ウォーヘッド・アンド・バスターキャノン-TS金髪オレ娘エースは美少女クラスメイト達と宇宙を駆け無双する-   作:ザンザザン!

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ストライク・アンド・レスキュー

 

 長距離打撃戦隊のJKらは格納庫に並んだFFR-14A9カスタム、ファイアイーターに乗り込み、体をシートに固定した。

 コクピットにモニターはなく、少女達の網膜に直接映像が投影され、HUDの情報が重ねられている。

 

 今回は惑星上での救出ミッションなので、地上戦や船内での戦闘を想定して空間海兵隊が同行する。

 格納庫の一角に陸戦用人型兵器スパルタンと歩兵に機甲部隊の突破力を与えるパワーアーマーを満載したガンシップが待機していた。

 海兵隊の後方要員もまた、フェンリルに乗艦しており、普段より遥かに多くの乗員を抱えている。

 

 部隊のカラーリングは群青色(ウルトラマリン)だ。

 《袰月》の兵力では数で圧倒しての制圧は不可能なので、物理的、電子的に中枢を掌握する強襲戦術を基本としている。

 

 

 通信越しに海兵隊の中隊長から丁寧な挨拶を受けた。

 二十代前半の女性兵士が女子高生らに敬意を込めて敬礼する光景は、分かっていてもミエリの意識を混乱させた。

 

 白兵戦を行う海兵であっても大半が女性体を選択しており、肉体年齢は最大でも三十代前半で固定しているとのこと。

 どうやら、女性兵士達が好んで備える豊満なバストやヒップには戦術的な利点があるらしい。ミエリには理論が難し過ぎて理解できなかったが。

 

 

 作戦内容の再確認がゼフィリス艦長から口頭で行われる。通信画面にブリッジにいる赤髪の女子高生の美貌が映る。

 

『本作戦は惑星SS134-002における救出ミッションとなります。十五分前に我が《袰月》の早期警戒機が当該惑星からの救難信号を傍受。

 データが不足しており詳細は不明ですが、戦闘状態にある地球帰還艦からの信号であり、艦隊規定に基づき当艦の現地への派遣が決定しました』

 

 《袰月》は敵対行動を取っていない勢力であれば、状況を判断した上で救助と支援を行う方針を取っている。

 資源採掘や現地住人との交易、あるいは入植などで航宙艦が惑星に降りることは珍しくない。そしてその最中に交戦することも。

 

 最後のチェックを終え、ゼフィリスは深呼吸する。

 

「フェンリル、抜錨します!」

 

 赤髪ツインテールの気品ある女子高生艦長が特務巡洋艦フェンリルの操縦桿を握り、艦をゆっくりと出航させた。

 

 クラスで委員長を任され、常日頃は立ち振る舞いも優雅なゼフィリスだが、シートに腰掛ける際は脚を開いた姿勢で戦闘態勢を取らざるを得ない。

 

 巡洋艦に多数の次元兵装を搭載し、戦闘機同然の機動を可能としたフェンリル級は《袰月》が誇る超兵器の一つだ。

 管制システムが問題となり、限られた者しか乗りこなすことができないが、船体下部の兵装モジュールに満載された兵器の破壊力は桁違いだ。

 

 さらにフェンリル級はワープ・ドライブ航行の面でも頭抜けており、他の高速ワープ艦を凌ぐ速力で目標地点に辿り着ける。

 長距離急襲作戦に最適な艦であり、フェンリルの完成なくして長距離打撃戦隊が誕生することはなかった。

 

 フェンリルは《袰月》から十分に距離を取り、進路上の安全を確認。ワープ・ドライブ前の加速を開始する。

 船体上下の大型ブースターが青いプラズマを噴き、一直線に加速を続ける。充分な運動エネルギーを得なければ高次元には進出できない。

 

 『ワープ・ドライブ、スピード20。座標設定完了、これより当艦はワープ航行に入ります!』

 

 ゼフィリスは艦内に宣言し、物理トリガーと思考トリガーを同時に引くことでセーフティーを解除、空間跳躍ドライブを開始した。

 

 巨大な戦闘兵器と神経リンクしている赤髪ツインテの美少女は高次元に侵入した瞬間、白い光に包まれた。

 その中で無防備な裸体を護るナノシェルスーツが消失し、全裸になった己が無限の熱量を持つ空間に放り出されるのを感じた。

 超感覚センサが拾った高次元の情報が身体感覚に変換されたことで感じる錯覚である。

 

