華月麟の幻想記   作:華月麟

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守矢神社のロープウェイ

~守矢神社・鳥居下~

 

 

ワイワイ♪

 

守矢神社では、新年の初詣に合わせてロープウェイ開業をすると人里で話題になり、沢山の参拝客が押し寄せていた。

 

麟「うへぇ…凄い人の数、まるでヌーの大群が大移動してきたみたいだな…」

 

 

 

に「いらっしゃいいらっしゃい♪温かい飲み物はいかがかなぁ!?」

 

河童達

『小腹を満たせる軽食はいかがですか~!』

 

『こっちは射的とかもやってるよ~!』

 

『おぉっと、こっちは美味しい饅頭があるよ~!』

 

 

鳥居下ではにとり達河童が出店を開いており、ロープウェイが動くまでの待ち時間を参拝客達は潰していた。

 

麟(しっかし…なんでにとり達がここでこんなにも出店を…?しかも…出店のどれもが長い待ち時間を過ごすにはピッタリなジャンルばかり…)

 

麟はほんの少しだけ…『河童達の出店が多いのでは?』と疑問を抱いていた。

 

 

スタスタスタ…

 

諏訪子

「え~皆様、本日は守矢神社にお越しいただきありがとうございます。大変お待たせして申し訳ございませんが、現在"天候不順"の為…運転を見合わせております。もうしばらくおまちください」

 

 

諏訪子が拡声器を使って、参拝客全員にそう呼びかけた。がしかし…

 

 

ザワザワ…

 

 

『こんな馬鹿ッ晴れだってのに天候不順だって?』

 

『どこをどう見たらそう見えるのかしら…?』

 

『まあ…今日が初運転ってのもあるんじゃないか?』

 

『もう少し、屋台でのんびりしましょうかね…』

 

 

参拝客達の言う通り、今日はとても快晴なのである。それなのに天候不順と言われたので、全員『何言ってんだ?』と思うのは当然だろう。

 

 

数分後…

 

 

『おいおい、いつになったらろーぷうぇいには乗れるんだ?』

 

『実は故障していて…それを隠したいとか…?』

 

 

参拝客達も、流石に我慢の限界が近づいていた。

 

 

諏(スタスタスタ)

 

諏訪子が再び参拝客達の前に現れ

 

諏「えーと…ご報告があります。先ほど、天候不順と申してましたのは実は"天狗風"の事なのです」

 

『えぇっ!?』 ザワッ…

 

麟「天狗風?」

 

ロープウェイが動かせない理由を、参拝客全員に伝えた。

 

諏「皆様も知っての通り、妖怪の山には妖怪だけでなく天狗も住んでいます。朝からロープウェイに乗った参拝客達を襲おうと天狗達が企んでいるという話がこちらにやってきて、安全の為に運転を見合わせておりました」

 

『て、天狗なんて危険じゃないか!』

 

『お、おい見ろ!』 ビシッ

 

参拝客の1人が空に指を差し、全員が空を見上げると

 

 

ビュオォォォォォォォォォォォォォォッ!!!

 

 

空に大きめの竜巻が発生していた。

 

『て、天狗風よ!』

 

『あ、あの中に天狗がいるんだ!』

 

と、参拝客達は口々に言うが…

 

麟「…」

(生命反応無し…ただの竜巻じゃないか)

 

彼だけは、竜巻の中には誰も居ないという事に気が付いていた。

 

諏「皆様、ご安心ください!我ら守矢神社の御神体は風の神でもあります!」

 

 

 

「「その通り!!」」

 

 

 

参拝客達

『!?』

 

 

ヒュゥゥゥゥ…

 

 

神奈子

「我が守矢の信仰者に手を出さんとする天狗は…この八坂神奈子が始末してくれよう!!」

 

 

まるでこの時を待っていたかのように、神奈子が威勢を張って登場。

 

 

ジャキンッ!!

 

神「御柱『オンバシラバンカーバスター』!!」 キィィィィィィィン…ズドンッ!!!

 

 

グオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ…!!!

 

ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァンッ!!!

 

ヒュゥゥゥゥ…

 

 

参拝客達

『『おぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!』』

 

神奈子は天狗風に対して強力な一撃をお見舞いした事で、天狗風はその場から跡形も無く消え去った。

 

 

神「聞け、皆の衆!索道の安全は、この八坂神奈子自らが保証しよう!あのような下劣極まりない考えを持った妖怪がいたとしても、この私がいる限りそうはさせん!最大限の安全な高みから眺められる、優雅で美しい旅が出来ると約束しよう!」

 

 

『美しい旅が出来ると約束?…てことは!』

 

 

神「長らく待たせて申し訳なかった!これより守矢神社の索道運行を開始する!!」

 

 

参拝客達

『『わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!』』

 

