D.C.4 〜ダ・カーポ4〜 先視の魔法使い   作:トウリ

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敢えて言うと、ダ・カーポ4のヒロインの中ではぶっちぎりで白河ひよりが好きである。


PROLOGUE 10

 

 

 

「………………」

 

 

「………………」

 

 

 

___無言。

 

 

言葉を発することなく、応急処置を施した腕を擦る後輩兼妹分が、じーーーーーーっと作業を続ける自分をずっと見つめている。

 

正直言って、居心地が悪い。

 

が、かと言って自分から何かを言おうとするとプイッと視線を逸らすのだ。

 

おれに一体どうしろと?

 

そんな膠着状態が続く中、おれはおれで先ほど使った化け物リボルバー【シリウス】を分解して部品の清掃作業をしている。

 

いくら頑丈がウリの化け物銃でも、手入れはしっかりしてないと、大事な局面で使い物にならなくなる。そして手入れをするなら使ってすぐの方がいい。

 

取替の悪戯(チェンジリング)】で取り出した各種道具でメンテナンスを行ってる訳だが、上記の理由で非常に居心地が悪い。更についでに言えば、場所も悪い。

 

 

「はーい、温かいお茶を持ってきたよー♪」

 

 

場違いなほどののんびりした声と共に差し出されるお茶。いや、場違いなのはおれ達なのだが。

 

お茶を淹れてくれた人物___おれの事情も知っている逢見先輩ことソラさんの表情は、慈愛溢れる年上の女性のもので、今おれ達がいるのは彼女の自室である。

 

……うん、やっぱりおれ達が場違いだよなぁ!?

 

でも仕方ねぇんだわ!? この駄後輩、また宿を取ってなかったんだからさぁ!!過ちを繰り返してるんだからさぁ!?

 

 

「ほんっっっとうに、遅い時間にいきなり来てしまって申し訳ございません、ソラさん……!」

 

「…………あの、あたしも、ごめんなさい。急にまたお邪魔しちゃって」

 

「急に連絡が来たときはビックリしたよー。でも事情を聞いたら仕方ないよね。その格好じゃ、絶対に警察のお世話になっちゃうもの」

 

「うう、あたしのお気に入りのパーカーがぁ……!」

 

 

ああ、腕の部分を中心に見事にズタズタに切り裂かれたもんな、おのれのパーカー。と、思いつつ銃口の清掃を続ける。

 

そんな涙目の駄後輩と揃って、溜息を吐く。

 

何というか、あまりに濃い夜である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-PROLOGUE 10-

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

___話は、クソトカゲの脳天をぶっ飛ばした直後にまで遡る。

 

クソトカゲの死体は塵となって跡も残らなかったので、使った薬莢の後片付け……の前に海央の応急処置をする事にした。

 

 

治癒の魔法具を持ってきてるとの話だったが、しておいた方が治りが早いのは確かだ。因みに応急セットも当然【取替の悪戯(チェンジリング)】で取り出した物だったりする。

 

改めて思うが、武器に限らず必要な道具やらも予め用意しとけば、取り替えてすぐに出せるのがホントに便利な魔法である。

 

で、必要な処置をしてから、シリウスの薬莢も再利用するので回収した所で結界を解除。

 

なんか腰が抜けていた海央を背負ってスタコラさっさと逃げたは良いが、肝心の海央がまた宿を取ってない事を白状した為、コチラの状況に唯一理解のあるソラさんを頼った。という流れである。

 

おれは無傷だが、海央の格好が完全に襲われたそれなので、この状態で宿を探す訳にも行かず、ソラさんを頼るしかなかった訳だが。

 

 

「それで、海央ちゃんはホントに大丈夫? 傷も結構深そうだったけど」

 

 

作業しながら回想をしてると、ソラさんがそんなことを尋ねてきた。

 

まぁ、割と血は出てたしな。止血したとは言え、心配はするだろう。

 

 

「はい、その、応急処置もしてもらったし、自己治癒力を高める魔法具を今使ってるので、朝には跡も残らないと思います」

 

「そっか、良かったぁ」

 

「あの、諳子ししょーは、魔法のこと……」

 

「うん、知ってるよ? わたし自身は魔法使いじゃないけどね。わたしの大事な人達が魔法使いだったから」

 

「そうなんだ……」

 

 

そこで海央はまた黙りこくる。

 

そのタイミングでシリウスの手入れが完了したので、しっかりと組み立てた上で、軽く構えて調子を確かめる……うん、問題なし。

 

女子の部屋にて凶器を取り出してる時点で、別の問題がアリアリなのだが。

 

 

「あの、それ一体なんなの……?」

 

 

そこで、ようやく海央がおれに話しかけてきた。

 

クソトカゲを仕留めてからずっと無言だったので、なにか久しぶりな気もする。

 

 

