カオス・ウォーズ   作:ダス・ライヒ

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これで最後です。

めっちゃ疲れたな…。


もしも…デスドライヴズがマーベルの地球に攻めてきたら?

 死。それはすなわち命の終わりを意味する文字であり言葉。

 生きる者全てにいずれは訪れ、あるいは唐突に訪れる悲劇でもあり、運命でもある。無い者もいるが。

 死に方を選びたいとふと考える者もいるだろう。望む死を叶うことが出来たなら、人は自ずと死を受け入れられるはずだ。

 

 そんな己が願う死を望む者たちが存在する。その名はデスドライヴズ。

 各々が求める死を求めて宇宙をさまよう機械生命体の集団である。

 彼らの目的は最高の死であり、自身が望む死のためなら、あらゆる手段を問わない危険な集団だ。

 

 そのデスドライヴズが地球へ攻め込んだところで、ブレイバーンの物語は始まる。

 

 もしも…デスドライヴズが、私が知る英雄(ヒーロー)たちの地球へ攻め込んできたら…?

 

 今宵はデスドライヴズが攻め込む多元宇宙(マルチバース)を覗いてみよう。

 案内しよう、ついてくるが良い。

 

 

 

 それぞれが望む死を求めて、デスドライヴズの超大型母艦が地球を攻撃した。

 勇気の英雄物語を知る者たちなら、そこからブレイバーンが始まることをご存じだろう。

 だが、それはブレイバーンの物語。

 このマルチバースにおいて、デスドライヴズが攻め込んだ地球は、私が好きなヒーローと悪役たちが日夜闘いの日々を繰り広げる驚き(マーベル)な地球だ。

 当然、外宇宙からの攻撃を経験しており、それに備えての防衛施設が衛星軌道上に配置されている。

 

「十二時方向より正体不明の超巨大船、地球へ向けて接近中!」

 

「どの言語でも応答なし!」

 

「警告射撃、行いますか?」

 

「待て! 文化が違いで、戦争になりかねん! レッドラインを超えるまで、ありとあらゆる手段でこっちの意図を伝えろ。そうでなければ威嚇射撃。応じない場合は、攻撃しろ!」

 

 その地球防衛施設の持ち主である世界防衛機構「シールド」の者たちは、司令部内でデスドライヴズの超巨大母艦の対応に追われていた。

 文明の違いで警告射撃が戦争になりかねないため、それ以外の手段で呼びかけろと、シールドの長官であるニック・フューリーは部下たちに立伝える。それでも通じない場合には、攻撃を許可する。

 指示通り、ありとあらゆる交信手段が行われていたが、デスドライヴズは死ぬために地球へ来たのだ。彼らは望みの死を迎えるべく、相手に攻撃させるためにシールドの交信を全て無視し、地球への接近を止めなかった。

 

「データにあるすべての言語で問い掛けましたが、応答がありません!」

 

「光信号ならび音波、電文でも応答なし!」

 

「警告射撃、開始します!」

 

 無視して接近し続けるデスドライヴズの母艦に対し、警告射撃が行われたが、当然ながら止まることはない。

 

「警告射撃に応じません!」

 

「敵巨大船、尚も地球へ接近中! 間もなくレッドラインに到達します!」

 

「なるほど、戦争をお望みというわけか。攻撃しろ! あらゆる火器の使用を許可する! 場合によっちゃ、核の使用も許可するぞ!」

 

 死を望んで戦いに来たデスドライヴズに、相手の意図を理解したフューリーは遂に攻撃を許可した。

 防衛施設にある最終手段の核を除く全火器が一斉に火を噴き、人類の英知を結集した防衛施設の火器は全弾一発も外れることなく命中したが、デスドライヴズの超巨大母艦には通じなかった。

 

「クソッタレ! 数兆ドルもかけて建造された地球防衛施設だぞ! こうなりゃあ、核ミサイルだ! 直ちに発射用意!!」

 

 余りの防御力の高さに、遂に核ミサイルの使用が行われた。発射手順を行い、即座に母艦に照準され、搭載された核ミサイルは発射される。当然、精密兵器なので目標である母艦に命中したが、母艦はバリアを展開して防いでしまった。

