華月麟の幻想記   作:華月麟

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動物霊達への恩返し

麟「俺が…人間?」

 

永「ええ、有志から貰った血を全て検査して、貴方の血と照らし合わせて見比べてみたわ。その結果、一番近しい血液細胞は霊夢の血だったわ」

 

麟「俺の血液細胞が、霊夢とほぼ近しい…ね」

 

永「貴方…たしか試作品のスペルカードを使って不老不死になったのよね?」

 

麟「ああ、永劫〖エターナルフェニックス〗それが俺の使用したスペルカードだったよ。霖之助さんにどんな効力を持つスペルカードか聞いたら、使用した相手に不死鳥の力を与えて、永遠という罪を与えるスペルカードだってね」

 

永「なるほどね…でも、貴方は人間という結果が出た…。考えられる理由としては…使用したスペルカードが試作品だったが故、効力が中途半端だったか…あるいは何かしらの外的要因によって、不老不死の効力をかき消されたか…」

 

麟「何かしらの外的要因…ね」

 

 

残「だとしたら…お主に全てを託した、動物霊達が影響しておるのかもしれんな」 ニョキッ

 

 

麟「のわぁぁぁぁぁぁっ!!?」 ビクゥッ!?

 

永「に、日白残無!いつの間に!?」

 

麟「てめぇ!?いつからそこに居た!?つーか、どこまで俺達の話を聞いてた!?」

 

残「すまん、息子がいつまで経っても宴会に参加せんから…何をしとるのか気になっての。そしたらちょうど、八意殿が血液検査の結果発表をしとるではないか。つい盗み聞きしてしもーたよて」

 

麟「てめぇ…!?せめて一言寄越せや…!」

 

残「なーんか八意殿とアッチッチ〜♪だった様子だったからのぉ?」

 

永「貴女…随分最初から盗み聞きしてたわね?」

 

残「意図的ではない、偶然聞いてしもうただけよ」

 

麟「本当かねぇ…?」

 

永「まあ…そういう事にしておくわ。それで?さっき…全てを託した動物霊達が影響してるとか言っていたけれど、それはどういう意味なのかしら?」

 

残「とある3匹の動物霊が、自分の命を犠牲してまで息子を救おうとしたんじゃ。3匹は息子に心を取り戻させるために自らの命を息子に授け、自分達は息子の中で消滅したんじゃ。もしかしたら…動物霊達の力によって、スペルカードの効力を無効化したのではないかと思ってだな」

 

永「私が2つ目に話した外的要因が、それと言いたいのかしら?」

 

残「それしか思い当たる節がないからの」

 

永「そういった幻想的な根拠は当てにしたくはないけれど…麟が纏っていたあの白銀のオーラから察するに、その可能性が否定出来ないのが悔しいわね」

 

残「しかし…これで息子の罪は消え去った。何の憂いも無く、これからもこの近大幻想郷で生きられるというわけじゃな」

 

永「いえ…実はそうでもないのよね」

 

残「…なんじゃと?」

 

永「実を言うと…麟の血液を検査していた時に気づいたのだけど…麟の肉体に、少しだけスペルカードの影響が出ているのよ」

 

麟「…!」

 

残「な、なに…っ!?い、一体…どんな影響が出ておるのじゃ!?」

 

永「麟、今の貴方は…不老長寿に近い存在になっているわ」

 

麟「不老長寿…」

 

残「つまり…今の息子は普通の人間よりも倍以上、老化の速度が低下しとるというのか…!?」

 

永「ええ…だから『霊夢と同じ血液細胞だった』とは言わず『一番近しかったのは霊夢の血液細胞』という言い方をしたのよ」

 

麟「なるほどな…だから少しだけ引っかかるような言い方をしたわけか。でもよく分かったな?俺の血液細胞が不老長寿に近しいものだって」

 

永「それを判明させるの…結構大変だったのよ?どの血液と見比べても一致しないし、かといって不老不死の血液細胞とは全くもって一致しないしで…」

 

残「では…どうやって判明させたんじゃ?」

 

永「貴女の血液細胞と霊夢の血液細胞が、混ざり合ったような感じをしているのが彼の血液細胞だったから…もしやと思ったのよ。でも…こんな血液細胞は見た事がないから、暫定的な結論付けだけれどね」

 

残「なるほどの…しかしこの結果、賢者共が聞いたらなんと言うか…」

 

永「それは…私にも分からないわよ」

 

麟「まあ…良いんじゃないか?幻想郷の掟に反する行為をした俺には…」

 

残「息子よ…」

 

永「麟…それは本心から吐いている言葉なの?」

 

麟「本心だよ。しかし…俺は弱過ぎた、そのせいで関係のない動物霊を3人も死なせてしまった…。それなのに俺はのうのうと今を生きている。ほとんど何の罪も背負わないで…。俺は…これで良かったのか…?」

 

 

永「これで良かったからこそ、まだこの程度で済んでいるのではなくて?」

 

 

麟「…え?」

 

永「貴方が…新地獄でどんな目に遭ったのかは知らないわ。でも、貴方を救う為に3人の霊が自らを犠牲にしてまで全てを託したのでしょう?」

 

麟「…それは」

 

残「そうじゃ、彼奴らはお主の為に死んだんじゃ。お主に自分達の全てを託してまで、お主には生き続けて欲しかったんじゃ…人間としてな。お主が彼奴らに対しての罪悪感を抱くのは分かる…。じゃが…もしお主が彼奴らに申し訳ないと思うのなら、今を生き続ける事こそが、彼奴らへの恩返しというものなのではないかの?」

 

麟「今を生き続ける事が…あいつらへの」

 

残「とは言ったものの…お主を不老長寿にさせてしまったのは、儂のせいじゃから…こんな偉そうな事、言える立場ではないんじゃがの」

 

永「本当よ…貴女が麟に対して何をしたかは知らないけど、本当にとんでもない事をしてくれたわね?」

 

残「今更どうしようもないわい」

 

永「開き直るんじゃないの!」

 

残「まあまあ、そんな話は後にして…今はその検査結果を賢者共に報告しようではないか」

 

永「まったく…。ええ、今から報告するつもりよ」

 

残「では早く向かうとしよう」 ドゥッ!!

 

永「麟、貴方もあまり思い悩まないでね?」

 

麟「…おうよ」

 

永「さて…私も行きますか」 ドゥッ!!

 

 

ギュアァーンッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

麟「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

残『今を生き続ける事こそが、彼奴らへの恩返しというものではないか?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

麟「今を生き続ける事があいつらはの恩返し…ね」

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