布都の強い要望もあり、俺と布都は命蓮寺を後にして神霊廟へと向かった。何故か『屠自古にお主の手料理を食わせてやりたい!』と布都に駄々もこねられたので、人里で材料を集める事にしたのだが…
~人里~
麟「う~ん…流石に2日連続でメンチカツは飽きるなぁ…」
布「む、そうか?別に我は屠自古の奴にお主の手料理を食べさせたいだけだから、何を作るかはお主に任せるのじゃ」
麟「そうすか…」
まさに他人任せとはこの事である。絶対、布都に何食いたいか聞いても『お主の手料理ならなんでもいいのじゃ!』とか系の返答しか返ってこないだろ…。
麟「なら…衣とキャベツを取り除いた"アレ"でも作るかな?」
布「(ピクッ)アレとはなんじゃ!?」 クワッ!!
麟「うおんっ!?」
なんて素早い食いつきかた…!俺でなきゃ反応できないね。
布「なんじゃなんじゃ!?♪我にも教えてくれ!」
子供かな?
麟「神霊廟で作ってやるからそれまでは教えないぞ。何事も秘密にしておくのは大事だからな」
布「ケチなのじゃぁ!?」
だから子供かよ。
麟「(スッ…カポッ)ほら、さっさと買い出し終わらせるぞ」 スタスタスタ
・流れるように布都の帽子を被る
布「分かったのじゃあ…って、それは我の帽子ではないか!返すのじゃぁ~!」 タッタッタッタッ!!
ちょいとグダグダしたが、無事に神霊廟メンバーの手土産と今日の晩御飯の材料は買ったのであった。
~神霊廟~
麟「ここが…神霊廟か…」
外の世界ので表すとするならば、中国の宮殿のような見た目をした場所だ…。元々は命蓮寺の地下にあった建物〖夢殿大祀廟〗だったらしく、この仙界に引っ越した先が、こちらの神霊廟と呼ばれる世界らしいとかなんとか。…俺にもよくわかんね。
ここは一応、仙人として生き続けられるよう道教修業をする為の道場でもあるらしく、仙人になりたがって神子に弟子入り志願した物好きな幻想郷の人間が、神子によってこの地に招かれ住み込みの道士修業をさせて貰いにやって来るのだが、大概の人間には仙人の資質と続ける気力が無いので、修業を諦めて幻想郷へ帰っていらしい。
麟「仙人になる為には欲望や煩悩を完全に消し去らなくちゃならない…。興味半分で弟子入りなんかするもんじゃないな…」
布「太子様に弟子入りしたがる人間の大半は途中で挫折して帰っていくのじゃが…その姿が滑稽でな♪」
麟「でしょうな」
スタスタスタ…
麟「ん?」
?「あらあら、おかえりなさい布都ちゃん♪まさか丸々1日帰ってこないとは思っていなかったわ?あら…?」
ピョンッピョンッ
?「布都~おかえり~」
麟「ん!?」
中からウェーブのかかったボブの青髪、中国漢王朝時代の女性の髪型の一種である〖飛仙髻〗に近いかな?水色の、袖が膨らんだ半袖のワンピースを着て、裾と袖と胸元はフリル。なんとも不思議な服装の女性と…。
…赤い中華風の、袖が広口の半袖上着を身に着けている肌色の悪い女性が一緒に現れた。だがこいつは人間か…?ピンッと伸びている腕に、ぴょんぴょんと跳ねながらの移動。そしておでこに張られている…あれはお札だな?待てよ…?肌色が悪い人間にお札…つまりは…
麟「こいつは…キョンシーか!?」
?「わざわざ人里から芳香ちゃんの食事を持ってきてくれたのね!?」
麟「…何っ!?」
布「おい!?青娥殿!?」
俺が誰の食事だって!?
?「せーがー、あれは食べていいのー?」
?「いいわよ芳香ちゃん!あの男性を食べちゃいなさい!」
?「わーい!!」 ガバッ!!!
麟「…!?」
キョンシーが俺を食おうと飛び掛かって来た。
布「り、麟殿!逃げてくれっ!!」
グオォォォォォォォォォ…!!
?「いっただっきま~す!」
「「(キッ…!)ミラージュ・ワゾー!!」」 カッ!!
キュイィィィィィィィィィンッ…!!!
?「お!?」
布「ま、眩しいっ…!!」
?「な、何っ!?」
ガシィッ!!
・キョンシーの首を掴む
?「ぐおっ!?」
?「芳香ちゃん!?」
バサァッ…!!
布「あ、あれは翼…?!」
麟「いきなり客人を襲うなんて、神霊廟の倫理観はどうなってやがる!?」
あと一秒でも変身するのが遅ければキョンシーに食われていたかもしれない…。
?「せーがー!助けてぇー!」 ジタバタ
?「ちょっと貴方!?芳香ちゃんを離しなさい!」
麟「やかましい!いきなり襲う奴を掴んで何が悪い!?」
布「あわわわわわっ…!」
ピュ~ンッ!!
蘇「おい!お前達騒がしいぞ…って何してやがんだお前ら!?」
麟「あ、屠自古さん!この見境なく客人を食おうとするキョンシーはなんなんだ
!?」
?「あ…屠自古さん…ご機嫌麗しゅう♪」
?「屠自古ー、たーすーけーてー」 ジタバタ
蘇「青娥、芳香、布都…お前らぁ…!」 ゴゴゴゴゴゴゴゴ…
布「と、屠自古!?わ、我はただ麟殿を神霊廟に招きたかっただけで…!」
蘇「(バッ!!)…」
・手を振り上げ
ゴロゴロ…
・一瞬で雷雲が呼び寄せられる
麟「…げぇっ!?」 ブォンッ!!
・咄嗟にキョンシーを投げる
?「おぉぉぉぉっ!?」 ヒュゥゥゥゥン…
?「芳香ちゃん!?」
布「や、やめんか屠自古!?」
蘇「問答無用!!」
バッ!!
・振り下ろす
「「ライサンダー!!!」」
ピシャッ!!
・一筋の雷光が
麟「あぶねぇっ!!?」 バッ!!
・布都に飛び掛かり
布「うおっ!?」
バリバリバリィッ!!!
『『ぎゃあぁああぁあぁぁあぁぁぁっ!!!』』
プスプス…
?・?「「あ…あ…?」」
蘇「…」 バチバチ…
麟「あ、あらぁ…?」
丸焦げのキョンシーと女性が出来上がった。
布「り、麟殿…」
麟「あ、すまんすまん…咄嗟の判断でつい…」
関係の無い布都にまで攻撃が当たりそうだったものだから、咄嗟の判断で布都を押し倒したのが功を奏したってやつだな。
布「(スタッ)むしろ助けてくれてありがとうなのじゃ!」
蘇「(フワフワ)…で?事細かに説明してもらうか?布都」
布「お、お主が説明する前に雷を落としたんじゃろうが!我は最初から説明するつもりだったのじゃ!」
蘇「あ、そいつはすまない…。麟、うちのバカ共が失礼を…」 ペコリ
屠自古さんが誤る事は無いんだよなぁ…
麟「ちゃんと教育しといてください」
蘇「あとで太子には言っておく。さぁ、上がってってくれ」
初の神霊廟にお邪魔しま~す。