 

「クソっ! 最終防衛ラインがこうもあっさりと! 地球の全ヒーローチームに通達! 非常警戒態勢! 地球が戦場になるぞ!!」

 

 決死の防衛線を易々と突破する超巨大母艦に、フューリーは毒づいた。

 空かさずフューリーは次の指示を飛ばす。各国政府に迎撃の指示や地球の最終防衛ラインである全ヒーローチームに非常警戒態勢の伝達させ、次の戦場となる地球に迎え撃つ準備をさせた。

 

 諦めず防衛施設が攻撃を続けていたが、母艦は八つの分離を地球へ降下させる。その分離母艦は塔の形をしており、それぞれに高慢、強欲、淫蕩、虚栄、悲観、怠惰、憤怒、貧食の名が付けられていた。

 その名を持つ分離母艦は、八つに分かれて地球全土へと降下する。これを地球各国政府は巡航ミサイルでの迎撃を試みるも、超巨大母艦と同様にバリアを張っているので、決死の迎撃も全くの無意味であった。

 それぞれの大陸と諸島に降り立った八つの塔は、ゾルダートテラーと呼ばれる量産型殺戮兵器を大量に展開し、目に見える者や周囲に向けて無差別攻撃を行う。水面や水中にいる者に対しては、ゾルダートフィレーと呼ばれる水生環境特化型を差し向け、地上や空と同様に無差別に攻撃を行った。

 

 ブレイバーンの物語を知る者なら、デスドライヴズの対抗手段は後にハワイに現れるブレイバーンまで、一方的な虐殺劇が繰り広げられるところであるが、彼らが攻めた地球は、驚き(マーベル)の地球だ。デスドライヴズのゾルダートテラーやフィレーに対抗できる力を持つ者たちが揃っていた。

 

ほぅ、これはこれは(ガガ、ガガガッ)どうやら(ピー)この私が望む最高の爆発を頂けそうですね(ガーガガガガッガ)

 

 強欲を司るデスドライヴズ、最高の爆死を求める強欲のクピリタスの迎撃に来たのは、最初に結成されたヒーローチームと言われているファンタスティック(フォー)であった。

 迫るMr(ミスター)ファンタスティックとインヴィジブル・ウーマン、ザ・シング、ヒューマントーチの四人に対し、クピリタスは自身が求める最高の爆死が遂げられそうと思い、高揚感を覚える。

 

 高慢のスペルビアを除く他の六体のデスドライヴズにも、著名なアヴェンジャーズや✕メンといったヒーローチームが迎撃に向かっていた。地球何度目の危機なのか、ヒーローのみならず、ヴィランやヴィジランテもデスドライヴズの迎撃に加わっている。

 その迎撃には勢力や組織、国家もこれに加わり、地球対デスドライヴズとの総力戦の火蓋が切って落とされた。

 

 さて、これほどの戦力が整っているなら、ブレイバーンは必要ないという意見もあるだろう。

 これは驚きと勇気の物語である。高慢に襲われたハワイ島の方に、鋼鉄の勇者が舞い降りる。

 

 

 

「クソっ、奴は速い! このティタノストライド(TS)じゃ無理だ!」

 

 高慢のスペルビアが降り立ったハワイ島では、ウォーマシンを含める合同演習アド・リムパックに参加していた多国籍軍は苦戦を強いられていた。

 

フン(ピー)火力は高いが(ガガガッ)鈍足のようだな(ガガピー、ガガ)

 

 デスドライヴズの一人であるスペルビアと対峙したのは、ウォーマシンことジェームズ・ルパート・ローズ、通称ローディが駆るティタノストライド(TS)だ。

 ローディではなくウォーマシンが乗っているというか、纏っているTSはアメリカ軍で採用されているM2イクシード・ライノスだが、専用に改造されたM2で、名付けてイクシード・パトリオットである。

 全長が原型から二メートルも伸び、バリアを有するゾルダートテラーを破壊する程の過剰火力を誇るパトリオットであるが、搭載火器の多さゆえに機動性は原型機よりも低下しており、防御面も原型機のままだ。

