紫「頼み?なんでも言ってちょうだい!」
麟「実は…」
それから数日後…
~無縁塚~
ザッ…ザッ…ザッ…
麟「ここが無縁塚…か」
ここは幻想郷の外れに位置する〖無縁塚〗。幻想郷の外れにある場所であり、"無縁"という名の通り縁者のいない者が弔われる共同墓地である。しかし…墓地としては杜撰で碌に管理されておらず、墓標の代わりに両手で持てる程度の大きさの石が転がっているのみである。
そして、ここに埋葬されるのは主に『迷い込む』『食料として連れて来られる』などの理由で幻想郷にやって来た外来人…要は〖外の世界〗の人間である。まさに幻想郷の闇の部分と言ったところだろう。
その下で眠っている者もいるという結界の綻びがある為、冥界や三途の川とも繋がる事があり、また外の世界の物が落ちてくる事も多い。
幻想郷の中でも最も危険な場所とされており、日頃訪れる者は少ない。
もし自らこんな場所に訪れるとしたら、その者はよほどの変わり者と言えるだろう。
ここへ訪れる大体の者は死を望んでいる者達が訪れるばかりであるが、無縁塚に向かうまでに〖再思の道〗という道がある。この道では彼岸花が咲き乱れており、自らの死を望む者がその道に咲いている彼岸花の毒気にあてられて生きる気力を取り戻す事でほとんどの者は無縁塚まで辿り着く事は無いと言われている。
麟「ここなら人目もつかないし、冥界や三途の川にも近いから、あいつもゆっくり逝けるかな?」
彼の手には〖血まみれの衣類〗と短めの〖塔婆〗(とうば)を持参していた。
ザッ…ザッ…ザッ…
「久しぶりにこの無縁塚で人間の気配を感じたから、誰かと思えば…」
麟「うん…?この声は…」
かなり久しい声が背後から聞こえて来た。
ナ「久方ぶりだね?華月麟」
何故か無縁塚で、ナズーリンと再会した。
麟「ナズーリン?久しぶりだな。でも、どうしてお前が無縁塚に?」
ナ「無縁塚の地下には何かお宝が埋まっていると思ってね?近くに小屋を建てて、そこで無縁塚をダウジングしながら過ごしているんだよ」
一応ここって墓地なんだよね…?だいぶ罰当たりすぎません?
麟「一応聞いとくけど…成果の方は?」
ナ「正直に言うと…ガラクタばっかりで収穫無し!でも、霖之助が秋の彼岸の時期にはここに通って、無縁仏の弔いや外界の道具拾いに来るんだ。その時によく買い取ってもらってるんだよ」
麟「そ、そうか…」
霖之助さん…貴方はそういう事をしないと思っていたのに…!無縁仏の弔いだけの為に無縁塚に来ていたらちょっと尊敬したのに!最後の道具拾いというワードで台無しだ!
~香霖堂~
霖「ぶえっくしょいっ!ズルズル…季節外れの風邪か…?」
ナ「それで?君はわざわざこんな辺境地にまで何をしに来たんだい?」
麟「俺か?…ちょっと、埋葬をしたくてな」
ナ「埋葬?それなら命蓮寺でお願いすればちゃんとした墓を作ってくれるのに、どうしてわざわざこんな場所まで?」
麟「その人にお願いが『人目に付かない場所』だったから」
ナ「ふ~ん…物好きな人間だなそいつも」
麟「…かもな。なぁナズーリン、三途の川に近い場所まで案内してくれないかな?」
ナ「三途の川まで…?別に構わないけど…怨霊とかに攫われても責任は取らないよ?」
麟「もちろん」
ナ「…? じゃあついて来てくれ」
ザッ…ザッ…ザッ…
俺は三途の川付近へ行くべく、ナズーリンにそこまで案内をしてもらった。
~三途の川付近~
怨『オォォォォォォォォォォォォッ…』
三途の川付近では、数多の怨霊達が新鮮な魂を求めてうめき声を上げながら彷徨っていた。
ナ「ついたよ」
麟「す、凄い数だな…」
ナ「そう言うと思ったよ。あっちなら比較的怨霊は少ないからあっちに…「いや、ここでいい!」はぁ!?」
麟「ここなら、誰も近づけまい…」 ザッ…ザッ…ザッ…
ナ「お、おい!?」
怨『オォォォォォォォォォォォォッ…!!』
久しぶりの新鮮な魂を見つけた怨霊達は一斉に麟めがけて向かい始めていた
ナ「お、怨霊達が来ている!早く逃げろ!」
麟「(カシャッ…)…」 ザッ…ザッ…ザッ…
しかし、それでも彼は一切躊躇う事無く、怨霊達の中を突き進んでいった。
怨『…!』
麟に襲い掛かろうとした怨霊達は何かを察し襲い掛かるのをやめた…そして
ナ「ど、どういう事だ…?!」
ザッ…!!
怨霊達は彼の為にその場から退き、彼が進む為の道を開けていったのだ。そして彼の顔には…
麟「…」
あの仮面が装着されていた。
ザクッ!!
そしてある程度まで三途の川付近まで近づいた麟は、その真下の地面を掘り出した。
ザクッザクッザクッ!!
ナ「な、何を…!?」
そしてある程度掘った穴の中に
麟「…ここなら怨霊達もお前の話し相手になってくれるだろうよ」 スッ…
あの"血まみれの衣類"を中へ入れ
サッサッサッ…
掘った土や石を、その穴へと戻していき土と石の山を作った。
ザクッ!!!
そして最後に、塔婆をその山に突き刺した。その塔婆にはこう書かれていた
〖華咲歌音 之 墓〗
と…。
麟「(クルッ)さて、お前達」
怨『ハッ…ナンデゴザイマショウ…』
後ろへ振り返り怨霊達に話しかけた。
麟「この墓の中には…俺の大切な人が眠っている。お前達の手で、この墓を護ってくれはしないか?」
怨霊達はそのお願いに対して
怨『貴方様ノ願イトアラバ…喜ンデ御守リ致シマス…』 バッ!!
そう誓い、膝まづいた。
麟「すまない…」
~数分後~
怨霊達との会話を終えた麟はナズーリンの元へと戻ってきていた。
ナ「よ、よく五体満足で帰ってこれたな…」
麟「そうかな?」
ナ「普通は死んでもおかしくないぞ…?」
麟「まぁ…深くは考えない方がいいんじゃないか?」
ナ「言われなくてもそうするさ…」
麟「(クルッ)アリーヴェデルチ」 フッ…
最後に彼の墓へ振り向き、麟は静かに笑った…
向き合えば 優しさ感染る
心の奥 隠した闇にきっと
数えきれず救われて来たんだろう
Part of me 同じ 存在
Can’t stay apart
Mirage Mirror