「おれが改造したリボルバーだ。普通のリボルバーだと、おれが使えばすぐに破損しちまうから、徹底的に剛性を高めた上でマナの通しも良くしてある。結果、常人じゃ扱えなくなっちまってるが」

 

「や、あたしが聞きたいのはそうじゃなくて……どうしてそんなの持ってるの?」

 

「あー……必要だったからな。万が一、魔法使いを相手にする場合、半端な魔法使いのおれじゃ攻撃手段に乏しい。それを補うため試行錯誤した結果が、物を取り替える魔法で攻撃手段を取り出す事だった」

 

 

手入れを終えたシリウスを再びビー玉と取り替える。因みに取り替える触媒がビー玉なのは、硝子が比較的にマナを通しやすく、安価で数も用意しやすい為。

 

 

「元咲三の人間って事で、逆恨みの矛先が向かうことも考えられたからな。力を持っとく必要もあったって訳だ。まぁ凝り性が災いしてこんな化け物を作っちまったが」

 

「うん、絶対に普通の人じゃ使えなさそうだよね、それ」

 

 

本当は未来視で視たクソッタレな未来に備えて、だが。【防人】である海央に言うとややこしくなるしな。

 

 

「だとしたら、【防人】の方には何も言わない方がいいです? トーカ先輩はそれを悪用する気はなさそうですし」

 

「黙っててくれると助かるな。おじさんには言っちまっても構わないけど」

 

「分かった、でも、無闇矢鱈に使わないようにね? あたしは【防人】としてトーカ先輩を殴りたくなんてないし。というか銃刀法違反だし」

 

「言われんでも使わんわ。戦いだったらともかく、あんなの日常生活には邪魔すぎる」

 

「あははは……」

 

 

ソラさんが乾いた笑いを見せる。いやホントに、居心地悪いからっていきなり凶器の手入れなんか始めて申し訳ない。

 

 

「で、他になんか聞きたい事あるか? 」

 

「んーん……今は特にない。……ごめんね。任務、あたしがやらなきゃならなかったのに」

 

「気にすんな、兄貴が妹を助けるのに理由なんかいらねぇんだから。でも次からはちゃんと武器持って来とけよ? ……おのれの場合、命にも関わるんだからな」

 

 

「はぁい」と力無く返事する駄後輩の頭を、ポンポンっと軽く叩いて、次に撫でる。くすぐったそうにしながらもそれを受け入れてる様子に、思わず苦笑する。

 

 

「……良かった。ちゃんと、あたしの知ってるお兄ちゃんだ」

 

「あ? 知ってるも何も、おれは一人しかいねぇよ」

 

「そうじゃなくて。……さっきのお兄ちゃん、ちょっと怖かったから。あたしの知らないお兄ちゃんの一面を見て、ビックリしたんだ」

 

 

こてっと海央の頭がおれの胸元に当たる。そのままグリグリと押し付けてくる行動。

 

小さい頃から変わらない、海央なりの甘え方の一つ。

 

 

「どこからともなくとんでもない銃出したり、素手とは言っても、あたしが倒せなかった怪物をあっさり倒したり、それで表情なんかも、ちょっと怖かった」

 

 

……まぁ、いきなり凶器ぶっぱする奴見たら、そりゃ怖いわな。

 

でもそれに関しては少し異論があった。ついでなのでぶっちゃけるとしようか。

 

 

「……一応言っといてやるが、再会した直後に人体ミンチキックかます妹の方が怖いと思うぞ?」

 

「お兄ちゃん、空気読めないってよく言われない?」

 

 

嘘偽りない意見を述べるとジト目でポカポカ叩かれて、今度は割と強めに胸元に頭をグリグリと押し付けられる。地味に苦しい。

 

というか、なぜおれは責められなければならぬのだ。

 

解せぬ。

 

 

「トーカちゃん、めッ! だよ? 女の子には優しくしてあげないとね?」

 

 

ソラさんにまで怒られた。

 

ホントに解せぬ。

 

はぁ。と溜め息を吐く。それから海央の攻撃が収まるのをまって、ソラさんのお茶を飲み干してから、よっこいせ。と立ち上がる。

 

そろそろ日付も変わるし、お暇しよう。

 

 

「あれ、帰っちゃうの? 泊まってけばいいのにー」

 

「そんな女子の家にホイホイ泊まれませんてば。おれには寮があるんでちゃんと帰ります。……海央の事、頼みました」

 

「うん、任されました。気をつけてね」

 

「あと、駄後輩。おのれは取りあえず安静にしとけよ、いいな?」

 

「はぁい」

 

 

という訳で逢見先輩の家を後にする。

 

扉をしっかりしめてから一呼吸して、意識を変える。それから気配遮断と身体強化の魔法を使って、一気にその場を後にする。

 

そのまま、家屋の屋根の上を駆け抜けていく。

 

既に夜は深く、世界を照らす真円の月も傾き出す頃。

 