 

「ミサイルを撃っても避けられ、連射力の機関砲すら当たらん! 外してアーマーのまま戦った方が楽だな、こりゃあ」

 

 劣悪な機動性と原型機のままの防御力で、圧倒的な機動性を持つスペルビアとの交戦を強いられているウォーマシンは冷静を保ちながらも悪態をついていた。

 機動性は搭載火器の重量の所為で原型機よりも劣悪で防御もそのままなので、脱いで戦った方が楽だと口にしてしまうほどだ。

 そんな火力だけが取り柄のイクシード・パトリオットで、ウォーマシンがスペルビアと交戦しているおかげか、ハワイ島の多国籍軍の被害は抑えられていたが、それでも犠牲者は出ていた。

 

『アオ三尉! こんな時くらい、言うことを聞け…!』

 

 ブレイバーンに選ばれるパイロット、イサミ・アオとその上官リュウジ・サタケ、友人のヒビキ・リオウが所属する部隊は、オリジナルと同様に敗北していた。

 同じく敵ロボットのビームが、TS烈華の残骸から友人のヒビキを助けようとするイサミに向けられ、発射された。もはやこれまでと思われたが、勇気を爆発させる物語を知る者たちなら、ご存じの通りあの鋼鉄の勇者が彼のもとへ推参する。

 

「待たせたな、イサミ!」

 

 そう、これは先に述べた通り、驚きと勇気の物語。ブレイバーンも除け者にされるのではなく、驚きのヒーローたちと共に肩を並べて戦うのだ。

 

 ここまではご存じの者ならご存じの通り。余りの出来事に混乱して震えるイサミを乗せ、勇気一刀流奥義ブレイブ斬を放って敵巨大ゾルダートを撃破。怒涛の不幸な目に遭うも、強い使命感とその災難で精神を強く成長させ、自身を追い詰めたあのブレイバーンと分かり合うことに成功する。

 

「おぉ~、この惑星を選んでよかった! こんな最高の爆発を味わえるなんてぇ! 地球の皆さん! 本当にありがとうございますぅ!!」

 

 そこからはデスドライヴズに占拠された日本をファンタスティック4と宇宙からの増援であるキャプテン・マーベルと共に奪還し、占拠していたクピリタスの撃破にも成功した。

 途中、ハワイで倒したはずのスペルビアが現れて交戦したが、原点と同様にデスドライヴズと対話するため、地球の者たちに言語が理解できるようにブレイバーンが拳を叩き込み、どうにか対話できるようにする。

 

 それまでは、ブレイバーンの物語を知る者たちなら既知のことだろう。

 だが、このマルチバースでは、新しい勇気のヒーローが誕生する…!

 

 

 

「デスドライヴズの技術を、ミュータント殲滅に使うだと…!?」

 

 新型TSであるXM3ライジング・オルトスを受領し、ブレイバーン随伴部隊であるブレイブナイツの部隊長となったルイス・スミスは、自分たち軍人が守るべき人類の一部が、能力を持つ人類であるミュータントと言う理由だけで凶行に及んでいる光景を目撃し、部下たちと共に衝撃を受けていた。

 

 東京にいるミュータントは、同じミュータントのヒーローであるサンファイアや日本政府直轄の警備部門所属となっていたシルバー・サムライ、歴史ある忍の集団「ザ・ハンド」等にほかの市民らと共に、デスドライヴズの攻撃から守られていたが、過激な反ミュータント組織であるザ・ライトとウィリアム・ストライカー大佐率いる軍の反ミュータント派の軍人らの連合部隊は、容赦なく彼らを攻撃する。

 

「しょ、正気か!? 俺たちは同じ人類なんだぞ!」

 

 TSの24式機動歩行戦闘車「烈華」に乗るパイロットらは、肩を並べて戦うはずである同じTSが攻撃してくることに激しく動揺し、引き金を引く指を震わせていた。ザ・ライトが投入するTSはどれも第一世代の旧型機ばかりだが、ストライカー大佐に賛同するTS部隊は、最新鋭のM2イクシード・ライノスを投入していた。

