ウォーヘッド・アンド・バスターキャノン-TS金髪オレ娘エースは美少女クラスメイト達と宇宙を駆け無双する-   作:ザンザザン!

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ウォーゾーン

 《袰月》の戦乙女は混迷の戦場に乱舞した。

 

 フェンリルが放った深紅のホーミングレーザーが嵐となってプラネット・マーダー群を打ち据える。

 そこに遅れてきたミサイルの弾幕が食らいつく。

 

 ブリッジで独り操艦する赤髪の美少女艦長は誘導兵器の精度に手応えを感じていた。

 白亜の巡洋艦は艦艇さえも高速で動き回るプラネット・マーダーを捕捉しているのだ。

 プラネット・マーダーも攻撃を誘導兵器中心に切り替え、ミサイルがフェンリルと直掩のアロウヘッド小隊に殺到する。

 その弾幕は誘導弾で形成された壁と呼べるほどのものだ。

 

「ならば切り開くだけ!」

 

 全長1kmを超える巡洋艦が各部スラスターを噴き、軽快にバレルロール。ゼフィリスはナノシェルスーツに包まれた魅力的な肢体を強張らせつつ、シートに押し付けて荷重に耐える。

 両弦のレーザーを薙ぐように照射してミサイルと敵機を区別なく薙ぎ払い、フォースフィールドの強度を頼りにミサイルの壁に突進した。

 爆発に照らされながら反転。背面飛行で黒くのっぺりとした無人駆逐艦の頭上を通り抜けた。

 

 母艦に伴って弾幕を潜り抜けたラヴィ達のファイアーイーター、その攻撃がフェンリルの周囲から敵を一掃した。

 

「おらぁっ!」

 

 ラヴィが愛用のクレイモアを振るう。

 灰髪の凶狼娘の異能によって空間衝撃波が巻き起こり、遠く離れた宙域にいるマーダー機まで粉砕されている。

 プラネット・マーダー艦の砲のように空間そのものを揺らすことで装甲防御を無効化するだけではない。

 高次元由来の装甲に対しても有効打を与えられる。艦に対しては刀身を叩きつけて両断する。対艦用の近接武器というニッチな兵装なのだ。

 

 ダークブルーで塗装された不良小隊のうち、長大な大型狙撃ライフルを左腕部に保持した紅黒機はやや離れた位置を飛んでいた。

 

「ふふ、これこそわたくしが望むステージですわ」

 

 ブースターを小刻みに吹かし愛機を宙に躍らせながら、不良小隊のお嬢様は狙い撃つ。

 彼女の異能によって弾丸は超常的な弾道特性を帯びる。

 

 引き金を引くと同時に着弾し、四肢の長い不気味な機動兵器を穿つ。

 不可解な弾道を描いた砲弾が艦艇の攻撃端末を纏めて射抜いて爆散させる。

 あるいは、砲身から飛び出した砲弾がただちに静止し、突然元の速度を取り戻すと絶妙な位置にきた敵に食らいつく。

 

 大きくカーブする軌道で先に放った弾丸を狙撃して跳弾させる、純粋な狙撃技術による神業もお手の物だ。

 強力な分、消耗が激しいため、弾丸に与える性質を吟味しつつ的を選んでいた。

 自機とフェンリルを守るためのマニューバー選択も含め、紅黒の瞬間的な判断力は類稀なものだった。

 

 肉食獣のような肢体をフル稼働させ、ファイアイーターを操縦するダウナー三下不良のクーリエ。

 フェンリルの直掩という任務に最も忠実であり、ラヴィとゼフィリス双方から信頼されていた。

 目立った異能は持たないクーリエだが、戦場の流れを読むということに長けている。

 

『悪りィな、細かいことを任せちまって』

『いいんスよ! 姉御が気持ちよく闘れるようにするのが、子分たる自分の使命っスから!』

 