 通常空間に再侵入してゼフィリスは己を取り戻す。

 フェンリルはゼフィリスの異能によって制御された高次元理力装甲により、白亜の船体を傷つけんとした残骸を光として貪った。

 

「ダメね、今回は少し失敗したわ。汗が酷い」

 

 ブリッジで独り、赤髪の美少女艦長は乱れた息を整える。クラスメイト達に悟られて、心配させたくなかった。

 ワープ・ドライブの制御を誤ると高次元での錯覚によって体温が上がり、結構な汗を掻いてしまう。特に腋とお尻の汗が酷く、恥ずかしい。

 ナノシェルスーツは、最も厄介で不愉快な排泄物を文字通り瞬間的に処理してくれるが、汗を処理する速度は遅かった。

 

 ゼフィリスは厚さ0.01mmの被膜と僅かな装甲に覆われた健康的な白い肌に汗を滲ませながら、アイスティーのボトルを取り出して水分補給。

 調子を整えながら周辺宙域とこれから部隊を送り込む惑星の走査を行った。

 

 その結果はすぐに出て、通信回線を開いての会議が開かれた。

 

「戦闘の痕跡、それも内輪揉めの可能性大か」

 

 ミエリはゼフィリスからの通達に神妙な表情を浮かべた。

 

 惑星SS134-002にて救難信号を発した艦が単独で不時着しており、《殲滅大戦》当時から稼働を続ける無人兵器の攻撃を受けている。

 当該惑星はかつて人類が入植し都市を築き、大戦の煽りを受けて荒廃した無数の居住惑星の一つだった。

 惑星から生命体が一掃されてなお、侵入者を攻撃するようプログラムされた兵器が惑星を防衛しているのだ。

 

 問題は宙域に散らばる残骸だ。それは件の艦が不時着に至った原因が艦隊の内輪揉めにあることを示唆していた。

 

『対象が加害者か、あるいは被害者であるのかははっきりしません。

 しかし現在の交戦相手は無人兵器であり、救助を実行すべきというのが私の判断です』

 

 裁量権はゼフィリスにあり、部隊を預かる面々にも異論はなかった。

 

 無論、この任務はただ助けて終わりではないとミエリは察していた。

 

『いいかチビ助、お前は新入りで分からんかもしれんから、このラヴィ様が教えてやる。事が済んだら助けた奴らの首根っこ掴んで全部ゲロってもらう寸法よ』

『特別大サービスなんスからね。姉御のお心遣いに感謝するんスよミエリ』

 

 狂暴な姉御に同調して、気怠い口調で適当に太鼓持ちする三下ヤンキー娘。苦笑する女王様と冷酷お嬢。これが不良小隊のノリだ。

 

『ミエリは元々軍人だ、ラヴィに頭の悪い説明をされなくとも理解しているに決まっている』

 

 どう返事するべきか困っていると、灰音がむすっとした顔で口を挟んできた。

 

『んだとっ!』と怒気を露わにするラヴィ。空間海兵隊の前でじゃれ合い染みた口喧嘩を始める前にゼフィリスは作戦の概要を説明する。

 

 

 救助対象は廃都市に不時着しており、群がってくる無人兵器の攻撃をどうにか凌いでいる状況にある。

 また、惑星の地表には同型の艦艇が複数墜落しており、対象は相当な幸運に恵まれたようだ。

 

 作戦エリアとなる廃都市は重要度の高い都市であったようで、高高度を防衛する巨大全翼機、戦闘機部隊、高出力対空レーザー、さらに陸戦兵器などの大戦力が展開している。

 

 救出作戦の障害となる機動兵器に溢れているため、まずこれを殲滅する。

 

 作戦の第一陣はハレ達の小隊だ。軌道上からはフェンリルが爆撃を行い、惑星上の敵勢力を可能な限り消し飛ばす。

 超感覚センサによるスキャンで知生体、生命体の存在が確認されなかったので、遠慮なく火力を投じられる。

 

 

 惑星強襲をかけたファイアイーター小隊は廃都市の敵性存在を撃滅し、救助対象と接触する。

 安全が確保され次第、フェンリルが空間海兵隊を伴って惑星に降下するのだ。

 

