華月麟の幻想記   作:華月麟

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山菜採り

~ネムノの聖域~

 

ザッザッ…

 

麟「お~い!ネムノさ~ん!どこにいますか~?」

 

あ「(ビクビク)り、麟さん…どうしてこんな山奥まで…?」

 

麟「ああ、山菜をとある知り合いに分けてもらおうと思ってね」

 

あ「知り合い…?そのお方はどなたですか?」

 

麟「そのお方を探してんだけどね~…」

 

ガサッ

 

あ「ひっ!?」

 

茂みから誰かが出て来る音がした…もしかしたらネムノさんではなくて熊かもしれないか?!

 

麟「(ザッ!)あうん、俺の後ろにいろ…!」

・身構える

 

あ「は、はい…!」

 

ガサガサ

 

麟(ジーッ)

 

ネ「いやはやぁ…いい獲物が捕れたべや~♪」

 

正体はネムノさんだった。安心したぁ…。

 

麟「ネムノさん!」

 

ネ「ん?おお!麟か!約束通り来てくれたんだべか!?」 ガサッ

・茂みから完全に出る

 

麟「これから博麗神社で宴会を…」

 

突然、、言葉が詰まった。

 

あ「(ヒョコッ)麟さん?どうしたん…」

 

ピタァァァァァァァァッ…

 

2人は完全に停止してしまった。

 

ネ「ん?2人共どうしたんだべ?」

 

 

 

 

麟・あ「「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ!?血まみれだぁぁぁぁぁっ!!!!」」

 

 

 

狩りに出かけていたネムノの服は、動物の血抜きをした時の返り血か、はたまた仕留めた時に浴びた返り血なのかは不明だが、全身血まみれの姿だった。

 

 

 

 

~命蓮寺~

 

<ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ…

 

響「(ピコンッ!!)凄いやまびこだ!私も負けてられないな!?(スー…)ギャーテー!!!」

 

ナ「やかましいっ!!」

 

 

 

 

~天狗の里~

 

<ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ…

 

椛「ぶっふぅ!敵襲!?」

 

文「はたまたは動物に襲われた?」

 

は「この声って…麟?」

 

 

 

 

あうんと麟の叫び声は妖怪の山からかなり遠めの命蓮寺にまで鳴り響いた。聖域に近い場所にある天狗の里では、敵襲かと勘違いをした天狗達が大慌てで敵襲警報を鳴らしてしまった為、一時騒然となったらしい。

 

 

 

 

 

 

麟「(ゴクゴク)ぶはっ…!はぁ…はぁ…はぁ…」

 

あ(チーン)

 

ネ「…落ち着いたべか?」

 

あまりにも大慌て状態になってしまったのでネムノさんから水を貰い、なんとか冷静を取り戻しつつあった。

 

麟「ご、ごめんなさい…ネムノさんが血まみれだったからつい…」

 

ネ「狩りが終わった直後だったもんでなぁ?悪かったべや。…で?その子はいつまで気絶を?」

 

麟「あうん!?」

 

へそ天状態のあうんが落ちてる!?いや、死んでる!?

 

あ「…はっ!ここはどこ!?」

 

あ、生き返った。

 

ネ「で?おめぇらは何しにここまで来たんだべ?あ、2人共今日はうちに泊まってくか?」

 

麟「ご厚意は嬉しいけど…この後、異変解決の宴会があるんで…」

 

ネ「おお!今回の異変とやらを解決したんだべか!?やっぱりおめぇはすげえ人間だべ!麟!」

 

麟「あはは…それはどうも。(テレテレ)…じゃなかった、今日ここに来た理由はネムノさんを宴会に招待しに来たのと、山菜をいくつか分けてくれたらなって思いまして…」

 

ネ「そうかそうか!うちの聖域にある山菜ならいくらでも譲ってやるべ!」

 

麟「わ~い!あ、お互いに紹介をしないとかな?ネムノさん、こちらは神霊の狛犬が肉体を持った存在、高麗野あうん。あうん、こちらは山姥の坂田ネムノさんだ。この辺りは彼女の聖域なんだよ」