 当然だ、相手はデスドライヴズではなく、同じ人類。烈華に乗るパイロットらは実戦を経験しているが、人類同士での戦闘は経験しておらず、同じ人への殺害に躊躇いを抱いているのだ。

 

『人類の敵を守る貴様らは人類ではない。攻めてきたエイリアン共と同様に敵だ。貴様らを人類の敵として抹殺する!』

 

 M2イクシードに乗るパイロットは反ミュータントの差別的思考で、同じ人類への攻撃に躊躇いはなかった。例えミュータントではない人間でも、差別思想が強い彼らからすれば、ミュータントを守る人間も敵に見えるのだ。殺す理由は、ただそれだけである。

 

『せ、センチネルだ!』

 

『ミュータントを匿った、あるいは保護していると判断。その二つの敵性的行動を行った団体を反社会的勢力と断定。排除する』

 

 反ミュータント派が投入しているのは、TSだけではない。ブリキ人形のような外見をしているミュータントハンターロボであるセンチネルも投入されていた。

 ミュータントを過剰なまでに恐れる天才科学者ボリヴァー・トラスク博士によって開発されたミュータント抹殺を第一原則とする自立戦闘兵器群は、ミュータント排斥派や兵士と同様に、ミュータントを保護するスミスらを人類の敵と断定し、レーザーによる攻撃を始める。

 TSより旧式な兵器とはいえ、デスドライヴズに短期間ながら対抗できる兵器であり、市民らを守るスミスらTS部隊を圧倒した。

 

『なんで、なんで同じ人類なのに私たちを!?』

 

「と、とにかくヒーローやブレイバーンたちが来るまで持ちこたえるんだ! ヒーローは必ず来る! それまで、それまで俺たちが彼らを守り抜くんだ!!」

 

 同じ人類に攻撃されて動揺する隊員らを、部隊長であるスミスは鼓舞して防戦に当たらせた。

 ブレイバーンとファンタスティック4、ミズ・マーベルを新たに加えたマーベルズは、デスドライヴズの淫蕩のクーヌスと交戦中であった。時間と空間を操る能力ゆえに、ブレイバーンとヒーローたちは苦戦を強いられ、スミスらの元へ救援に駆け付けずにいた。

 

 ストライカー率いる反ミュータント派に対し、決死の防衛戦を展開するスミスらであるが、彼らの戦意を打ち砕く絶望が訪れた。

 それは、デスドライヴズの怠惰のセグニティスのパーツを身に纏ったセンチネルであった。どうやら、オアフ島に降下したセグニティスは、ストライカーら反ミュータント派の軍事らによって討伐されたようだ。その残骸はミュータント抹殺に利用され、こうして望まぬ形でスミスらの前に立っている。

 

「あれは、デスドライヴズなのか…!?」

 

『せや。こいつら、ワイの話も聞かずに攻撃して、挙句にワイをパーツにしおったんや。まぁ、ワイは楽して見れるから()ぇけどな!』

 

 センチネルの頭部はセグニティスその物であり、信じられないことに頭部は動かずとも生きて喋っていた。これにスミスは更なる驚愕を受ける。が、そのセンチネルの改造機、名付けてセンチネル・セグニティスに乗り込んでいるストライカーは、破壊したのにまだ生きて喋ることに不満であった。

 だが、当のセグニティスは怠惰ゆえ、何もせずとも死が得られる可能性があるのか、この状態に何の不満もなく、むしろ満喫しているようだった。

 

「クソっ、喧しい! 手足を動かすには、こいつの頭部を使う以外に無いが。それでも黙らすことはできんのか、トラスク博士!」

 

 これに苛立っているストライカーであるが、セグニティスの両手両足を動かすには、まだ生きている頭部が必要なので、センチネルを改造したトラスク博士に文句を言う。

 先も述べた通り、セグニティスの戦闘力はデスドライヴズの中でも最弱。威厳ある態度に言動、ハッタリで相手を威圧し、自分との戦闘を相手に避けさせるように仕向けていた。仲間であるデスドライヴズからもその最弱を隠しており、故に底知れぬ実力を持つ強者であると知られていた。

