ラム、シン、ルイがどれだかわからなくなることが多くて無駄に時間かかりました。
後なんか結構伸びてて嬉しいです。
「ハ、ハルナさんが……食材……!?どういうことですかトリコさん!!」
「それもグルメ界だなんて……。」
小松と滝丸はトミーロッドから出てくる衝撃の単語の数々に理解が追い付かない。
「ああ……そうだ。」
しかしトリコは至って冷静にハルナをグルメ界の住人であると、そう肯定したのだ。
その真実に小松は息をのみ、滝丸は信じられないといった様子でトリコを見る。
「で、でもトリコさん、こないだ人間界で手に入るグルメ界の食材はBBコーンだけって言ってたじゃないですか!!」
「……来たんですよ。こっちに、美食を求めて。」
ハルナがトリコの代わりに答える。
「ハルナさん……でも!!ハルナさんが食材だなんて言い方はあんまりじゃあ……」
「小松さん、そこは勘違いしないでください。『人間』だって猛獣たちからすれば食材です。弱ければ食われるのみ、『Eat or Die』ですわ。」
「これは
そう言ってトリコは語り始めた
_________
トリコは育ての親である一龍に呼び出されていた。
「今回は何の用でオレを呼び出したんだ?
「いや…今回は違う。グルメ界からやって来た奴がいると報告を受けたんでな。」
それは世界がひっくり返るような情報だった。
グルメ界の猛獣は人間界の猛獣とは比べ物にならないほど凶暴である。一匹でも入ってきたのなら大惨事が引き起こされかねない。
「グ、グルメ界から……!?一大事じゃねぇか!?」
「落ちつけいトリコや、話は最後まで聞くもんじゃよ。」
だが、一龍は興奮した様子のトリコをなだめながら続ける。
「入ってきたのは”ゲヘナ”の子供じゃ!!」
「ゲヘナ…?」
「そう、ゲヘナというのはグルメ界のとある大陸に存在する場所。そこにはこんな感じの人々が暮らしているんじゃよ。」
そう言って一龍はトリコにとある写真を渡してきた。
映っていたのは”ノッキングマスター”次郎と2人の子供だった。一見ただの子供のようだが角、尻尾、羽が付いている。
だが、それよりも特徴的なのは頭の上に天使の輪のようなものが浮かんでいることだった。
「これが……ゲヘナ……?ツノや尻尾がある以外は普通の子供じゃねーか。」
「そう、ただの子供じゃ。人間界に危害を加えるような……加えても子供の遊び程度かの。」
だが、問題はこの先にあると一龍は言う。
「…それで、こいつらをどうすればいいんだ?まさか子守りか?」
「まあ、そうじゃの…見守ってほしいんじゃ。」
「この・・・羽と尻尾がある方、ハルナと名乗っているんじゃが、彼女は”美食屋”を目指しているようでな。」
「美食屋……。」
「子供が伸び伸びと育つためにも我々大人がしっかり見守ってやらねばならん。」
一龍はニカッと笑った。
「もしこの子と会うことがあったら、優しく教え導いてあげるんじゃぞ?大人として、美食屋の先輩としてな。」
「ああ!わかったぜ
_________
・・・・・・ってのがオレが
「あの一龍会長が言ってたことなら、間違いはねーな。」
トリコが話し終えると一同は驚いた様子で顔を見合わせている。
「で、でもハルナさんが食材ってのは…」
「ゲヘナの子供は……その尻尾や羽、肉の旨さやツノからとれる出汁のせいで猛獣に狙われやすいんだ。」
滝丸の疑問にトリコが答える。告げられたのはあまりにも残酷な現実だった。
「だが、その中で彼女たちのグルメ細胞は進化を続けて『神秘』を手に入れた。」
「神秘…?」
「俺も実際に体験したことじゃねーから詳しくは知らねえが、頭上に天使の輪のようなものが浮かび、頑丈な体を手に入れ、何の変哲もない銃の威力が跳ね上がるとも聞いたんだが……。」
「でもそれはグルメ界での話だろ?」
ここまで何もせず不気味に黙っていたトミーロッドが口を開く。
確かにそうだ。ハルナの頭上には何もないし、銃の威力も通常の重火器とさほど変わりはない。
「神秘による加護が受けられるのはグルメ界の特殊な環境あってこそ……だから!!今そこにいるのは……」
「ただの美味いガキなんだよォ!!」
神秘の加護がないハルナはグルメ細胞で環境に適応したりはできるものの、強さとしてはそこそこ強い美食屋程度。
水のないところで魚は暮らせないように、人間のトリコ達が極寒のアイスヘルで凍えてしまうように、ゲヘナにとって人間界とはそういう場所なのだ。