 

あ「は、初めまして!高麗野あうんです!」

 

ネ「うちは坂田ネムノ、よろしくだべ♪今、山で採れた山菜を持ってくるからうちまで来るといいべ」

 

麟・あ「「は~い!」」

 

 

 

 

~ネムノの山小屋~

 

ネ「(ゴソゴソ)ほれ、こんだけあれば足りるべか?」

 

麟「おお!」

 

あ「こんなにいっぱい!」

 

ふきのとう、たらの芽、ふき、わらび、ゼンマイ、チシマザサ(筍みたいな山菜)、ミョウガタケ、シソ、山わさび、ヤマグリ、銀杏、山椒…めちゃくちゃありますねぇ!?

 

麟「こんなにいいの!?」

 

ネ「普段は取り過ぎた山菜は人里か天狗達に売り飛ばしてるから、逆に持って行ってくれるとありがたいべ!」

 

あ「山椒って山菜の部類なんですね…」

 

ネ「今回の山菜採りはおかしくてな?本来は生えていない季節の山菜が生えてたりしてたんだべ…。なんでだべか?」

 

麟「…四季異変の影響で全季節の山菜が生えてちゃったのか…あの野郎」

 

ネ「ん?何か言ったべか?」

 

麟「…ううん、なんでもないよ!んじゃ、山菜は手に入ったし帰りますかね?」

 

あ「はい!」

 

ネ「もう帰っちまうべか?」

 

寂しい…のかな?それなら…

 

麟「ネムノさんも博麗神社に来る?」

 

ネ「良いんだべか!?」

 

麟「そうすりゃ手間も省けるかなって」

 

ネ「そらありがたいべ!」

 

麟「よ~し!皆で博麗神社に戻るぞ~!」

 

あ・ネ「「お~!」」

 

麟「あ、鉈はしまっておいてください」

 

ネ「あ、はい」

 

というわけで、ネムノさんも一緒に博麗神社に戻る事とした。

 

 

 

 

 

~博麗神社~

 

霊「(サッサッ)で?麟に宴会料理を手伝ってほしいって頼まれたから神社にいるの?」

 

妖「麟さん、物凄い勢いで私に食らい付いて来てね?必死に『頼む!』ってお願いされちゃったから断れなくて…」

 

霊「一体どんだけ作る気なのよ…」

 

博麗神社では掃除中の霊夢と、用事を終わらせて宴会料理の助っ人に訪れた妖夢がいた。

 

 

麟「ただいま~」

 

あ「ただいまです!」

 

ネ「お邪魔するべ~」

 

 

妖「あ、帰ってきたみたいだよ?…なんか1人増えてる」

 

霊「麟とあうん、おかえりなさい。あら?坂田さんじゃない」

 

ネ「麟にお呼ばれして来たべ」

 

霊「…まだ宴会料理出来てないんでしょ?」

 

麟「完成後によんだら出来立てが食えないかなって。あ、ネムノさんから大量の山菜貰ったんだ!(ゴソゴソ)じゃーん!」

 

妖(ポカーン)

 

霊「…本当にすごい量ね。しかも四季それぞれの山菜が混在してるじゃない」

 

麟「異変の影響」 ボソ

 

霊「はぁ…生態系が狂うわ…」

 

そりゃごもっともだな。

 

麟「さぁて!さっさと宴会料理を作りますかね!妖夢!あうん!よろしく頼むよ!」

 

あ・妖「「はい!」」

 

<ちょっと待った~!

 

麟「ん?」

 

ネ「誰だべあいつ」

 

見た事ある帽子と髪色が…

 

シュタタタタッ

 

ズザザザァァァァッ…!

 

に「私参上!」

 

なんか横やりが入ってきたぞ?

 

麟「何しに来たんだ?にとり」

 

に「おすそ分け!」 ドンッ!

 

ピチピチ!!