 だが、オアフ島に駐留していたストライカーの部隊は情け容赦なく全火力を使った総攻撃を行い、そのハッタリを看破してしまった。胴体は破壊されたが、センチネルに取り付けられたその頭部が喋っていることから、セグニティスはまだ健在である。

 

「か、勝てない…! なんて強さなんだ…!!」

 

『フフフ、エイリアン共の技術力は素晴らしい物だ。口煩いのが癪だが、それでもTSを一捻りするには過剰すぎるほどのパワーがある!』

 

『あーぁ、面白ないことしてんなぁ。ただの弱い者いじめやで、あんた』

 

『喧しいぞ! 機械の分際で意思など持ちおって!!』

 

 デスドライヴズ最弱と言っても、その戦闘力は人類に対して脅威であることに変わりはない。セグニティスの両手両足のパワーは、スミスらブレイブナイツを圧倒し、完膚なきまでに叩き潰してしまった。

 ストライカーがその圧倒的な力に酔いしれる中、自身の手足を弱い者いじめに使われていることに不満を抱いたセグニティスは愚痴を言い、これに操縦権を持つ彼は怒鳴りつける。

 センチネル・セグニティスの攻撃を受けたスミスのXM3ライジングは、撃墜されて墜落したF-15戦闘機の残骸近くに横たわっていた。倒れる間際、スミスは副操縦士に選ばれてしまったルルを脱出させ、安全な場所へ逃そうとしていたが、自分たちからすれば異星人である彼女を逃すザ・ライトでは無かった。

 破壊されたXM3ライジングから這い出てきたスミスは、脱出させたルルがザ・ライトのTSに包囲され、その搭載火砲が向けられていることに気づき、ミュータントとは関係ないと必死に訴えた。

 

「ま、待ってくれ! ルルは関係ない! 彼女はミュータントじゃなくて普通の人間だ! 何の能力も無い!!」

 

『知っている。エイリアンから出てきた生体電池。誰かの助けがなければ、生きていけぬ寄生虫だ。余裕があるならまだしも、物資が貴重とされているこの時期には、不必要な存在だ』

 

「あんたは、あんたは人の心がないのか…!?」

 

 そのスミスの必死の訴えに返ってきたストライカーの言葉は、彼に人の心があるかどうか疑う物であった。これに同じ軍人であり、自分よりも長く軍に努めているストライカーに、人の心がないのかと問うた。

 

「何を今更。我々軍人は国民の生命と財産を守り、そして敵を倒すために存在しているのだ。ゆえに私はその使命に準じている。その倒すべき敵を守るなど、貴様の方がどうかしているぞ?」

 

 ストライカーの返答は自分が軍人の務めを果たしているのに、敵を守っているスミスの方がおかしいとの物であった。圧倒的な力を手に入れ、自分に酔いしれいているストライカーに自分の言葉が届かないと判断したスミスは絶望する。

 

「フハハハッ! 神は私を選んだぞぉ! 奴に神罰を与えたぞ!!」

 

 そんな彼に追い打ちをかけるように、空を覆う分厚い雲は雷雲となり、その落雷をスミスに向けて落とした。これにストライカーの狂気はますます増幅し、自身が神に選ばれたと思い込み始めた。

 雷に打たれたスミスの身体は、その場に横たわって煙を上げる。これでルイス・スミスが死亡したかに見えるが、これは驚きの勇気の物語であり、新たなヒーローが誕生する物語である。

 

 そう、新たなヒーローとは、ルイス・スミスなのだ!