今のハルナはゲームで例えるなら☆1の低レアキャラ、いや、トリコの釘パンチのような技すら使えないのだ、その辺のちょっと強い敵モブぐらいだろう。
それでも、ハルナは「美食」を求めて
未開の味を求めて進み続けるトリコ達美食屋と何も変わらない。
「俺たち美食會はゆくゆくはグルメ界へと進出するつもりだ……だから、グルメ界の食材を持ち帰れればボスは喜ぶだろうなァ!!」
バリーガモンはハルナへ向かって突撃する。ハルナは銃撃で反撃するがまるで効いていない。
「そんな豆鉄砲効くかよォ!!」
「ハルナァ!!」
ハルナの目の前まで迫るバリーガモン、叫ぶトリコ、絶体絶命で『恐怖』の表情を浮かべるハルナ。
「文字通り子供を食い物にするなんて反吐が出るぜ!!」
その間にマッチが割り込む。マッチはトリコが話している間に脱力を済ませていた。
「”脱力 風斬り”!!!!」
上空に向かって切り上げる。しかし、バリーガモンに手足にまとった鎧で受け止められてしまった。
「あ、ありがとうございます……。」
「礼は助かった後にしろ。」
(一分半でも足りないか…)
「栓抜き──「おっと!お前はオレだ。」
バリーガモンの背後から滝丸が迫る。だが、その攻撃はボギーウッズに阻まれ届くことはなかった。
「──ショット!!」
しかし滝丸の技「栓抜きショット」は相手の体を突いて骨や関節を外すことができる。
即ち、相手が骨のある生物ならば当たりさえすれば一撃必殺、滝丸はそのまま栓抜きショットをボギーウッズの肉体に打ち込む。
だが……
バリバリッ!!
突然彼の表面が紙のように破け、つり目で金髪の青年が飛び出してきた。
「おいおい、なんてことしやがる。見事に殻を外してくれやがって…どこの誰だか知らねーが…」
「オレは”美食會第5支部長”ボギーウッズ!丁度いい…次はお前を『宿』にしよう。」
「人の中から人が……!?」
思わず驚いてしまうハルナ。グルメ界で生活していたハルナでも人の中に別の人がいるなんて生物は見たことがなかった。
「よそ見してる余裕はあるのかァ!?」
「ぐっ…!!」
だが、ここはすでに戦場。美食會にとって獲物であるハルナに驚いてよそ見をする余裕は与えられない。
バリーガモンの体当たりでハルナは吹き飛ばされ、氷壁に叩きつけられる。
「おいおいバリー、そいつはミンチにするなよ?」
「ああ、すまん。『食材』としての形は保たないとな!!」
「お前こそ!よそ見してる余裕はないんじゃないか!!──栓抜きショット!!」
ボギーウッズに再び栓抜きショットを命中させる滝丸。
「ハルナァ!!」
「させないよトリコ。」
ハルナを助けに向かおうとするトリコをトミーロッドが行く手を阻む。
「ハルナちゃんに触るなァ!!」
「このブタがぁ─!!」
「能無しのゴミ共が…」
アイスガンをバリーガモンに向かって連射するラムとシン。
───それぞれの戦いが始まった。
もちろん小松も。
「よし!ここからなら降りれるぞ!」
小松はスープを手に入れるために走る。
トリコがハルナのことを話している時、目線で小松に伝えていたのだ。言葉を交わしたわけではないがトリコの言いたいことは分かった。
マッチも滝丸もハルナもそれぞれスープを手に入れたいが美食會なんかに渡すわけにはいかない。スープを先に手に入れるために小松に任せたのだ。
ハルナの話をしている間に滝丸はルーティーンを済ませ、マッチは脱力を始め、小松はスープのために走り出していた。
__________
「”肉たたきヘッド”!!」
「チッ!!」
バリーガモンは素早い動きで頭突きを繰り出す。それを何とか飛んで避けるハルナ。
背後からマッチがアイスマシンガンを連射し反撃する。
「副組長!」
「ハルナ、大丈夫か?」
「ええ。」
「チョコマカ逃げんなよ。そこのガキ以外一瞬で楽にしてやるからおとなしくしてな。」
手ごたえはあった。だが、マッチの集中砲火を喰らってもバリーガモンは平然としている。
「野郎……!!」
「銃は効かねえらしい…いいだろう……。」
どういうわけかバリーガモンには銃弾が効かない。鎧だけでなく肉体に命中しているのにもかかわらずだ。
マッチが鞘から刀を抜き、構える。
「名刀『竜王』……やはりこっちで片づけるか…!!」
マッチ達から少し離れた戦場。
そこでトリコはトミーロッドと対峙しながら状況の分析をしていた。
(美食會の幹部クラスか・・・ハルナなら
だがそれでも彼らのことを信じるしかない。
(今のオレにできる最善はこいつを食い止めること……!)
