ウォーヘッド・アンド・バスターキャノン-TS金髪オレ娘エースは美少女クラスメイト達と宇宙を駆け無双する- 作:ザンザザン!
ファーストスクランブル
ミエリ・ライオネルは数百年ぶりに宇宙を駆け、無双していた。
18メートルの
一心不乱に加速しながら急上昇し、慣性に全身で抗いながら機体を操縦する。それは、心地良い感覚だ。
「はっ、大した機体だぜコイツは! "デルタエッジ"とは比べ物にならねえ!」
FFR-14A9カスタム、ペットネーム
絶え間なく四肢を動かして高性能機を操り、視線を全周囲に奔らせる金髪碧眼の美少女が今生のミエリの肉体だ。
身長154cmのしなやかな肢体を包むのは、極薄のナノマシン被膜による完全耐環境装備"ナノシェルスーツ"。手足や局部など部分的に装甲が取り付けられているだけで、色を塗った裸同然のように見えるが、その耐G性能は最高クラスだ。
数百年もの間ミエリの
今のミエリは地球への帰還を目指す世界艦《袰月》に身を寄せるアロウライダーであり、最精鋭
それは地球帰還艦隊同士の抗争で《袰月》が受けたとばっちりだったが、そう呼ぶには苛烈過ぎる戦闘だった。
戦闘機の撃墜スコアが一気に増えたことの対価として、ミエリのファイアイーターが左手で握ったアサルトレールガンは砲身冷却の真っ最中だった。
「来るかっ!」
神経直結デバイスで繋がった超感覚センサが高エネルギー砲撃を警告するより速くミエリは反応した。
フットペダルを踏み込み、大きく身を振り、右脚を高く蹴り上げながら左に身を捻る。
空間を滑るように急旋回するミエリのすぐ横を高収束ビームが通り過ぎた。高エネルギー粒子の飛沫は、触れるだけでアロウヘッドの装甲を融解させるが、
最小限のエネルギー消費でしつこい砲撃を避け続ける。
「敵はどんなだ!?」
ミエリは猛々しく吼えた。網膜投影HUDに艦砲射撃の射点がズームされる。
全長1km以上の巡洋艦を中心に縦方向に連なる長い陣形を組んでいた。
それに加えて、戦闘艦艇とくれば多数の攻撃端末を有して多角的に攻めてくるのが常。艦からの砲撃だけでなく、攻撃端末が群れを成して掛かってくる。
思考トリガーでサイドスラスターを急速噴射。腹筋が浮き出るほど薄いナノシェルスーツだけで覆った肢体に力を込めて、Gに耐える。
ミエリは宇宙空間を大きく跳ねるように飛び回り、ファイアイーターの特筆すべき機動性で群がってくる攻撃端末群と巡洋艦を翻弄し、一瞬で攻撃に転じる。
「邪魔だっ!」
まず攻撃端末に体当たりする。それは通常のアロウヘッドであれば自殺行為でしかない。
だが、
ミエリのファイアイーターを介して現出した高次元の断面は、接触した攻撃端末を光の粒子に変換して貪った。
邪魔な攻撃端末を平らげると続いて艦砲射撃を際どく避け、垂直上昇。反転して敵艦の上面に砲を向けようとする。
「くぅぅぅっ!!」
反転するファイアイーターのコクピットで金髪碧眼の美少女が全身の力で慣性荷重に耐える。
男性だった頃の肉体であれば、相当な忍耐が必要だった激しいマニューバも今ならば少し苦しい程度で済む。
「喰らいやがれっ!」
敵艦の頭上にて右手に握ったアロウヘッドの主砲バスターキャノンの力場を解放する。長大な収束レールから解き放たれるのは、青色の閃光。
時空間を歪ませるほどのエネルギーを閉じ込めた弾体が巡洋艦の船体を撃ち抜いて、炸裂した。
敵を翻弄している間にチャージしておいたエネルギーが球形の光として広がり、小艦隊を飲みこみ、完全に消滅させる。
サイドスラスターで機体を反転させ、その輝きを背景にミエリは直進していた。
周囲で幾つものの爆発が起きているのは、背部ミサイルポッドから発射したハイマニューバミサイルが残った攻撃端末に命中したからだ。
指示された目標を殲滅すると、ミサイルと光条飛び交う宇宙を駆け抜け、小隊の僚機と合流を目指す。