おれは寮へと戻るのではなく、人気のなくなった水鏡湖の方へと向かっていた。

 

 

「ったく、駄後輩に気付かれずにおれにだけ薄い殺気を飛ばすとか……器用な事をするよな」

 

 

ソラさんの家へ海央を運ぶ時から、いや、クソトカゲを撃ち抜いた時から感じてた気配。

 

海央に気づかせずにそれをやった辺り、次元が違うレベルで強い相手だ。

 

ただ、妙な所もあったので、恐らくは敵ではないのだろうと当たりをつけていた。

 

その理由は…………まぁ、これから分かるだろう。

 

住宅街を抜けて、森も抜けてから、水鏡湖に辿り着く。

 

念の為、シリウスを取り出して臨戦態勢を整えたまま。

 

まぁ、おれの予想が正しければ、必要ないだろうが。

 

 

「やはり来たか。オマエなら気付くと思ったよ」

 

 

そんな声が聞こえた瞬間にシリウスを構えるも、声の主が自分の予想通りの人物だと分かったので、銃口を下げる。

 

 

「……お久しぶりです、おじさん。いや、【防人】の現当主様、と言った方がいいっすか?」

 

 

視線の先にいたのは、それなりに歳を重ねた男性。夜に紛れるかのような黒のスーツと黒のコートを身に纏っている。

 

穏やかな表情からは敵意も殺意もない。

 

最後に見たときよりか老けている気もするが、あれからそれなりに時は経っている、それは仕方ない事だろう。

 

 

「ハッハッハッ! 久しぶりだなトウカ! 俺の予想より遥かに成長したじゃないか! あと畏まらなくていいぞ。めんどくさいしな、そういうの」

 

 

穏やかな表情から一転、師匠を思わせる豪快な笑い方をするその人は、海央の父親にして、【防人】の現当主。

 

 

 

___咲三 灯夜。

 

 

 

血縁上の父親である咲三灯真の弟。かつてのクソオヤジの暴走を止めた立役者。

 

おれが咲三の家から追放されることを、奥さんと海央と一緒に最後まで反対した数少ない人。

 

そして咲三の家を出るまで、おれと海央を鍛えてた先生でもある。

 

その姿を確認した直後、おれは思わずため息を吐く。

 

 

「ったく、海央は防人の応援はないって言ってたんすけど、最初から来てたっすよね?」

 

「まぁな。だが、うちの娘はオマエも知ってる通りドジだろ? 必要な武器も持って行ってなかったから、仕方なくオレが飛んで来たんだよ。お灸を据えるつもりでギリギリまで助けに入らんつもりだったが……いや、面白いものを見れた」

 

 

ってことはクソトカゲとの一部始終バッチリ見てた訳か。おれも修行が足りねぇ。慌ててたとは言え、監視に気づかないとは。

 

 

「で、興味を持ったからおれにだけ判るよう殺気飛ばしたと。……普通に海央経由で連絡してくださいよ。危うく弾丸を叩き込む所じゃないっすか」

 

「よく言う。俺の殺気に気付いた上で、それに敵意もないことを見破ったくせに。……ほんと、あの泣き虫小僧が成長したもんだぜ」

 

 

恐らく、咲三の家でしごいていた時のことを思い出してるのだろう。思えば、割と過酷な訓練で海央共々泣きまくってた記憶がある。

 

 

「そりゃ咲三の家にいたころも扱かれてたし、芳乃の家に拾われるまでは地獄でしたし、芳乃の家に拾われてからも鍛えてましたし。少しは成長しとかないと遣る瀬無いっすよ」

 

「そうだな。まぁ、まだまだ荒削りだがな。それに随分と面白い魔法と武器を使う様になったみたいだ」

 

 

チラリとおじさんの視線がおれが持つ化け物リボルバーに向けられる。

 

真っ当な魔法使いから見れば、やはり異端なのだろう。

 

 

「ミオは気付かなかったみたいだが、わずか数秒しか使えない先視の魔法も有効活用していたしな。素直に感心したよ」

 

「げ、それにも気づいたのかよ」

 

「舐めるなよガキンチョ、こちとら正式にその魔法を継承してる本家本元だぜ? まだ修行中の娘はともかく、俺が気づかねぇ理由はねぇよ。っと、雑談はここまででいいか」

 

 

ふと、表情を真剣なものに変えるおじさんに、こちらも佇まいを正す。

 

どうやら、真面目な話をする気らしい。

 

 

「オマエ、先視でなにか視たんだろ。碌でも無い未来を。それも追い出されて間もない頃くらいか? だからそれに備えて、そんな化け物銃まで用意した。違うか?」

 

 

___。

 

 

思考が止まる。

 

いきなり確信を突かれれば、そりゃびっくりする。

 

というか、なんで判ったんだよこの人。

 

 

