華月麟の幻想記   作:華月麟

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あけましておめでとうございます。
今年は午年…つまり〖驪駒早鬼〗の時代がやって来ましたね。

早鬼
「遂に私の時代がやって来たか!勁牙組こそがこの世で最強の組織なのである!」


託された意志

オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ…

 

 

魔「くっ…!?い、いきなりなんだよ…今の眩しい光は…!?」 ムクリ…

 

霊「うぅ…目が…チカチカするわ…」 ムクリ…

 

魔「大丈夫か霊夢…!」

 

霊「え、ええ…大丈夫よ…ちょっといきなりの出来事で目がまだチカチカするけど…」

 

魔「くっそ…今の光はどこから発生したんだ…!?」

 

霊「わ、分からないわ…(チラッ)うん…?」

 

 

キィン…キィン…

 

 

霊夢は、自分が強く握りしめていた腕輪に視線をふと向けると、腕輪にはめ込まれていた水晶が静かに点滅している事に気が付いた。

 

霊「ね、ねえ魔理沙…麟の腕輪が静かに点滅してるんだけど…」

 

魔「ん?ほ、本当だな…?あれ…もしかしてこっちも…!?」 スッ…

 

霊夢の腕輪を見た魔理沙は、自分が強く握りしめていた耳飾りを取り出して確認すると

 

 

キィン…キィン…

 

 

こちらも腕輪と同様に耳飾り全体が静かに点滅していた。

 

魔「わ、私の方も点滅してるぜ霊夢…!」

 

霊「い、一体何が起きているの…?」

 

 

ザッ…ザッ…ザッ…

 

 

「「いきなりこの空間に呼び出して悪かったな…2人共」」

 

 

魔「い、今の声って…!」

 

霊「ま、まさか…!?」

 

霊・魔

(バッ!!)

 

 

【挿絵表示】

「よう、2人共」

 

 

霊・魔

「「麟っ!?」」

 

麟「ふっ…正真正銘、華月麟だ」

 

霊「麟…本当に貴方なのね…!?」

 

麟「ああ…」

 

霊「り、麟っ…!」 ダキッ…!!

 

麟「(ダキッ…)ごめんな…俺が不甲斐無いばかりに…」

 

霊「良いのよ…!だってもう一度こうやって再会出来たんだから…っ!」 ギュッ…!!

 

麟「ふっ…」 ギュッ…

 

魔「り、麟…」

 

麟「よう…魔理沙」

 

魔「(ダキッ…)もう一度…お前に会えてよかったぜ…」

 

麟「俺もだ…」 ダキッ…

 

魔「で、でも…どうしてお前がこの空間に居るんだぜ…?お前は確か今…畜生界で…」

 

麟「ああ…今の俺は、麟であって麟ではない存在だ」

 

霊「ど、どういう意味…?」

 

麟「ここに存在する俺は、2人が持っている腕輪耳飾りに宿っていた残留思念が具現化した存在だよ」

 

魔「つ、つまりお前は…この不思議な空間が生み出した存在の華月麟ってわけなのか…?」

 

麟「そういうこと。で、この空間はお前ら2人が持っている腕輪と耳飾りが生み出した空間でもあるな」

 

霊「じゃあこの空間が無くなってしまえば…」

 

麟「俺という存在は、完全にこの世から消え去る」

 

霊「い、嫌よ…せっかく貴方と再会出来たのに…貴方はまた私達の前から居なくなってしまうの…?」

 

魔「そ、そんなの嫌だぜ…!」

 

麟「お前らの言い分は痛いほど分かる…全ては俺が未熟だったが故に引き起こしてしまった事なんだからな。それに…」

 

 

「「俺という存在はあの時、完全に終わってしまったんだ…」」

 

 

霊・魔

「「っ…!!」」

 

麟「一度消え去ってしまった存在は、二度と蘇ったりすることは決してない。…だけどよ、運命ってのは不思議なもんだと思わないか?」

 

霊・魔

「「…え?」」

 

麟「運命はほんの少しだけ…お前ら2人に再会する事を許してくれた。これはレミィの能力が働いた結果なのかな?もしあいつにも再会出来たら、直接感謝の言葉を述べてやりたいところだが…俺に残された時間はそこまであと僅かだからな…」

 

魔「あ、あと僅かって…まさか…!?」

 

麟「そう…ここの空間を維持するのが、そろそろ限界って事だ」

 

霊「い、嫌よ…!まだ私は…貴方とサヨナラなんて…!」

 

魔「私だって…まだお前とサヨナラなんて…!」

 

麟「ふっ…相変わらずお前らは、俺を泣かせてくれるよ。あの時…純狐さんの純化エネルギーを吸収して暴走した俺を止めてくれたのはお前らだった…今回だってそうだ」

 

霊「ど、どういう意味…?」

 

麟「霊夢、魔理沙、お前らに最初で最期の頼み事をする、よく聞いてくれ」

 

霊・魔

「「さ、最後の頼み事…?」」

 

麟「霊夢…魔理沙…頼む」

 

 

「「再び暴走してしまった俺を止めてくれ…俺の命を奪ってでも…」」

 

 

霊「は…!?」

 

魔「わ、私達が…お前を殺せっていうのか!?」

 

麟「俺は罪を犯し過ぎた、全ての罪を償うにはこれしかない」

 

霊「わ、私達に…そんな事が出来るわけ…!」

 

「これしか方法は残ってないんだ!」 クワッ!!

