鬼人正邪を保護して1か月が過ぎた。最初は1か月というものはとても長いよな…と思っていたのだが、改めて1か月過ごしてみると案外1か月というものはあっさり終わるものだな…どこか名残惜しいようなそうでもないような感じが心のどこかで感じている…。
麟「…正邪を保護して、もう1か月過ぎたのか…案外1か月ってのは短いものだと思わないか?正邪」
正「けっ…私にとっては長い時間にしか感じなかったよ」
麟「そっか…それは残念だな…」 シュン…
・露骨にショボン
正「クソッ…!(グシャグシャ)あーもう…わかったよ!この際だからちゃんと本音を言ってやるよ!…あ、案外お前らとの生活も悪くなかったよ!!///」
麟「…正邪」
ついに天邪鬼が心を開いて正直になってくれた、この1か月間の生活は無駄ではなかったみたいだ。
正「チッ…てめぇと一緒に居ると調子が狂うぜ…///」
麟「嫌なら一緒に居ない方がいいんじゃないのか?」
正「てめぇから離れたら私は賢者共に殺されちまうからな、必然的にこうなるだろ?」
麟「…だからって風呂も一緒に入るとは思っても…「だーっ!!それだけは口にすんじゃねぇ!!///」…あ、そう?」
正「その事だけは墓まで持っていけ、博麗神社の連中以外にバラしたらぶっ殺すからな…?」 ゴゴゴゴゴゴゴゴ…
麟「…別に言わないって」
こんなどうでもいい情報を言いふらしたところで誰も得なんかしないっつーのに…。
正「…さてと(スタッ)そろそろ私はお暇させてもらうぞ?いつまでもこんな所に長居は御免だからな」 スタスタ
麟「お、おい待てよ~!」 スタスタ
そさくさと神社を去ろうとする正邪の後を俺は追った。
針「2人共すっかり仲良しになったね?」
霊「(ズズッ…)麟と一緒に居ると、どんな奴でも人当たりが柔らかくなるのよね」
あ「多分、麟さんの"のほほん"とした性格が感染るんじゃないですかね?」
霊「あー…そうかも。でも不思議よね、普段はあんな性格なのに戦いとなると…その…」 モジモジ
針・あ「「???」」
霊「か、かっこよくなるのよね…///」 ボソッ…
針「おやおや?霊夢さん、麟に惚れの字ですか?」
あ「おやおやおやおや?」
霊「やかましい!///」
針「でも分かるなぁ…麟ってI☆KE☆ME☆Nだよね」
あ「分かります~♪」
3人『ね~♪』
部屋でくつろいでいる3人は、麟に対する女子トークで大盛り上がりだ。
~博麗神社鳥居前~
ヒュゥゥゥゥ…
外は、身震いするような冷たい風が吹いていた。
正「うう…さみいな」
麟「…本当に行くのか?」
正「1か月間我慢してやったんだ、約束の時が来たんだったら私を自由にさせろってんだ」
麟「ふっ…そうかよ。お前がそれでいいなら俺も引き留めやしねぇよ」
正「それでいいんだよ」
しかし…輝針城無き今、正邪はどうやってこれからを過ごしていくつもりなのだろうか?
麟「お前…これからどうやって雨風を凌ぐつもりだ?」
正「さあな、そこら辺の空き家にでも住めばいいだけの話だろ」
…つまり、空き家に不法滞在するというわけか?それもそれで問題視されそうだが…。
麟「健闘を祈るよ」
正「へっ、嬉しくもないし感謝もしねぇよ」
麟「それでいい。…もう一度聞くが、下剋上という野望は捨てられないのか?」
正「…一度決めた事だ、私は成し遂げるまで諦めはしない」
…もし、もう一度正邪が下剋上をしようとしたその時は…この手で正邪を始末しなくちゃならないのか…。
麟「まぁ…その時は容赦しないから覚悟しとけ?」
正「そいつはどうかな?」
麟「ん?」
正「次に下剋上をする時はまず…お前を手に入れてからにすると決めたんだよ」
麟「…俺を?」
え、どゆことだ?全く意図が分からない…。
正「私は気付いた、お前という大きな存在を手中に収めた時…私の野望はほぼ完遂されるってな」
麟「…ああ、つまり色仕掛けで俺を堕とそうってわけか」
正「ひ、人聞きの悪い事を言うな!」
麟「…いや、実際そうだろ」
色仕掛け以外の何者でもないだろうよ?
正「と、とにかく!私はいつかお前という存在を手に入れてみせる…必ずな!」
麟「…百里を行く者は九十を半ばとす」
正「…なんだって?」
麟「百を目指すなら九十を終盤と思うな、ようやく半ばだと思え」
正「…どういう意味だ」
麟「俺を手に入れたからといって、お前の野望は達成されるわけではない。もし俺を手に入れたとしても気を抜くなって意味だ」
正「…へっ、わざわざ忠告ありがとさん」
麟「まぁ、俺もちょくちょくお前に会いに行くよ、構わないだろ?」
正「…好きにしろよ」
正邪の外面はただのひねくれものかもしれないが、内面は相当な努力家なんじゃないかと錯覚している俺が居る…絶対そんなこと無いのに。
麟「じゃあな正邪…これから頑張れよ色々」
シュルッ…マキマキ キュッ
正「…なんだよこれ」
俺はこの前針妙丸と人里に行った時に、ちゃっかり正邪のマフラーも買っていたのだ。…何故かって?恐らく正邪が俺達の保護下から解放される時はなかなかに寒い時期になっているだろうと思っていたからだ。
麟「寒いと思ってな、買っておいたんだ。大切にしてくれよ?」
正「ふん、どうせすぐ捨てるさ」
麟「そりゃ残念」
正「…それじゃ、そろそろ行くわ」
麟「おう。じゃあな、鬼人正邪」
正「…その前にこれだけてめぇにやるよ」 スッ
・顔を近づけ
chu…
麟「…マジで言ってんの?」
まさかの正邪まで…!?
正「…霊夢とか、よくお前にしてただろ?それで、私もお前にやれば…少しは計画が有利に進むかなって…///」
麟「…ああ、そゆことね」
余計な事だけ覚えてしまった子供感がハンパじゃねぇ…人目も気にせずに毎回やるからこういう勘違いが生まれるんだよ…。
麟「…こういう事言うのもあれだけど、キスしたから俺がお前の事を好きになるかと言ったらまた別の話だからな?」
正「…そ、そうなのか!?毎回毎回食らってたからてっきりそういう事なのかと…」
麟「…あれは俺を堕とす為にやってんじゃなくてただのコミュニケーションの1つみたいなものだから」
正「…マジかよ///」
正邪、初っ端から計画破綻しそうだ…。
麟「…やれやれ」
正「と、とにかく、私は必ずお前を手中に収めて下剋上を成功させてみせるからな!!///」 ダッ!!
麟「お、おい…!?」
という捨て台詞を吐いて、正邪は博麗神社の階段を駆け下り…姿を消してしまった。
麟「なんて雑な別れの挨拶だ…」
と、俺は愚痴をこぼしはしたが…
麟「…まぁいいか」
終わり良ければ総て良し、そう思った俺は"これでいいんだ"と自分自身に言い聞かせたのだが…
~次の日~
正「よう麟!♡」
麟「…マジかよ」
まさかの翌日に再びその姿を俺の前に現わしてしまった事で
"やっぱり良くないかもしれない"
と俺は思ってしまった。
こんなつたない文章書いてる自分自身も恥ずかしいわ…