「……図星か。恐らくクソアニキが関わる未来でも視たんだろ? それなら嫌でも力をつけるようとするか。それも防人に頼らずに。奴を逃がすと分かってるのに頼れる訳がねぇわな」

 

「……まさか、おじさんも視たのかよ、“アレ”を」

 

 

脳裏に蘇る凄惨な光景。

 

いずれ来る未来のカタチ。

 

しかし、おじさんは首を横に振って否定する。

 

 

「いや、恐らくオマエと同じ未来は視れてない。……だが、ここ最近クソアニキのシンパの動きが活発になっていてな。それに対抗するかのようにオマエが力をつけている様に見えたから、そう思ったんだよ。まぁ、要は勘だな」

 

「……相変わらず、メチャクチャな勘してますね。先視なしでどんだけの精度なんすか」

 

「無闇矢鱈に使う力じゃないからな先視は。まぁ、この島で碌でもない事を考えてる奴がいたのも、海央にお灸を据えるつもりだったのもホントだが」

 

 

お互い揃って溜め息を吐く。同時におれは少し安堵してしまった。防人は頼れないと判断してたが、この人は頼れそうだ。

 

 

「おっと、オマエの考えは判ってるよ。当然協力してやる。って言いたいがな。いつ何があるか判らんが、事が起これば防人の立て直しでオレは動けないだろう。急ぐつもりだが、恐らく間に合わん」

 

「いや、それはおれも判ってるよ。おれが頼みたいのは海央の事だって。……アイツ、絶対に無茶するからさ」

 

 

元より【正義の魔法使い】に憧れてそれを目指してる海央の事だ。クソオヤジがまた暴走を始めれば、絶対に率先して前に出るに決まってる。

 

海央は確かに強くなった。でも、元防人の当主で殺人も厭わないサイコパス野郎相手にはどうなるか判らない。

 

だから、おじさんが味方なら、海央の事を頼んでおきたい。そう思っての申し出だった。

 

 

「おいおい、ミオは確かに大事だが、オマエはどうすんだよ、トウカ。勝算があるのか?」

 

「……あると言えばある」

 

 

おれはおじさんに、その“勝算”について語ることにした。それは、半端にしか継承してなかった【先視の魔法】の代わりに習得した魔法。

 

師匠から見ても、興味深いと言わしめた、文字通りの切り札。

 

……それの概要を聞いた瞬間、おじさんの顔色が変わった。それはある意味で予想通りの反応だったと言えよう。

 

なにせそれは、先視の魔法使いにとっての常識を覆して、天敵になり得る魔法なのだから。

 

 

「……オマエ、マジか? よくもまぁ、そんな魔法を習得出来たもんだぜ。でも、確かにそれなら切り札になり得る。つか、その未来を俺が視てたら巻き込まれてたじゃねぇか、危ねぇなオイ」

 

「偶然の産物だったけどね。……問題はぶっつけ本番にしか使えない事、か」

 

「ああ、だが決まれば全てをひっくり返す事が出来るな。……フッ、それが判っただけでも来た価値はあったか」

 

 

そう言っておじさんはコートを翻して背を向けた。

 

 

「帰るんすか?」

 

「ミオの安全も確認出来たし、甥の元気な姿も見れた。オマケに面白い情報も知れた。十分過ぎる収穫だ。礼にあのトカゲはミオと口裏合わせてこっちで片付けた事にしておいた上で、報奨金も出してやるよ。オマエはその時が来るまでは潜んでいてくれ」

 

「いや別に金はいらねえけど、元々そのつもりだよ。つか、ここまで来たんならミオも引き取りに行きなよ」

 

「流石に年頃の女子生徒の家を尋ねるのは気が引けるんだよ。俺はオッサンだからな。それに、アイツは暫く休ませる気でな。よければ様子を見といてくれ」

 

「気が向けば、でいいなら」

 

「それでいいさ。じゃあな、トウカ。……全部終わったら芳乃の家に顔出しに行くから、死ぬなよ」

 

 

そう言って防人の当主は姿を消した。

 

瞬動。

 

気配も魔力も感じさせずに、本当に一瞬で姿を消した。

 

 

「……相っ変わらず素のフィジカルがバケモンだな、あの人。衰えてもねぇどころか、より化け物になってないか?」

 

 

おれも常人よりは鍛えてるけど、あの人はそれ以上だ。

 

つか、比べ物にならん。素の状態で海央が身体強化使った状態よりも強いとか、もはやバグかなにかだろう。

 

呆れと恐れと敬意を込めた溜め息吐きつつ、【取替の悪戯(チェンジリング)】でシリウスをビー玉と取り替え、そのビー玉をポケットに仕舞う。

 

この夜、色々あったがその分収穫も多かった。味方が増えるのはやはり心強いものなのらしい。

 

 

「帰るか。帰って、寝よ」

 

 

