~紅魔館~
ドタドタ!!
バタバタ!!
ワタワタ!?
ついに推進剤を手に入れ、月へと飛び立つまでに話が進んだ紅魔館では、レミリアが雇用した妖精メイド(咲夜メイド長の見習い)達が慌ただしくロケット発射の準備をしていた。
霊「慌ただしいわねぇ…」
咲「もうすぐロケット発射なのよ?そりゃ慌ただしくもなるでしょうよ」 コトッ
・紅茶をだす
魔「しっかしなぁ、落ち着いて咲夜の紅茶すら飲めないぜ」
霊「あんたはあの作業に参加しないの?咲夜」
咲「ええ、後はパチュリー様にしか出来ない仕事でしょうからね」
魔「なるほどな(チラッ)ん?このでっかいレッドカーペットはなんだ?あのロケットにまで伸びてるけど」
咲「ああ、それ?なんでも、ロケット発射は赤道の近くで打ち上げた方が少量のエネルギーで済むそうよ?」
魔「それでこのレッドカーペットね…。どんな理屈で引いたんだか」
咲「文句を言うんじゃありません!魔理沙がロケットに乗れるのはオマケみたいなものなのよ?」
魔「え~!?」
スタスタ
パチェ「そうでもないわよ」
魔「へ?」
咲「あらパチュリー様、発射準備は整ったのですか?」
パチェ「いいえ、ちょっと休憩よ」 ゴクッ
・紅茶を飲む
霊「ねえパチュリー、魔理沙をロケットに乗せるのがオマケじゃないってどういう意味?」
パチェ「…簡単よ。もし、霊夢にトラブルがあったら魔理沙が霊夢の代わりを務める…それだけの事よ」
魔「ファッ!?」
霊「…その代わりっていうのを、どうやって魔理沙にやらせる気なのよ」
パチェ「え?どうやってって…ロケットの下からスパーク!って」
咲「…」
魔「…マジ?(汗)」
霊「…」
シーンッ…
パチェ「…何よ?」
咲「ぷっ…」
霊「ふふっ…」
咲・霊「「あはははははっ♪」」
パチェ「ふふっ…あはははははっ♪」
魔「わ、笑い事じゃねぇってぇぇぇぇぇぇっ…!」
~ロケットの中へ~
霊・魔「「おお~」」
魔「中は意外にも広いな」
霊「なんか家の部屋みたいね」
咲「(スタスタ)それはそうでしょう?だってここから月まで半月か一月かかるって言われてるんだから」
霊・魔「「…what?」」
霊「え、マジで言ってるの?」
咲「ええ、マジよ?」
魔「二週間くらいで着くもんだと思ってたぜ…」
咲「…それは流石に早すぎでしょ」
霊「…まぁ、これだけ広ければ我慢は出来るけど…食料は大丈夫なの?」
咲「ええ、大丈夫よ。あと勘違いしてるようだけど、月に向かえば向かうほど部屋は狭くなるわよ?」
霊「…は、え、何?この部屋は伸縮自在なの?」
咲「いいえ、航海の途中で下から順に切り離していくのがロケットなのよ。最終的には3階の部分だけが残って月に到着!って算段らしいわ」
魔「どれどれ…3階はっと(ガタッ)…え、こんな狭い部屋に全員入るのか?悪い冗談だと思いたいぜ…」
霊「え、そんなに狭いの?(ヒョコッ)狭っ…!?」
咲「しょうがないでしょ?これがロケットなんだから」
魔「なぁ…私達含めて4人だけだよね?月に行くのって」
咲「いいえ?念のために他のメイドを3人連れて行くわ」
霊・魔「「…え」」
『『『よろしくお願いいたします』』』 ペコリ
霊「…何の役に立つのよ、その子達」
咲「可愛い子には旅をさせよって言うじゃない?」
魔「つまり色々経験をさせろってわけか」
スタスタ
レミィ「(ヒョコッ)ちょっと~?そろそろ飛ばすわよ~?」
魔「飛ばすって…ここは図書館内だぞ?どうやって飛ばすんだよ?!」
レミィ「パチェ」
パチェ「ポチっとな」
ポチ☆
ゴゴゴゴゴゴゴゴ…!!
