華月麟の幻想記   作:華月麟

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悪夢の幻影

麟「ふははははは…!」 オォォォォォォッ…

 

正「くそっ…!」 キョロキョロ

 

あの化け物に…致命傷を与えられる物は無いか…!?

 

キラッ

 

正「…あれは!」 ダッ!

 

麟「…ん?」

 

ガシッ!!

 

正「この…っ!」 チャキッ…!

 

麟「刀…か」

 

正邪は俺に少しでもダメージを与える為に近くに落ちていた刀を手に取った。

 

正「ふふふふ…こいつをてめぇの腹に突き刺してやるよ…!」

 

麟「…」

 

正「怖くて言葉が出ないか!?ふははははっ!死神も大した事ないな!!」

 

麟「…威勢だけはいい小物だな?」

 

正「何っ…!?」

 

こ、こいつ…刀を見せつけられて恐怖を感じないのか…!?

 

正「つ、強がりを言うな!本当は怖くてたまらないだろう!?」

 

麟「はぁ…くくくくく…はははははははははっ!!」

 

正「な、何がそんなにおかしい!?」

 

麟「(スッ…)ほれ」

 

正「な、何を…!?」

 

な、なんでこいつ…両腕を広げて無防備になりやがったんだ!?

 

麟「お前の前には無防備の人間がただ1人…この好機をお前はどうする?」

 

正「なっ…!?」

 

突然の凶行、正邪には理解出来ない行動だ…。

 

正「…本当に刺すぞ!私は本気だぞ!?」

 

麟「くっくっくっ…自分で『本気だぞ』と言う奴ほど、人を殺す覚悟なんか出来ていない…。それともあれか?貴様は口だけの小物妖怪なのか?」

 

正「…(ブチッ…)…私を見下すのもいい加減にしろぉぉぉぉっ!!!」 ダッ!!

 

堪忍袋の緒が切れた正邪は麟に向かって猛ダッシュを始めた。

 

正(所詮は口だけだ…!どうせ怖がって避けるに決まってる…!)

 

ダッ…ダッ…ダッ…!!

 

麟(ニィッ…)

 

麟は一切その場から動く事なく…

 

正「だあぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 

 

 

 

ドシュッ…!!!

 

 

 

 

 

正「なっ…!?」

 

麟「…」

 

ポタッ…ポタッ…

 

部屋に静かに滴る音が聞こえた…

 

正「て、てめぇ…なんで避けずに…!?」

 

ポタッ…ポタッ…

 

麟「…くっくっくっ」

 

そう…麟の腹部から大量に出ている血液が滴る音だけが静かに部屋の中で聞こえた…。

 

麟「これで満足か?」

 

正「…は?」

 

麟「お前が望んでいた通りだ。ついに…お前は俺にダメージを与えられた、素晴らしい事じゃないか!」

 

正「…!?」

 

こ、こいつ…腹を刺されているっていうのに…どうしてそんなに笑顔でいられるんだ…!?

 

麟「くっくっくっ…お前の手を見てみろ」

 

正「私の手…?(チラッ)…ひっ!?」 パッ…!!

 

正邪は自分自身の手を確認…そしてある事に気づき、咄嗟に刀を握る手を離した。

 

正「あ…あ…あ…」 ガタガタ…

 

正邪の手は…彼の血によって血まみれだった。

 

麟「…何を怯えている?お前が望んだ結果だろう?」

 

正「私が望んだ…?」

 

麟「強者を虐げ、弱者を救う!その為にはまず己自身の手を汚さなければならない!」

 

正「な、何を言って…!?」

 

麟「何故理解出来ない?貴様は弱者を救う為に己自身の手を汚そうとしたのではないか?」

 

正「…な、何の事だ!?」

 

麟「まさか…自分の手が汚れるなんて考えてもいなかったのか?そうか…自分自身の手を汚さずに他人の手を汚させて下克上を成し遂げようとしていたの…やはり、所詮は1人では何も出来ない小物というわけか…」

 

正「…」 ガタガタ…

 

麟「その手をよく見ろ、貴様が行おうとした下克上というのはそういう事だ!弱者を救う為には強者を殺す!誰も殺さずにこの世界を手に入れられるとでも思ったか!」

 

正「だ、黙れ…!」

 

自分自身が何を行おうとしていたのか…その事実を突き付けられた正邪は、ただ呆然としていた。

 

麟「くっくっくっ…その目に焼き付けろ、自分自身が犯した罪をなぁ!!」

 

正「…罪だと…?」

 

 

パチンッ…!

 

 

 

麟「ナイトメアイリュージョン…」

(悪夢の幻影)

 

 

 

パッ…

 

正「な…!?どうして突然暗く…!?」

 

正邪の言う通り、突然部屋の中が暗転したのだ。

 

 

ザッ…ザッ…ザッ…

 

「…鬼人正邪」

 

 

暗闇の中から聞こえる足音と声…

 

正「(クルッ)…お、お前は!?」

 

 

「「今泉影狼!?」」

 

 

正邪の目の前に現れたのは…

 

 

影「お前のせいで私は…!」

 

右目を潰され、左耳を引きちぎられた、言葉では表現しづらいほどに惨い姿になった今泉影狼の姿が…

 

ガシッ…!!