 

 要するにミエリはゴールを目指してかっ飛び、HUD上のターゲットコンテナを片っ端から撃って進めばいい。

 単純明快でミエリ好みの任務だ。金髪のTSオレ娘は操縦桿を強く握って、「よっしゃ!」と気合を入れる。

 その仕草と言葉は可愛らしく、クラスメイト達を微笑ましい気持ちにさせた。

 

『わたくし達は艦の直掩なので、今回は高見の見物とさせていただきますわ。皆様の突入時には、こちらの美意識を欠いた誘導兵器で援護射撃をいたしますが』

 

 今回の任務のための武装変更を終えたラヴィ小隊のうち、紅黒がミサイルランチャーをディスりながら告げる。

 この残酷な黒髪令嬢とバディを組むクーリエのほうは、今日はミサイルを撃つだけで仕事が終わるので楽だとしか思っていない。

 

 実際に敵と砲火を交えるハレ達の機体にはバスターキャノンの他、各自の好みで兵装が装備されている。

 一方、フェンリルと共に軌道爆撃を担当するラヴィ小隊は大型ミサイルランチャーをペイロードが許す限り装備して、母艦と同期して発射するのが最初の任務となる。

 

 ハレ達は管制に従い、アロウヘッドをカタパルトに移動させた。

 二基のカタパルトで、ハレ、ククリスが先に射出され、その後にミエリと灰音が続く。

 

 出撃直前にゼフィリスからコールサインの付与がある。

 

『現時点よりハレ小隊をアルファ・フライトと呼称します。アルファ1はハレ、2はククリス、3は灰音、そして4をミエリでお願いします』

 

『アルファ1、了解!』

『アルファ2、拝命いたします』

『アルファ3、理解した』

『アルファ4、やってやるぜ』

 

 続いてラヴィ小隊がブラヴォー・フライトとして任命される。

 

『アルファ・フライト、発艦を許可します、順次出撃を。幸運を祈ります!』

 

 赤髪ツインテの艦長の許可が下り、カタパルトより発艦していく四機のFFR-14A9ファイアイーター。

 

 白を基調としたカラーリングの中で、銀髪赤眼の戦乙女が駆る機体は漆黒に塗装され、異彩を放っていた。

 編隊を組み、惑星SS134-002への突入コースを取りながらミエリはその機体を見つめた。

 背部のロックオンレーザーユニットはミエリとお揃いだが、左腕部に装備しているのは大型ショットガン。

 灰音は散弾を好むため、バスターキャノンも拡散と収束の打ち分けができるタイプだ。

 

 後方ではブラヴォー・フライトが発艦して特務巡洋艦フェンリルとのランデブーを開始していた。

 本来の機体の仕様には合致しない重爆装だが、そつなく操縦しているのが不良娘達の技量の高さを物語っている。

 

 

 

 フォースフィールドを展開したアロウヘッドであれば大気圏突入時の断熱圧縮は殆ど問題にならない。

 熱は淡い光へと変換されて高次元に吸収される。四機の人型機動兵器は神秘的な輝きを帯びながら惑星に進出した。

 

「うっ! これは大きいのがいっぱい来るぞ」

 

 大気圏突入直前、鋭い頭痛がハレを襲っていた。

 数万度の熱を有する無数の敵意が自分達の機体を焼き尽くすイメージ。

 高次元を介して察知した、数瞬後の出来事に陽気な猟犬系JKは即座に対処する。

 

『アルファ1より小隊各機! 対空迎撃警戒! アルファ2、理力装甲最大出力! ククリス、苦しいかもだけどお願いね!』

 

 普段より少し真面目なトーンで叫ぶハレ。

 その思考から情報が抽出され、部隊に共有される。対空砲火の正確な火点と規模だ。

 それに合わせ、アルファ2ククリスのファイアイーターが前方に躍り出て、機体の四肢を大きく広げる。

 

『心得ています』

 

 黒髪褐色のクールな女子高生は小隊の仲間達を護るべく、異能を行使する。

 ククリス機のフォースフィールドが輝きが増す。その様子はまるで地上に太陽が降りたかのよう。

 所属不明機を捕捉した無人兵器群が放った対空砲火の光は、黒髪褐色の美少女が解き放った異能の眩さに比べれば、哀れなほどか弱い。

 

