麟「まさか…本当に正体が小人だったとはな…」
目測で20㎝くらいかな?
ギリギリ…
・自然と掴む力が強く
?「く、苦しい…離せっ…!」
麟「…あ!?(フウッ…)す、すまんすまん…つい握りしめる力が強くなってたみたいだ、このくらいで大丈夫か?」
俺は無意識に小人を強く握りしめていたようだ。小人がとても苦しそうな顔をしていたので、急いで握りしめる力を緩めてやった。
?「ケホッケホッ…!スー…ハー…あ、ありがとうございます…」
お椀を被った和服姿の小人…。よく見たら、右手には縫い針のような物を持ち、背中には小さくなった打ち出の小槌を背負っていた。
麟「俺の名前はスカルハート、死神と呼ばれている人間だ」
針「わ、私の名前は〖
麟「初めまして針妙丸」
まさかこんな種族まで下剋上に参加しているとは…。でも、捜索願いの手紙には針妙丸の名前は書いていなかった…つまり針妙丸も鬼人正邪と共犯というわけだな?
麟「…とりあえずは…と」
ポフンッ…
針「…え?」
俺は針妙丸を頭の上に乗せた。…意外に軽いなぁ、小人だからなのだろうか?
針「な、なんで私を頭の上に乗せたの…?」
あたふたしてるな…そりゃ、いきなりこんな事をされたら驚くのも無理はないか…。
麟「気にするな、ただこうしてやりたいと思っただけだから」
針「そ、そう…」
少しは落ち着いたかな?…さて、落ち着いたというのなら…そろそろ本題と行こうかな。
麟「…針妙丸、お前にはいくつか聞きたい事がある…いいか?」
針「…は、はい、なんでも答えます」
なんでも答える…だと?もう勝ち目がないと諦めてるのか?
麟「お前ら…どれだけ厄介な事をしでかしたか分かっているのか?」
針「…え?それはどういう…」
麟「お前らが今回しようとした事は幻想郷の根本を覆そうとする事案だ。…お前はそれを理解した上で今回の異変を起こしたのか?」
針「…幻想郷の根本?な、何の事!?わ、私はただ…〖弱者が見捨てられない楽園を築く〗っていう正邪の考えに賛同して今回の行動を起こしただけだよ!?」
麟「…じゃあ、これはどういう事か説明してもらおうか?」 スッ…
俺は、針妙丸にくしゃくしゃの手紙を見せた。鬼人正邪直筆の手紙を…
針「…う、嘘だ!だって正邪はこう言ってたんだよ?『あの妖怪達は、私達の計画に賛同してくれた同志達だ』って…」
麟「んん…?」
な~んか手紙の内容と針妙丸の発言、そして雷鼓さんの発言と食い違う所があるな?
麟「…正直、そう思いたくは無いが…そうとしか考えられないよな…」 ブツブツ
俺は、最悪の答えに思考が向かっていた。
針「ね、ねぇスカルハート、何をブツブツ言っているの…?」
麟「あ、あぁ…気にするな。で、質問だが、お前は小人の末裔と言っていたが、最初から…目測で20㎝くらいの容姿だったのか?」
針「う、ううん…本当は人間の膝下程度の大きさだったんだけど、打ち出の小槌を振るってからはこんなに小さくなっちゃって…」
麟「…何っ!?」
本当は子供くらいの大きさだったって言うのか…!?だったらどうしてそんなに小さく…待てよ?打ち出の小槌を振るってからって言ったか?…まさか…そういう事か!?
麟「はぁ…振るった代償ってわけか…?それとも…燃料切れか?」
針「…?」 キョトンッ
麟「…針妙丸、打ち出の小槌を貸してくれ」
針「小槌?(ゴソゴソ)はいっ」
針妙丸が手のひらに乗せてくれた打ち出の小槌を調べてみた。
麟「(ジーッ…)こいつからは影狼達が放っていたような魔力は感じない…。いったい、どれだけ無理なお願いを叶えさせたんだ?」
打ち出の小槌は自身に蓄えていた魔力を使用者の願いに全て使い果たされてしまい、今ではただの派手なハンマーになっていた。
針「…何か分かった?」
麟「小槌は魔力を使い果たしてしまった…。その使い果たした魔力を再度蓄える為に針妙丸の魔力やらを吸い取った…ということだろうな」
針「…そうなの!?」
そうなの!?って…なんで小槌の所有者がそういう事というかルール的な物を知らないんだよ…?
麟「…お前、打ち出の小槌を知らないのか?」
針「失礼な!私だって打ち出の小槌くらい知ってるよ!打ち出の小槌はその使用者の願いをなんでも叶えてくれるアイテムでしょ?」
麟「正解でもあり、不正解でもある…」
針「…へ?どういうこと?」
麟「いくら願いを叶えてくれるとはいえ、限界ってものがあるだろ?おそらく打ち出の小槌は…〖下克上の世界〗という大きな願いを叶えきらない内に魔力を枯渇させてしまい、その代償として針妙丸の魔力等を奪った…というわけだな」
針「…嘘だ…正邪はそんな事言わなかったもん!『打ち出の小槌は膨大な魔力を持っているからどんな願いも叶えられる』って言ってたもん!」
良くも悪くも純粋すぎる心…上手く唆されたわけだ…。
麟「…本人に直接聞いてみるか?」
針「うん…!」
スクッ…
麟「スカルハート、出るぞ!」
ギュァァーンッ…
俺と針妙丸は、全ての真実を知るべく輝針城の頂上へ。