 

霊・魔

「「っ…!」」 ビリビリビリ…!!

 

麟「恐らく…このまま俺を生かしておけば多くの犠牲者が出る。そんな惨劇が起きる前に…お前らが俺を殺してでも止めてくれ…頼む…!」

 

霊「わ、私達に…そんな事…」

 

麟「出来るさ、お前らはこの幻想郷最後の希望。絶対に出来るさ…」

 

魔「でも…私達に、お前と張り合えるほどの力なんか…」

 

麟「大丈夫、俺がお前らにとっておきの贈り物をしてやる」

 

霊「お、贈り物…!?」

 

麟「はぁっ!」 グオッ!!

 

 

ズトァッ!!

 

 

霊・魔

「「!?」」

 

 

シュウゥゥゥゥゥゥッ…

 

カッ…!!

 

キィン…キィン…

 

 

霊「う、腕輪の水晶が蒼く光って…!?」

 

魔「こ、こっちは紅く光ってるぜ…!」

 

麟「霊夢の持っている腕輪には〖神気楼鳥(ミラージュ・ワゾー)〗の力を、魔理沙の持っている耳飾りには〖蜃気楼の鳥(ファータモガーナ・フォーゲル)〗の力をその腕輪と耳飾り(ふたつ)に与えた。2人ならきっと俺よりも使いこなせるし、暴走した俺よりも強くなれるだろうな」

 

霊「わ、私が神気楼鳥の力を…」

 

魔「わ、私が蜃気楼の鳥の力を…」

 

麟「その力で俺を止めてくれ、頼んだぞ」

 

霊「…ええ、任せて頂戴…!」

 

魔「絶対に私達がお前を止めてやる…!」

 

麟「ふっ…それを聞いて安心したよ。あとはお前らに全てを託す」

 

霊「ええ…!」

 

魔「任せろ…!」

 

麟「頼んだ。あ、それともう1つ…義母さんに伝言を頼めるか?」

 

霊「紫に伝言?」

 

麟「俺はあんたの息子として今まで生きられた事を心の底から誇りの思ってる、じゃあな。ってね」

 

魔「…ああ、任せとけ。紫の奴にはしっかり伝えといてやる」

 

麟「ありがとう。それと…依姫の奴にこれを渡しといてくれ」

 

SWORD VENT

 

バヴォォォォォォォォォォォォッ…!!

【挿絵表示】

 

霊「こ、これって…鬼切丸…?」

 

麟「俺の一番弟子でもあり、自慢の弟子でもあるお前なら絶対に使いこなせる。って伝言も伝えといてくれ」

 

魔「おう…!私達に任せとけ…!」

 

 

キュイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィンッ…!!!

 

 

魔「うおっ…!?いきなり空間が光り出した!?」

 

麟「そろそろ限界か…」

 

霊「つ、つまり…これで完全にお別れって事…?」

 

麟「だな…」

 

霊「ま、待って…!これが最後だっていうなら…!」 スッ…

 

 

chu…♡

 

 

麟「…ん」

 

魔「んなっ…!?///」

 

霊「…っは」

 

腕輪と耳飾りが生みだした空間が遂に消滅してしまう瞬間がやって来た時、霊夢は遂に〖麟の唇〗に最初で最後のキスを交わした。

 

霊「麟…たとえ貴方がこの世から消え去っても…ずっと…いつまでも愛してるわ…」

 

麟「俺だって愛してるよ。初めて会ったあの時も、今も、そしてこれからも…永遠にな」

 

霊「ええ…!」

 

麟「魔理沙、もちろんお前だってな」

 

魔「へ、へへ…///私も愛してるけど…流石に唇にキスまでは出来ねぇかな…///」

 

麟「気持ちだけでも十分だ」

 

魔「お、おう…///」

 

麟「ふっ…。んじゃ、あとは任せたぞお前ら」 ザッザッザッ…

 

霊・魔

「「あ、麟…!」」

 

麟「(クルリ)俺はいつでも、お前達の〖胸の中(ここ)〗にいる。ずっとな…」

 

 

 

「「アリーヴェデルチ」」

 

 

 

霊・魔

「「り、麟っ!!」」

 

 

 

キュイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィンッ…!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「霊夢…魔理沙…起きて…起きて頂戴…」

 

 

 

 

 

 

 

 

霊・魔

「「う、うぅん…」」 ムクリ…

 

 

紫「よかった…ようやく起きたのね…?」

 

 

霊「あ、あれっ…!?」 キョロキョロ

 

魔「こ、ここって…博麗神社…か?」 キョロキョロ

 

紫「当たり前よ…何を変な事言っているのよ…?」

 

