ウォーヘッド・アンド・バスターキャノン-TS金髪オレ娘エースは美少女クラスメイト達と宇宙を駆け無双する- 作:ザンザザン!
惑星ごと暴君の一族が葬られたゾンネンキント星系には穏やかな新秩序が芽生えつつある。
二つの恒星を有する広大な星系では、多数の国家が再興し、星系内連合として協同する第一歩を踏み出していた。星系の名が変わる日もそう遠くないだろう。
星系外縁部を突っ切る形で翔鶴を旗艦とした派遣艦隊は進んでいた。
オルランド宇宙軍の練習艦隊が伴っている。その主力艦である空母"ヒロキティア"にはアンゼリカ・フェルトを筆頭とした士官候補生が乗艦している。士官学校の最終試験は伝統的に練習艦隊で執り行われる。
オルランド艦隊は星系へと進入するため、二艦隊はここで別れることになる。
「総員、敬礼!」
年に数回あるかどうかの超真面目な表情で翔鶴艦長、神薙 終は号令を発した。
鮮烈な赤髪の女艦長の合図に、一糸乱れぬ動きで敬礼する乗員一同。互いの航海の成功を祈る敬礼を送り合ってから練習艦隊は回頭した。
推進炎の眩い光がゆっくりと離れていく。
大雷級戦艦"翔鶴"、火雷級重砲艦"キメラ"、伏雷級電子戦艦"フランドル"。この三隻を主力とした派遣艦隊の任務は恒星間航路の安全を確保することであった。
銀河には殲滅大戦の爪痕が深く刻まれている。徘徊する無人兵器。宇宙海賊の類。戦略級次元兵装の余波による空間異常。大小様々な障害が航海を妨げ、危険な宙域を創り出していた。
ミエリはFFR-14A9ファイアイーターを駆っていた。遠方では散発的に爆発が起こっている。
同時にレーダー上に赤い輝点で表示された反応が消えていた。
敵性反応が消失すると、複数の青い航跡が華麗な線を描いた。レーダー上では緑色の輝点が編隊を組み直している。
急減速した敵機に合わせてこちらもブレーキ。
オーバーシュート狙いは慣性制御能力を備えた戦闘兵器の常套手段だ。
無人戦闘機の背後を取り、アサルトキャノン――――大口径レールガンのトリガーを引いた。
純白のアロウヘッドが左腕に握った火砲から電磁加速された砲弾が放たれる。180度バンクして下方に逃げようとした敵機のスラスターに着弾して貫通。
オレンジ色のククリス機が追い込んだ敵機も纏めて撃墜。
純白のファイアイーターは動き続ける。機動兵器は機動すればこそ。垂直上昇。前後左右へのランダムな動きを加えつつ、ククリスのファイアイーターに接近。僚機と隣接すると右腕のマテリアルレールを目標に向かって突き出した。
『シュート!』
攻撃のタイミングを合わせるため、二人は叫んでいた。
最短チャージで放たれたバスターキャノンの閃光が重巡洋艦の甲板を打ち抜き、その爆発は目標を完全消滅させた。
交戦したのは航路に犇めく無人兵器の群れ。大艦隊や
『やりましたねミエリ』
黒髪褐色のエキゾチックな美貌から十分なボリュームのある綺麗な形の胸部までの映像が視界に表示される。
防御系の異能を持つククリスは背部兵装をアーム可動式大型シールドに換装している。
このシールドは強固なだけでなく、フィールド・ジェネレーターを備えており、展開すれば鉄壁の防御力を発揮する。
『今日もいい感じだ。疲れてないか?』
『大丈夫です。異能を使うほどの敵とは交戦していませんから』
翔鶴から出撃して六時間が経つ。ロングレンジクラスのJKは母艦フェンリルを含めて出撃している。宙域を飛び交う無数の光。それは艦隊所属のアロウヘッドや戦術航宙機であった。
哨戒任務のルートに復帰し、突撃小隊は飛び続ける。
『気に入りませんわね』
不良小隊のお嬢様風、紅黒が不満気な一言を戦隊内の通信チャンネルに漏らした。バストアップ映像がポップアップしている。
