俺の帰還を祝う宴会が終わってから数日が経過した。俺の身体は未だに子供姿のままなので、元の姿に戻るまで幻想郷中を散歩する事にした。
で、今俺がどこに向かっているかというと…
〖鈴奈庵〗
と呼ばれる店にやって来ていた。
ここがどういう店なのかというと、簡単に言ってしまえば本を貸し出す〖貸本屋〗 兼 本を買い取ってくれたり売ったりする〖売買本屋〗でもあるのだ。霊夢もよくこの店で本を借りているらしい。
ガチャ
チリンチリ~ン
?「いらっしゃいませ~」
麟「おいっす~」
?「あら僕、見ない顔ね?今日はどんな本を借りに来たのかな?」
…この感じ、俺を麟だと認識していないな?
麟「…小鈴、俺だよ…華月麟だよ…」
?「…へ?も~私の事をからかってるのかなぁ?麟さんは君みたいに可愛い顔はしてないよ、どっちかというとカッコいいかな?」
麟「その華月麟が小さくなったんです~!」
?「…ふぁ?」
まだ理解してくれないか…!?こうなりゃ奥の手だ…!
麟「そんなに信用してくれないならこれでどうだ!?オッホン…!小鈴は誰にも解読出来ない”妖魔本"を集めているコレクターで…」
?「わー!!わー!?それだけは言わないでぇ!!!」
~ショタ、説明中~
麟「…というわけだが、納得出来たか?」
?「ま、まだ頭がごちゃごちゃしてます…」 ピヨピヨ
麟「さいですか…」
この鈴奈庵という貸本屋の店番をしている少女の名前は
ちなみに、彼女の能力は〖あらゆる文字を読める程度の能力(仮称)〗らしい。何故仮称なのかというと、能力が開花したのが最近だったからという理由らしい。でも実際に、皆が読めないような文字ですら小鈴はスラスラと読めてしまうので、あながち能力の名称これで合っているような気もするが…。
彼女は先ほども俺が喋りかけた通り、幻想郷一の妖魔本コレクターで、最近ではその妖魔本を集めては読みふけるのが日課になっている。ここだけの話、一時期は彼女の好奇心旺盛な性格のおかげで幻想郷のバランスが壊されかける事態にまで発展したところを、俺と霊夢で阻止した過去がある。
~遡って妖魔本異変の時の話へ~
ダッダッダッ!!
ズザザッ…!!
霊「小鈴ちゃん!」
麟「小鈴!」
オォォォォォォォォォォォォッ…
小鈴「ふふふふ…この〖私家版百鬼夜行絵巻最終章補遺〗の力があれば、幻想郷のパワーバランスを"正す"事が出来る…!」
・絵巻の力に吞まれている
麟「ちっ…一足遅かったか…!」
霊「そんな危険すぎる力で何をしようというの!?小鈴ちゃん!」
小鈴「この力を使って幻想郷のパワーバランスを正す…本来のあるべき姿に戻す!それだけよ」
霊「な、何を言って…!?」
麟「そういう事か…小鈴は幻想郷の矛盾に囚われちまったんだ…!」
霊「幻想郷の矛盾…?」
麟「妖怪は人間にとって害を成す、本来は始末するべき存在…。それなのに異変解決をする者達は始末はせずに退治だけをする、それではまた妖怪共が人間に危害を加える可能性は十分に孕んでいる…」
霊「…」
麟「何故、この世界は妖怪を殺さずに生かしておくのか…何故、この世界は妖怪共を生かしておくのか…。今の小鈴はこの矛盾に葛藤しているんだ。その結果が、妖魔本の力を使って幻想郷のパワーバランスを正す、という結論に至ったんだろうな…」
霊「そんな…でも、助ける方法はあるのよね!?」
麟「絵巻と小鈴を引き離し、小鈴が持っているあの絵巻を再封印する!そうすれば小鈴は救えるはずだ!」
霊「なら…私達がやるべき事は1つ!」
麟・霊
「「絵巻を再封印する事、そして小鈴(ちゃん)を救う事!!」」
小鈴
「…(ギャウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!)華月麟…貴方はこの世界のパワーバランスを乱す象徴、まずは貴方から消し去る!」
麟「上等だ、やってみろ!!」 ドウッ!!
霊「待っててね小鈴ちゃん、今その呪縛から解放させてあげるわ!!」ドウッ!!
ギャウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!
麟・霊「「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」
といった、なかなかに危険な異変が起きていたのだ。
麟「懐かしいねぇ…」
小鈴「その節は本当に失礼いたしました…」
しかし異変後は皆ともすっかり打ち解けることができ、今では霊夢はこの店の常連でもある。
麟「あ、はいこれ(スッ)霊夢が借りてた本とその代金」
小鈴「あ、毎度ありがとうございま~す♪霊夢さんに『これからも鈴奈庵をごひいきに!』って伝えといてください♪」
麟「了解した」
なんで俺が霊夢の借りていた本を返却しに来たのかというと…そもそも俺は俺の用事で鈴奈庵に行く予定を立てていたのだが、霊夢から「鈴奈庵に行くなら、ついでにこの本も返しといて♪お金をここに置いとくわ~」と仕事を押し付けられたのだ。…本来は霊夢自身がやるべき事なんですけど?
小鈴「よいしょっと…(ドスンッ)で、麟さんは霊夢さんの借りていた本を返す為だけにわざわざ鈴奈庵に?」
麟「いや、小鈴にちょいと聞きたい事があってな」
小鈴「私に?」
麟「一時、ここに白黒の天邪鬼が来なかったか?普段、下駄を履いてるんだが」
小鈴「天邪鬼…白黒の…うーん(ピコンッ!)ああ、確かに1回だけ来ましたね?確か名前は…鬼人正邪!彼女がどうかしましたか?」
麟「そん時、正邪が本を借りたと思うんだけど…」
小鈴「ええ、確かに一冊借りていきましたよ?」
麟「どんな本を借りたのかが気になってな、現物は今ここにあるか?」
小鈴「(スッ)これですね」
麟「これか?どれどれ(ペラッ)…ああ、これだな」
小鈴「〖固い男を惚れさせるテクニック!〗っていう外来本を正邪さんが借りていった時は驚きましたね~」
麟「はぁ…やれやれ…」
俺の予想は大いに当たった。小鈴が差し出してきた本の中身を確認すると、天界で正邪が披露した変態行為が全てこの本に書かれていた。…まさか正邪の奴がこの本に書かれている行為を全て鵜呑みにして実践するとはな。
小鈴「しかし、正邪さんがそんな本を使って勉強してまで惚れさせたいお相手って誰なんですかね…?」
麟「さぁ…少なからず、正邪よりも圧倒的に強い男だろ」(自分の事)
小鈴「正邪さんが惚れるくらいかぁ…私も会ってみたいなぁ…」
いや、君の目の前にいるショタがそうなんですよ小鈴さん。
麟「とりあえず、今度正邪がここに来た時は〖正しい男性との接し方〗っていう外来本を貸し出してやってくれ…」
小鈴「あいあいさ~!」 ビシッ!
さてと…俺の目的はとりあえず果たした事だし…
麟「小鈴、俺はこれから"稗田の屋敷"に行くけど…お前も行く?」
小鈴「阿求さんの屋敷に?はい!ぜひ私もお供させてください!!」
麟「分かった。それじゃあ、戸締り等をしてから行こうか」
小鈴「は~い!」
鈴奈庵での用事を済ませた俺は、次に稗田の屋敷へと赴く事にした。