 アサルトレールガンとブースターと一体になっているミサイルポッドによる適切な弾幕形成。そこに短くチャージしたバスター砲撃を挟み、遠方の分艦隊を滅殺している。

 

「貴方達は邪魔よ」

 

 ピンク髪の女王様メティスのファイアイーター、その左腕が閃き、光がしなる。

 レーザーウィップで近寄ってきた敵を切り裂き、巡洋艦の甲板に強引に降り立つ。

 Gに対して踏ん張るために大きく脚を広げて着座するぴっちりパイスーの女王様風JKが、無人巡洋艦を見下ろす。

 

 レーザー通信回線をオンにしてプラネット・マーダーのシステムに割り込む。

 

『跪きなさい』

 

 言葉と共に放たれたメティスの意志が巡洋艦の管制システムを屈服させ、自らのシモベに変えてしまう。

 人であれコンピューターであれ支配する、恐るべき力を持っていた。

 

「そう、いい子よ」

 

 従順な馬のようにプラネット・マーダーの一隻を従え、メティスはフェンリルの側面についた。

 

『巡洋艦を連れてきたわ、このまま左舷の盾にするから』

『助かります、メティス!』

 

 

 

 ゼフィリス達に負けてはいられない。

 ミエリは飛び掛かってきたシャイターンの五機編隊にアサルトレールガンの掃射をくれてやり、爆散させる。

 さらにマーダーの攻撃端末に体当たりをかけ、フォースフィールドの餌食にした。

 

『小隊揃ってせーのでいこう!』

『了解』

『わかった』

『よっしゃ!』

 

 金髪の猟犬風JKハレの合図で、遠距離から殺到してくる機動兵器に向かって背部兵装――――ホーミングレーザーとミサイルを叩き込む。

 ロングレンジ戦隊の前にマーダーは蹴散らされるばかりだ。かつてのミエリ・ライオネルが殺戮機械との戦いに感じたプレッシャーは、ここでは殆ど感じられない。

 

 目まぐるしく動き回る無数の赤い光点に意識を向けた。

 

「相変わらず好き放題動き回る」

 

 高機動で展開するマーダー艦隊は、バスターキャノンの一斉掃射からもかなりの数が生き残っており、旗艦を含む中核も健在だ。

 無機質な黒い無人艦の親玉めがけ、ぴっちりパイスーのJK達は突き進み、牙を立てようとしている。

 

 ファイアイーターの脅威を理解したプラネット・マーダー達は重砲艦を中心にして陣形を組んできた。

 

『やはりそう来たね、対艦レールガンをお見舞いだ!』

 

 それを崩すのは、巨大なレールガンを抱えたファイアイーターだ。

 金髪のお子様先生が真っ先に撃ち、それに続き試作小隊の金髪イケメス、イリシアと妖精小隊の狩人シルフ、火狩が撃ち込む。

 

 強力な砲撃が突撃の邪魔になるプラネット・マーダーを排除した。爆発の中をフォースフィールドで駆け抜けていくアロウヘッドたち。

 

 対艦レールガンを全弾撃ち尽くし、投棄する。空になった左腕を宇宙空間に突き出す三機。

 

 艦砲、兵装倉、ブースターが一体化したユニットを装備したファイアイーターの姿がある。

 これはアロウヘッドにさらなる突破力を与えるアサルトフォートレスユニットだ。

 ロングヴェールのコードネームを与えられた、長大なアサルトフォートレスは《袰月》最新の試作ユニットであった。

 

 試作小隊の幼い小隊長アナスタシアはこの種の装備の専門家だった。

 

『替わりの武器を転送します』

『うむ、頼む!』

 

 ロングヴェールを操るアナスタシアが、専用にデザインされたコクピット内の空間投影パネルを軽やかにタッチしていく。

 アナスタシア機の兵装庫内から異能によって武装が転移される。近距離から中距離での戦闘に向いた銃火器がファイアイーターの手元に出現すると、三機それを掴み取る。

 

