ようやく眠りから覚めた矢先、俺の目覚めを待ち望んでくれた人達からの勢いの良い抱擁で俺は数分ほどもみくちゃにされまくっていた。
麟「はぁ…はぁ…はぁ…満足か…?」
皆『どうもすいませんでした…』 ポコッ
寝起きでもみくちゃにされまくったのがあまりにも鬱陶しかったので、思わず手が出てしまった。…強く殴りすぎてなかなかに大きなたんこぶが皆の頭に出来上がってしまっていた。
魔「いてて…だいぶデカいたんこぶが…」 ヒリヒリ
紫「の、脳天が割れた…!」 ヒリヒリ
永「永夜異変以来ね、彼から攻撃を貰ったのは」 ヒリヒリ
鈴「容赦ない…」 ヒリヒリ
ピ「いた~い!」 ヒリヒリ
霊「何はともあれ…無事に帰って来てくれて嬉しいわ♪」
麟「…色々と迷惑をかけちゃったかな?」
隠「あはは…少なからず、無事とは言い難かったな…」
麟「すいません…」
純「息子よ…」 ソワソワ…
麟「純狐さん…」
純「今回の件は全て私に非があります…。私の強欲が招いてしまった結果なのです…どうかヘカーティアとピースは責めない…」
へ「純狐…!?何を言っているのよ、私にだって責任が…!」
純「いいえ…私が赤の他人を自身の息子だと言い張って攫ってしまったのが全ての始まりです…全責任は私にあります…」
麟「…純狐さん、ちょっと言いかな?」
純「何…?」
麟「確かに今回の件の発端は貴女だ、貴女が起こしてしまった事案だ」
へ「ちょっと…!「いいのですヘカーティア」純狐…」
純「話の続きを…」
麟「俺は…貴女がどんな過去を持っているのかは知らない。でも、これだけは言える」
純「それは…?」
麟「どれだけ失ったモノを取り戻す為に手を伸ばしたところで、その伸ばした手は何も掴めはしない。一度失ったモノは二度と帰っては来ない」
純「そうよね…」
麟「でも、これからを楽しく生き続けていたら、何かしらを手に入れる事は出来るんじゃないかな?」
純「え…?」
麟「貴女はこれからも生き続ける…。生き続けながら新しい発見とかが出来ればその発見の中で何かしらの"大切なモノ"がまた新たに出来るんじゃないかなって」
純「息子よ…!」 ガバッ…! ギュゥ…
麟「純狐さん?」
純「私は、貴方を苦しめたというのにそれでも許してくれると言うの…?」
麟「いつまでも恨んだところで、何も変わりはしない…。それだったら互いの恨みを捨て去って、一緒に新しい道を歩む方が楽しいでしょ?」
純「そうね…そうよね…!」
ずっと泣き顔だった純狐さんの顔は、ようやく笑顔へと変わってくれた。
霊「ま~た麟のお人好しが出たわ…」
麟「うっせぇ」
紫「それでこそ麟よ♪」
麟「あ、そうだ紫さん」
紫「なぁに?」
麟「頼みがあるんだ…」