ヘルメットを外し、ツインテールを弄びながらの一言であった。
『雑魚を虱潰しにする仕事で、何時間もコクピットに籠ることがか?』
不良女子高生の隊長ラヴィが言った。灰色の髪、狼のような狂暴な美貌。そしてグラマラスな筋肉質ナイスバディが魅力的なJKである。
半ば寝そべり休憩しながらの発言だが、小隊長として隊員の不満を受け止めようとしている。少なくともミエリはそう解釈した。
『違いますわ』
紅黒はまず否定。狙撃カスタムの愛機が拾った遠方、0.5AUほど離れた宙域で警戒態勢を取る艦隊を表示した。
白頭鷲の紋章が誇らしげに描かれた、数百隻からなる戦闘艦が陣形を組んでいた。
自由と資本主義の擁護者。しかし、年々前者が弱まり、後者が強まる最大級の地球帰還艦隊、
友軍信号が出ており、ミエリ達と同じ目的で活動している。今回の任務も連合から持ち掛けられたものだった。
『連合の連中ですわ。私たちに仕事を押し付けて高みの見物とは不愉快の極みです』
連合艦隊は連合屈指の巨大企業ハイペリオン・グループ所属だ。政府から指揮権を買い取ったのである。
数的には《袰月》派遣艦隊を凌駕しており、航路に広く散らばっている。
なのだが積極的な戦闘は行わず、警告程度。翔鶴艦隊のデータや通信、損傷で散った装甲など手に入れられるものをできる限り得ようとしてる。
航行不能になった機体があれば全速で"救助"する構えだ。
『同感だぜェ。それに好き勝手できないってのはムカツク』
口を挟む紅のシルフ。残酷で気分屋のエイリだが、不良小隊のようにヘルメットは外さず、話している間もセンサーに意識を向けている隠れ生真面目。
この後に予定されている連合との"レクリエーション"のために言い渡された制限にも従い、殲滅小隊は戦略兵器を取り外し、通常の武装で身を固めてる。
艦艇の砲撃も最小限で《袰月》派遣艦隊は殆ど艦載機のみで無人兵器や宇宙海賊を撃破し続けていた。
『今は我慢の時さ。不満は後で彼らに直接叩きつけてやればいい』
『先生って意外と物騒よね』
率直に述べたのはメティスだ。小休止の今は長い脚を組み、艶やかかつ尊大に座しているピンク髪の女王様である。欲を言えばグローブを外してネイルの手入れをしたいが我慢している。
『ゼフィリスよりロングレンジ全機へ。帰還命令が出ました。直掩小隊と試作小隊それと先生はフェンリルへ。残りの小隊は翔鶴に着艦してください』
妖艶なクラス委員長が魅惑の美声で指示する。
「待ってました」とミエリが嬉しそうに皆の気持ちを代弁してみせた。
指示に従い、ファイアイーター各機は移動した。翔鶴の周辺で着艦の順番がくるまで旋回しつつ待機。
『ねえ灰音』
『どうした?』
妖精小隊のボーイッシュ片目隠れシルフ(忍者)、葉隠に返事する銀髪赤眼のパっと見無感情系美少女。
『少し顔色が悪いね。体調不良かな?』
『さすが、鋭い』
『忍者だからね』
葉隠は忍者っぽいポーズで微笑んでいた。
『ステイツの旗艦からなんだか嫌な感じがするんだ。それで気分が悪くなった』
全長15km。大雷級よりもさらに巨大な戦略空母"アンフィニ"その一番艦がステイツ側の旗艦であった。
連合が
性能はともかく機能面では大雷級と同等の艦である。
そのアンフィニは遥か前方に位置しており、主力級の艦艇に守られながら我が物顔で宇宙を進んでいる。
そこから灰音が何かを感じ取っている。気のせいで終わらせるほど、《袰月》の戦闘女子高生は暢気ではない。
『一応戻ったら診てもらって。最悪、次の出撃は三機でもいける』
ハレは小隊長として指示。この指示は大惨事を防ぐ采配となった。