ザッザッザッ…
ネ「ちゃんとうちの後ろに着いてきてるべか〜?」
麟「着いて行ってますよ〜」
現在、ネムノと麟は山菜採りをしながら山の中を突き進んでいた。
『クゥン…』
麟「(ピク)…ネムノさんストップ」 ザッ…
ネ「うん…?どうしたべ?」
麟「…少し静かにして」
ネ「…?」
サァァァァァァァァァァァァァ…
『クゥン…』
麟「(ピキーンッ!)そこかっ!」 ダッ!
ガサガサ!!
ネ「おいおいちょっと待つべ!?ど、どこへ行こうってんだべ麟!?」
何かの鳴き声を聞いた麟は、何の躊躇も無く草むらの中を突き進む。
ガサガサ…ガサッ!
ザッ…!!
麟「やっぱり…!」
ガサガサ…
ネ「おーい麟、どこいったんだべ(ザッ!)っとぉ。…ん!?こ、こいつは…!」
2人が草むらの先で目にしたものは
山犬
『グルルル…!!』
右前脚がトラバサミの罠にかかり、身動きが取れない状況に陥っていた白色の山犬の姿だった。どうやら山犬はネムノと麟を警戒し、威嚇しているようだ。
麟「なんか弱々しい声が聞こえると思ったら、こいつだったのか。急いで救助しないと」
ネ「救助するって言っても…こいつ、かなりうちらの事を警戒してるべ」
麟「とりあえず、ネムノさんから貰った干し肉を使ってみるか」 ゴソゴソ ポイッ
ポトッ
山犬
(スンスンスンスン…)
麟はネムノから貰った干し肉を山犬へ1つ投げて、山犬がどんな反応を示すか様子を見る事にした。
ネ「あの干し肉で、少しはうちらへの警戒が解けるべか?」
麟「さあ?それは山犬次第だよ」
山犬
(スンスン…パクッ ガジガジ)
麟・ネ
「「あ、食った」」
犬の嗅覚は人間の約数千倍から1億倍、干し肉の匂いを嗅いで毒が無いことを確認した山犬はムシャムシャと干し肉を食べ始めた。食べる速度がそれなりに速いので、トラバサミの罠に囚われてから数日は経過しているのかもしれない。
麟「もうちょいあげてみるか」 ポポポポポイッ
山犬
(ムシャムシャムシャムシャ) フリフリ
大量の干し肉を貰った山犬は、嬉しそうに尻尾を振りながら干し肉を食べていた。
ネ「お、あの感じなら…そろそろ助けられるんじゃねえべか?」
麟「んじゃやりますか?」
ザッザッザッ
山犬
『(ビクゥ!?)グルルル…!!』
ネ「大丈夫だべ、うちらはおめぇを助けてえだけだべ」 ガシッ
麟「すぐに解放してやるからな」 ガシッ
ネムノと麟はお互いに左右のトラバサミをガッシリと掴んだ。
ネ「麟、せーのでいくべ」
麟「うん!いくよネムノさん!」
麟・ネ
「「せー…のっ!」」
グググググッ…!!
山犬
『…!』
そして2人はありったけの力を込めて、トラバサミを無理矢理開こうとする。
麟「ふんぬぅぅぅぅぅぅ…っ!!」 ギリギリッ…!!
ネ「こ、こんのぉ…っ!?うちら2人の力を込めてるのに開かねぇって…どんだけ強力なトラバサミを設置したんだべか…!?」 ギリギリッ…!!
ギギギィ…
罠が雨風に晒されて錆び付いていたというのもあって、トラバサミはなかなかに開かなかったが、2人の怪力によって少しではあるがトラバサミが動き始めていた。
麟「少し動いた…!ネムノさん、一気にいくよ!」
ネ「おう…!一気にいくべ!」
麟・ネ
「「せーのっ…!おりゃあぁっ!!」」 グッ!
バギャアンッ!!
山犬
『…!』
パラパラ…
麟「…あ」
ネ「や、やっちまったべ…」
遂に山犬は罠から解放された。解放されたのだが…それと同時に面倒な事になってしまった。それは…
麟・ネ
「「トラバサミ…ぶっ壊してしまった…」」
なんと、あろうことか2人の馬鹿力はトラバサミを真っ二つに引き裂いてしまったのだ。…一応、トラバサミって金属で作られてるんだよ?
麟「やっちまったァ…」
ネ「で、でも…結果的に山犬が助けれたから、いいべ…?」
麟「か、かなぁ…?」
山犬
『クゥン…!!』 ペロペロ
麟「あっひゃーっ!?くすぐったいですよ!?」
山犬
『ハッハッハッ…♪』 フリフリ
山犬は嬉しそうに尻尾を振り、お礼代わりに麟の頬を舐めだした。
ネ「どれどれ…傷の具合はっと…」
麟「どう?傷の具合」
ネ「骨はなんとか避けてるっぺぇけど…それでも何かしらを巻き付けた方が良いと思うべ」
麟「そこら辺の木と、なんかの布で簡易的な応急処置をしよう」
ネ「布か…あ、山菜採りに持ってきてた袋を破いて包帯代わりにするべ」
ビリビリ
麟「んじゃ俺は良さそうな木の枝を2本拾ってくる」
ヒロイヒロイ
こうして麟とネムノは、山犬の足傷を少しでも良くする為にその場にあるものだけで応急処置する事にした。
ネ「ここをこうして…」
マキマキ
麟「ここをこうすれば…」
マキマキ
キュッ
麟「よし…!簡易的な応急処置完了!」
ネ「これで後は安静にするだけだべ」
山犬の右前脚に布を巻き付け、それなりにまっすぐだった木の枝を添え木代わりにして、山犬の応急処置を終えた。
山犬
『ヘッヘッヘッ♪』 フリフリ
山犬はすっかり2人に対して心を許し、嬉しそうに尻尾を振っていた。
麟「ネムノさん、山菜採りと魚釣りは中止にして…またの機会にしようか?」
ネ「んたべ。こいつを連れ帰って、看病してやんねぇといけねぇもんな」 ヒョイッ
山犬
『キャウン!?』
ネ「食ったりしねぇから安心するべ。うちの家に連れて帰って看病するだけだべよ」
麟「よし、レッツゴーホームだ!」
ザッザッザッ
2人は予定を変更し、負傷した山犬を連れて小屋へと戻る事にした。