 雷に打たれたスミスの身体に不思議なことが起こり、このマルチバースで彼が憧れを抱いているヒーローであるマイティ・ソーと同じ雷の能力を与えたのだ。

 

「な、なんだと!? 神は、神は私ではなく、奴を選んだというのか!? そんな馬鹿な! あり得ない!!」

 

『おぉ!? ほんまに期待できそうやで!』

 

 スミスが原典で大ファンの特撮ヒーロードラマ番組、機攻特警スパルカイザーと似た形状のスーツを身に纏って蘇ったことに、ストライカーは自分が選ばれたなかったことに発狂し、セグニティスは自身が求める死を与えてくれることに期待を抱いていた。

 

「な、なんだこの身体は!? 俺は、特撮ヒーローのコスチュームを着ているのか!?」

 

 一方でスミスは、自身が特撮のヒーローみたいになっていることに混乱していた。そんなスミスを抹殺するべく、錯乱したストライカーが駆るセンチネルの巨大な腕が襲い掛かる。

 

『貴様が神に選ばれるなどとぉ!!』

 

「うわっ!?」

 

 その自身に降りかかる巨大な腕に、スミスは思わず逃げようとするが、間に合わない。そんな彼が無意識で防御を行ったのか、周辺にある墜落したF-15戦闘機とXM3ライジングが特殊スーツのスミスの元へ引き寄せられ、融合してしまった。

 

『おぉ、これはもう楽しみでしゃあないで!』

 

『な、何がどうなっているというのだ!? 奴に奇跡を二度も与えるなど!!』

 

「ま、まただ! また俺の身体に…! うわぁぁぁ! な、なんだこれはぁ!?」

 

 F-15戦闘機とXM3ライジングと融合したスミスの身体は、ブレイバーンと似た九メートル級のロボットへと変貌させた。セグニティスが期待を寄せる中、ストライカーはさらに錯乱し、当のスミスは混乱する。

 だが、スミスはブレイバーンに乗り、ヒーローになろうとしていた。その願望が原典とは違う形で叶ったことで、どうにか冷静さを取り戻し、ストライカーのセンチネルの攻撃を躱し続ける。

 

「ブレイバーンに憧れるあまり、ブレイバーンと似たロボットになっちまったか! だが、身体は物凄く軽いし、力も溢れてくる! これならば俺は、ヒーローになれる!」

 

 形状はブレイバーンと似ているが、航空機に変形する機能を有しており、胴体と手足は安定感を重視して程よく人のような厚みだ。スミスは内側から力が湧いてくるのを感じ、図体で勝る相手のセンチネルの攻撃を軽やかに躱し、蹴り付けて距離を取ってから即席に思い付いたこの状態での名前を名乗る。

 

「俺は、俺はブレイブリッツ! 貴様を倒すヒーローだ!!」

 

『なにを小癪な! これで消し飛べ!!』

 

「ブレイファイター!」

 

 咄嗟に思い付いたヒーロー名、ブレイブリッツと名乗るスミスに対し、ストライカーはセンチネルのレーザー攻撃を浴びせる。これをスミスことブレイブリッツは、F-15戦闘機に似た航空機形態であるブレイファイターに変形させ、空中高く上昇してレーザーによる攻撃を躱した。

 

「戦闘機に変形したというのか!? 撃ち落とせ!!」

 

 ブレイファイターとなって上空を飛ぶブレイブリッツに対し、ストライカーは配下とザ・ライトのTS等、他のセンチネルに迎撃を命じる。機関砲、対空ミサイル、レーザーといった弾幕を躱し切ったブレイファイターは、内蔵されたミサイルを発射して敵を次々と無力化していく。

 

「ブレイミサイル!」

 

 叫びと共に発射されたミサイルは、有人機であるTSの戦闘不能にし、センチネルを完全に破壊する。それからはルルを包囲しているTSとセンチネルの場所へ降下し、ミサイルである程度を破壊した後、人型形態のブレイブリッツに姿を戻し、攻撃を躱しながら次々と有人機のTSのパイロットを殺すことなく無力化して、センチネルを完全に撃破する。

 射撃兵装が全くないブレイバーンとは違い、ブレイブリッツはミサイルを内蔵して、そればかりかライフルも持っていた。元がTSのパイロットであるスミスなのか、その狙いは正確であり、TSの武器だけを的確に撃ち抜いて戦闘力を奪っていた。センチネルに関しては、弱点を正確に撃ち抜いて撃破している。

 

『おのれぇ! なにゆえに、何故に神は奴を選んだのだ!?』

 

