?「う、うーん…」 ムクリ
キョロキョロ…
?「見た事無い天井…。ここは…地上…か」
(…どうやら、命からがら地上に着いたのね)
麟「ようやくお目覚めか?」
・仮面装着状態の麟
?「へっ!?」 ビクゥッ!?
麟「おお…?」
?(ビクビク…)
この兎…ここに来るまでにどんなひどい目にあったのかは知らないが…酷く怯えているな。
麟「驚かせてすまない…」
?「い、いえ…こちらこそすみません…。助けてくださった恩人に怯えてしまうだなんて…」
麟「気にすんな。それと、君を助けたのは俺じゃないよ」
?「え?では誰が私を…」
麟「今は出掛けているからここに居ないけど、本当はこの神社の巫女が君を助けたんだ。で、俺は君が目覚めるまでここで見守っていただけ」
?「で、ではその巫女様にも後ほどお礼をしなくてはいけませんね…」
麟「まあ、そうするといいよ」
意外に律儀な兎だな?
?「そ、そうだ…貴方様のお名前を一応聞いてもよろしいでしょうか…?」
麟「…俺の名前を聞いてどうすんの?」
?「い、一応覚えておいて損は無いかなと…」
麟(…この仮面を付けている時の俺は、人間にも妖怪達にも〖死神・スカルハート〗という名前で認知されていて、初対面の妖怪達にですらこの仮面を見ただけで畏怖するっていうのに、どうしてこの兎は怯えないんだ…?) ジー…
?「あ、あのぉ…私の顔に何かついてます…?」
麟「…ん!?い、いやすまない、少しだけ考え事をしていただけだ…。で、俺の名前だったな?」
?「は、はい!」
麟「…俺の名前は〖死神・スカルハート〗だ」
果たして俺の二つ名を聞いてどんな反応をするかな?
?「し、死神…!?」
麟「そうだ」
?「死神って、あの他人の命を刈り取るっていう…あの死神ですか!?」
麟「…!? …死神と言っても、ただ周りが俺をそう呼んでるだけだがな」
?「(ホッ…)な、なんだ…本当に死神様なのかと思いましたよ…」
麟「…」
(スカルハートの名前を聞いても『新聞で見たり妖怪達の間で噂していた、あのスカルハート!?』みたいな反応は一切なしか…。この兎…何者なんだ?)
少なからず…地上の妖怪兎ではない、または最近幻想入りした妖怪兎のどちらかで間違いはない可能性があるな…。
?「…あ、あれ!?わ、私の羽衣が無い!?」 キョロキョロ
麟「羽衣?ああ…この布か?」 スッ…
・羽衣を見せる
?「それです!」 コクコク
麟「すまない、あまりにも汚かったから洗わせてもらったよ」 スッ
・渡す
?「あ、ありがとうございます…(フカァ…)わぁ…フカフカになってる」
モフモフモフ♪
フカフカになった羽衣を心置きなく堪能する兎…可愛いな。
麟「…とりあえず、お茶にするかい?」
?「…へ?」
~ティータイム~
?「(パクッ♪)んん~!♪」 モグモグ
麟「(ズズッ…)ふふっ」
俺がおやつに食べようとしていたみたらし団子3本を、来客の兎にあげてみたら大正解!すごく美味しそうに食べてくれている。
?「このみたらし団子という甘味物…最高です!」
麟「そっか、それは何よりだ」
?(モグモグ♪)
麟「…それでさ」
?「ん?なんでしょうか」
麟「怪我はもう大丈夫なの?」
?「はい!だいぶ寝かせていただいたのでもうすっかり元気です!」
麟「ほへー…妖怪って本当に治癒能力が高いな?」
妖怪達を退治してると、退治したはずの妖怪達がいつの間にか回復してるって事がよくあるからな。
?「…私って妖怪に見えます?」
麟「…他になんかあるの?」
?「い、いえ…」
噂では地上の兎の恰好はこんな感じだと聞いていたからこの姿に変装したのに…。
?(シュン…)
麟「…」
(この兎…もしかして…?)
俺は…もしかしてこの兎は地上の妖怪ではないのでは?と正直心の中で思ったが…
麟「まあ…どうでもいいかそんな事は…」 ボソッ
そう呟くのだった…。
?「…?」
玉兎よ…
?「…!」 バッ!!
・外を見る
麟「いきなりどうした?!」
いきなり兎が外に振り向いたので、俺は驚いてしまった。何か忘れていた事でもあったのだろうか?
××の罰を受け負い続ける玉兎よ…
?「い、行かなくちゃ…!」 ダッ!
麟「…お、おい!」
兎は突然、居間を飛び出してどこかへ向かおうとした。
?「行かなくちゃ…!」
どうやらこちらの静止は聞こえていないようだ。
麟「はぁ…」 スー…
「「待てっ!!!!」」
?(ビクゥッ!?)
ビリビリビリ…
・声の圧が身体に伝わる
麟「止まれ…兎…!」
?「は、はい…!」
麟「お前がどこに行こうとお前の勝手だから引き留めやしないが…これだけは忠告させてもらう」
?「忠告…?」
麟(ギロリ…)
?「ひっ…!?」
麟「もしお前が何かしらの問題を行動を起こした場合…その時はこの死神・スカルハートがお前を始末しに行く。…よーく覚えておくんだな」
?「(ビクビク…)は、はい…!」
麟「分かってくれたならよろしい、さっさと行きな!」
?「お、お世話様でした!」 ダッ!!
最後に、そうお礼を言うと、兎はどこかへと行ってしまった。
~数分後~
ガララッ スタスタ
霊「ただいま」
あ「ただいまです!」
針「ただいま麟~♪」
麟「おかえり」
どうやら3人がお出掛けからご帰宅のようだ。
霊「あら?ここで寝てたら兎はどこ行ったの?」
麟「ああ、目を覚まして、お茶飲んで、団子を食ったら羽衣を持ってどっかに行っちゃったよ?」
霊「え~…あの羽衣、結構良い素材だったから質屋に売ろうと思ってたのに…」
麟「なーに言ってんだお前…」
普通、人様の物を勝手に売るなんてことはしないと思うのだが…?あ、こいつは普通じゃなかったわ。
一方、博麗神社を後にしたあの兎はというと…
タッタッタッタッタッタッタッタッ…!!
・迷いの竹林を大疾走中
?「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…!」
ガサッ!!
?「や、やっと見つけた…!ここが…」
「永遠亭!」
何故か永遠亭へと足を運んでいた…。