 物質の転移という稀有な異能を持つアナスタシアが操ることで、ロングヴェールは前線補給機としても機能するのだ。

 それ自体が強力な打撃機であるロングヴェール・ファイアイーターは、チャージを必要としない艦砲と艦載級ミサイルでアロウヘッド戦隊に大火力を提供している。

 

 アサルトフォートレスにはフォースフィールドが働かないため、電磁スクリーンとエネルギーフィールドによって防御力を確保している。

 とは言っても、そうした防御機構は殆ど必要としない。アナスタシアに絶対の忠誠を捧げるメイド少女ノエッタが全身全霊で守護するからだ。

 

「下郎ども、お嬢様に近寄るな」

 

 冷酷な眼差しで群がって来る黒い害虫(プラネット・マーダー)を駆除するノエッタ。

 無機質な人形めいたメイドの女子高生は主のファイアイーターに傍で、休むことなく飛び回っている。

 彼女のファイアイーターが装備しているのは扱い辛い試作兵器揃いだが、その全てを巧みに使いこなしていた。

 

 ゾンネンキント艦隊を切り刻むように蹂躙した30メートル級の敵機が迫る。

 ハウレスのコードを与えられた騎士型が攻撃端末を放ってきた。

 端末から照射されたレーザーが湾曲して幾何学的な模様を宇宙に描き出す。その背後で重甲冑を纏った騎士が実体剣を振りかぶった。

 

『ここは引き受けた』

 

 試作小隊の金髪ツインテのイケメス、イリシアが真っ先に動く。

 白いボディに青いラインを引いたファイアイーターをバンクさせながらレーザーを潜り抜け、端末を撃破する。

 対艦レールガンから持ち替えた大口径アサルトレールガン、アサルトキャノンの俗称で呼ばれる武装による攻撃でだ。

 

『イリシア、援護は必要かしら?』

『有難い申し出だが必要ない。リーゼは妖精小隊を手助けてやってくれ』

『あらそう、少し残念。それじゃ、頑張ってね!』

 

 黒髪シニヨンの艶やかな親友リーゼと言葉を交わして、飛び去る機体を見送りつつハウレスとの接近戦に対応する。

 

「くうっ!」

 

 勢いのある一撃をアサルトキャノンのアンダーバレルの銃剣で受け止めた。

 フォースフィールドは切り裂されたが、おかげで斬撃の威力は減じたため、銃剣で受けきっている。

 サイズでは向こうが上回るが、出力ではファイアイーターが圧倒しているため、一気に押し返す。

 バックスラスターを吹かして後退しつつイリシアはアサルトキャノンを連射してハウレスを抑え込む。さらに背部のビームキャノンをマウントして発射。敵は胴体で真っ二つに分断され、爆散した。

 

 イリシアの隙を狙い、もう一機が突進してくるが、

 

「ふっ!」

 

 突き出るような豊満なバストを揺らし、金髪ツインテは跳んだ。文字通り、空間を。

 イリシアの異能は現在の技術では実現できてない、超短距離かつ完璧な精度のワープを可能としている。

 それは、フラッシュ・シフトと呼ばれる保有者の少ない強力な異能だった。

 

 瞬間的に敵の背後に回り、銃剣を突き込んでキャノンの弾倉が空になるまで弾を叩き込んだ。

 

「やるぅっ! 流石私のイリシア!」

 

 最愛の親友の無双ぶりに昂りを感じつつ、リーゼも動く。

 背部マルチミサイルランチャーから球形のプラズマフィールドを発生させる弾頭を発射しつつ、両肩側部の大型ECMユニットの出力を全開にする。

 蠱惑的な美貌が他者を魅了してやまないこの黒髪シニヨンのJKは電子戦の専門家であった。

 

『おお、これなら絶対安心だ!』

 

 リーゼが構築したプラズマとジャミングの防壁の内側には一機のファイアイーターが囲われている。そのコクピットで久遠が明るい声で喜んだ。

 

