そして翌日、幻想郷中にとんでもない号外が広まった。
〖文々。新聞緊急号外!〗
最近、様々な事件を起こしている事で話題を呼んでいる〖華月麟〗が行方不明!
博麗神社の巫女・博麗霊夢に取材をしたところ
「今朝起きたら、『しばらく姿を消す』とだけ書かれた紙が置かれていた」
との事。果たして、華月麟は何処へ!?
そしてもう1つ!
博麗神社に新たな巫女が誕生!?
彼女の名前は〖黒百合 亡〗。最近、博麗霊夢に弟子入りをした新米の巫女という情報が!
という、とんでもない内容の号外が射命丸文の手によって幻想郷中に広まったのだ。
まあ…真実を言ってしまえば、これは摩多羅隠岐奈と八雲紫、そして華月麟による
〖しばらく本物の華月麟が幻想郷から居なくなれば、偽物の華月麟が再び動き出すのでは?〗
という策略で、わざとこんな内容の号外を射命丸文に作らせたのだ。もちろんこの事実を知っている者は極わずかであり、ほとんどの者達は真実を知らない。それはもちろん彼の義妹達も同じ事である。
~博麗神社~
霊「(ズズッ…)しっかし、とんでもない号外を作らせたものね…」
紫「仕方ないでしょう?あの子がそうしろって言ったんだから」
霊「…それにしても」 チラッ
亡「ふっふふ〜ん♪」 サッサッサッ
・楽しそうに掃き掃除中
霊「…満喫し過ぎでは?」
紫「自由に動けるのが、相当嬉しいのよ♪」
黒百合 亡という新たな姿を手に入れた翌日、もう冷たい目線を貰う事が無くなった黒百合は、自由に動ける喜びを味わいながら神社の掃き掃除を嬉々としてこなしていた。
ヒュゥゥ…スタッ
魅魔
「おっ!新しい巫女発見〜♪」
亡「あら魅魔さん?」
霊・紫
「「げっ…」」
華に変装魔法を教えた張本人が博麗神社に訪問だ。
魅「(ジーッ…)ふーん、あんたが黒百合 亡だね?」
亡「そうですけど、何か私に御用でも?」
魅「…いや、まさか私の技がこんな形で役立つ日が来るとは思わなかったよ」
亡「あら…私は感謝してますよ?おかげでとっても自由に動けますので♪」 ニコッ
魅「亡がそんな嬉しそうな顔をしてくれるなら、私も教えた甲斐があるってものさ♪それにしても…似合ってるじゃないか♪」
亡「ふふっ♪」
<キャッキャッ♪
霊「麟ったら…随分と女性喋りが上手いのね…」
紫「あー…私もそれは少し思っていたのよね」
居間で亡と魅魔の会話を聞いていた霊夢と紫はただ不思議に思った…華は元々男性だというのに、あまりにも女性のような喋り方が自然と出来すぎている事に。と思っていたら
ギュアーンッ…!! スタッ
純狐
「霊夢!八雲紫!我が息子が行方不明とは本当になのですか!?」
霊・紫
「「ゲゲッ!?」」
魅魔なんかより遥かにヤバい御方が博麗神社にやって来てしまった。華が行方不明という号外を目にして、どうやら博麗神社にすっ飛んできたようだ。
純「どうなのですか!?」
霊「ま、まぁ…号外通りよ」
紫「え、えぇ…号外通りよ?」
純「やはりか…!?聞きましたよ…最近人里で、息子の名を騙る愚か者が居たと…!おのれっ…!母であるこの私が必ずそやつを見つけ出し、この手で始末してくれる…!」 ワナワナワナ…!!
紫「お、落ち着きなさい純狐!?」
霊「こんな人里であんたの純化パワーを発動しないで!?」
純「分かっています…!ですが私の怒りは収まりません…!この怒りは…!」 ワナワナワナ…!!
純狐が息子の名を騙る偽物へ対する怒りを剥き出しにしていた時
オォォォォォォォォォォォッ…
純「(ピクッ)…こ、このオーラは…!?」 バッ!
とあるオーラを感じ取り、そのオーラの方向へと視線を向けると
魅「それで、結局そっちと魔法使い、どっちが好みなのかしら?」
亡「そうですね…私はやはり魔法使いの方が好みですね?」
魅「やっぱりそうか♪」
魅魔と楽しそうに会話を交わす亡の姿があった。
純「ま、まさか…!?」 ザッ…ザッ…ザッ…
霊「あっ…ちょっと…!」
紫「良いのよ霊夢。純狐の好きにさせてあげて?」
霊「あんまり大勢に正体がバレたら…!」
紫「貴女も私や純狐の立場になれば分かるわよ?大切な人が居なくなる辛さを」
霊「…い、言われなくても私にだって分かるわよ」
紫「なら…ね?」
霊「…分かったわよ」
ザッ…!!
純「そ、そこの貴女!」
魅「ん?あ、純狐じゃん。どうしたのよ?」
純「魔法使いに用はありません!私は、隣に居るそちらの巫女に用があるのです!」
亡「え、私ですか?」
純「ええそうです…」 ザッザッ…
純狐は亡に近づき
純「…」 ジーッ…
亡「?」 キョトン
純「…」 ジーッ…
亡「?」 キョトン
ただひたすらに亡を見続けていた。
純「…」 ジーッ…
亡(ニパッ♪)
純「…!おお…我が子よ…!」 ダキッ!
亡「のわっ!?」
そして亡が見せてくれた笑顔だけで、亡の本当の姿が分かったのだ。
純「おお我が子よ…!母はとても心配しましたよ…!」
亡「あ、あはは…すいません…」
魅「よくもまぁ笑顔ひとつだけで分かったわね?」
純「我が子の笑顔を忘れるなんて事、母は絶対にしません!」 キリッ
亡・魅
「「おーっ」」 パチパチ
純「それにしても…どうしてそのような格好を…はっ!?まさか我が子の名を騙る愚か者を見つけ出す為に…!」
亡「…その事は、他言無用でお願いします」 ヒソヒソ
純「分かりました。我が"娘"の願いとあらば、母は守りましょう」
亡・魅
「「ん…?我が娘?」」
純「あら、今の我が子は娘ですよね?」
魅「ま、まあ確かにそうと言えばそうだけど…」
亡「順応するのが早いというかなんというか…」
純「ふふ♪我が娘よ、貴女はいつだって母の大切な娘です♪」 ナデナデ
亡(あー…これ以上話をしても聞いてくれないパターンだこれ…)
魅(これ以上触れるともっとめんどくさくなりそうだから、もう触れるのはやめておこう…)
亡と魅魔は、改めて純狐という存在が恐ろしいものだと心の中で思ってしまった。