とは言え、流石にクタクタである。島をほぼ横断してから化け物と一戦を交えたのだから、疲れて当然なのだが。

 

明日も昼まで爆睡コースだわ、これは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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____そして、翌日。

 

 

12/23 日曜日 散歩日和の快晴と共に。

 

 

案の定、昼まで爆睡したおれは、何時もの日課(修練と鍛錬)をこなしたあと、特に何もする事がなかったのでブラっと公園まで足を運んでいた。

 

一応、海央の方の様子も確認したが、まだ爆睡してるそうだ。連日の任務で疲れてたのだろう。寝顔がやけに安らかだった。

 

なお、その寝顔の写真を撮って送ってきたソラさんは実に活き活きとしていたことは余談としておこう。

 

でもって今日は祝日の日曜日。振替休日で明日も休みなだけあってか、日も徐々に傾き始めてるのに公園には家族連れの人などまだまだ多い。

 

その公園の、たまたま空いてたベンチに座ってボーッとする。

 

 

「平和だな……」

 

 

言葉通り、本当に平和な時間だった。

 

昨日、島の真西で化け物が現れたとはとても思えないほど、ここには穏やかな時間が流れていた。

 

穏やかな風と、暖かな日光。騒がしすぎる程でもない家族連れなどの笑い声。近くのクレープ屋台から漂う美味しそうな匂いもまた、平和らしくていい。

 

こんな時間がずっと続いてほしい。

 

心の底からそう思うくらいには、その場所は居心地が良かった。

 

そんな風にボーッと公園で遊ぶ子供とか、イチャつくカップルとかを眺めていると、ふと、背後から足音を殺して忍び寄る気配を感じた。

 

なので、ベンチにもたれ掛かりながら首を後ろに逸らす。

 

真逆になった視界の中、ここ最近で一緒に行動する事の多かった恋愛請負人が驚いた表情を浮かべていた。

 

 

「うわっ、気づかれましたか。なるべく足音を消して近づいたのに」

 

「いや、おのれは何してんだよ白河」

 

 

首を戻してから、今度は普通に振り返る。

 

こっそり忍び寄ろうとしてたのか、件の少女___白河は、いつものように悪戯めいた表情を浮かべてる。いや、バレバレだっての。

 

で、そのままおれの座ってたベンチの隣に座る。コイツも散歩に来た口だろうか。

 

 

「おれを驚かしたかったら杉並連れてきた方が早いぞ。アイツの気配だけはマジで分からんからな」

 

「本当に何者なんですか杉並は……。まぁ、それはそれとして。こんにちわ芳乃、打ち上げぶりですね。疲れは取れましたか?」

 

「別件で昨日バタバタしてな、今日も昼近くまで爆睡コースだ。オマケに今日は絶好の昼寝日よりだし、白河が来なかったらそのまま寝ちまったかもな」

 

「それは残念、芳乃の寝顔を撮る絶好のチャンスだったのに」

 

「おい、ばか、やめろ」

 

 

危ねえ。油断してたら何されるか判ったもんじゃねぇよ。兄妹揃って寝顔晒すとか流石にないって。

 

 

「で、白河も散歩に来たのかよ?」

 

「不正解。ちょっとした用事かな。そうだね……キミも来るかい?」

 

「? どこにさ?」

 

「それは行けば判りますよ。で、どうします? もう少しヒントを出すなら、キミも多少は無関係ではないってことですかね?」

 

 

無関係ではないって、余計に判らんくなったな。

 

行けば判るらしいが……まぁ、暇でぶらぶら散歩してたくらいだ。白河の付き添いの方が面白いかも知れん。

 

 

「いいぜ、乗った。どうせ暇だしな」

 

「よし、それじゃ早速行きますか!」

 

 

意気揚々とベンチから立ち上がった恋愛請負人のテンションに思わず苦笑しつつ、先導する白河に付いていく。

 

さて。鬼が出るか、蛇が出るか。

 

 

 

 

 

 

日も傾き夕焼けの空を映し始める頃、やたら機嫌のいい白河の先導の下、公園から水鏡湖を抜けて歩き続けた先、着いたのは北西にある、島全体を見渡せる丘だった。

 

一番上の展望台から、水鏡湖のあの桜も見える場所でもあるが、こんなところで一体なにをしようと言うのか?