 

正「…ひっ!?」

 

影「お前のせいで私はぁぁぁっ…!!」

 

正「わ、私に触るな!」 バンッ!!

 

自身にしがみつく影狼を乱暴に押し飛ばす正邪

 

「鬼人正邪…!」

 

正「(クルッ)…赤蛮奇!?」

 

顔半分が抉れた赤蛮奇

 

「「鬼人正邪…!」」

 

正「(クルッ)九十九姉妹…!?」

 

両腕を失った九十九弁々と八橋

 

「鬼人正邪…!」

 

正「(クルッ)堀川雷鼓…!?」

 

右足と左腕を失った堀川雷鼓

 

正「どうしてお前達がここにいる…!?」

 

霊夢達に外へ連れて行かれたはずの妖怪達が、正邪の前に現れたのだ。…全員、身体のどこかしらを欠損した状態で。

 

 

麟「くっくっくっ…」

 

 

暗闇のどこかから麟の不敵な笑い声が聞こえてきた。

 

正「スカルハート!…ど、どこにいやがる!?」 キョロキョロ

 

麟を見つけようと必死の正邪

 

麟「俺に意識を集中させるのは構わないが…それで大丈夫か?」

 

正「…何っ!?」

 

麟「奴等は貴様の命を狙っている…その恨みを晴らす為に」

 

 

影「殺してやる…!」

 

弁「お前のせいで私達は…!」

 

八橋「お前のせいで…!」

 

雷「お前の身勝手な行いで…!」

 

赤「許しはしないぞ…!」

 

 

『『鬼人正邪…!!』』 ザッ…! ザッ…! ザッ…!

・ゆっくりと近づく手負いの妖怪達

 

 

正「…ひっ!?」

 

 

 

麟「鬼人正邪…」

 

 

 

ガシッ…!!

 

 

 

正「…くっ!?」 バキィッ!!

 

 

 

ドサッ…

 

 

 

麟「もがき…」

 

 

 

ガシッ…!!

 

 

 

正「は、離せ!」 バキィッ!!

 

 

 

ドサッ…

 

 

 

麟「そして苦しめ…」

 

 

 

 

ガシッ!! ガシッ!! ガシッ!!

 

 

 

 

正「私に触るなぁぁぁっ!!」 バキィッ!! バキィッ!! バキィッ!!

 

 

 

 

 

麟「お前が」

 

 

ドサッ…ドサッ…ドサッ…

 

 

 

『『(ムクリ…)鬼人正邪…!』』

 

 

正「…まだ立ち上がれるのか!?」

 

殴っても殴ってももう一度立ち上がる妖怪達…まるでゾンビのように

 

 

 

 

麟「自分自身が犯した大罪をその目に焼き付けろ…」

 

 

 

 

ザッ…ザッ…ザッ…!!!

 

 

 

 

正「…そうか!」

(こいつらは奴の見せている幻…!つまりは…)

 

 

パチッ…

 

 

正邪はその場で目をつぶった…

 

 

 

麟「…ほう?」

 

 

 

 

 

 

正「…消えろ…忌まわしい幻影共が!」

 

 

 

 

ブワァァァァァァァァッ…!!!

 

オォォォォォォォォォォォォォォォッ…

 

 

ようやく…部屋の暗転が晴れた…

 

正「はぁ…はぁ…はぁ…!」

 

 

パチ…パチ…パチ…

 

 

麟「まさか根性で幻影から脱出するとは思わなかった!お見事だ!」

 

正「随分と…汚い手を使うんだな…!」

 

麟「汚い?…くはははははっ!!貴様からその言葉を聞くとは思わなかったな!だか…貴様の外道さに比べてしまえば可愛いものだろう?」

 

正「こ…のぉ…!!」

 

麟「ふん…!」 ガシッ!!

・腹部に刺さった刀を握る

 

ググググググッ…スボアッ…!!!

 

カランッ…

 

正「て、てめぇ…正気か!?どうして刀を抜いた…刀を抜かなければ出血は少なかったというのに…!?」

 

麟「この程度の痛み…俺にはどうということはないんだよ!」 ギャンッ!!

 

正「…っ!?」

 

ガギュゥゥゥゥゥゥゥンッ!!!

 

麟「ふははははっ!!」 グォォォォォォォッ!!

 

ドゴォッ!!!

 

正「…ごぉっ!?」

 

麟の拳は…鬼人正邪の心臓部へと打ち込まれた。

 

正「…がはぁっ…!」 ドバァッ…!!

 

正邪は先程とは比べ物にならないくらいの吐血をした

 

ドサッ…

 

正「はぁ…はぁ…」

 

麟「ぬんっ…!!」

 

ダァンッ!!

 

正「ぐあぁっ!!?」

 

麟「ふふふふふ…」 グリグリ…

 

麟は右足で正邪の頭を踏み潰す…

 

正「や、やべ…ろっ…」

 

麟「…やめてほしいのか?なら条件がある」

 

正「じょう…けん…?」

 

麟が出した条件は…

 

 

 

麟「…お前が苦しめた妖怪達に謝罪をしろ。そうすれば…命だけは助けてやろう」

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