~3日後~
衣玖
「皆さん、約1ヵ月後にこの人里に巨大な自身が訪れます!すぐに妖怪の山の頂上にある守矢神社にまで避難してください!」
ドタドタドタ!!
レーヴァテインによる〖地上侵攻〗までのタイムリミットは約1ヵ月、幻想郷賢者達は畜生界達の襲撃に備えつつ、人里の人々を避難させていた。
流石に畜生界が地上を侵攻しに来るなんて話を人里に広めるわけにもいかない為、天界の使い・永江衣玖が度々地上に降りては〖地震の発生を人里の皆に伝える〗という慈善行為を利用して〖約1ヵ月後に巨大地震が発生する〗という偽の災害情報を伝える事で、人里の皆を守矢神社にまで避難させるという結論に至った。
ガルム
『しかし…いきなり隠岐奈と紫が天界に訪問してくるから何事かと思えば、そんな大事件が地上では発生していたとはな…』
隠「いきなりすまなかったなガルム、どうしても人里の皆にストレートで『畜生界が1ヵ月後に侵攻しにやって来る』なんて忠告するのもかなり危険すぎると思ってだな…」
ガルム
『何故だ?何かマズい問題でも?』
紫「その地上侵攻を主導しているのが…私の息子なのよ…」
ガルム
『な、なんだと…!?それはどういう意味だ!?何故、彼がそんな事を…』
隠「話すと長くなるなるから要約して伝えるが…弱り切った心に甘い言葉で囁かれ、完全に心を闇側に堕としてしまい、畜生界の玉座についてしまったというわけだ…」
ガルム
『甘い言葉で囁いて心を闇に…まさか、奴も関係しているのか…?』
紫「奴…?」
ガルム
『いや…こちら側の話だ、気にしないでくれ。それにしても…約1ヵ月がタイムリミットか…かなり危険極まりない短さだな。しかも更に危険なのは、本当に相手側が1ヵ月間動かずにいてくれるか…だ。自分から交わした約束を破る、それが畜生界のやり口だ』
隠「分かっている、警戒を解くつもりは無い」
紫「地底の鬼や覚妖怪にも、畜生界への監視の目を光らせておくようにとは伝えてあるわ…」
ガルム
『その方が賢明だろう。しかし…あれ程の人間が、まさかあっけなく闇に心を堕としてしまうとは…一体何があったんだ?』
隠「饕餮や魔理沙から聞いた話では…多くの魂が犠牲になった光景を目の当たりにして、自責の念に苛まれていたらしい…」
ガルム
『なるほどな…彼はとても心優しい人間だ、多くの命が散ってしまった原因が自分のせいだと思い込んでしまい…心を弱らせてしまったといったところか…』
隠「彼は…優しすぎたんだ…。だが不思議だな、光と闇を完璧に使い分け、完璧に使いこなすことが出来る彼が…こうもあっさりと…?」
ザッザッザッ…
饕餮
「残無の奴に、付け入る隙を与えてしまったのが原因だ」
隠「と、饕餮!?来ていたのか」
饕餮
「ああ、ちょいと様子見にな」
ガルム
『ん…!?この感じ…貴様は畜生界の者か!』 ザッ…!
饕餮
「ふん…勘違いするなよバカデカい狼?今の私は元畜生界の者だ。今の私は、ただ欲望に忠実な地上の妖怪だ」
ガルム
『そ、そうなのか…それはすまなかった』
饕餮
「別に構いやしない。そう言われて当然な場所で生き続けていたんだからな…。それにしてもあんた…どうも、魔狼の奴にそっくりだな…?」
ガルム
『…!い、今なんと…言った…!?魔狼だと…!?』
饕餮
「ああ、行ったぞ?魔狼ってな」
ガルム
『や、奴も…今回の件に絡んでいるのか…?!』
饕餮
「今回の件の発端は、残無と魔狼が絡んでるからな」
ガルム
『な、なんということだ…』
隠「魔狼…?ガルム、魔狼とかいう者について何か知っているのか?」
ガルム
『魔狼は…私の一部だった存在だ…』
隠・紫・饕餮
『!?』
ガルム
『天界の管理者になる前の話だ。あの時の我は、天界の管理者になるには危険すぎる闇を抱えていた。なんとしてもその闇を消し去ろうと必死に修行したのだが…結局は自分の身体から追い出す事しか出来なかった。その闇が具現化した存在が魔狼である』
紫「そ、そうだったのね…」
饕餮
「だからあんたは魔狼の奴にそっくりな容姿をしているわけか…」
ガルム
『まさか奴まで関与していたとはな…これは、過去との決着をつけろという暗示か…?しかし…こんな形で奴と再会する羽目になるとはな…因果応報というやつか…』
饕餮
「この戦い…一筋縄じゃ終わらなそうな感じがしてきたな…」
隠「どちらかが滅ぶまで…無駄な争いが続きそうだ…」
紫「大事な息子が取り戻せるのなら…どんな犠牲を払ってでも…!」