華月麟の幻想記   作:華月麟

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華を失いし幻想郷

~守矢神社~

 

 

パァァァァァァァァァァァ…

 

 

霊「かはっ…!」

 

永「もう少しで治療は完了するわよ霊夢。だからもう少しだけ我慢してちょうだい…!」

 

現在、八意永琳により懸命な治療によって霊夢のダメージを回復させていた。

 

饕餮

「久しぶりだな…藍。おっと…今は八雲藍だったか?」

 

藍「あの時と同じ呼び方で良いわよ饕餮。…それにしても、本当に久しぶりね」

 

饕餮

「まったくだ…まさかもう一度お前と再会出来る日が来るなんて思わなかったよ。畜生界を裏切って、地上側についた甲斐があったってもんだ」

 

藍「畜生界を裏切った…!?貴女…本当に畜生界で何があったの!?」

 

饕餮

「そうだな…その話は、魔理沙の口から話してもらったほうが良いかな?」

 

魔「…ああ、そうだな」

 

 

~霊夢の治療完了~

 

 

永「(スタスタ)霊夢の治療は完了したわよ」

 

紫「永琳、霊夢の容体はどんな感じかしら…?」

 

永「主に肋骨辺りのダメージが酷かったけれど、そのダメージは綺麗に治療したからもう問題はないわ。彼女は今、ぐっすり眠っているところよ」

 

永「そう…それを聞いて安心したわ」

 

隠「さて…霊夢の方は落ち着いた。魔理沙と饕餮は、そろそろ畜生界で何があったのか説明をしてもらおうか?」

 

魔「ああ…でもその前に、今幻想郷で何かトラブルは発生してないか?」

 

幽々

「トラブル?そうね…今幻想郷で、冥界とか旧都とかで多くの魂達が失踪してるっていう異変が発生してるんだけど、それがどうかしたのかしら?」

 

饕餮

「実は畜生界でも、私達の部下でもある動物霊達が大勢失踪するという異変が発生していたんだ」

 

隠「畜生界でも似たような異変が発生していたのか!?」

 

饕餮

「ああ、それで地上まで私達組長は博麗神社まで赴いて、霊夢、麟、魔理沙に捜索の協力を頼んだんだ」

 

隠「畜生界の組長3人が…博麗の巫女に縋る程の案件だったのか…。それで?」

 

魔「それで私達は、最終的に新地獄っていう場所にまで捜索しに行ったんだ」

 

ヘカ

「新地獄?聞いた事ない名前の地獄ね」

 

饕餮

「そ、そうなのか?畜生界や旧都ではかなり有名なんだが…」

 

ヘカ

「あらそうなの?地獄の女神として、そんな事すら知らないのはマズいわね私…」

 

魔「…話を戻すぞ?で、新地獄に着いたら…餓者髑髏っていう先代の巫女が封印していた妖怪が、幻想郷中の魂達を食い漁って蘇ってだな…」

 

紫「餓者髑髏…!?確かあの妖怪は先代の巫女でもある霊華が強力な術を使って封印したはず…一体、誰が封印を解いたというの!?」

 

饕餮

「餓者髑髏の封印を解いた奴の名前は日白残無、新地獄の支配者だ」

 

隠「日白残無…名前だけは聞いた事があるな」

 

魔「私達は力を合わせて餓者髑髏を倒したんだ。でも…餓者髑髏との戦いで全員かなり疲弊しきってたところを、残無の奴に狙われたんだ」

 

隠「な、何があったんだ…?」

 

魔「麟の奴が…」

 

 

「「残無の奴にそそのかされたせいで、地上を裏切って畜生界と新地獄の支配者になっちまったんだ…!」

 

 

皆『…!?』 ザワッ…!

 

隠「り、麟君が…」

 

神「畜生界の支配者に…だと!?」

 

紫「嘘よ…そんな…そんな事…」 フラッ…

 

藍「ゆ、紫様っ!?」

 

隠・幽々

「「紫っ!」」 ダキッ…!

 

紫「ご、ごめんなさい2人共…」

 

依「し、師匠が…地獄の支配者に…?そ、そんな…」 フラッ…

 

豊「よ、依姫!」 バッ…!

