紫「貴方の名前は何がいいかしら!」
と紫さんはウッキウキの声で俺に話してくる。
歌「いや、俺の名前なんで俺が決めさせてくださいよ…。あと…紙と書く物ありますか?」
紫「えぇあるわよ」 スッ…
・スキマから紙とペンを差し出す
その時、紫さんは何も無いはずの空間に何かの空間を開き、紙と鉛筆を取り出した。
歌「な、なんですか?!今のは!?」
紫「この幻想郷には能力を持つものがいる世界なのよ」
歌「能力?」
紫「そうよ、私の能力はスキマを操ったり境界を弄ることが出来る能力なの、と言ってもあまり分からないでしょうけど…」
歌「ま、まぁそういうのがあるんですねと割り切りますよ…」
俺は紙に自分の名前を4分割して書いた。
「華」「咲」「歌」「音」
紫「それが貴方の名前なのね?」
歌「ここから文字を選んで俺のこれからの名前を作ります」
(しかしどういう名前がいいか…)
…名前を考えるのってこんなに面倒くさくて難しいんか?全く良い名前が思いつかないんですけど?
歌「とりあえず〖華〗だけ使いますかね… 華…華…」
俺は考えながら居間の外の空を見上げた、そこには美しい満月が照らされていたのだ。
歌「華…月 かげつ! 華月でかげつだ! あとは…」
紫「ふふっ♪楽しそうね♪」 ナデナデ
歌「…!」
俺は優しく紫さんに頭を撫でられてきたがどこか悪い気はしなかった、むしろ心地良さすら感じていた、そりゃそうだろう?まともな愛を自分の親から貰えなかったのだから。
歌「華月…りん? そうか!」 カキカキ
なんでかよく分からないが、咄嗟に麟という言葉が思いついた。俺は思いついた名前を紙に書き記した
「華月麟」
と。
麟「俺の名前は華月…華月麟!」
紫「また女の子みたいな名前ね…もう少し違うニュアンス的なのはなかったの?」
麟「だから…俺の名前なんだから俺が決めさせてくださいってば」
俺は軽く笑いながら反論した…別にこの名前、結構良くない?
紫「まぁ貴方がそれでいいならそれでいいわ、華月麟…これから貴方は幻想郷の一員よ」
麟「っ…!」 ウルウル…
と紫さんに言われて俺は思わず泣いてしまった、そしてそれを見た紫さんは何故かアワアワとしだした。
紫「ど、どうしたの!?何か私嫌なこと言ってしまったかしら!?」
パタンッ
襖が開く音が聞こえ、藍さんと橙が入ってきた。
藍「紫様…一体、子供に何をすれば泣かせるんですか?」
橙「紫しゃま酷いですよ〜!?」
2人は少し軽蔑したような視線を紫に送っていた。それに対して紫さんは大慌てで言い訳をしていた。
紫「ち、違うわよ!?慰めのつもりで話していたら突然…」
麟「あぁ…すいません(グイッ)今まで誰かに受け入れられるという経験が無かったのでつい…泣いてしまいました…」
紫「…」 ギュッ
ナデナデ…
そう答えた瞬間、紫さんに抱きしめられ、頭を撫でてくれた。
麟「ゆ、紫さん…?」
紫「大丈夫よ…もうあんな辛い事は二度とされないわ…」 ナデナデ
紫さんの抱擁は、どこか懐かしいものを感じていた。
麟「(ギュ…)…zzZ」
紫さんとは血の繋がっていない赤の他人ではあるが、何故だか本物の母親の温もりのようなものを感じていた…
紫「…あら?麟?」
麟「すぅ…すぅ…」
藍「どうやら眠ってしまったようですね…」
紫「きっと、私達の想像もつかないような苦しい毎日を送ってきたのね…」
藍「ですが…今の麟は、とても穏やかな寝顔をしていますよ」
紫「ふふっ…本当ね?」 ナデナデ
麟「すぅ…すぅ…」 ギュッ…
俺はつい安心しきってしまい…そのまま抱き返して、いつの間にか紫さんの抱擁の中で眠りについてしまっていた…。