~玄武の沢~
スタッ
麟「到着っと…」
あうん
「わー…遠くからでも分かるくらい凄い水柱ですね!」
翌日、水鬼が高圧水流で誰を殺そうとしていたのか、そしてその殺そうとしていた相手は既に逃げ果せてしまっている事を麟はわざわざ水鬼に伝える為に、再び玄武の沢へやって来ていた。(あうんもトッピング)
『それ…本当は霊夢の役目だろ?なんで霊夢がそれをやらないのか』と思った貴方!…理由はとっても簡単です。
麟『あ、忘れてた…もう高圧水流を流す意味が無いって水鬼様に伝えとかないと。霊夢、玄武の沢に行こうぜ?』
霊『え、私達今回は関係ないから行く必要ないでしょ』
麟『…困ってる奴を助けるのもお前の仕事だろ?』
霊『嫌よ、めんどくさい。それに人里の皆が困ってるわけじゃなくて、にとりが困ってるだけでしょ?なら別にいいじゃない』
麟『…これだもんねぇ』
理由は…〖めんどくさい〗以上です!
スタスタ
麟「ったく…霊夢の奴、薄情すぎるだろ」
あ「あはは…まぁ霊夢さんなので…」
麟「また華扇に厳しく修行させるか…?」
あ「やめてあげてください。霊夢さん、この前の修行で本気泣きしちゃってたので…」
麟「マジで!?博麗の巫女ガチ泣き!?」
あ「マジです…(汗)」
麟「あちゃあ…それは悪い事しちまったなぁ…」
あ「で、でも麟さんが一緒に修行してくれるっておっしゃった時、霊夢さんは笑顔を取り戻しましたよ…!あの時は私や針妙丸ちゃんが慰めても笑ってくれなかったからなぁ…」
麟「なんか、申し訳ない…」
あ「いえいえ…」
2人で管狐の時の話をしている内に…
ゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ…!!
にとり
「あ、盟友〜!」 ブンブン!
麟「すまん、待たせたな〜!」 ブンブン!
高圧水流柱の元まで到着した。
に「本当に来てくれたんだね!」
麟「約束したからな、何か分かり次第来るって」
に(キュン…♡)
あ「(ポカン)あ、改めてこんな近距離で見ると…迫力が違いますねぇ…」 ジーッ…
麟「…でもよ、水鬼様は中がもぬけの殻だっていつになったら気づくんだ…?」
に「え、そうなのかい!?中には誰も居ないのかい!?」
麟「証拠に…(ゴソゴソ ビッ)ほれ、犯人の名刺」
麟はにとりに青娥が華扇に渡した名刺を見せた。
に「なになに…?青娥娘々…あのむっつりスケベ仙人かい!!」
あ「あれ?青娥さんのお名前って霍青娥じゃなかったでしたっけ?」
麟「よく分からんが、仙人として活動してる時はそっちの名前なんじゃない?ほら、俺が妖怪退治に行く時スカルハートって名乗るだろ?それと同じよ」
に・あ「「なるほど〜…」」
麟「さて、無駄話はここまでにして中に入りましょうかね」
に「はぁ!?この超高圧水流の中に入るつもりかい!?」
麟「水鬼様と直接話さないと」
あ「き、危険ですよ…!」
麟「一か八か!」 カッ!!
・光り出す
あ「眩しいっ!!?」 バッ!
・咄嗟に目をつぶる
に「ぐわあぁあぁぁっ!!」
・がっつり見ちゃった
キィィィィィィィィィィィィィィィィィンッ…!!!
麟「神気楼鳥、ミラージュ・ワゾー…!」
ブワァァァァァァァァァァァァァァァッ…!!!
麟「ファンネル!」
ビ・ビ・ビッ!!!
麟「ファンネルバリア展開!」
ビシュィンッ!!!
あ「おお!」
に「なるほど…全身にバリアを展開して中に入ろって言うのか!」
麟(ザッ…ザッ…ザッ…)
ゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ…!!!
麟「…いざ、勝負!」 ダッ!!
バチィィィィィィィィィィィンッ!!!
麟「ぐうぅぅっ…!!」 ザザザ…
あ「な、何が起きて…!?」
に「高圧水流とバリアがぶつかり合って強い反発が発生しているんだ…!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…!!!
麟「けど…この程度なら!(グッ!!!)でやぁっ!!」
ズボアッ!!
に「あ、中に入った!!」
あ「お、お気をつけて〜!」
~水流の中~
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…!!!
麟「(スタスタ…)す、凄いなこの高圧水流…少しでもバリアを張る気を緩めたらバリアごと粉々にされそうだ…」
麟はゆっくりと高圧水流の中心まで歩みを進めた。
ザバァ…ッ
麟「(フゥ…)ここが水流の中心か。さて…水鬼様は呼びかけたら出て来てくれるかな?スー…おーい!水鬼様〜!!おーい!」
?『誰だ…俺の名前を気安く呼ぶ者は…!』
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…!!!
グラグラ…
麟「おととととと!?」
ザバァッ!!!