そして遂に、待ちに待った守矢神社のロープウェイ運行が開始した。

 

麟「はは~ん…そゆことね」

 

そして麟は、今回の件で気付いた事があった。

 

 

~守矢神社~

 

 

ザワザワ…

 

 

早苗

「わあわあわあ!?いきなり凄い数の参拝客がぁ~っ!♪」

 

先程までほとんどいなかった参拝客が、ロープウェイ運行開始と同時にどんどん上がってるので、早苗はお守り売りに大忙し。

 

諏「ほらほら、私も手伝うから頑張って早苗!」

 

早「は、はぃぃぃぃっ!」

 

あまりの忙しさに諏訪子も、売り子として緊急参戦!2人でテキパキと参拝客をさばいていく。

 

神「ふっ…ロープウェイ開通は大成功だな」

 

一仕事を終えた神奈子は、ロープウェイ開通イベント大成功の喜びを噛みしめていた。

 

ザッザッザッ…

 

麟「お疲れ様、神奈子さん」

 

神「おや、麟じゃないか!わざわざ初詣にここまで来たのかい?」

 

麟「というよりかは、ロープウェイ開通を見に来ただけ」

 

神「という事は…私の勇士を見てくれたんだな?」

 

麟「かっこよかったよ」

 

神「あぁん…お前からは『可愛い』とか『美しい』と言われたいねぇ…?♡」 ダキッ…♡

 

麟「[ダキッ]ワブッ!?」

 

神「はぁ…♡新年から麟を抱きしめられるとは…今年は良い年になりそうだよ♡」

 

麟「ブハッ…!!それはなにより…それはそうと、今回は信仰心を集める為に随分と策を考えたんだね?」

 

神「信仰心を集める為に策を?ははっ、麟は面白い事を言うね?一体何の事を…」

 

麟「なんで河童達がロープウェイ前で出店を沢山開いてたのか、神奈子さんが出てきたと天狗風が発生した瞬間にすぐ分かったよ」

 

神「…ほう?」

 

 

麟「最初から全部仕組まれてたんだ。河童は〖ロープウェイ前の屋台とロープウェイ建設、その整備で大儲け〗、天狗は天狗風を人間の目の前で発生させる事で〖妖怪としての威厳、存在感を人間達に知らしめる〗それだけじゃない…〖自身のテリトリーに人間が入らないよう、恐怖心を植え付けた〗ってとこかな」

 

 

神「…」

 

 

麟「そして…〖守矢神社の御神体自身が天狗風を消し去る事で、参拝客、信仰者を増やして守矢の神格を高める〗。どれもこれも偶然じゃない、予め入念に計画されていた事だ。そうだろ?」

 

 

神「…ふっ、何故分かった?」

 

麟「いくつかある

 

1つ、河童の出す屋台がやけに多かった事

2つ、天気が良いのに天候不順と言っていた事

3つ、天狗風の中に、そもそも天狗が居なかった事

4つ、御神体自らが現れた事

5つ、その御神体自ら天狗風を撃退、安全を確保した事

 

これくらいかな」

 

神「…」

・険しい表情

 

麟「あ~…気付かない方がよかった?」

 

神「(テヘッ♪)バレちゃったか♪」

 

麟「ホッ…」

 

神「なぁに、天狗と河童の双方に利益がもたらされるように話を持ち掛けたら…結果はどうだ?双方共にあっさり私の計画を飲んでくれたんだ」

 

麟「まあ…お互いに利益がもたらされるなら、手伝ってくれはするんじゃない?俺目線で見ても、全員がウハウハになれるって感じのオチだったし。それにしても凄い事を考えたね?」

 

神「ははは!博麗神社もこんな感じの事をやれば、参拝客はもう少し来るんじゃないか?」

 

神奈子は遠回しに『博麗神社もやってみなよ』と誘ってみるも…

 

麟「いや…博麗神社は今のままでいいんだよ」

 

神「おや…そうかい」

 

彼にそう一蹴されてしまった。

 

麟「程よく参拝客が来てくれて、沢山の友人が博麗神社に来てくれる…それでいいんだよ。それこそが博麗神社なんだから」

 

神「でも、博麗神社としての力を見せれば…信仰は増えるかもだぞ?」

 

麟「神奈子さんは分かってないなぁ…」

 

神「え?」

 

 

麟「「力ってのは誰かに見せびらかす物じゃない、大切なもの達を守る為に使う物だ」」

 

 

神「…!ははは…こりゃ一本取られてしまったな…」

 

麟「まあ、他人に迷惑かけない程度にやりなよ?それじゃ」 ザッザッザッ…

 

神「あ…!?」

 

ロープウェイ開通を見守った麟は、力とは何なのかを神奈子に説いて…守矢を後にした。

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