だが、鎧のように頑丈な外殻に守られておりすぐに羽を広げて飛び立とうとする。
「仕方ありませんね……!!」
迷っている暇はない。ハルナはそのままクワガタを掴んで噛みつき、食いちぎる。
食いちぎられてもクワガタはまだ動こうとしていたが、ハルナに外殻ごと噛み砕かれようやく生命活動を停止した。
「ジョンガルクワガタ……やはり食用ではない昆虫はたいして美味しくありませんね……!!」
飲み込んだハルナは渋い顔を浮かべる。
「ジョンガルクワガタだと!?昆虫マニアの間ではその捕獲・飼育難易度の高さから200万円ほどの値打ちが付くと言われる超希少昆虫じゃねぇか!!」
「そんな昆虫がどうして極寒のアイスヘルに……!!」
トリコとマッチが驚きを露わにする。だが、そんなことを考える余裕はない。
ジョンガルクワガタの速さと数に翻弄され傷は増えていく。
「くたばれオラァ―ッ!!」
シンの傷口に再び食らいつこうとするクワガタを自身の腕ごとアイスガンで何度も撃っていく。
だが、外殻に守られ大したダメージになっていない。
「ちっ、弾丸が通らねぇ!!」
「ダメです!!関節部を狙ってください!!」
「どいてろシン!俺がやる!」
「脱力――”目打ち 一輪挿し”――!!」
翅の付け根あたりの外殻の隙間にうまく刀を突き刺したマッチ。
「”回転 かぶと割り”!!」
そのまま刀を一回転させ、勢いをつけることでクワガタを真っ二つにすることに成功した。
「や…やった…!!」
「まだだ!油断するな!!」
だが、切断されたクワガタの頭部は地を這って再び襲い掛かり、腹部は飛行して突撃してくる。
「なにっ!!」
「”ナイフ”!!」
すかさずトリコが手刀でコマ切れにする。
だが、足などはいまだにカサカサ動いていた。
「なんて生命力…!!」
「神経節という小型の脳を各部に備えてるからバラバラの状態でもしばらくは動き続けるぞ。…だから、ハルナみたいに粉々に噛み砕いちまうのが手っ取り早いんだが……おすすめはできないな。」
「極寒に適応した新種……ではありませんね。養殖の味がします。はぁ…お口直しが欲しいところですわ……。」
「養殖だと…?まさか……っ!!」
瞬間、凄まじい殺気を感じて振り返るトリコ達。
襲いかかってきていたクワガタたちもその方向へ撤収していく。
「また何か来やがったな、あれは虫じゃねぇぞ。」
「何者だ…。」
「来たな…!!美食會!!!」
3人の男がハルナたちの下へ一直線に飛んでくる。
極寒のアイスヘルでも筋肉を見せつけている大男
”美食會第4支部長”バリーガモン
カーネル氏の護衛をしていたグルメSPの格好をしている
”美食會第5支部長”ボギーウッズ
「び…美食會!?」
「まさか敵って
「まぁ…こんなところまでスープを狙いに来るのは美食會ぐらいなので予想はしていましたが……!!」
そして、襲いかかってきた昆虫の
「ふふ♪とーちゃく♬」
”美食會
「ふんどし締め直せよみんな…ここが正念場だぜ」
うろたえるラムたちだが、トリコは冷静に気を引き締め直す。
トリコはかつて同じく副料理長のスタージュンやグリンパーチと闘っていた。
しかしスタージュンとは彼が遠隔操作するGTロボとの闘いであり、グリンパーチは本気を出している様子ではなかった。つまり、生身の副料理長と初の真剣勝負となることをトリコは悟った。
「初めまして――キミがトリコかぁ――」
自然なステップでトリコに近づき、抱き着いたトミーロッド。トリコも一瞬反応が遅れてしまう。
「さよなら」
そのままあいさつ代わりに腕をトリコの肉体に突き立てる。血が噴き出し、アイスヘルの冷気で凍り付く。
「アハハハハハ!!」
「ト・・・トリコさん!!」
だが、トミーの腕はそのまま動かない。トリコが筋肉で締め付けたのだ。
「ありがてぇ。いきなり俺の間合いに入ってきてくれるとは…歓迎するぜ」
(抜けない…)
「接近戦ならオレの方も
そのままお返しに10連釘パンチをくらわせようとするトリコ。
「釘パン……!!」
だが、何か不穏な気配がしたトリコは寸前でそのこぶしを止める。
トミーの口内から何かが飛び出したのだ。
トリコが何をされたのか認識する前にアイスヘルの猛獣、迷子になった子供を探して怒り狂ったウォールペンギンの親が乱入する。
「ギュアアアアアア!!」
___ドゴォォォォオオオオン!!
「まずい!!崩れる!!」
その衝撃で氷が粉々に砕かれ、アイスヘルの地下奥深くの空洞まで全員が落下していった……
_________
「ウォールペンギンの親か……子供を探してやってきたのでしょうね……!!」
落下したハルナだったが大したケガはない。小松は若干気を失っていたようだったが滝丸とマッチもケガはないようだ。
少し前に休息をしていた時に小松に懐いていたウォールペンギンの子供が居たはず。そのままついてきてしまったのだろう。
(……闘いに巻き込まれないといいですが。)
「グルメショーウィンドーだぁーっ!!見つけたぁあぁぁあ!!!」
ハルナがそんなことを考えていると小松の叫び声が聞こえてきた。
振り返るとそこには様々な食材が凍り付いた天然の冷蔵庫”グルメショーウィンドー”が鎮座していた。
「なんて美しい…これが伝説のグルメショーウィンドー……!!」
滝丸も思わず見惚れてしまうほど、そのショーウィンドーは美しかった。
その美しい輝きはまさに食材が宝石のように輝いており、この場に居る者たちの心を一瞬で奪ったのだ。
だが……
「ふむ…中の食材がやせ細ってますね……。」
「そうだ・・・・・・ハルナの言う通りだ…!!このグルメショーウィンドーでは十分な
「ト…トリコさん!!大丈夫ですか!?」
「オーロラも見えませんし、残り少ないかもしれませんね……。」
トミーに突き刺された腹部を抑えながらトリコがやってくる。幸いにもアイスヘルの冷気で傷口は凍り付き止血されているようだった。
「あいつらはオレが食い止めるから……っ!!」
「この地下にスープがあるってことで間違いない……あれ?」
追ってきたトミーロッドたちもグルメショーウィンドーに気づいてしまう。だが……
「さっきは気が付かなかったけど…
「……っ!!」
「へぇ、運が良い…まさかこんなところで手に入るなんてなぁ。」
「確か、スター様の話じゃあ
(まずい……!!)
「ゲヘナ……?」
聞いたことのない単語に首をかしげるマッチ。その横でトリコがハルナを庇うように前へ出る。
今まで寒さを気にすることなく進んできたハルナがその小さな体を震わせていた。
「おいおい、美食會でも知らねーこともあるようだなぁ!あの子供はウォールペンギン、いくら絶滅危惧種とはいえ捕獲レベル50までいくような入手が難しい食材じゃあ…
「おい」
「しらばっくれるなよ。まさか美食四天王のトリコが知らね―なんて言わせねーぞ?」
「……ダメか。ま、誤魔化しがきく相手じゃねーか……!!」
「トリコさん、いったいどういう…?」
話についていけない滝丸。いや、美食會とトリコ、そしてハルナ以外の全員は話の内容を分かっていなかった。
「知らねーみたいだから冥途の土産に教えてやるよ。そこのガキは”ゲヘナ”、グルメ界の……」
「食材だ。」
明日は更新できないかも