水鬼『俺の名を気安く呼ぶ者は誰だぁ!!』
麟「ぎゃーっ!!?水流の壁から鬼の顔が出てきたぁ!?」
鬼神長・水鬼のご登場だ。
水鬼『ん!?人間!?バカな…確かこの水流の中にはあの青い邪仙を閉じ込めていたはず…!小僧、あの邪仙をどこへやった!』
麟「あー…(ポリポリ)」それなんですけど、ここにいた邪仙なら逃げちゃいましたよ?(ゴソゴソ スッ)ほら証拠にあいつの名刺」
水鬼『んん…?(ジーッ)青娥娘々…!?お、おのれ!奴め、どうやってこの水流から逃げたのか…!?』
麟「水鬼様、貴方は霍青娥の能力をご存知無くて?」
水鬼『奴の能力…?ハッ…まさか、奴は地面に穴を開けて逃げたのか!』
麟「正解です」
水鬼『くっ…迂闊だった…!そうか、地面も壁のひとつ…いくら多重構造の水流壁を作ったところで、地面があっては脱出出来るのも当たり前か…!』
水鬼は自分の作戦が完璧だと疑わなかったようだ。故に地面も壁の1つという事を見逃してしまった。
麟「あのぉ…水鬼様?」
水鬼『な、なんだ?』
麟「差し出がましいかも知れませんけど、早くこの水流を止めてはくれませんか?ここを住処にしている河童達が入れなくてずっと困っているんですよ」
水鬼『そ、そうか…それはすまなかった…!もっと早く、奴が居なくなったことに俺も気付いていれば…すぐにでもこの水流は止めよう!』
麟「感謝します」 ペコリ
水鬼『…それにしても小僧、お前は随分と肝が据わっているな?いつら霍青娥が居なくなっている事を伝えに来たとしても、普通はこの高圧水流の中まで入ろうとは思わないだろう?』
麟「まぁ…普通はそうでしょうけど、友人が困ってるのを見過ごせないし…水鬼様がずっと気付かないでこのままってのも…ねぇ?」
水鬼『…その気持ち、痛み入る。さて…ここを去る前に小僧、お前の名前を聞いておこうか?』
麟「俺の名前は麟、華月麟です」
水鬼『そうか…!お前が噂によく聞く華月麟か!はっはっは!会えて光栄だ!我が名は水鬼、地獄の鬼神長の1人である。名前くらいは覚えておいてくれ』
麟「もちろん♪」
水鬼『では華月麟、さらばだ!』 バッ!!!
ゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ…!!!
ゴォォォォォォォォォォォォ…
オォォォォォォ…
シーンッ
河童『水流が…止まった…?』
に「盟友がやってくれたんだ…!」
あ「で、でも麟さんが戻ってきません…!」
ザッ…ザッ…ザッ…
あ「(ピクッ)この足音…!」
ザッ…!!!
麟「よう!待たせたな!」
麟は河童の住処から五体満足で出てきた。
に「盟友!」
あ「麟さん!」 ダッ!!
ダダダダダダダダダ!!
麟「あうん!?」
あ「(ピョンッ!)麟さ〜ん!」 ダキッ!!
麟「わぶっ!!?」
あ「アウンッ!!♪」 尻尾ブンブン!!!
うーん…あうんが狛犬ではなく、ただの大型犬にしか見えなくなってきた。
に「め、盟友…!よく無事に帰って来れたね!?」
麟「ははっ、意外と話の分かる鬼だったよ。あ、水鬼様から『約2週間、申し訳なかった。迷惑をかけてすまない』って伝言を貰ってるよ」
に「いやぁ…水鬼様も自分の仕事を全うしてただけだから、文句は言えないよ」
麟「とりあえず…これで一件落着かな?んじゃ、俺は帰るとしましょうかね。な、あうん」
あ「はい!」
に「あ…もう帰るのかい?何かお礼でも…」
麟「別に対価が欲しくてやったわけじゃないぞ?」
に「でもぉ…」
麟「はぁ…じゃあ1つだけ言うぞ」
に「なんだいなんだい!」
麟「守矢から頼まれてる仕事を一切の不具合無くキチンとやるように。それだけだ」
に「…!(ビシッ!)了解しました!」
麟「よろしい。んじゃあうん、帰ろっか」
あ「アウンッ!!」
スタスタ
河童達
『ありがとうございましたー!』 ブンブン!!!
に「またいつでも来てくれよー!」 ブンブン
麟「おーう!気が向いたらまた来るからなー!」 ブンブン
あ「河童の皆さんもお気を付けてー!」 ブンブン
こうして一連の出来事は、麟が水鬼の元へ直接赴いて話をするという形で幕を閉じた。
是非曲直庁に戻った水鬼は四季映姫に今回の件を話し、こっぴどく叱られてしまった。
しかし、鬼神長と真正面から対話を試みた華月麟の度胸の話は瞬く間に他の鬼神長達にも伝わり、華月麟の自身の命を顧みない行動に対してかなりの高評価をしており
『華月麟よ
お前の身に何かあれば我々がお前を助けに行こう』
というとんでもない声明文を博麗神社に送り付けるほどであった。
霊「ねぇ麟…あんた、また余計な事したでしょ…」
麟「俺は友達の事を思って行動しただけでしゅ…」
華「鬼神長に気に入られてこんな声明文を送られてくるなんて…相当ですよ!?」
針「流石は麟だね!」
あ「尊敬します!」
麟「あざーっす!」 ペコリ
霊「尊敬しちゃダメだから!」
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