 

妖「わぁ!立派な鰻だ!」

 

ネ「天然ものだべか?」

 

に「天然物の鰻だよ!宴会にはもってこいじゃないか!」

 

麟「そういや、山椒も貰ったからちょうどいいね。…でもさ、誰が捌くの?」

 

あ・妖「「あ…」」

 

捌ける奴がいない…!

 

に「私にお任せを!」

 

麟「捌けるの!?」

 

に「もちろん!」

 

こいつは意外な発見!?

 

 

ブ・ン

・スキマが開く

 

紫「はぁい♪」

 

麟「あ、紫さん」

 

ネ「…!?なんか変な所から人が出て来たべ!?」

 

霊「うわ…何しに来たのよ…」

 

紫「おすそ分け♪」 ヒョイッ

 

麟「わわわわわ!?(ガシッ)っと!これ何?」

 

紫さんは布をかぶせたカゴを俺に投げてきた。てか、投げんな!?

 

紫「布を上げて中を見てみなさい?」

 

麟「(ペラ)…たんぽぽ?」

 

なぁにこれぇ?

 

ネ「おお!?たんぽぽか!なんだか懐かしいべ!」

 

え、食えんの!?食った事あるの!?

 

紫「昔は一般的に食べられていた野菜の一種なのよ。でも手間がかかる割には美味しくないから食べられなくなってしまったけど…」

 

に「そうだったのか!?」

 

麟「ほへー…まだまだ知らない事が沢山あるな…って、ん?」 ジーッ…

 

なんだろう違和感をこのたんぽぽから感じるぞ?こいつ、よく見ると…

 

麟「こいつ…たんぽぽじゃねぇじゃんか!?」

 

に「え?そうなのか?」

 

妖「へ?どこからどう見てもたんぽぽですよ?何言ってるんですか?」

 

麟「見ろ、ガクが反り返ってるだろ?本物のたんぽぽはガクがピッタリ揃っているんだ。こいつはたんぽぽじゃない…"西洋"たんぽぽだ!」

 

あ・霊・妖「「「へぇ~」」」 パチパチ

 

紫「(パチパチ♪)100点よ♪」

 

なんか気持ちの良くない拍手だな…

 

に「な、なかなかに難しい話だな…」 プシュー…

 

1人は脳が沸騰してる!?

 

ネ「へぇ~物知りだべな?」

 

麟「色んな場所で外の知識は読み漁ってるからな、まさか植物にまで外の世界の知識が役立つなんてな…」

 

霊「…で?なんでこんな物を?」

 

紫「…その西洋たんぽぽは、種を作るのに受粉が要らない危険な植物なの。今じゃあちらこちらに生息し過ぎていてこちらとしても手を焼いているのよ…。見た目は小さくて可愛いけれど、本性は凶悪な悪魔ね」

 

あ「どうしてこの西洋たんぽぽが悪魔なんですか?」

 

麟「…こいつは本物のたんぽぽを根絶やしにしてしまうんだ…そうしたら幻想郷中の花妖精達が西洋の悪魔妖精に取って代わられるかもしれない…そうだろ?」

 

紫「あらぁ…そこまでお見通しだったの?悔しいわぁ…」

 

に「外来種が在来種を食い荒らす…みたいな事だね?」

 

麟「ああ…下手をしたら山菜にだって影響が出るかもしれない」

 

ネ「そうなんだべか!?」

 

麟「可能性は…無きにしも非ずってね」

 

 

皆『…』

 

 

なんか重い空気になったな?

 

麟「さぁて!そんなにのんびりしてられないぞ!早く宴会料理の準備だ!行くぞ!」

 

あ・妖「「お、おーっ!!」」

 

霊「私も手伝うわ」

 

ネ「うちもだべ」

 

に「美味い蒲焼きにしてやる!」

 

紫「楽しみのしてるわ~♪」

 

 

 

おらぁ!無駄な時間を過ごしすぎた!こっからは急ピッチじゃい!

 

皆『うおぉぉぉぉぉぉぉっ!!!』

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