華月麟の幻想記   作:華月麟

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仙人になった理由

耳「どうぞ、おかけ下さい」

 

華「あ、どうも…(スッ…)これ、華月麟からのお土産です」

 

耳「おや…わざわざすみません(ガサガサ)…これは(クンクン)甘味ですか…」

 

華「皆さんの分を作ったと言っていましたよ?」

 

耳「そうですかそうですか…屠自古、彼女にお茶をお出しして。それと、貴女達も麟君の甘味を味わうといい」

 

蘇「(ゴクリ…)麟の手作り甘味か…!「屠自古、聞いてる?」ハッ…す、すぐに持ってくる!」 ピューンッ!

 

屠自古は麟の手作り甘味に夢中で神子の呼び掛けに一瞬気付いていなかった。

 

 

 

 

 

 

コトッ…

 

 

蘇「どうぞ」

 

華「ど、どうも…」

 

耳「布都、屠自古、麟君からのお土産甘味だよ」 スッ…

 

蘇・布「「わーいっ!」」 ピューンッ!

 

神子から麟お手製のスイーツを手に取った屠自古と布都は、どこかへと行ってしまった。どこ行くねーん

 

華「…(汗)」

 

耳「あはは…彼女達もまだ修行の身、優しい目で見てあげてください…」

 

華「まぁ…お2人の気持ちはよく分かるので、私は何も言いませんよ…」

 

耳「どうも…では、早速食べてみますか」

 

華「そうですね」

 

カチャ…

 

華・耳「「あー…」」

 

パクッ…

 

モグモグ

 

華・耳「「お、美味しい…!!」」

 

どうやら麟お手製のスイーツは好評のようで

 

耳「チョコという甘味の香りがするからかなり甘めの甘味かと思ったら…そんなに甘みもしつこくなく、それどころかほのかに苦味を感じる…?」

 

華(パァァァァァ…モグモグ…)

 

耳「…えっと、華扇さん?今回、何用で神霊廟に来たのか聞いてなかったのですが…」

 

華「…ハッ!?ご、ごめんなさい…!///あまりにもこの甘味が美味しくて…///」

 

耳「あはは…お気持ちは分かります…」

 

華「それで…ここに来た目的なのですが、同じ仙人である貴女に会いに来たのが1つ、もう1つは…」

 

 

「「貴女はどうして仙人になろうと思ったのですか?」」

 

 

耳「…なるほど、仙人になろうと思った理由を知りたいのですね?」

 

華「えぇ…同じ仙人同士、なろうと思った理由は知りたいものです」

 

耳「そうですねぇ…簡単に言ってしまえば」

 

 

ニィッ…

 

 

「「私は人という存在を超えた者になりたかった。ただそれだけです」」

 

 

華「…なるほど」

 

耳「貴女だって、そうでしょう?」

 

華「まぁ…強く否定は出来ませんね。では追加でもう1つ、何故貴女は弟子を取るのですか?やはり…その力を見せつける為に…?」

 

耳「いえいえ、そんなものではありません。私は本来、弟子を取るつもりはありませんでしたが…今は"特別"に弟子を取っています」

 

華「…特別に?」

 

耳「今の人間は、希望を失って心が荒んでいる者が多すぎる。誰かが正しい道に導かなければ、その者は間違った道を進んでしまうだろうと思いましてね」

 

華「…つまり、荒んだ心を持つ人々を導く存在になりたいと?それとも宗教ぽく信者を集める為…?」

 

耳「さぁ…どちらでしょう?」

 

華「…人を救う能力を持つ者は、救うべき人を救わなければいけないと思うのですが…?」

 

耳「まぁ、言いたい事は分かりますけど…宗教ぽく見せるのは人々が信じ込みやすくする為なんですよ。宗教も方便ってね♪…あ、確か方便って仏教用語でしたね」

 

華「…」

 

耳「まぁ…仙人になっても、私には超えられない者が1人います」

 

華「貴女でも超えられない者…?」

 

 

耳「…華月麟ですよ」

 

 

華「…!」

(また華月麟…彼は本当に何者なの…?)

 

耳「彼は、私の到達すべき道に到達している人間なのですよ」

 

華「到達すべき道…?」

 

耳「噂程度に聞いたのですが…彼は闇を自分の手足のように使う事が出来るとか?貴女も聞いた事ありません?」

 

華「ま、まぁ…私も噂程度に」

 

耳「私が思うに、闇という物は自分の欲望そのものだと思っているのですよね。しかし彼はその闇を完全に我が物として使いこなしているとか…」

 

華「は、はぁ…」

 

耳「闇というものはそう簡単にコントロール出来るものではない…下手をすれば闇からもたらされる欲に飲み込まれて暴走するというのがオチです」

 

華「でも彼は、それを容易くコントロールしている…と?」

 

耳「ええ、そうです…私はこの世界に来て迷える人々を導こう…!と思っていましたが、逆に今は…あの人から〖どうすれば自身の闇をコントロール出来るか〗という教えを乞いたい程ですよ」

 

華「ははは…なるほど…」

 

相変わらず人外にも慕われる華月麟のスケールの壮大さに、流石の華扇も苦笑するしかなかった。

 

 

 

 

 

華「…それでは、今日は突然お邪魔してすみませんでした」 ペコリ

 

耳「いえいえ、良い会議になりましたよ♪」

 

約30分程の対話を終え、そろそろ帰宅する時にやってきた。

 

耳「…あ、貴女に質問なのですが、貴女も仙人なのでしょう?さぞお弟子がなかなかいるので?」

 

華「え?あ、あぁ…私には弟子なんていないですよ?屋敷にいるのは動物くらいですし」

 

耳「なるほど動物ですか…!流石です!」

 

華「…はい?」

 

耳「物言わぬ動物を弟子に取る…まるで龍に慕われた馬師皇のようです…!人間に命令するより遥かに優れていますからね!」

 

華「…まぁ、貴女はそう思うかもしれませんが…動物も物は言います。私にはその声がよく聞こえ、私の声もよく届きます」

 

耳「…なるほど、これは敵いませんね」

 

華「あ、今更ですが…私が仙人になった理由を教えていませんでしたね」

 

耳「あ、そうでしたね。改めて聞きますが、何故仙人に?」

 

華「私は….」

 

 

「「人に近づきたかった…ただそれだけです」」

 

 

耳「…ふっ、そうですか」

 

華「ええ♪」

 

耳「まぁ…貴女がどんか活動をしていくのかは貴女次第ですが…これだけは忠告しておきます」

 

華「なんでしょう?」

 

 

耳「「華月麟を敵に回してはいけない…」」

 

 

華「…!」

 

耳「(ニコッ)それだけです」

 

華「…忠告ありがとうございます。それでは」 スタスタ

 

耳「お気を付けて♪」 フリフリ

 

 

 

 

ザッ…ザッ…ザッ…

 

 

華「…」

 

 

 

勇儀

『麟にだけは気をつけな』

 

耳『華月麟を敵に回してはいけない』

 

 

 

 

ザッ…

 

 

華扇はこの2日間で忠告された言葉を思い出し

 

 

華(確かに彼は凄まじい力を持っている…。でもどうして…鬼や仙人ですら彼を恐れるの…?)

 

 

…と静かに思った。

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