幻想郷賢者達との会談を終えて少し時間が経った時のこと…
麟「はぁ、正邪1人の命を奪うのに何の躊躇いもないわけか…それも当然か」
正「(シュー…コー…)て、てめぇ…」 ムクリ…
麟「ん!?(チラッ)ようやくお目覚めか?鬼人正邪」
永遠亭に入院してからというものの、一度も目を覚ましたという報告が無かった正邪がついに起きた。…マジでやりすぎたかな?
正「な、なんで私を助けた…?」
麟「助けた…?あぁ、賢者達との会話を盗み聞きしてたのか?」
正「白々しい…最初から私にあいつらの会話を聞かせるつもりでここに来たんだろ…?」
麟「…バレたかぁ」
くそぉ…意外と勘が鋭いじゃんかこいつ。
正「答えろ…!なんでわざわざ私の隣で賢者達と会談をした…なんで私を助け…ゴホッゴホッ…!」
麟「おうおう答えてやるからそんなにカッカするなよ、お前の傷は全く癒えていないんだから」
正「ちっ…」
まだ身体中に俺が与えたダメージは蓄積されている…そう簡単には回復できるわけがないか。まぁ、どうでもいいか?
麟「さて…話すとしますか。まず一つ目、別に俺はお前を助けたわけじゃない…俺の欲を満たす為にあの判断をしただけだ。勘違いするな、俺はお前の為にあんな発言をしたわけではない」
正「てめぇの…欲…?」
麟「お前は俺の猛攻から奇跡的に生き延びた…だからその豪運に免じて、次に殺すまでの猶予を与えたに過ぎない…」
正「っ…」
麟「二つ目、俺がここで会談をした理由はシンプル、お前が目覚めていると確信していたからだ」
正「わ、私が目を覚ましていたのを知ってたのか…!?」
麟「それも勘だがな。三つ目、お前が起こした今回の異変は…幻想郷の賢者達を怒らせる所業だ、恐らく賢者達はお前を始末する方向で話を進める…それを直接お前に聞かせたかっただけだ」
正「それはご親切にどうも…と言うとでも思ったか?誰がてめぇなんかに感謝なんかするか!」
麟「別に俺だって感謝してもらう為にやったわけじゃない…。ただ…幻想郷は外の世界の幻が行き着く果て…ここから弾き出されたら、お前は行く場所が無くなる。…そんなには悲しいだろ?」
正「…は?」
麟「ん?…あ」
口を滑らせて本音っぽいのが口からログアウトしてしまったわ。
正「くっくっくっ…お前も、私と同類だな…」
麟「…かもな、殺そうとした相手を助ける…まさに天邪鬼の所業」
正「だが、私はお前なんかに感謝の言葉は絶対に言わないからな!」
麟「…だからいらねぇって」 ナデナデ
正「ん…気安く頭を撫でんじゃ…」
麟「ヒール」 パァァァァァァァッ…
正「…は?」
麟「これでよし!」
俺は正邪の頭を撫でながら回復魔法を使って傷を癒してやった。
正「は…え…は…?」
麟「ほれ、お前の傷を治してやったぞ?今なら思う存分動けるから、ここから逃げるチャンスだ!おまえならどうする?」
正「当然…今すぐここから出ていくのみだ…!」 スタッ
スタスタ…
完全回復をした正邪は病室から出て行こうとしたが…
麟「ああ、最後に忠告しておく。賢者達は1人なった時のお前の命を、常に狙ってるからな」
ピタッ…
正「ど、どういう意味だ…?」
麟の一言でその歩みを止めた。
麟「当たり前だ、賢者達がお前の事を放置しておくわけがないだろ?今のお前は俺の傍にいれば殺されることは無い。だが…少しでもどこかへ逃げようとすれば…お前は賢者達の手によって殺される」
正「て、てめぇ…卑怯だぞ!?」
麟「お前にはこのくらいがちょうどいいだろ。ていうか今のお前は…正直に言うと俺のおかげで生きられてるようなものだからな、俺があの場で断ってなかったらお前は一瞬で始末されてたかもだし?」
正(サーッ…)
もし俺があの場で始末していいという判断を出していたら…正邪はどうなっていたかなんて容易に想像がつくな…。
麟「ほれ、分かったならさっさとベッドに戻れ」
正「…チッ!!」 スタスタ
ゴロンッ
麟「まあ、1か月の辛抱だ。1か月我慢すれば、お前は自由になれるんだから我慢しろよ?」
正「うっせぇな…!我慢すりゃいいんだろ!?我慢すりゃ!分かったからさっさと寝かせろ!」 ゴロンッ
正邪は不満そうに布団を頭から被った。
麟「まぁ…1ヵ月後には自由になれるからよ?それまでは俺がお前を保護する、誰もお前に手出しはさせないって約束するよ」
正「っ…ああそうかよ!さっさと出てけ!」
麟「へいへい…んじゃ、俺は自分の病室に戻ってのんびりと眠りますかね」 スタスタ
ガララッ
ピシャッ…
『
正「…」
『まぁ…1ヵ月後には自由になれるからよ?それまでは俺がお前を保護する、誰もお前に手出しはさせないって約束するよ』
正「…(ツー…)ぐすっ…なんでそこまでするんだよぉ…!」
麟の不可解な優しさに…正邪は涙が止まらなかった。