 

 

「さて、ここからはスパイ業にジョブチェンジして隠密行動と行きましょうか」

 

「……急に碌でも無い気配がしてきたな」

 

 

大体こそこそするときは碌でも無い事をする時だ。って、杉並とかとツルんでるとよく分かるものだ。

 

 

「あ、因みにボクのことはフリッグと呼んでください」

 

「フロッグ?」

 

「それは蛙ですよ、蛙。げこげーこ」

 

「じゃあ、ブロック?」

 

「無機物じゃないですかっ。ちーがーいーまーす!」

 

「フラッグ」

 

「旗でもないんですよ!旗でも!」

 

「Glock17」

 

「それは9mmパラペラム弾の拳銃です! あと無駄に発音がいいですねぇ!? ってもういいわ!」

 

 

ビシッと白河のツッコミが決まる。相変わらずコイツとの会話はなぜか漫才になりがちになる傾向にあるな。無意味にボケ倒しちまった。

 

 

「で、フリッグだな。愛の女神の名前かよ。コードネームまで決めてノリノリかい」

 

「あ、普通に知ってるんですね。……えへ。ボクにピッタリだと思いません?」

 

 

一登が叶方がやってたソシャゲに出て来たな。一登も叶方も引けずに爆死したから杉並と爆笑してた記憶がある。

 

北欧神話に出て来る愛と結婚と豊穣の女神にして、あの主神オーディンの配偶神。

 

恋愛請負人のコードネームとしては、確かに十分過ぎるか。

 

 

「因みにおれのコードネームもあるのか?」

 

「あ、欲しいです? そうですね……じゃあゴリで!」

 

「言うと思ったけど、てめぇコノヤロウ」

 

 

声を抑えて爆笑する白河にキレるおれ。

 

おのれの中で、おれはどんだけゴリラのイメージで固めてられてんだ。

 

というか片方が愛の女神でもう片方がゴリラってどんな状況だ。美女と野獣か? 誰が野獣だコラ。オーディンに始末されるわ。

 

溜め息を吐く。白河との会話は本題から脱線しても面白いのだが、流石にここでグダグダやるには少し時間をかけ過ぎな気もする。もうこのコードネームでやるしかないだろう。

 

 

「はぁ、よし、開き直るか。行くぞフリッグ。さっさと任務を終わらせようじゃねぇか」

 

「お、乗ってきましたね。___了解だぜゴリ」

 

 

というわけで即席のコードネームと共に隠密行動を開始する。

 

足音を消しつつ丘の上へと上がっていく。

 

展望台までは階段で一本道だ。なので迷うことはまずない。

 

 

「ゴリよりフリッグ、ゴリよりフリッグ」

 

「……ぷっ、フフッ、こ、こちらフリッグ、どうしたゴリ」

 

 

おい笑い堪えてんの丸わかりだぞ貴様?

 

 

「そろそろ作戦の目的を知りたい。上層部のクソッタレどもはどんな無理難題を押し付けてきやがった?」

 

「フッ、そいつは聞いたって無駄だぜ。上層部どころか本部の連中は俺達をただの駒としか思ってねぇんだ」

 

「ケッ、そんなことだろうと思ったぜ。美味い所はいつだって上が持っていきやがる」

 

「静かに。上の連中に聞かれたら面倒だ。それで今回の件は政治も絡んでるって噂だ。大使館に務めてる友人によると、同盟国のスパイが絡んでるって噂らしい」

 

「ほう、聞いたことあるな。“S”っていう凄腕のスパイが、ある国の島にある学園で学生をやりつつイベントの度に何かしら騒動を起こしてると、まさか奴が……?」

 

「___どう見てもそのSって杉並ですよねぇ!? というかいつまで続けるんですこのネタ!?」

 

「いや、以外に面白くてな。そういう白河も楽しんでたろうが」

 

「あ、バレました? 以外に面白くてネタの止めどころを見失いました、えへへ。あと、ゴリって言う所でやっぱり笑いそうになるんですよ……!」

 

「おのれが付けたコードネームだコノヤロウ」

 

 

ツッコミを入れてから二人して苦笑する。思ったよりこういうなりきり系のネタはやってると楽しいものである。

 

あと、杉並はマジでスパイやってそうだ。うん、ホントに何者なんだよアイツは。

 

 

「まぁ、ネタに振っちまったが、質問自体は変わらん。そろそろ何をするか教えてくれ」

 

「ふふ、そろそろいいですかね。ちょっと、バレないように展望台を覗いてみてください」

 

「バレないようにって……あ」

 

 

階段から頭を出すカタチで展望台を覗き、そこでようやく気づいた。そして察した。

 

展望台には一組の男女。

 

男の方はおれも知ってる顔だ。というか空手部の部長殿だ。

 

相手の女子にも見覚えがある。白河に依頼してたおとなしい系の本校2年女子のはずだ。

 

夕焼け空の下、年頃の男女が向かい合ってるこのシチュエーションは、まさか。

 

 

「今から、空手部の部長が告白します」

 

「おい、出歯亀じゃねぇかっ。趣味悪いぞ!?」

 

 

何かと思えば覗きかよ!? そりゃ隠密行動始めた時点で怪しいとは思ったけどさァ!流石に趣味が悪くないか!?

