ウォーヘッド・アンド・バスターキャノン-TS金髪オレ娘エースは美少女クラスメイト達と宇宙を駆け無双する-   作:ザンザザン!

11 / 62
ハイパー・ソニック

 

 ゼフィリス率いる五機の可変型アロウヘッド・デルタセイバーは指示された演習区画に侵入した。

 現在、高度8000フィート。マップされた模造都市近辺にマーカーがセットされている。

 

 目標地点到着後、ただちに戦闘訓練を開始するとCPから通達があり、闘志が増々燃え上がる女子高生ども。

 

『おっすごい』

 

 通信ウィンドウでハレが軽い調子で呟いてから数秒後、レーダーが多数の赤色の光点を表示する。

 地下に隠蔽されたランチャーから射出された航空兵器と都市にて起動した陸上兵器の反応だった。

 

 異能による予知に彼女の機体のAIはやや混乱した。

 高級機だがデルタセイバーは次元兵装を搭載しておらず、専用の観測機器も積まれていない。

 そのため、異能者の起こす超常現象には直接的に対応できない。取得したデータからアナロジーを用いてその性質を理解するのだ。

 

警告(コーション)、敵機多数。航空戦力及び地上戦力。市街地に高出力レーザーユニットを検知、脅威度A-。敵、攻撃レーダー作動中、レーダーロックまでのカウントダウン開始』

 

 デルタセイバーの戦術支援AIが矢継ぎ早に警告してきた。

 捕捉している戦闘機は百を超えている。帯状に広く展開してこちらに向かってきていた。ここの軍隊の標準的な訓練ではないだろう。

 

 敵はCGではなく実体であり、模擬弾を装填している。しかもこちらは実弾だ。バスターキャノンは超低出力モードにされているが、ほぼ実戦と変わらない。親善交流団のための特別メニューだ。

 

『試されているな、オレ達』

『望むところです』

『んっ実力を分からせる』

『ふふっやる気満々ね――――レイピア1から編隊各機へ、4と5は前衛として突破口を! 2と3は私と共に市街地エリアに侵入し、地上戦力を撃滅、ブレイク・ナウ!』

 

 本日の小隊長、上品な赤髪ツインテの指示は各自の気質まで考慮した完璧なもの。

 

『一緒に頑張ろう、ミエリ』

『頼りにしてるぜ灰音』

 

 ミエリは灰音の機体と翼を並べて前方に進出し、スロットルを解放。アフターバーナーをかけたデルタセイバーは急加速。

 

『二人とも、良い狩りを!』

 

 陽気なJKが猟犬の眼差しになりながら、送り出す。ミエリ達は後方の三機を置き去りにしていく。

 

 相対速度は既に音速の十数倍に達しており、お互いに敵をロックしている。

 

 HUDにズームアップされた敵航空機キラービーは対艦ミサイルに武装を施したような形状。事実、ミサイルから発展した高速無人戦闘機だった。

 

 製造ラインが流用できるので、原型のミサイルを導入している軍は大抵同時にキラービーも配備している。

 慣性制御性能はほどほどだが、推力が凄まじい。数の多さと特攻攻撃の厄介さが合わさり、並大抵のアロウライダーには手強い敵だ。

 

 灰音のデルタセイバーが真っ先に敵に突っ込んだ。キラービーの大半は88mmリニアキャノンを装備している。航空機用としては大口径な上に、加速による慣性を加えた高速砲弾は、頑強な理力装甲を有さないアロウヘッドにとっては致命的だ。標準の電磁スクリーン装甲では多くとも二発しか程度しか防げない。

 

「危なっかしい真似をする」

 

 アドレナリンの分泌を感じながら、金髪碧眼のオレ娘は思わず微笑んだ。特攻紛いの攻撃だが、灰音なら問題ないとミエリは心から信じている。

 

 実際、ヘッドオンですれ違った敵機は全機爆散した。

 

「んっ、レイピア5、敵を駆逐する」

 

 さらに灰音は機体を大きくバンクさせ、慣性制御によって横に反転させた。大慌てで回頭するキラービーだが速力が仇となり、旋回が遅れている。

 そこを狙いレイピア5灰音はマシンキャノンを発砲。これは左腕部に装備されている火器で、戦闘機形態では機関砲として機能する。おまけに銃剣とレーザーキャノンまで付いている、結構贅沢な兵装だ。

 

 分間四千発の低速発射レートに設定し、慣性制御によって機首を敵に向けたまま横にスライドしつつ発砲。透明な大きな手に戦闘機が動かされているような、奇妙な光景だ。敵戦闘機群を殲滅すると、勝利を示すように大きく旋回。より小さな群れに襲い掛かる。

 

「ドッグファイトスイッチオン、ハイマニューバーモード、Gキャンセラー許容値はそっちで適時修正していいぜ」

『オーダーコンプリート、エンゲージ』

 

 ミエリも戦闘機動を開始する。敵のリニアキャノンの射線と飛来してくるミサイルを示すコンテナが視界を埋め尽くすが、《袰月》での演習に比べれば密度は遥かに薄い。

 

完全自動射撃(オートマチック・スマート・ファイア)、オン』

 

 ミエリはAIに射撃を任せ、機体を操るのに集中する。戦闘機模の違いのためファイアイーターと比べれば、デルタセイバーは遥かに負担が少ない。現在の速度で戦闘機動していても射撃に支障はないが、機体の機能を試しておきたい。

 

 金髪碧眼のオレ娘は髪を靡かせ、全身に力を入れながら戦闘機をかっ飛ばした。

 デルタセイバーは敵の攻撃を複雑な機動で潜り抜け、その機動力を遺憾なく発揮。ミエリは視界がぐるぐると回り、天地が何十回も反転する中で、機体を操っている。「今だ」と思ったタイミングで自動射撃が行われる。

