華月麟の幻想記   作:華月麟

81 / 1036
竹取物語

輝「(パチパチ)お見事よ客人方。ようこそ永遠亭へ!私が主人の蓬莱山輝夜よ!」

 

ついに皆の前に永遠亭の主で元・月の姫、蓬莱山輝夜が姿を現した。

 

永「申し訳ありません姫様…。何もかも…全て、私の誤りでした…!」

 

輝「そんなに責任を感じる事は無いわ永琳」 スタスタスタ…

 

永「姫様…?」

 

ギュッ… 

 

ナデナデ

 

輝「全てはもう終わった事…。私達の永遠の時に比べてしまえば…1000年なんて無に等しいわ。そうでしょう?」

 

永「…!」

 

輝「明日は無限にやってくる…。過去に囚われず…今を生きる事を楽しむ。ね?」

 

永「姫様…」

 

 

一方、外野はというと?

 

霊「…」

(何この空気…)

 

魔「???」

(どゆこと??)

 

ア「ふふっ…」 ウルウル

 

紫「ふっ…」

 

 

永遠ね…。彼女たちにとっては一種の呪いに近いだろうに…。

そういや蓬莱山輝夜って名前…。

 

…ん!?思い出したぞ!?

 

 

麟「…ああっ!!?」

 

皆『!?』 ビクッ!?

 

 

俺は思わず叫んでしまい、お茶の間を濁してしまった。

 

ア「『ああっ!!』じゃないわよ!?せっかくの空気が台無しじゃない麟!!」 ポカッ

 

いてっ、そんなに怒らなくても…。そんな事より…!

 

麟「思い出したよ!蓬莱と輝夜って名前の事!」

 

輝「私の名前?それが何か?」

 

麟「竹取物語だ…!」

 

霊「竹取物語?」

 

魔「なんだったけなぁそれ。私も聞いたことあるぜ?」

 

麟「説明しよう!」

 

 

 

 

昔々、あるおじいさんが竹を取りに竹林へやってきました。いつものように竹を切っていると一本だけ光り輝く竹がありました。おじいさんがおそるおそる竹を切ると、中から可愛い女子の赤ん坊が眠っていました。おじいさんはその赤ん坊を引き取り、自分の家で妻のおばあさんと一緒に育てる事にしました。その赤ん坊は不思議な事に竹が成長するかの如くすくすくと育ち、あっという間に大人へと成長しました。そこでおじいさんはこの子に名前を付けてもらうために、祭祀を司る御室戸斎部の秋田を呼び、なよ竹のかぐや姫と名付けました。

 

 

 

 

麟「これが竹取物語の最初ら辺のお話だね」

 

魔「そんな話だったっけ?」

 

霊「それが永遠亭のお姫様とどう関係してるのよ?」

 

麟「特にない!!」

 

ズコーッ!!!

 

霊「じゃあなんで話したのよ!!?」

 

ア「特に意味もないのに…」

 

麟「でもこの話も最後には蓬莱の薬が出て来るんだよ。そこも説明しよう!」

 

 

 

 

美しい満月の夜の事。月から使者がやって来ました。理由はかぐや姫を月に連れ戻す為です。使者達はかぐや姫を差し出してほしいと願い出ました。しかし、帝はこれを拒否。かぐや姫を我が物にする為に兵士達に使者を送り返すように命令しました。しかし兵達の努力は報われず、一瞬で兵達は無力化されてしまいました。かぐや姫はこれ以上被害を増やさない為に、自ら月へと帰っていきました。

 

かぐや姫が月へ帰ってすぐの事です。帝の元に一つの小瓶と手紙が月から送られてきました。小瓶には〖蓬莱の薬〗と書かれていました。そして手紙には…

 

かぐや姫

突然、このように、たくさんのご家来をお遣わしいただき、私をお留めなされようとなされましたが、避けられない迎えが参り、私を捕らえて連れてゆきますことゆえ、口惜しく悲しいことです。おそばにお仕え申しあげられなくなってしまいましたのも、このように常人とは異なった面倒な身の上ゆえのことです。わけのわからぬこととお思いになられたことでしょうが、私が強情に命令にしたがわなかったことにつき、無礼な奴めとお心におとどめなさっていることが、今も心残りになっております。貴方様の元を去ってしまった事をお許しください。

 

今はとて天の羽衣着るをりぞ君をあはれと思ひいでける

 

(今はもうこれまでと、天の羽衣を着るときになり、あなた様のことをしみじみとおもいだしているのでございます)

 

 

 

 

麟「それでかぐや姫は月に帰って、帝に蓬莱の薬を送ったんだ。ちなみに、帝っていうのは国を治めるお偉いさんと思ってくれていいよ」

 

永「貴方…随分と博識なのね?何者なの?」

 

麟「外の世界から来た、ただの人間さ」

 

輝「外の世界…?」

 

魔「なぁ、竹取物語ってそれで終わりか?」

 

麟「まだまだ!最後の話をしようか!」

 

 

薬が入った壺に、かぐや姫の手紙をつけくわえて帝に渡した。帝は、それを広げて、手紙の内容を読み、ひどくしみじみとした気分になってしまい、何も食べようとしなかった。音楽の演奏などもしなくなったのであった。

 

あふこともなみだにうかぶ我が身には死なむ薬も何にかはせむ

 

(かぐや姫に会うことも二度とないゆえに、あふれ出る涙の中に浮かんでいるようなわが身にとっては、不死の薬など、何の役に立とうぞ)

 

そして、自分の従者達にこう命じた。

 

「この国で一番高い山の山頂で蓬莱の薬を焼け」

 

従者達はその名に従い、国で一番高い山の山頂で蓬莱の薬を焼いた。

そして、その不死の壷を焼く煙は、いまだに雲の中へ立ちのぼっていると、言い伝えている…。

 

 

麟「これが俺の世界での竹取物語だよ。いやぁぁ…やっと思い出せてすっきりした!!」

 

紫「やはり、いろんな場所によって内容は違うのね」

 

レ「咲夜、どういうことか分かった?」

 

咲「いいえ…まったく」

 

 

 

 

さて、話は終わったけど…

 

 

 

 

麟「異変はまだ終わっちゃいない!」

 

皆『!?』

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。