「えっ」「うえっ」
目の前ではトミーロッドが口から大量の虫を吐き出していた。
「肉たたきヘッドォ!!!」
「かぶと切り!!」
バリーガモンの猛攻を何とか避け続けるマッチ。その素早い動きに翻弄されつつも反撃を加えていく。
「ぬぅあ~チョコマカと~!!」
氷の地面ごと粉砕する勢いの肉たたきヘッド。めり込んだ頭を引き抜いた瞬間、眼球めがけてハルナの放った弾丸が飛んでくる。
「良い狙いしてんなぁ!!」
「目もダメですか……。これはこれは……相性最悪ですね。」
だが、その表面を滑るように弾丸は飛んで行ってしまった。
急所であろうと弾丸は通用しない。銃主体で戦闘するハルナにとってバリーガモンは天敵だった。
マッチもバリーガモンの攻撃を何とか避けてはいるが反撃に転じることができない。
「ちっ、デケェ図体して素早い野郎だな…」
「くっくっく、オレを見た目で判断しないほうがいいぜぇ、能無しヤクザどもよ。」
バリーガモンは余裕の表情でマッチ達を見下している。マッチの反撃はことごとく避けられ、ハルナの攻撃も通用しない。
このままではジリ貧だ。
「『ヤクザ』だの『テロリスト』だの呼ばれてるが社会のゴミは所詮ゴミ。オレの実力も測る目も持ってねぇと見えるな。」
「美食會に社会のゴミ扱いされたくねーよボケ!」
「三人とも下がってろ…。」
マッチは部下たちを下がらせ冷静にバリーガモンを分析する。不可解な点は2つ。
まずは先ほどから見せている弾丸を滑らせて無効化するその皮膚。
「”ミンチクラッシュ”!!」
そしてこのスピード。その巨体には似つかわしくもないマッチの何倍もの速度で次々と攻撃を繰り出してくる。
マッチは突き出したこぶしの下を潜り抜けて斬りつけようとする。しかしその時には既にバリーガモンは蹴りの姿勢に入っていた。
「食らいなさい!」
「チッ、さっきからうっとおしいガキだなぁ!」
再びハルナが眼球を狙って撃つ。効かないとはいえ眼球めがけて飛んでくるものがあったらそちらに意識が向いてしまう。
その隙にマッチは蹴りを避ける。
ハルナの狙撃センスがあってのことだが、速さだけならハルナはバリーガモンに追いつけていた。マッチはハルナに合わせて避けることでバリーガモンの速さに何とか対応していたのだ。
「クラッシュ!!クラァーシュ!!」
攻撃を何とか竜王で受け止め、反撃を仕掛ける。
だが当たらない。避けられ軽くいなされてしまう。
(反応が速え!!)
「ミンチクラッシュ!!」
少しでも攻撃の素振りを見せれば即座に回避か防御の姿勢を取られる。
その反応速度に付いて行けず、とうとうもろにその拳を脇腹で受けてしまうマッチ。
血を吐き出し、顔を苦痛に歪めた。
ガードすら間に合わず骨は確実に何本か折れてしまっているだろう。マッチはたまらず後ずさった。
その隙を逃さずバリーガモンは攻撃を仕掛けてくる。
「今ですっ!」
だが、攻撃を繰り出そうとしたその次の瞬間、バリーガモンは爆炎に包まれた。
ハルナが地面に仕込んでいた爆弾だ。ハルナは気に入らない飲食店を爆破するために爆弾を常にいくつか持ち歩いているのだ。
「撃てぇ―ッ!!!!」
続けざまにラム、シン、ルイ、ハルナの4人で銃弾の雨を浴びせる。
効かないとは薄々分かっているがそれでも攻撃を続ける。しかし、バリーガモンは微動だにしない。
「ふぅ~~つまんねぇ小細工しやがって…」
ゆっくりとその巨体をラム達の方へ向ける。
その時、バリーガモンの視界に何かが入った。
「居合…」
背後でマッチは居合斬りの構えを取っていた。血を吐きながらであるが闘志は折れておらず、その目でしっかりとバリーガモンに狙いを定めている。
マッチが放つその殺気のような気配に気が付いたバリーガモンはすぐさま振り返る。
「三枚下ろし!!」
「甲羅シールド!!」
完全に背後からの一撃だったが、やはり防がれてしまった。体を縮めて手足についた鎧で受け切る。
マッチに気が付いてから一瞬でその動作を終えた。
「ちっ」
「なかなかいい刀じゃねーか。オレの”甲羅”を切って、刃こぼれしねーとはな。」
「こっちのセリフだ。オレの刀で傷もつかない硬度…なかなかの防具だ。」