慣性制御ドライブによって、アロウヘッドは宇宙空間を自由自在に飛び回ることができる。
《殲滅大戦》でのデビューから今日に至るまで、主力兵器の座を不動のものとしている、この人型機動兵器の性能は日々向上している。
だが、戦闘機動による負担の完全な打ち消しにはいまだ至っていない。
それに耐えられる強靭な肉体が
小隊はそれぞれの割り当てを掃討し終え、編隊を組み直す。小隊長機を先頭としたアローフォーメーション。
今日が初出撃となったミエリの小隊は三機編成だ。
機種は同じファイアイーターだが、個人に合わせてカスタマイズされており、外観や武装が大きく異なる。
配属されたばかりのミエリの機体は、プレーンな調整で白く塗装されている。
『お疲れ様、ミエリ! 流石は大戦のエースだね、小隊トップのスコアだよ!』
視界の片隅のバストアップウィンドウに小隊長のハレの快活な笑顔が映る。金髪を長く伸ばし、目つきが鋭いが人懐っこく陽気な美少女だ。
ロングレンジクラスの女子高生達の半分近くが身長170cm以上であり、豊満な胸と尻、優雅に引き締まった腰に長い脚という理想的な肢体を備え、戦乙女であることを示すように腹筋が鍛えられている。ハレもその一人だ。
『お見事です。ミエリさえよければ後ほどマニューバーの手解きを乞いたいものです』
もう一人の僚機からも賞賛が送られた。エキゾチックな褐色肌に黒髪のククリス。
物静かで実直な性格の美少女だった。こちらも身長は170cmほどだ。ハレと同じく際立ったスタイルであり、ナノシェルスーツに鍛えられた腹筋が浮き出ている。
『よせよ、照れるだろ』
ミエリはこそばゆくなり、シートからお尻を少し浮かせて座り直した。ナノスキンが縁取る柔らかく肉厚なお尻が、圧力で柔らかく変形するのをミエリ自身が感じた。
『あはは、可愛い~♪ 資料には"極めて優秀だが狂暴極まり、反抗的"なんて書いてあったからドキドキしていたのに実物はこんなにキュートだなんて』
『当時は勢力を問わず、私達のような
異能者、それは魂魄が高次元との親和性を持ち、超常的な能力を発揮する者を指す。
異能者が直結した人型機動兵器であれば、本来巨大な演算装置を必要とする次元兵装の運用が可能であるだけでなく、異能者の持つ特性を機体に伝播させて性能を向上させられる。それがファイアイーターの桁違いの戦闘力の源になっていた。
『ここは避けて通ろ! 全機垂直上昇!』
弾幕密度が高い空域を迂回すべく、小隊は揃って急制動からの機首上げ。
「うぅっ……! ちょっとキツい……!」
「くっ!」
慣性により、通信画面でハレとククリスの豊満なバストが大胆に揺れ弾んだ。
(なんちゅうド迫力の……っといかんいかん)
それを直視してしまったミエリは戦場では命取りな煩悩を慌てて振り払った。
二人ともミエリと同じくナノシェルスーツを着ているが、綺麗に突き出た胸が、所謂乳袋を形成している。色付きサランラップのようなアンダースーツの局部などに装甲があるデザインは、身体の線を裸よりも蠱惑的に強調していた。
編隊で雑魚を蹴散らしながら、ミエリは少女達と歓談を続けた。
『やっぱりすっごい腕前だねミエリ! これで灰音もいれば私達だけで戦隊の割り当てを全滅させられそう!」
『私達がしているのは《袰月》を護る戦いであり、戦果の競い合いではありませんよ』
『あはは、ごめんごめんククリス~言ってみただけだよ』
本来ならハレ小隊にはもう一人メンバーがいるのだが、今日は調整槽に入っている。
『その娘、今日は欠席してるけどクラスのエースなんだろ? 教室で直接会うのが楽しみだぜ。勿論、ハレ達ともだが」
ミエリは頭の中にあった違和感が僅かに解れていくのを実感した。
初登校直前にスクランブルがかかったため、ミエリは戦場でハレ達と対面したばかりだ。直接顔を合わせてすらいない。
