「「かつて自分自身が人間だった頃に失った、最愛の息子だったんだ…!」」
残「…!」
麟「そうだろ…日白残無!」
残「な、何故…お主がその事を…?」
麟「お前が倒れる直前、お前は俺を見てこう言った」
「「息子よ…」」
麟「ってな?気づかないわけがないだろ」
残「そ、そこまで儂は言葉に漏らしていたのか…」
魔「で、でもよ麟、いくら自分の息子を取り戻したいからって、どうして残無はお前に目をつけたんだ?」
霊「そうよ、残無と貴方に血の繋がりは無い。血縁関係でもないのに…どうして貴方を欲するの…?」
麟「そんなの簡単だ。こいつは純狐さんと同じ思いを俺に抱いたんだよ」
霊・魔
「「純狐と同じ思い?」」
麟「純狐さんが俺を狙った理由は〖かつて自分が失った息子が生まれ変わり、成長して幻想郷に蘇った〗っていうとんでもない拗らせをした捉え方をしたからだった。今回、残無が起こした異変はそれと同じってわけだ」
霊「…にしては、だいぶ色々と巻き込んだわね」
魔「ああ…いくらなんでも、これはやり過ぎだぜ…」
残「っ…」
麟「教えてくれよ残無…お前の服装から予想するに、かつて人間だった頃のお前は困窮する人々に手を差し伸べる僧侶に近しい存在だったんだろ…?そんなお前が…どうして人の道を外れて、人鬼なんて存在に成り下がった!」
残「…」
麟「俺を新地獄に誘い込む為に…多くの魂を殺して餓者髑髏を蘇らせた。そして俺の心を壊し…最後には俺を支配下に置く、これがお前の計画の全てだった。でも分かっていたはずだ、こんな事をしたって何も戻ってきやしないって…!なのに…どうしてこんな事をしやがった!日白残無!」
残「ふ…ふははは…何故こんな事をしたかじゃと…!?理由はただ1つ!」
「「人間だった頃に失った、最愛の息子を取り戻す為じゃ!それ以上でもそれ以下でもない!」」
麟「…やっぱりな」
残「儂がまだ人間だった頃…まだ10にも満たない息子がおったわ…。だが…儂が生きていた時代は戦乱の世、あの時代では女子供、老若男女問わず逆らう者達は全て皆殺し!気に食わなければすぐ斬首!そんな時代じゃった…」
麟「それで…お前の息子は、無惨にも殺されたというわけか…」
残「儂が家を留守にしていた時…落武者共に家を襲撃されたんじゃよ…。息子は偶然その場に居合わせており…口封じの為に殺されたんじゃ…!」
麟「…」
残「儂はその凄惨な光景を目にして思ったんじゃ…『どうしてこんな惨い事が出来る奴等を、導かねばならん?どうして息子1人すら守れないこの儂が…赤の他人を優先して救わねばならん?』とな…。そしてあの戦乱の世に嫌気が差した儂は人である事を辞め、鬼として生まれ変わったんじゃ!…鬼になってから長い年月が過ぎたある時、お主という存在を感知した。その時、儂は思ったんじゃよ…」
「「あの者こそが…強く成長した儂の可愛い息子」」
残「なんじゃとな…」
魔(ひ、ひでぇ…なんて拗らせ方してんだぜこいつ…)
霊(支離滅裂とはこの事を言うのかもしれないわね…)
残「だから儂は今回の計画を立案し、実行したんじゃ!魔狼とも利害が一致し、共に計画を進めた!だが…最後の最後で全てが狂い、儂の計画は破綻してしまった…!」 ウルウル…
ポロ…ポロ…
霊・魔
「「…!?」」
麟「…!」
残「(ツー…ポロ…ポロ…)儂は…どうすれば良かったんじゃ…!どれだけ策を講じても、全て尽く上手くいかなかった…!」
麟「それが分かっていながら…どうして手を引かなかった…」
残「儂は…もはや引けぬ所まで進んでしまった…!今更、引けるわけ無かろう…!?」
麟「…」
残「あの戦乱の世に…お主のような存在が居れば、強い導き手が居れば、儂は人の道を踏み外すなんて事はしなかったんじゃ…!」
麟「本当にそうか…?たとえお前は息子を失わなかったとしても…いつかは人の道を踏み外して、鬼になっていたと俺は思うがな…」
残「黙れ…!お主が何と言おうと…儂は、最愛の息子さえ取り戻せればそれで良かったんじゃ…!儂は…!儂は…!」
麟「ふ…ふはははは…!」
残「…!」
麟「ふはははは…!ははははははっ!」
魔「お、おい…?」
霊「り、麟…?」
残「何がそんなにおかしい…!?」
麟(フゥ…)
「「鬼が泣くなよ…?」」
残「…!?」
麟「童にでも追われたか?鬼が泣くな…お前は、もう二度と泣きたくないから鬼になったんだろう?」
残「あ…あ…」 ポロ…ポロ…
麟「人ってのは…泣いて涙が枯れて果てるから、鬼になり化物に成り果て、成って果てるんだ。それならば笑えよ?傲岸に不遜に笑えいつもの様に。お前は…今までそうやって生きてきたはずだ」
残「うっ…うぅ…!」 ギリッ…
麟「俺はもうここを去る。だがその前に1つだけ、1つだけお前に問う」
残「なんじゃ…?」
麟「俺達はいつまで生き続ける…?」
残「…!」
麟
「「永遠という罪を背負う… 憐れで醜い化け物へと成り果ててしまった俺達は、一体いつまで生き続けなければならない?」」
残「ふ…ふふふ…」
「「いつまでも永遠に…」」
残「じゃな…」