華月麟の幻想記   作:華月麟

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旧都での宴会

「今日はめでたいぞ~!」 

 

「姐さんに男が出来たぞ~!」 

 

「宴だ!飲んで飲みまくれ!!」

 

勇儀の求婚後に何故か宴会が始まっていた。俺はまだ答えを出していないのに周りは勝手に話を進めるもんだからたまったもんじゃない。

 

麟「はぁ…まったく騒がしくて飯が食えたもんじゃない…」

 

ヤ「地底の人達は何かめでたいことがあるとすぐに宴会だから…アハハ」

 

キ「それが地底の日常だからね~…で、麟は勇儀と結婚するの?」 モグモグ

 

パ「パルパルパル…」

 

麟「だから俺は勇儀と結婚はしないってば」

 

ヤ「えー?お似合いなのに」

 

麟「どこがだよ?!」

 

などと、そんなくだらない会話をキスメ達としていた。

 

パ「パルパルパルパル…」

 

…ちなみにパルスィからはずっと殺意を向けられている。

 

カランカランカラン

 

勇「お前達!楽しく飲み食いはしてるか!?」

 

勇儀が酒と食べ物を持って俺達のとこまでやって来た。

 

麟「あ、勇儀だ」

 

勇「ほらお前たちも呑みな!!」

 

チャプンッ

 

キ・ヤ

「「はーい!!」」 ゴクゴクッ

 

パ「パルパルパル…」 ゴクゴクッ

 

麟「俺はいらない、酒は吞めないからね」

 

勇「つまらない男だねぇ、それじゃあたしの旦那は務まらないよ?」

 

麟「だから、誰が旦那だっ!?勝手に決めるなよ」

 

勇「そ、そんなに嫌なのかい…?」 ウルウル

 

麟「そうじゃなくてだな…今日初めましてなのに結婚します!はおかしいって話だ!てか、鬼が泣くなよ!?」

 

何だろう…泣き顔を見ると可愛くてつい、OKと答えてしまいそうだ。

 

勇「じゃあ、いつなら良いんだい!」

 

麟「えぇ…?う、うーん…」

 

そう言われると俺は『うーん…』と黙り込んでしまった。

 

 

?「まあまあ、麟を困らせてやるなよ勇儀」 カランカランカラン

 

 

麟「ん?」

 

聞き覚えのある声と下駄の音が聞こえてきたので、音の方向へ目を向けると…

 

 

萃香

「ウイ~ヒック///」

 

 

萃香が何故か地底にいた。…既に出来上がってやがる。

 

勇「おや萃香、久しぶりじゃないか!!」

 

萃「久しぶりだねぇ、勇儀」

 

麟「あれ~?なんで地底に居るのさ、萃香」

 

萃「霊夢に『麟の様子を見に行って』って頼み込まれてねぇ」

 

つまり、行くのがめんどくさいから代わりに見に行けと、雑用を押し付けられたわけだな…

 

麟「あ~…霊夢の奴らしくて言葉が出ないわ…」

 

勇「心配なら自分の足で赴けと霊夢に言いたいね…それはそうと萃香も飲むだろう」 ニヤリ

 

萃「当たり前だろう?」 ニヤリ

 

麟「その前に!」 グググッ…

 

2人の間に割って入った。

 

勇「なんだい?」

 

 

麟「俺はお前と結婚する気は無い!もっと色んな事を知って、色んな場所を見て、色んな妖怪や人間と知り合って、それで人生のパートナーが欲しくなったら考えるよ」

 

 

いつもの謳い文句を吐いた。

 

萃「うんうん、それでこそ麟だねぇ」

 

勇「あたし的には残念だけどね…それも仕方ないか!分かった、その時が来るまであたしはお前に求婚しまくろうじゃないか」

 

麟「程ほどだったら許可しておこう」

 

勇「やったよ萃香!」 

 

萃「よかったねぇ勇儀」

 

鬼の求婚アピールってどんな感じなんだろう…?なんてことを少し考えていたその時。

 

 

「あやや~残念ですねぇ。せっかくいい記事が書けると思ったのに」 パシャパシャ

 

 

今度は上から聞き覚えのある声がしたので見上げると文がカメラで写真を撮りながら飛んでた。

 

…またあいつかよ。となればやる事は一つ!

 

麟「迷惑だからやめろ!」 ヒュン‼ 

 

 

ダァンッ‼

 

 

文「あやや~!?いきなりすぎますって~!(ズダァァン‼)ふぎゃっ!」

 

俺は今回の件の記事を書かれるとまた厄介になるので、急いで地面に叩き起こして逃げられないようにした。

 

「なんだなんだ?」 

 

「なんか上から落ちてきたぞ?」

 

文「いたたた…いきなりひどい歓迎です… 」

 

麟「文(殺気を込めて)」

 

文「は、はい!ナンデゴザイマショウ…」 ガクブル…

 

麟「(スッ…キィィィィィンッ…)今回の件はさ、勇儀に勝利したまでは書くのを許すよ。でもね、勇儀の求婚の件…もし記事に書いたりしたらさ…分かってるよね?」 ニコニコ

 

