華月麟の幻想記   作:華月麟

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蓬莱人

ガラッ‼

 

襖の先にあったのは〖御座〗と呼ばれる場所だった。

御座の後ろには〖御帳台〗があり、絹製の垂れ布がかかっていた。暗くてあまり、よくは見えないけれど誰もいなそうだった。

 

麟「なんだ…誰もいないのならここに用は無いかな?しけてんなぁ…」 クルリ

 

そう言い、俺は部屋を出ようとした。

 

 

?「お待ちなさい…」 ボソッ…

 

 

麟「!?」 ビク!?

 

後ろから声が聞こえて来た。恐らくは御帳台の所に誰かいるのだろう。

 

麟「(クルッ)俺に何か用か?」

 

 

?「貴方は誰ですか?私の従者達が、ここには誰も通さないように見張っていたはずですが…」

 

 

質問が二つほど来たな…

 

麟「俺の名前は華月麟、博麗神社からここまで来た。それと部屋の前には誰もいなかったよ。俺達は5人くらいでここにきて三手に分かれたから、恐らくは見逃してしまったんだろう」

 

?「そうですか…自己紹介がまだでしたね?私の名前は〖蓬莱山輝夜(ほうらいさんかぐや)〗です」

 

蓬莱山輝夜?元・月の姫様が何でここに居るんだ?

 

麟「俺からも質問してもいいか?」

 

輝「構いませんよ」

 

麟「何で蓬莱の薬なんて飲んだんだ?大罪だと知っておきながら」

 

輝「あら…随分と無礼な事を聞くのね?」

 

麟「俺はそういう常識は生憎、持ち合わせていないんでな。平気で質問するさ」

 

失礼なのは承知の上だ。ただ純粋に聞きたくなった。

 

輝「まあそういうのも嫌いではないわ♪私は月のいたころから我侭放題で世間知らずな箱入り娘でした。その一方で人見知りせず、天真爛漫また、好奇心も旺盛でした。ある時、地上の存在を知ってとても興味を持ちました。それと同時に同じ月の民達が自意識過剰で常に全てを穢れと称し、見下す態度に嫌気がさしました。…大罪を犯して、月から出ていくことができ、自由に広い世界を旅することができるのであれば安いものです」

 

やっぱり、月の民の中にも嫌気を感じる者が少数はいるんだな…。

 

皮肉だな、同じ月の民なのにその思考を理解してもらえないなんて。

 

麟「もう一つか二つほど聞かせてくれ。まず一つ目は、何で月を偽物にすり替えて異変を起こしたんだ?」

 

一番重要なのは、この異変の起こした理由だ。

 

輝「私の兎の従者、優曇華から聞きました。満月の晩に月の従者がやってくると。私の従者達は、帰りたくもない月へ私を連れて行かせないように今回の異変を起こしたのです」

 

なんだろう、紅魔館の夕立異変に近いものを感じる。

 

今回の場合は帰りたくもない月に帰らせない為に従者達が事を起こして、妖怪達や結界に大きな問題を発生させてしまったってわけか…。

 

麟「二つ目、ここの屋敷の名前って何なんだ?」

 

輝「…普通、それを先に聞いてからさっきの質問を聞かないかしら?」

 

ごもっともで何も言えません…。

 

麟「あはは…俺は重要な方を優先するタイプでね…」

 

輝「ここの屋敷の名前は永遠亭よ」

 

麟「永遠亭…ね」

 

不老不死の永遠とかけてるのかな?

 

麟「それじゃ…後は」

 

 

スタスタスタ

 

…ペラッ

 

 

輝「な、何を?!」

 

俺は垂れ幕を開いて輝夜が居る御座に侵入した。

 

麟「ふぅん…まさに平安時代のお姫様ってところだな」

 

平安時代のような着物に、前髪は眉を覆う程度の長さのぱっつん系かな?それに後ろ髪は腰くらいまでありそうだ。

 

輝「貴方…こんなことをしてただで済むと思っているのかしら?」

 

麟「俺も貴女と同じだ、死ぬのなんて怖くは無い」

 

輝「貴方は…死んだらそれきりなのよ?何故、死を恐れないの?」

 

麟「死ぬつもりなんて無いから♪必ず生きて帰るって心がけてるからだよ姫様?」

 

本当は怖いけど…怖いなんて言ってたらこの起こるかもしれない異変に太刀打ちできないからな。

 

輝「命知らずなのね…?嫌いじゃないわ、そういうの」

 

麟「俺も一つの価値観に囚われずに色んな景色をみたいって思える貴女のその考え方は嫌いじゃないよ。その考え方が間違ってるとも思わないよ」 ザッ…

 

輝「…!」

 

俺は御座から出て、輝夜に言った。

 

麟「俺はこれから貴女の従者を叩き潰してこの異変を終わらせる。もしまた会えたら、その時は一緒に幻想郷を旅してみる?一緒に」

 

輝「あら…いいの?貴方も月から追われる身になるかもしれないわよ?」

 

麟「ふふ…そうかもな?もし月の奴らに出くわして輝夜を差し出せと言われたら、こう言ってやるよ」

 

輝「なんて言ってやるの?」

 

 

麟「たとえ神にだって俺は従わない…ってね」

 

 

輝「ふふふ♪貴方は本当に面白い人間ね?」

 

麟「それじゃもう行くよ、お前の従者を叩き潰しにな」 スタスタスタ…

 

輝「ふふっ♪健闘を祈るわ」 フリフリ

 

 

 

輝夜は垂れ幕の中から手を振って、俺を見送ってくれた。

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