・図書館の屋根オープン
霊「…マジか」
魔「いつの間にあんな改造をしたのか!?」
レミィ「河童バンザイ!」
さすがは河童、こういった改造はお手のものらしい。
魔「さてと、後は何するんだ?」
レミィ「後はパチェがロケットに鎖を巻いて…霊夢が住吉三神を呼べば飛べるわ!」
霊「なんで鎖を巻くのか知りたいんだけど」
咲「航海の途中で、内側からの圧力によって開くというトラブルを防ぐ為らしいわよ?」
霊「最後の最後まで手間がかかるのね」
一方外では
ガチャンッ!!
パチェ「ふぃ…鎖の巻き具合は良。あとは月までたどり着くのを祈って…」
パンッ パンッ
・二拍手
ペコリ
・一礼
パチェ「アーメン」
『『アーメン』』
他の妖精メイドたちもパチュリーと同じように航海の無事を祈る。
魔「はいはい、飛び立つ前に最後の質問がありますレミリア先生」
レミィ「なんでしょう魔理沙君?」
魔「なーんでロケットの中に神棚があるんだ?」
霊「(スタスタ)あんた、まだ理解出来てないの?」
魔「え、お前は分かるのか?」
霊「(ストンッ)このロケットはね…」
・神棚の前に座る
「空飛ぶ神社なのよ」
グラッ…!!!
魔「うお!?」
レミィ「きゃあ!?」 フラッ
咲「お嬢様!」 ガシッ
『『『わーっ!?』』』
突如、霊夢が神棚の前に座った途端、ロケット全体が揺れ始めた。
霊「…」
(ブツブツブツブツブツ…)
当の本人は、住吉三神を喚ぶ儀式を始めていた。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ…!!
パチェ「…テイクオフ!!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!
ついにロケットが月へと放たれた!
ギュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥンッ…
あっという間にロケットは豆粒程度の大きさにしか見えなくなっていた。
パチェ「…気を付けてね皆」
~永遠亭~
永「…ついにロケットが放たれたわね」
ロケットが飛び立つ光が、永遠亭からも確認出来ていた。
輝「月の侵略者はあの吸血鬼で決まりね。…それにしても、あんな付け焼刃ロケットで月まで行けるのかしら?」
永「大丈夫よ、住吉三神の神徳は宇宙船にも及びから。それに、不測の事態も考えて月の羽衣に切れ端をあのロケットに張り付けたから大丈夫でしょう」
鈴「し、師匠…」
永「どうしたの?優曇華」
鈴「どうしてあのロケットを月まで行けるように工作したんですか…?やっぱり師匠は月に恨みが…」
永「うふふ♪バカねぇ、私はただ月の都を侵略しようとしている本当の犯人を見つけ出したいだけよ」
鈴「そ、そうですか…」
輝「本当の犯人…吸血鬼以外にねぇ…」
永「黒幕も正直、誰かなんて分かり切っているけどね」
鈴・輝「「え、そうなの!?」」
永「ええ。でも、ロケットが動き始めてしまった今、私に出来るのはあの姉妹達が頑張ってくれることを祈るだけよ」
鈴「そう…ですね」
~ロケット内~
ゴォォォォォォォォォォォォォッ…!!!
霊「ブツブツブツブツブツ…」
魔「…はぁ」
レミィ「どうしたの?」
魔「いや…ちょっとな…」
咲「何か不満でも?」
魔「いや、不満があるわけじゃないんだ…」
レミィ「じゃあ何だったのよ?さっきのため息は」
魔「ちょっとした不安があってな…」
レミィ・咲「「不安?」」
魔「ああ…。(ゴロンッ)本当によかったのかなぁ…」
「 "あいつ" に、何も言わないで今回の計画を進めちゃって…」
~博麗神社~
博麗神社では…
麟「…」 ジーッ…
1つの"華"が、月へ向かう一筋の閃光を見つめていた…。
そして後に、魔理沙の杞憂が見事に的中し、とんでもない出来事を引き起こすのはまだ先の話…。