 

 

「いやいや面白半分で覗いてる訳じゃないですって。恋愛請負人としての仕上げとして見守りに来たんですよ」

 

「いや、でもやってることは結局覗き……待てよ? 確か、依頼してたのは女子の方だったよな」

 

 

なにせおれも関わった依頼だ。詳細は覚えている。

 

依頼者は確かにあの大人しい性格の女子で、おれは意思確認の為に空手部の部長殿の所へ行った。

 

うん、だとすると今の状況はおかしい。なぜ、部長殿の方が告白する流れになってんだ?

 

疑問に対する答えは、恐らく隣りにいる恋愛請負人にあるだろう。

 

 

「……まさか、この状況を意図的に作ったのかよ?」

 

「大正解っ。依頼者は確かに女の子の方だったけどね。あの二人の相性を考えたら、部長さんが告白したほうが上手く行くって思いまして、色々としてたんですよ?

 

二人の接点を作って、そこから作戦を教えたり、プランを練ったりして、部長さんが告白する下地を作ったんです」

 

「おいおいおいおい……」

 

 

あれだけ忙しかった中で、そんな事までしてたのかよ白河は。

 

というか、今日告白なのか? クリスマスイヴは明日だぜ?

 

明日でも良かったんじゃないか? そう思った事が顔にでも書いてあったのか、白河が説明に入る。

 

 

「本当なら、イヴやクリスマスに告白させても良かったんですけど、彼女の方が家の方で外せない用事が急に出来たらしくて。彼女、それで落ち込んでたんです」

 

「……なるほどな。それならいっそ、その前に告白させちまおうって訳か」

 

「正解。クリスマス当日も家の方の用事で学校を休むみたいで、それなら先に告白させればあの子も持ち直すかなって」

 

 

なので急遽、予定を変更して部長殿の背中を押したのか。

 

それも、あの先輩女子の為に。

 

 

「ボクはただ銃を撃つだけのトリガーハッピーじゃありません。……大切な恋を成就させる為に、考えうるあらゆる手段を検討・行使してハッピーエンドを目指す恋愛請負人、なのです」

 

 

優しくも切ない夕暮れの空の下、緊張した面持ちの部長殿が、女子の方へ何かを告げる。

 

ここからじゃ何を言ってるかは判らない。けれど、それは部長殿のありったけの思いを詰め込んだ言葉なのは間違いなくて、

 

その言葉を受け取った女子は、驚きの表情を浮かべ、次に涙を浮かべ、それからとても綺麗な笑顔を咲かせた。

 

 

「やったっ……ふふ、おめでとうございます」

 

「見守るって、そういう事か」

 

「ええ。依頼者の念願叶った笑顔がボクの仕事の報酬です。……これくらいなら、許してもらえますよね?」

 

 

恋心が実った女子の笑顔にも負けないくらいの眩しい笑顔を浮かべる白河。

 

夕日に照らされた笑顔は、今まで見た白河の笑顔の中でも特に綺麗で、思わず魅入ってしまった。

 

 

「……そう、だな。うん、それくらいなら良いんじゃないか? 趣味が悪いって言ったのは取り消す」

 

「えへへ、ありがとうございます」

 

 

なんとか我に返ってから、絞り出すようにそう答える。

 

……いかん、今のは反則だろう。いや、何が反則か判らんが。とにかく反則だ。 反則ったら反則だ。

 

思わず顔を逸したおれは悪くない。白河はそんなおれを不思議そうに見てたが、次にはめでたくカップルになった二人の祝福に戻っており、それが今はありがたかった。

 

 

 

___その後、幸せいっぱいのカップルとなって帰る部長殿達を、茂みに隠れてやり過ごしてから、展望台のベンチで一息吐く。

 

 

「ふぅ、幸せいっぱいでした。堪能堪能」

 

 

出歯亀、いや見守りを終えた白河は随分と満足そうだ。

 

 

「最初はただの出歯亀だと思ったが……まぁ悪くなかった。しかし白河、おのれホントにスゴイな」

 

 

乱れた感情は時間の経過でなんとか戻り、先程の出歯亀……じゃなくて見守りの感想を述べる。

 

それを聞いた白河はいつもの悪戯めいた笑顔を見せる。

 

 

「ふふ、今更気付きました?」

 

「今更っつーか、改めて思い知った。……誰かの笑顔のためにそこまで頑張れるなんて、ホントにすごいよ」

 

「は、はい。……真正面から言われると、なんか照れますね」

 

 

打たれ弱いのは相変わらずなようで、あわあわと照れる白河。……こうしてみるとただの女の子なのにな。

 

 

「前にも思ったが、白河はまるで魔法使いだな」

 

「魔法使い、ですか?」

 

「ああ。魔法を誰かの幸せの為に使える魔法使い。御伽噺にいるようなお人好しの極みと言うべきか」

 

 

かつて【防人】を、【正義の魔法使い】を目指していたおれからすれば、白河の在り方はとても眩しいものに感じられた。

 