 圧倒的な機動力と戦闘力、それに正確な射撃で配下を撃破していくブレイブリッツに、完全に正気を失ったストライカーは、射線上に味方がいるにもかかわらず、無差別攻撃を敢行した。乱射されるレーザーに対し、ブレイブリッツは最小限の動きで躱しつつ、接近して道路を強く蹴って宙を舞い、自身の必殺技である飛び蹴りを行う。

 

「勇気徒手空拳奥義ブレイキック!!」

 

『ヌァァァァッ!?』

 

 必殺技を叫びながら光の速さで迫るブレイブリッツの右足に、ストライカーは怯え、絶叫しながらセンチネルのレーザーを乱射するが、完全に正気を失っているパイロットのレーザーは対象には全く当たらず、射線上にある周囲の物をただ破壊するだけだ。やがてその蹴りはセグニティスの頭部に命中し、頭部を完全に破壊した。

 

『オォォォッ! オオキに! ほんまオオキにィ!! ブレイブリッツはんッ!!』

 

 自身が何もすることなく死を与えてくれたブレイブリッツに、セグニティスは感謝しながら爆散する。

 両手両足を動かすに必要であったセグニティスの頭部が破壊されたことにより、センチネル・セグニティスはその機能を失い、硬い地面の上に横たわった。それを背景に、ブレイブリッツは見事に着地して決めポーズを取った。

 

 新たなヒーロー、ブレイブリッツの初陣にして輝かしい初勝利であった。

 だが、ブレイブリッツの戦いは終わっていない。まだブレイバーンたちが淫蕩のクーヌスと戦っている。ブレイブリッツは一刻も早く彼らに化成すべく、ブレイファイターへ変形し、クーヌスと戦う仲間たちの元へ飛んで行った。

 

「あれは、なんだ…!?」

 

 クーヌスと交戦中であったイサミ・アオとブレイバーンからも、新たなヒーローの誕生と初勝利が見えていた。イサミが敵か味方かの判断に迷う中、ブレイブリッツがルイス・スミスであることを知るブレイバーンは、その真実を迷う彼に伝える。

 

『いや、あれはルイス・スミス。彼は遂に、憧れのヒーローとなったのだ』

 

「あ、あのロボットがスミスだと…!? どういうことなんだ一体!?」

 

 真実を知ったイサミであるが、どういう原理でスミスがロボットになるのかと問い掛けてくる。これにブレイバーンは、いつもの勇気であると答える。

 

『勇気だ! 勇気さえあれば、奇跡は起こる! ルイス・スミスは勇気を爆発させ、それで奇跡を起こし、ブレイブリッツと覚醒したのだ!』

 

「勇気を爆発させて? 意味わかんねぇよ!」

 

 余り意味の分からない返答に、イサミがツッコミを入れる中、こちらにブレイファイターで救援に駆け付けるブレイブリッツを見たブレイバーンは、安堵の表情を浮かべる。

 

「(これで繰り返されずに済むな。さて、俺のループもこれまでだ。後は…!)」

 

 しつこく言うようだが、原典を知っているならば、ブレイバーンの正体が何者か語らずとも分かるだろう。

 

『さぁ、私たちが望むハッピーエンドへ進むぞ! イサミ!!』

 

 繰り返されることがないと分かって安心したブレイバーンは、自分たちが望む最高の結末(ハッピーエンド)へ進むべく、救援に駆け付けたブレイブリッツと共にクーヌスに挑んだ。

 

 残念ながら、この物語はここまでだ。

 後は続きを自身で妄想し、それを創造して貰う他にない。

 

 他にも選択によって生まれた多種多彩な現実もある。それを妄想し、想像するのも君たち次第だ。

 

 では、また別のマルチバースで会おう。さらばだ。




マーベルとブレイバーンのクロスオーバーで、カオス・ウォーズを〆させて頂きました。

とりあえず、最初のスミスとカマラの語らいはこのマルチバース。

やるつもりは無かったけど、なんかしまらんのでやっちゃった。

では、次の読者参加企画をやりたいので、この辺で。
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