 

耳「魔理沙、今のは事実なのか?麟君が日白残無とかいう者にそそのかされて、畜生界の支配者になってしまったというのは…」

 

魔「ああ…本当だよ…!」 ポロポロ…」

 

聖「か、彼ほどの実力を持つ者がどうして…!?」

 

饕餮

「1つは、餓者髑髏によって多くの魂達が殺されてしまった光景を目の当たりにして、心と身体が弱りに弱り切っていたから。もう1つは、餓者髑髏へ対する憎悪と憤怒に心が支配されていたから。この2つが原因だろうな…」

 

永「どんな人間も心が衰弱しきっているところに、甘い言葉で囁かれてしまうと…闇へと堕ちてしまうわ…」

 

饕餮

「麟の奴は自分の名前を捨てて、畜生界の支配者〖レーヴァテイン〗と名前を変えてしまった…」

 

藍「話は変わるけど、どうして貴女は畜生界を裏切ったの?饕餮」

 

饕餮

「麟の奴は残無のそそのかされて、残無の傀儡に堕ちてしまった…。麟が自分の意思で支配者の座についたのなら、私も畜生界側に残留した。でもあいつは…残無の奴にそそのかされて支配者の座についたんだ。私にはそれがどうしても許せなかったんだ…」

 

藍「そう…」

 

隠「しかし…これはかなり厄介な事になったな…!まさか麟君が畜生界側(ダークサイド)に堕ちるとは…」

 

純「なんとか我が息子を取り戻す方法を考えなければ…!」

 

饕餮

「無駄だ…もうあいつは元には戻れない…!」

 

純「何故だ!何故そう言い切れる貴様!」

 

饕餮

「あいつは私に伝言をよこしたんだ!」

 

純「で、伝言…!?」

 

ヘカ

「どんな伝言をよこされたの?」

 

饕餮

「『1ヵ月以内に人里の人間達を避難させておけ、無関係な者達の血を見たくなければ』って伝言をよこされたんだ…!」

 

神「1ヵ月以内に人里の人間達を避難…まさか…!?」

 

依「師匠は…1ヵ月以内に地上を攻めるおつもりか…!?」

 

豊「で、でも…どうして彼は1ヵ月の猶予をくれたの?彼ほどの力があれば、すぐにでも地上を侵攻して地上制圧出来る程の実力があるのに…」

 

饕餮

「畜生界側も餓者髑髏のせいでかなり疲弊しきっていたんだ。餓者髑髏に減少させられた戦力を補充してから、地上を侵攻する気なんだろう…」

 

幽々

「そうだとしても…どうして、わざわざ1ヶ月以内に地上を侵攻する事を私達に知らせるの?そんな事をしたら、こっちだってそれなりの準備をして待ち構えるじゃない」

 

 

霊夢

「「そ、それは…まだ彼の心のどこかに…善の心が残されているからよ…」」

 

 

魔「っ…!?れ、霊夢お前…!?」

 

依「意識を戻っていたのか!?」

 

霊「え、永琳のおかげでね…ありがとう永琳…」 ムクリ…

 

永「無事に目が覚めて安心したわ」

 

隠「霊夢…どうして彼の心にはまだ善の心があると思うんだ?」

 

霊「だって…幽々子がさっき言ったように、普通なら自分の手の内を敵に明かすなんて事はしないでしょう…?でも麟はわざわざ私達に忠告までしてくれた…つまり、彼も無関係な人間の血は流したくないって意思の表れじゃないの…?」

 

耳「霊夢の言わんとする事は分かるが…果たしてそれが真意なのかは不明なところだな…」

 

聖「し、しかし、1ヵ月の猶予があるのなら、明日にでも動き出すべきです!」

 

隠「ああ…明日にでも人里の者達の避難を開始させよう。紫は…それで大丈夫か…?」

 

紫「ええ…今は人里の避難を優先させて、息子の事は後で考えましょう…」

 

依「私も手伝いましょう」

 

豊「私も手伝わせてちょうだい」

 

紫「ありがとう…綿月姉妹…」

 

隠「助力感謝する」

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