おれに出来るのは数秒先の未来を見ること、そして___人に仇なすモノを、それ以上の暴力をもって退けることぐらいだ。

 

だから、余計にそう思うんだろう。

 

 

「……そんな大層なものじゃないですって。恋愛請負だって、結局は自分のためにやってるようなものですよ」

 

「でも、それで笑顔になった人達はいるんだろ? それも沢山さ」

 

 

さっきの女子や部長殿達みたいに。きっと、今まで白河がカップルにしてきた人達も、みんな。

 

 

「おのれは確かに人を幸せにしてるんだ、理由がなんであれ。それはきっと誇って良い事だと思うよ、おれは」

 

「そう、ですかね?」

 

「そうだよ、きっとな。……っと」

 

 

ふと、TABからCOMUの通知が入る。見れば白河も同様のようだ。

 

はて? と首を傾げつつ二人揃ってCOMUを立ち上げる。通知を入れたのは、どうやら有里栖のようだ。

 

 

『みなさん、こんにちは。突然のCOMUですみません』

 

『明日のワンダーランド入場券を確保しました』

 

『予定の都合がつきましたら、ぜひ一緒に遊べればと思います』

 

 

との事で、思わず隣にいた白河の方を見る。白河も驚いた表情でこっちを見ていた。

 

 

「マジ?」

 

「マジみたいですね。……答えは、言うまでもないですね!」

 

「当たり前だぁ!」

 

 

『了解!』

 

 

と白河がコメントと、何かのキャラのスタンプを貼る。いやホントになんのキャラだよ?

 

先を越されたのでおれも打とう。

 

 

『ヒャッホーイ!』

 

 

と、おれもコメントを入れ、ゴリラが「昂ぶってきたァ!」と言いながらドラミングしてる謎のスタンプを貼る。

 

それを見た瞬間、白河が吹き出した。

 

 

「ちょ、どこから拾ってきたんですかそのゴリラスタンプ!?」

 

「おのれが散々ゴリラゴリラ言うから、思わず目に付いたんだよコノヤロウ」

 

 

と、答えてる間にも他の面子も次々に了解の文字やスタンプでレスが付いていく。

 

何故か二乃だけ付いてないが、一登やソラさん……逢見先輩がいるから大丈夫だろう。

 

 

「思わぬサプライズだな」

 

「ですね! 流石鷺澤!」

 

 

と、降って湧いた幸運とやらに揃って喜んでいるとまた通知。今度はおれだけ。

 

 

『芳乃くんに質問です。海央ちゃんってワンダーランド行けそうかな?』

 

『チケット、実は一枚余分にあって、それならこの前一緒に打ち上げした海央ちゃんもどうかなって』

 

 

「おいおい、海央の分もあんのかよ」

 

「良かったじゃないですか! でも、肝心の海央ちゃんは今どこにいるんです?」

 

「逢見先輩の所。ちょっと先輩に確認取るわ。つかアイツの連絡先聞くの忘れてたな……」

 

「そこは、真っ先に聞いとくべきでは……?」

 

「バタバタして忘れてたんだよー」

 

 

言いながらもTABを操作して逢見先輩に確認を取る。

 

海央はまだ先輩の所にいるらしく、明日も【防人】の任務はないらしい。おじさんの言う通り、負傷したこともあって休暇となってるらしい。

 

なのでワンダーランドの件を話すと、丁度その話題で話をしてたらしい。まさか自分も行けるとは思ってなかったらしく、メチャクチャに喜んでるとのこと。

 

ついでに連絡先も聞いてみるが、TABではないが海央もタブレット端末を持ってるらしく、ついでにCOMUに登録させておいた。

 

 

-みおーん さん が 入室しました-

 

『有里栖さんに誘われたので海央も行きまーす!』

 

 

と、元気よく乱入して元気に吠える犬のスタンプを押していく駄後輩。

 

 

『良かった!明日は楽しもうね!』

 

『はい!』

 

 

と、有里栖からも太鼓判を押されたので、これで大丈夫だろう。それから他の面子も海央を歓迎していくスレを打ち込んでいく。

 

 

「ふふ、楽しみが増えましたね」

 

「だな」

 

 

二人揃って、明日のワンダーランドに思いを寄せる。

 

明日の予定が出来たということで、解散となった。

 

とはいえ、お互い寮暮らしだ。帰り道が同じなので雑談を話しつつ、軽口も叩きながら揃って帰路につく。

 

 

 

それに、何故か居心地の良さを感じながら。

 

 

 




取替の悪戯(チェンジリング)
ある大魔法使いから教わった、妖精の悪戯を再現する魔法。
予め印を付けたモノと術者が手に持つ媒介を、空間を超えて取り替える事のできる魔法で、灯火は魔力を込めたビー玉を媒介にしている。

この魔法であらゆる武器を取り替えてぶっ放すのが灯火の戦闘スタイル。
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