霊「ゆ、紫…私達って…さっきまでどうなっていたの…?」

 

紫「ど、どうなっていたって…2人共ぐっすりここで眠っていたのよ?きっと色々とありすぎて疲れ切っていたのね…」

 

魔「ね、寝てた…?さっきまでの出来事は…全部夢だったのか…?なあ霊夢」

 

霊「…いいや、夢じゃないわよ」

 

魔「え?」

 

霊「…ここに鬼切丸が置いてあるわ。だから…さっきまでの出来事は夢なんかじゃないわ…」

 

魔「…じゃあ、私達が持っている腕輪と耳飾りにも」

 

霊「ええ…彼が託してくれた力が封じ込められているわ」

 

魔「じゃあ…夢じゃなかったんだな…なんか安心するぜ…」

 

紫「あ、貴女達…さっきから何の話をしているの?」

 

霊「紫…」

 

紫「何?霊夢」

 

霊「夢の中で、麟に会ってきたの。そこで貴女に伝言を頼まれたの」

 

紫「息子から伝言…!?り、麟はなんて伝言を私に!?」

 

霊「俺はあんたの息子として今まで生きられた事を心の底から誇りの思ってる、じゃあな。…って」

 

紫「っ…!」

 

魔「麟は心の底から、お前の息子でよかったって言ってたぜ…満面の笑みでな」

 

紫「そう…(ポロ…ポロ…)あの子が私にそんな言葉を残してくれたのね…?」

 

霊「…ええ」

 

紫「うふふ…私も、貴女が息子で心の底からよかったと思っているわ…!」

 

霊「…ふふ。あ、ねえ紫…依姫って…」

 

 

依「(ヒョコッ)呼んだか?霊夢」

 

 

霊「…あ、依姫」

 

依「なんだ霊夢、私に何か伝えたい事でもあるのか?」

 

霊「はいこれ」 スッ…

 

依「こ、この刀は?」

 

魔「そいつは麟が愛用していた刀〖鬼切丸〗だぜ」

 

依「し、師匠が愛用していた刀…!?ど、どこでこれを…!?」

 

魔「詳しい事は言えないぜ…。あと、依姫にも伝言を頼まれてるんだ」

 

依「し、師匠からの伝言…?」

 

魔「俺の一番弟子であり、自慢の弟子でもあるお前なら絶対に使いこなせる。ってよ」

 

依「し、師匠が私にそんな激励を残してくださったのか…!?」

 

魔「ああ…そうだぜ…」

 

依「(ギリッ…!!)お任せください師匠…!この綿月依姫…必ずや貴方様の期待に応えて見せます…!貴方の一番弟子として…!」

 

麟との再会を終えた霊夢と魔理沙は、麟から託された伝言を紫と依姫に伝え、2人はその言葉をしっかりと噛みしめた。

 

 

ガサガサッ…

 

 

霊・魔・紫・依

『っ!?』 ザッ!!

 

 

ガサッ…

 

 

磨「はぁ…はぁ…はぁ…は、博麗の巫女は居るか…!?」

 

 

伝言を伝えた直後、茂みの中から磨弓が現れた。かなり急いで博麗神社にまでやってきたのか、かなり激しく息切れをしている。

 

霊「ま、磨弓…!?どうしてあんたがここに…!?」

 

磨「よ、よかった…!は、博麗霊夢…袿姫様からお前に伝言を預かっている…!」

 

霊「イ、造形神からの伝言…!?」

 

博麗神社に到着早々、磨弓は袿姫から託された伝言を霊夢に伝える。

 

紫「な、なんですって…!?畜生界が動き出したというの…!?」

 

磨「あ、ああ…畜生界の奴等に…我が主・埴安神袿姫は殺され、挙句の果てのは保護していた人間霊達全員を連れ去られてしまったんだ…!袿姫様は最後の力を振り絞り、この伝言を私に託されて消滅してしまったのだ…!」

 

依「か、神である造形神が消滅…!?そ、そうか…!信仰心と神力を失った神は…消滅してしまうのがこの幻想郷の理か…!」

 

磨「おのれ…畜生界の畜生共め…!」

 

魔「…なあ霊夢」

 

霊「…何、魔理沙」

 

魔「どうやら…決戦(うんめい)の時が近づき始めてるのかもしれないな…」

 

霊「…ええ、決戦の歯車は…動き始めたわ…」

 

霊・魔

(ギリッ…!!)

 

 

 

 

 

『『その力で俺を止めてくれ、頼んだぞ』』

 

 

 

 

 

麟から託された言葉を胸に抱き、霊夢と魔理沙は決意に満ちた…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう聞こえない

 

 

 

あの澄んだ(こえ)

 

 

 

あの笑い声

 

 

 

静かな一時

 

 

 

 

時計仕掛けの命が燃ゆる

 

 

 

この静寂に 心ごと委ねた

 

 

 

彼の焔(ゆうげんのひ)は 今も胸に

 

 

 

 

 

 

瞬きなんて 忘れてしまった




今年もよろしくお願いします。
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