文「えー…せっかくの特ダネ大スクープですよ!?これを書かずして誰が…[ズガァン‼]ヒッ…!?わ、分かりました!分かりましたから!そこの件だけは記事にしないので、お願いですからその笑顔で撃とうとするのやめてくださいぃぃぃぃぃぃぃ!!」

 

俺は確実に記事にさせない為に徹底的に文を追い詰めることにした。

 

麟「野郎ぶっ殺してやらぁぁぁぁぁっ!!」

 

文「あやややややぁ~!!!!」 断末魔

 

 

勇「流石はあたしが本気で惚れた人間だ…あの鴉天狗の脅し方も最高にいいじゃないか…あんな顔は本気で怒らせる時くらいしか見られないねぇ…ウラヤマシイ。もう一度あの目でにらまれたいねぇ」 ポーッ ゾクゾクッ

 

萃「完全に勇儀の心が一人の鬼じゃなくて一人の乙女になってるじゃないか…酒が甘すぎて、塩味が欲しくなるねぇ…」 モグモグ

 

パ「パルパルパル…!妬ましいわねぇ!」 ゴゴゴゴ…

 

ヤ「姐さんってあんな顔するんだね」

 

キ「普段の感じからはまったくもって想像もできないよ」

 

麟「萃香~」 スタスタ

 

萃「ん~?なんだい~?」

 

麟「文も飲みたいから混ぜてくれだってよ」 ポイッ

 

文「(ドサッ)イタィッ‼?はい?!言ってませんよ!?」

 

萃「そうかそうか~(ガシッ)丁度飲み仲間が欲しかったんだよぉ~」 ズリズリ

 

文「ちょっ!?私は…」

 

萃「(ニコニコ♪)鬼の誘いを断るのかい?」

 

文「い、いえいえ!喜んでご一緒させてください~!」

 

 

<あぁぁぁぁぁぁ~!!

 

 

麟「はぁ…少しのどが渇いたよ…」

 

勇「あたしの飲みかけで良ければあるけど飲むかい?」

 

麟「…飲みかけの酒なんだ」

 

勇「あっはっは!な〜んで冗談」

 

 

麟「貰おうかな」

 

 

勇「…え?」

 

パ・ヤ・キ

『ん?』

 

麟「ん?なんだよ」 バッ

 

勇「それはかなり強い酒だからこっちの弱い酒に…!」

 

麟「いただきます」 グイッ…

 

勇「ちょっ…!?///そこ…あたしが口付けてたところ…!///」

 

麟(ゴクッゴクッゴクッ…)

 

パ・ヤ・キ

『あー!!!?間接キスだぁ!!』

 

「なんだって?!」 

 

「おい!麟さんが姐さんの杯を持って飲んでるぞ!」 

 

「婚姻成立だぁぁぁ!」 

 

「おぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

麟「ぷはっ…うおお…っ!?なかなかに強い酒だな…飲み干さなければよかったな…って皆どうしたの?」

 

キ「どうしたもないよ!?」 ユサユサ

 

麟「え?」 

 

ヤ「同じ杯で同じ酒を飲むのは婚姻成立の意味なんだよ!!」

 

麟「…あっ!?」

 

忘れていた…どこかの文化では、同じ杯で酒を飲みあえば婚姻成立になるという婚姻の風習があるのをすっかり忘れていた。文との掛け合いに思考能力を使いすぎて一般常識の配慮が欠けていた…しまったぁ…!

 

パ「間接キスだなんて妬ましいわね…!」 パルパルパル…

 

麟「ま、待てパルスィ!?今のは事故だから!なっ?勇儀も説明してくれよ!!」

 

勇「麟…」 ピクリ

 

麟「は、はい!?」 ビクッ

 

勇「子供は何人欲しいんだぁぁいっ!!!♡」 ガバッ‼

 

麟「だから結婚はしないってぇぇぇぇぇぇ!?」 ダッ‼

 

勇「待ちなぁぁぁっ!♡」 ダッ!!

 

麟「助けてぇぇぇっ!?」

 

パ「待ちなさい!今すぐ地獄に送ってあげるわ、麟!」 ダッ‼ 

 

キィィィン…ダァンッ‼

 

麟「いぃっ!?」

 

 

ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァンッ!!

 

 

麟「地獄逝きの助けはいらねぇぇぇっ!!」

 

 

 

ヤ「…なんだか騒がしいけど、少し楽しいねキスメ」

 

キ「あはは…まあ、確かに楽しいよ。彼のおかげで地上と地底の隔てが少しずつ薄くなるかもね」

 

萃「麟のおかげで色々と新しい交流とかが始まりそうだねぇ」 ゴクッゴクッ

 

文「ス、スクープだっ…」 ガクッ…

 

 

 

パシャッ!!

 

 

 

勇「観念してあたしに全てをよこしなぁぁぁ!♡」

 

パ「観念して地獄に逝きなさい!!」

 

麟「勘弁してくれぇぇぇぇ!!!」

 

 

 

旧都での宴会と鬼ごっこは三日三晩続いた。

 

…ちなみに俺はあの後、何とか誤解(?)やらなんやらは解いて勇儀とパルスィには落ち着いてもらうことに成功した。

 

…でも地底でのお話はこれで終わりでは無いんだよね。

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