思わず舌打ちするマッチ。
厄介なのはその反応速度だけではなく、名刀「竜王」の斬撃をも通さないほど頑丈な鎧。
逆にバリーガモンの打撃は容易にマッチの骨を砕くが、そのスピードにマッチは追いつけない。
ハルナの銃撃も爆弾も通用せず、ラム、シン、ルイの実力ではもはや相手にすらならない。
「ハルナ、何か分かったか?」
マッチはバリーガモンの体の秘密についてハルナに尋ねた。グルメ界という特殊な環境で育った彼女なら何か分かるかもしれないと考えたのだ。
「おそらく…アイツの表面はなめらかな液体で覆われています、それで弾丸を受け流しているのでしょうね。」
ハルナはバリーガモンにダメージが通らないのは体中に塗りたくっているそれが原因だと考えていた。
だから爆発で吹き飛ばしてしまえば銃での攻撃が可能になる……はずだった。
「惜しいな。」
にやりとバリーガモンは笑うと、体中から滝のように液体が噴き出してきた。
「何だ…」「…汗!?」
「これは汗じゃねえ、不凍液だ。」
「……なるほど。」
___不凍液
それは極寒の海にすむ魚が体内で生成する特殊なたんぱく質のこと。これで体が凍るのを防いでいるのだという。
「その不凍液のおかげで体温を維持し、この極寒のアイスヘルでも防寒服なしで活動可能というわけですか、防寒服なしで活動可能なのは私もですが。」
「……そいつを大量に噴出することで弾を滑らせて軽減したのか、まさに一石二鳥だな。」
マッチとハルナは状況を理解する。
だが、理解しても戦況は変わらない。鎧は切れないし、ハルナは有効打がない。
「それにこの鎧は強度と耐久性が自然界でも指折りのクラッシュタートルの甲羅だ……!!お前らゴミ共に勝ち目は無えよ!!」
「鍋などにも加工される優秀な素材ですが、その捕獲レベルの高さからほとんど出回らない貴重な代物…さすがは美食會ですね。」
ハルナがつぶやく。
美食會はグルメ時代でも有数の規模と技術を誇る組織だ。その資金力・資材力は底知れない。
マッチとハルナはバリーガモンから片時も目を離さないまま思考を巡らせる。これでバリーガモンの防御力の秘密は分かった。わざわざ教えてくれたのも余裕の表れだろう。だが、マッチが気がかりなのはそれだけではなかった。
「だがてめーの反応と動きの速さは…も一つ解せねえぜ。」
「分かってねぇなぁてめぇは!!」
マッチがバリーガモンに対して最も違和感を覚えたのはそれだ。
ハルナがやっと追いつける速度で動き、マッチの反撃に即座に対応するその反応速度。
グルメ界の生物ならその動きの速さにも頷ける。しかし、バリーガモンはハルナのようにグルメ界の生物ではないのだ。マッチはそこが解せなかった。
だが、実はバリーガモンは特別速いというわけでもない。
全力のトリコの方がトップスピードは速いだろう。
そう、
「お前らが遅いんだよ。」
ここは氷点下のアイスヘル。普通の人間のマッチが普段通り動けるような場所ではない。
その体の特異性で体温を一定に保ち、常に最高出力をし続けられるバリーガモンに寒さで動きが鈍っているマッチが追いつけるわけがなかったのだ。
殴り飛ばされるハルナ。すかさずマッチはハルナのフォローに入る。
バリーガモンの攻撃を刀で防ぎ、反撃を繰り出すマッチ。だがバリーガモンの反応速度は尋常ではないためすぐに攻撃は回避されてしまう。
二人は氷の上を滑り、足腰を鍛える鍛錬をするように体勢を立て直しながら戦い続ける。
ハルナも同様に、理解していた。
故郷から飛び出してきて数年、その体は完全に鈍っている。
グルメ界生まれのその肉体で何とかバリーガモンに追いついているだけなのだ。
そんな状態で勝てるような相手ではない。
___美食會の幹部クラスとはハルナたちの格上の存在なのだ。
ハルナの現在
・14歳(原作では17歳)
・神秘無し(防御・攻撃力大幅ダウン)
・スキル使用不可(グルメ細胞は神秘で強化された体を前提にしている)
・ちょっと寒い
素の肉体スペックと鍛えた狙撃センスで何とかしているだけです。
それでも結構強いのが彼女の恐ろしいところですが。