それなのに、親しい友人のような関係で会話しているのが違和感の原因だった。
(これが調律か。当たり前じゃないのに、当たり前に感じる、妙な感覚だぜ)
《袰月》では人体のデザインや心身の調整が常識であり、将兵は円滑にコミュニケーションが取れるよう社会性を設定されている。
これらを調律と呼んでいるのだが、ミエリは自らが宿る肉体を造り上げるだけでなく、集団の利益のために精神さえ調整する価値観に衝撃を受けていた。
男であるミエリが少女の体になったのは、他でもない彼自身が記したオーダーを艦の管制AIが忠実に実行したたためだ。
彼が求めたのは戦士としての最高スペック。《袰月》の極まった遺伝子工学は戦士として最高のパフォーマンスを発揮する女性体を編み出しており、ミエリにもその肉体が用意されたわけだ。
ミエリの違和感が少し解消されたのは、実際にハレとククリスと交流して親睦を深めたためだ。
精神への刷り込み技術は発展する一方で、同時に限界を示した。
疑似的な体験、知識、技能、認識といったものは実体験には一歩及ばず、決して違和感を拭えないというものだ。それゆえに《袰月》の民は実際の経験や鍛錬を重視する傾向が強い。
(まっ慣れていくしかないな。少なくとも《袰月》は前よりマシな場所だ)
かつて生きていた社会とまるで異なる生命や精神に対する認識にいずれは馴染む必要がある。ミエリはそう自分に言い聞かせて意識を切り替えた。
新たな目標として母艦である特務巡洋艦フェンリルより指示された、空母を含む機動艦隊に食らいつく。
『防空群はオレが抑える。ハレとククリスで空母を叩いてくれ』
『OK、任せるよっ!』
『ミエリの開いた道は決して無駄にしません。見ていてください』
三機のファイアイーターは散開して濃密な弾幕を抜けながら、戦闘機やミサイル、時折駆逐艦や巡洋艦を撃ち落としていた。
ミエリが先行して、僚機が対艦攻撃に入るのを手助ける。
フォースフィールドで小規模な弾幕を防ぎ、射線を確保するとミエリはバスターキャノンをぶっ放して戦艦を含む艦艇を一度に撃滅。それに合わせてハレ達が空母を叩いた。
ハレ小隊は任務を終えて母艦に帰還した。
ロングレンジクラス所属のアロウヘッドが順次フェンリルに着艦していく。純白の無骨な船体にレールキャノンとブースターが艤装された高性能艦の全長は1.2km。区分としては巡洋艦だが、最低限の空母機能を有する。
『今日も未帰還機はゼロ。他の部隊や《袰月》の損害もごく軽微。最高の戦果ね』
フェンリルの艦長もまた女子高生である。目を惹く赤髪ツインテールに長身の美しい肢体。
上品でありながらどこか妖艶な印象のゼフィリスという少女だ。
戦闘機的な運用のフェンリルのブリッジにはゼフィリス一人だけがおり、ナノシェルスーツを纏って豊満なヒップをシートに押し付けていた。
「改めてよろしくね、ミエリ!」
「中々の腕してんなチビ助! 後で俺に付き合えよ、いいトコ紹介してやるぜ」
「大戦の英雄と学び舎を共にできるとは光栄だ」
「こらこら、困ってるでしょ。少し休ませてあげなさい」
「あらあら、今日はいつになく賑やかですわね」
「皆、その自慢のデカ尻を退けてくれたまえーお子様先生が通るぞ~!」
格納庫にて、ミエリはこれから学園生活を送ることになるロングレンジクラスの美少女達や担任のゼラと対面してもみくちゃにされた。
全員が下着を付けずに装着している、極薄なナノシェルスーツ姿で、身体のラインをくっきりとさせ、笑顔でミエリのあらゆる場所にスキンシップを取ってくる。
「こっこら尻を触るな! やっんぅっ! 誰だ今の!? 股間の装甲をタッチするのはどういう意図だ!」
少女達の歓声が響く格納庫など、殺伐とした軍隊生活を送ってきたミエリにははじめての体験だ。大半が自分より背の高い少女達にもみくちゃにされ、金髪の美少女は、脚をばたつかせながら藻掻いて叫ぶのだった。