華月麟の幻想記   作:華月麟

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フランのバレンタインデー

翌日…

 

 

麟「ふっふふ~ん♪」 ルンルン♪

 

 

遂に訪れたバレンタインデー。この日を待っていた麟はウキウキな足取りで、台所へと向かっていた。

 

 

~台所~

 

 

「うーん…早く焼けないかな…」

 

ガチャ

 

麟「遂にこの日がやってき…って、フラン?」

 

フ「あ…!?お、お兄様…!」 アタフタ…

 

麟「???」

 

台所に到着すると既に先客が居た。フランは麟の顔を見るやアタフタと慌て始めていた。

 

麟「おはよっさん」

 

フ「お、おはよう…♪随分と早く起きたんだね…?」

 

麟「そりゃ、俺はこの日をずっと待っていたからな。そういうフランも珍しく早起きだが、ここで何してるんだ?」

 

フ「わ、私はその…」 モジモジ…

 

麟「…?(クンクン…)ん?なんだか香ばしい香りがするような気が…」

 

フ(ビクゥッ!?)

 

麟「でも俺は、昨日のうちに全ての準備は終えた…。そして咲夜はまだ寝ているからオーブン等は動いていないはず…だが動いているから…となると?」 チラッ

 

フ「あ…あう…」

 

麟「フラン、お前がオーブンを使ってるんだな?」

 

フ「べ、別に使ってなんか…「怒らないから正直に言いな」うう…使ってます」

 

言葉で誤魔化そうとしても、香ばしい香りが台所中に広がっている為に隠せもしない。

 

麟「珍しいな、お前がオーブンを使うなんて…お腹が空きすぎて自分で朝飯でも作ってるのか?」

 

フ「う、ううん…違う…」

 

麟「違うのか、じゃあなんだろうな…?」

 

フランが何故オーブンを使っているのか、その理由を考えていると

 

 

チーンッ

 

 

フ「あわわっ…!?」

 

麟「あ、なんか焼けた」

 

オーブンの過熱完了音が鳴った。

 

フ「ゆ、ゆっくり取り出さないと…!」 グイグイ

・ミトン装着

 

麟「おうおう、なんか慌ただしいな?」

 

ガチャ…

 

ズズズ…ッ

 

フ「ゆっくり…ゆっくり…」 ソローリソローリ…

 

フランはオーブンからゆっくり慎重に焼いた何かを取り出した。

 

麟「はてさて、何が出てくるのかな?」

 

フ「うぅ…上手に作れなかったかも…」 ボソ

 

麟「なんか言ったか?」

 

フ「え、えっと…お兄様…」

 

麟「うん?どうしたフラン、そんなテンションだだ下がりな顔して」

 

フ「その…受け取って欲しい物があるの…」

 

麟「受け取って欲しい物?」

 

フ「うん…」 スッ…

 

コトッ…

 

麟「…これは?」

 

フランがそう言って取り出したのは、少し歪な形をして、所々焦げてしまったアップルパイだった。

 

フ「お、お兄様がバレンタインチョコを作ってるって聞いて…私もお兄様の為に何か作れたらいいなって思って作ったんだけど…失敗しちゃった…」

 

麟「失敗…ね。フラン、お前はこのパイをどう思ってるんだ?」

 

フ「正直…美味しくないと思う…所々失敗しちゃったし、焼き過ぎて焦がしちゃったし…」

 

麟「そうか…どれどれ?」 ヒョイ

 

フ「!?」

 

フランが『美味しくないパイを作ってしまった』と言うので、彼はそれが本当かどうか見定め始めていた。

 

麟「ふむ…ちゃんとパイ生地は下まで焼けている、しかも破裂しないように穴も開けていたからパイ自体に問題無し…」

 

フ「お兄様…?」

 

麟「外側の生地もしっかりと火が通ってる。見た目も完璧だし、焼き加減、焼き具合も申し分無し…。フラン、小さめのナイフ持ってこい」

 

フ「ナイフ…?(ゴソゴソ)は、はいナイフ」

 

麟「ありがとう。ではフラン、俺から1つ問題を出すから答えてくれ」

 

フ「問題…?」

 

麟「ではいきます」 スッ

 

 

カリッカリッカリッカリッ…

 

 

麟はフランが出してくれたナイフを使ってパイの表面を優しく擦り、フランにその音を聞かせた。

 

麟「問題、この音…お前にはどういう風に聞こえる?」

 

フ「うぇっ…?!えっと…その…」

 

カリッカリッカリッカリッカリッ…

 

麟「率直に答えりゃいいさ」

 

フ「え、えっと…すごくサクサクしてるように聞こえる…?」

 

麟「正解だ。パイを焼く工程で、この音が1番大切だ。この音は、しっかりとパイ生地が焼けて、尚且つサクッと仕上がった事を意味しているんだ。だから…」

 

フ「…?」

 

 

麟「「もっと自分の作ったパイに自信を持て。初めてパイを作ったとは思えないほど、お前のパイの出来上がりは最高なんだから」」

 

 

フ「っ…!」 ウルッ…

 

麟はフランの作ったパイを、ただただ褒め続けた。

 

麟「さてさて、味の方はいかがかなっと」

 

ザクッ…ザクッ…

 

フランのアップルパイは、切る度に心地好い音を奏でる。

 

トローリ…

・カスタードこんにちは

 

麟「うっひょ!カスタードアップルパイとは、これまた粋だねぇ♪」 パクッ

 

サクサク…

 

フランのパイを1ピース口に運び、ゆっくりと噛み締める。噛み締める度に、パイ生地がサクサクという音を奏でながら砕けていく。

 

フ「…お、美味しい?」

 

麟(ジッ…)

 

フ「(ビクゥ!?)や、やっぱり美味しくなかったよね…」

 

麟「(ニィ♪)最高だよ♪」

 

フ「…え?」

 

麟「リンゴの酸味とカスタードの甘さが絶妙なバランスで堪らない、パイは中までしっかり火が通っているから凄く暖かくて美味しい」

 

 

「「今まで食べてきたパイの中で、1番このアップルパイが美味いよ♪」」

 

 

評価は120点。

 

フ「っ…」 ウルウル…

 

麟「(モグモグ)このアップルパイ、全部貰ってもいいか?」

 

フ「うんっ…!お兄様の為に作ったアップルパイ、全部食べて…っ!」 ポロ…ポロ…

 

麟「ありがとう。ていうか泣くなよ、美味かったんだから」

 

フ「だって…初めて作ったパイ、美味しいって言ってくれたから…私、全然自信なくて…!」

 

麟「そうかそうか(モグモグ)にしても美味いなぁ♪」

 

フ「えへへっ…!」 スッ…

 

 

chu♡

 

 

 

麟「ん?」 モグモグ

 

フ「口周り、食べかす着いてたから…♡」

 

麟「そんなもん気にしないくらい、美味いよ。今度一緒に料理するか?」

 

フ「うん!♡」

 

 

 

 

 

 

フランの作ったアップルパイをゆっくりと味わいながら平らげ…

 

 

 

 

 

麟「ケフッ、ごっそっさんした!」

 

フ「お粗末さまでした♪」

 

麟「んじゃ、俺もそろそろ行動に移りますかな」

 

フ「お兄様のバレンタインチョコ!」 wktk

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