 周りでは火狩が砲撃で敵を狩り、八坂が火砲を手にした左腕部の動きに合わせ、敵の存在する次元を切り裂く魔剣"次元刀"を駆使する。

 葉隠は忍術と称する超自然的なステルス、物体透過、分身等で巧みに敵を撃破していた。

 

「よーし、行くぞ。行くったら行くぞ――――うう、けどしくじったらどうしよう」

 

 豪奢な金髪に長身、神秘的なシルフの姫様は生来のビビり癖を発揮しながらも集中を高め、高次元領域から力を招く。

 コクピットの中に座する久遠の体が淡く輝き、巻き起こった風に髪が靡く。数節の詠唱――――シルフの言語による高次元事象制御技術を紡ぎ終えた時、宙域全体に力が迸った。

 

 ファイアイーターとフェンリルを破壊するべく荒れ狂っていた砲火が止む。久遠がFCSをダウンさせる術式を用いたためだ。

 

 

『後は頼むぞエイリ!』

『言われてなくともわかってんだよビビリ姫様!』

 

 必死な久遠の叫びに、深紅のシルフは狂暴に吼えて返事をした。殲滅小隊が破壊力を解き放つ時がついに来たのだ。

 

『殲滅小隊全機、ぶっ放せ!』

『はい、姉様』

『りょうかーい♪』

『コッピー』

 

 小隊長のエイリの合図に三者三様の返事をする女子高生達。

 広域殲滅に特化した機体を駆り、戦略兵器を使用する特権を与えられた彼女達のファイアイーターは大型の兵装コンテナを背負っている。

 そこから放たれるのは反物質を封じた粒子の散弾を放つ光子魚雷、物質を分子レベルまで分解する分解砲、瞬間的にブラックホールを生成する超重力弾頭といった凶悪な兵器だ。

 本来ならばアロウヘッドには到底搭載できないスケールの兵装だが、ファイアイーターであれば他の性能を切り詰めれば積み込むことができた。

 

 破滅的な光景が宙域を覆い尽くし、サフィロス周辺で迎撃態勢を取りながら見守るオルランドの艦隊を驚愕させた。

 しかし、それでもまだプラネット・マーダーは生き残っている。

 

『残りを片付けるぞバス――――』

『言われなくともやりますよーだ! なんてね!』

 

 小柄な蠱惑魔、アラヒナはエイリが言うより早く、チャージしていたバスターキャノンを発射した。

 了解を意味する返事以外殆ど口にしない長身褐色の不思議系JK、レギとペアだ。

 

 エイリが妹のエルザレドと狙うのはプラネット・マーダーの旗艦だ。しかし、直接は狙わない。

 

『いい位置だ、これなら入れ食いだぜェ』

 

 きゃははと残忍に笑いながら発射されたバスターキャノンの爆発に真紅のシルフは異能の力を加える。

 砲撃から逃れた機動兵器や艦艇に、爆発が伝染するように広がっていく。損傷の伝播とも呼べる不可解な事象がエイリの異能によって起こるのだ。

 

 無表情な双子の妹エルザレドは、この伝播を制御して敵のみに作用させるために必須だった。

 姉の魂魄を己と重ねることで、荒れ狂う力の波をどうにか制御する。

 

 エイリが巻き起こした爆発は、サフィロス方面に向かって猛加速する旗艦にまで届いた。しかし、間に合わなかった。

 

『姉様!』

『分かってる! 厄介なのを取り逃した! 旗艦から出てきた奴だ!』

 

 エイリが警告を発する。

 

 爆発が漆黒の戦艦を呑む前に漆黒の全翼機が発進していた。それはサフィロスへと信じられないスピードで突っ込んでいく。

 同時にサフィロスに向けて退避していたゾンネンキント艦とその旗艦である要塞艦ナグルファルもまた、乗員保護を度外視した加速度で惑星に向けて突進を開始した。

 

 ここからが正念場だと、ミエリをはじめロングレンジ戦隊の女子高生達はすぐに察した。

 

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