文「…自分の家族を探して、この幻想郷を彷徨っている…?」
さ「ど、どうして…そうだと思うんですか?兄さん」
麟「…国が敗戦へと傾き始めているから、若い人達を家族から無理矢理引き離して徴兵…これがどういう意味だか分かるか?」
文・さ「「いいえ」」
麟「なんの前触れも無くいきなり家族の元を離れて、兵士に仕立て上げられて、最終的には死ぬ…家族の元へ帰れるのは極わずかな人数」
文「えっと…つまり?」
麟「このパイロットは戦争の被害者だ。上の奴等共に利用されるだけ利用されて、無惨に生命を散らしてしまった兵士なんだよ」
さ「…まだよく分かりませんが、この霊は何かしらの凄惨な過去を持っている…というわけですか?」
麟「その捉え方で大丈夫だ。さて…これで決まりだ、もう一刻の猶予すらない…急いで零を見つけださないと…!」
文「急いでセントウキを探し出しましょう!」
麟「さとり、いきなり訪ねてすまなかった!また改めて地霊殿に来るから」
さ「いつでも待ってますよ♪」
パイロットの写真をさとりに見せ、パイロットが全良な霊か否かを判別してもらった麟は、零を見つけ出す計画を立てる為に足早に地上へ。
~翌日~
霊「はぁ?!セントウキに乗ってる霊と直接話をするですって!?」
麟「おうよ。零の右翼か左翼にしがみつきゃ…なんとかなるべよ?」
早「む、無茶ですよ…!?いくら零にしがみつけたとしても、振りほどかされるのがオチですよ!?」
麟「そうかなぁ?」
早「零が時速何キロで飛んでいると…!?」
流石は脳筋アンポンタン、よくもまぁそんなとんでもない事を思いつくものだ。
バァンッ!!
文「麟さん!セントウキを見つけました!」
麟「来たか!」 スタッ!!
ついに目的の相手が見つかったようだ。
華「麟、やめなさい!そんな無茶をしては、己を滅ぼしますよ!」
麟「…俺は、パイロットが抱えている痛みを幻想郷中の誰よりも理解している。パイロットの痛みを分からないアンタが口を挟むな…!」 ギロリ…!!!
華「…っ!?」
麟も家族を失った身、零のパイロットの気持ちが痛いほど分かるのだ…。
麟「文!ちょいと寄り道してから急行するぞ!」
文「よ、寄り道!?「すぐ終わるから!」わ、分かりました…じゃあ行きましょう!」
ドタドタドタ!!
麟と文は物々しい雰囲気を醸し出しながら、零が飛行している空域へと。
早「霊夢さん…私達も行きましょう…!」
霊「ええ…そのつもりよ!」
華「私も行きます!」
ダッ!!!
早苗達は麟の無茶な計画に不安を募らせ、彼が心配になってしまい2人の後を追った。
ギュウゥゥゥゥゥゥンッ…!!
・零の飛行音が付近で聞こえる
ズザザァッ!!
麟「ここか!?」
文「はいっ!」
咲「待ってたわよ麟!」
零の飛行経路付近では、既に咲夜が下で待機していた。
麟「咲夜!昨日と同じように能力を発動してくれ!その後は俺が何とかする!」
咲「りょ、了解!」
「「ダメです!」」
麟・文・咲「「「!?」」」
華「絶対にいけません!」
華扇が3人の計画を阻もうもその場へ。
麟「華扇!?」
霊「麟、お願いだから無茶はやめて!」
早「他にやり方が…!」
早苗と霊夢まで一緒だ。
麟「ちっ…!」
麟がほんの少し怯んだ瞬間だった
ギュウゥゥゥゥゥゥンッ!!
麟「…!」
零の音が地上に近づいてきていた。
文「り、麟さん…!どうしましょう…!?」
もう一刻の猶予もない状況だった…。
ギュウゥゥゥゥゥゥンッ!!
・どんどん近づく音
麟「…咲夜!ザ・ワールド発動!」
咲「任せて!」
霊・早・華「「「えっ!?」」」
彼には一切の躊躇いもなかった。全ては悔いを残したまま戦死してしまった、空の兵士の願いを聞く為に。
霊「ダメよ、り…!」
咲「「ザ・ワールド!!」」
カチッ…ゴーンッ!!!
ピタッ…!!!
咲夜は麟の合図を聞いて能力を発動、麟以外の全ての時が止まった。
麟「…ったく、騒がしい奴等だよほんと」 ジャキッ!
・アンカー装備
咲「全ては貴方を思う故よ、麟」
麟「外の世界を知らない奴等にあの兵士の何が分かる…?まぁんな事はどうでもいい、さっさと始めよう」
バシュッ!!
・アンカー射出
ヒュヒュヒュ…カチンッ
・アンカーが左翼にHIT
麟「んじゃ、行ってきマース」 カチカチ
麟はアンカーのリード線を巻き上げながら零の左翼へと向かっていった。
咲「気をつけるのよ〜!?」
ガシッ!!
麟「ふぃー…準備完了」 グググッ…!!!
リード線を巻き終え、左翼にたどり着いた麟はその翼をガッシリと掴んだ。
カチカチカチッ…
ゴーンッ…!!!
そして時は…動き出す。
…ゴッ!!!
麟「っ…!!!?」
零から伝わる凄まじいGの圧が全て麟へダイレクトに伝わる。
ギュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥンッ!!
麟「「どわあぁああぁぁあぁあっ!!!?」」
麟は動き出した零の左翼にしがみつきながら、共に何処かへと姿を消してしまった。ほんの十数秒の出来事であった。
「「どわぁぁっ…!!!」」
霊「麟…!?麟っ!!?」
霊夢が麟の叫び声に気が付いた頃には、彼方へと零は飛び去っていた。
早「ま、まさか本当に…!?」
華「な、なんて無茶を…!?」
咲(無事に帰ってきて…麟)
文(幸運を祈ります…!)