 

 低出力に抑えたバスターキャノンは鋭い閃光となって敵を纏めて射抜き、小規模爆発を起こす。

 フルロックオンした内蔵型のマイクロミサイルがロケットモーターを点火、白煙を引きながらキラービーを食い散らかす。鋭く尖った赤色のボディの残骸が荒野に散っていく。

 

 防空圏を突破したゼフィリス達を追いかけようとするキラービーにミエリと灰音は後ろから襲い掛かり、瞬く間に撃墜スコアに変えていった。

 

 

 不意にレッドアラートが鳴り、市街地方向からの高エネルギー砲撃警告が出る。目を細め、その地点を睨む。

 

『すみませんミエリ、灰音! 大型レーザーを発射前に叩けませんでした! そちらに来ます!』

 

 ゼフィリスの指揮で都市の陸上兵器を攻撃している黒髪褐色のククリスが警告を入れてくれた。

 

『問題ない。ならチャンスだな、一気に片付けてくれ』

 

 言いながら、ミエリはバレルロールしながら急上昇。レーザーだけでなく、戦闘機の追撃をかわす必要がある。アフターバーナーによって轟くプラズマ噴射はドラゴンの咆哮めいたものになっていた。

 

『レーザー警告、メインターゲット・イッツ・ユー、ブレイク、ブレイク』

 

 戦術支援AIがけたたましく警告してきた。多連装レーザーの主な目標はミエリだった。

 

「わかっとるわ!――――そりゃあっっ!」

 

 デルタセイバーに急制動をかけさせる、と同時に変形シーケンスを開始させる。流石に激しいGがかかって、少女の肉体を圧迫する。

 複数の高出力レーザーの光条が流れるなか、ミエリ機は人型形態(アーマー)への変形を完了。

 

「せっかくこんなご馳走を頂いたんだ、残すのは失礼だよなぁ!」

 

 獰猛に咆えながら、銃剣付きマシンキャノンによる掃射を自力で行う。

 

「どんなもんだ! デルタセイバーか、お前も気に入ったぜ!」

 

 生き残りを殲滅し、調子に乗ったミエリは決めポーズ。再び戦闘機形態に変形して灰音と共に都市に侵攻。

 

『ミエリの戦い方、超カッコいい……私もやってみる』

 

 華麗に変形して決めポーズまでやってのけたミエリに灰音は大興奮だ。

 

 超低空で侵入し、再び変形して、全員揃って敵を平らげた。

 

 レイピア小隊は他の区画より三秒早くミッションを達成。

 戦闘指揮所は女子高生達が叩き出したスコアにどよめいていた。上位スコアが丸ごと彼女達に塗り替えられてしまったのだから。

 

 上空で編隊を組み直し、ゆっくりと旋回しながら待機する。高高度から眺める景色は素晴らしいものだった。

 

『ふぅ、無事に終わったわね』

『久しぶりのアロウヘッドで少し疲れたか?』

『ええ、全力を出して皆について行くのがやっとだったわ』

『ですが、見事な指揮でした』

『うむ』

『そうそう! 私も久しぶりに指揮される側になれて楽しかった!』

 

 やや激しめのスポーツをした、という感じだ。ぴっちりパイロットスーツの下に感じる汗が心地よい。

 

 帰投命令を待つばかりという段階で緊張が走る事態が起こった。軌道上から突入してくるアロウヘッドをレーダーが捉えた。

 それはミエリ達の空域に突入してきていた。

 

『レーダーコンタクト、友軍識別信号(フレンドリー)

 

 それは友軍機であった。念のため、戦闘態勢を取った。極薄光沢被膜に覆われた、魅力的な腹筋に力を籠めるJK達。

 

「どこの馬鹿だ! 何ぃ、士官学校所属のデルタセイバー!? またあいつか!」

 

 指揮所に詰めた指揮官は管制官からの報告で全てを悟った。

 突入してくる機体の後を必死で追いかける二機のデルタセイバーの機影も確認されている。

 

 大気圏突入を終え、人型形態でゆっくりと降下しながら、乱入してきたデルタセイバーのライダーは通信を入れてきた。

 

『あんた達の熱いアロウライダー魂、見せてもらったぜ! 俺は王立士官学校アロウヘッド科の新嶋 大河(ニイジマ タイガ)、人呼んで"オルランドのミエリ・ライオネル"だ! よろしくな!』

『私は、このタイガが属する班の班長を任されているアンゼリカ・フェルトと申します! 私の監督不届きにより、皆さんに大変な失礼と迷惑をかけてしまい、申し訳がありません!

 彼には私と教官から厳重に注意しておきますので、どうかどうかお許していただきたく願います!』

 

 後から降下してきたアンゼリカという、銀髪の美少女が通信で平謝りする。

 

『こんのアホタイガ! なに勝手に訓練から抜け出して演習場に突っ込んでんだ! こんなの銃殺だぞ、銃殺!』

『いてぇ! 仕方ないだろ、俺のアロウ魂が燃え上がっちまったんだから!』

 

 もう一機のデルタセイバーに乗る赤毛ショートの美少女ネーナはお騒がせ熱血少年タイガを小突いている。

 

 一方、ミエリは熱血少年の発言に困惑した。ミエリ・ライオネル?俺と同姓同名のエースが他にいたのか?

 通信のバストアップで互いの顔が分かるのだが、今のミエリは物凄く難しい顔をして押し黙っている。

 

 好戦的な容貌と相まって、邪魔をされて深く静かに怒っているエリートな金髪美少女という風に見えた。それが、アンゼリカの謝罪とネーナの怒りの鉄拳制裁を加速させてしまった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。