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其処は魔族と呼ばれる存在を保護する、東京の南方海上330キロメートル付近に浮かぶ人工島である。
不思議な事に、どうやらこの世界には魔族と呼ばれる摩訶不思議で奇怪な存在が普通に存在しているらしい。
まぁ、どうやら人間との戦争の所為で絶滅危惧種みたいな扱いになっているらしいが。
魔族を絶滅危惧種扱いとは、人間も強くなったものである。と、今を生きる真祖は思わずにはいられなかった。
「人間は素晴らしいねー。よくもまぁ、こんな
「人に奢ってもらっている癖して文句を言うな。そも、〝真祖〟が人の飯を食うのか?」
「そりゃ人型ですから。人間のご飯だって食べるよ。そもそもとして、俺は
「余計なお世話だ。それと、教師を渾名で呼ぶな」
此処はなんてことのないファミレス。何ら特徴なんてない、ただ普通に美味しいだけの普通のファミリーレストランだ。
其処で、一人の大人と一人の子供が食事をしていたという話なのだが―――これは、あまり正しい表現ではないか。
子供の様に見える少女は26歳の大人だし、大人の様に見える子供は便宜上が子供というだけで実際の年齢は大人よりも遥かに上だ。
なっちゃんと言われた女性(見た目は少女)―――南宮那月は、手に持つ扇を遠慮なしに少年へと振り下ろした。
ばちん、と扇が少年の脳天を捉える。しかし、少年は知った事かと、遠慮なしに自分が頼んだカルボナーラを食していた。
「年上を呼び捨てする君が言える事かーい?」
「私は教師で、お前は生徒だ。それだけで理由は十分だろう。雨宮」
「ぶー。これでも君より長生きしてるんだぞー? もっと敬いたまえよ、年上を」
「真祖も年を取りすぎると老害化が進むのは困ったものだな」
「君だけだよ、俺のことを老害呼ばわりするのは。良いぞ良いぞ、もっと親しくしたまえ。俺は気を遣われるのも気を遣うのも嫌いだからね」
「私は親しくしているつもりなど欠片もないがな」
「それは悲しい。もぐもぐ」
「どうにも、そうは思えんがな」
悲しいなどと言いながら、
驚くなかれ。これが一人の真祖である。
「それで、第四真祖とかいう
「第四真祖をニセモノ呼ばわりか…相変わらず、貴様は訳が分からんな」
「偽物だから贋物呼ばわりしてるんだよ。星の触覚でもない、
この世界の真祖とあの世界の真祖では、レベルがかなり異なるらしい。
真祖本人である彼としては、全く異なる立場にある真祖は紛い物以外の何者でもないらしい。まぁ、分からない気もしないが。
「まぁ―――楽しめれば良いんだけどね」
真祖は笑って、再び食事を再開した。