 アルファ2が展開した次元防壁は地表からアルファ・フライトを襲った全ての攻撃を無効化した。

 

『くぅ……! 今です皆さん!』

『ありがとう、ククリス! フォロー入るから休んでいて!』

 

 機体は無傷とはいえ、ククリスはかなり消耗していた。

 肉体的にも筋肉に激痛が走っており、鎮痛剤がナノシェルスーツを介して投与される。

 AI制御で飛んでいるが、ククリスの動きはしばらく鈍る。なので、ハレがフォースフィールドの出力を上げて盾になる。

 

 再攻撃までの僅かな時間に長距離打撃戦隊の反撃が行われる。

 軌道上から降り注ぐ真紅のレーザーの雨、核融合弾頭を積んだ高速の大型ミサイル、そしてマッハ28.5から際限なく加速し続ける四機のファイアイーターから解き放たれる火力の嵐。

 

 時空間を歪める威力を持つバスターキャノンは強力過ぎるために使用していない。

 だが、副砲であるアサルトレールガンやロックオンレーザー、ハイマニューバーミサイルとて、その殲滅力は絶大。

 

 機体と直結することで異能者の肉体の延長と化したファイアイーターには、高次元からのエネルギーが流れ込んでいる。

 出力が大幅に向上しており、ただでさえ強力なアロウヘッドの武装の威力を何倍にも跳ね上げている。

 

『ミサイルの火器管制貰うよ!』

『頼みます、ハレ!』

 

 ハレはククリス機のFCSと同期して、背部ミサイルランチャーを使用する。

 猟犬の牙を隠さなくなった陽気な金髪JKの視界には三百を超えるターゲットコンテナが赤く表示されている。

 斉射。空に解き放たれたミサイルは白煙を曳いて、航空機や装甲車両に食らいついた。

 

 

 大気圏突入から加速し続けているというのに、殆ど揺れず安定を保つ機体の中で、ミエリはトリガーを引いていた。

 アサルトレールガンの青く輝く砲弾の雨が対空砲を部隊単位で薙ぎ払い、ついでに小隊の降下地点を確保。

 

「意外とちょろいな――――っとロックオン警告か!」

 

 金髪TSオレ娘は得意気な笑みで敵を殲滅し、秒単位で弱体化していく敵の攻撃を難なく躱す。

 音速の何十倍もの速さで大気を掻き分け、飛翔するのは快感だ。

 回転する視界、空と大地とのコントラスト、殺到する対空砲火の瞬き!

 

 ミエリの攻撃効率はトップエースの灰音を上回っていた。

 

 背後に装備したロックオンレーザーの緑色の光条が迎撃に上がってくる戦闘機やミサイルを次々に撃墜する。

 自在に曲がり、目標を追尾するレーザーは慣性制御機構を搭載した戦闘機の機動力さえ上回っていた。

 

「排除する」

 

 主力対空プラットフォームであった巨大全翼機は全て灰音の獲物となった。

 上空からロックオンレーザーを連射して一機。さらに離れた空域にいるもう一機に大型ショットガンを接射して、同時に爆散させる。

 漆黒のファイアイーターは瞬間移動めいた速さで空を飛び回り、脅威度が高い目標から順番に駆除していた。

 

 

 砲弾は着弾地点にクレーターを作り、レーザーは敵機をプラズマ化させる。

 たった四機による、目の眩むような破壊の嵐は軌道爆撃に比べればピンポイント爆撃と呼べる控えめなものだ。

 

 フェンリルとブラヴォー・フライトが放った爆撃は惑星の三分の一に降り注ぎ、風化した都市ごと敵戦力を消滅させていたのだから。

 攻撃が降り注いだ地点では終末的な光景が広がり、黒煙と粉塵が空を覆い尽くしている。しかも、この攻撃は火力を抑制したものでしかない。

 

 

 大気圏突入から十数秒の攻防だった。アルファ・フライトは円陣を組んで回転する警戒フォーメーションで高層ビル街の道路に降り立った。

 

『全機、報告!』

 

 ハレが小隊に指示を飛ばす。

 

『アルファ2、コンディション回復しました。もう大丈夫です』

『アルファ3、機体、肉体ともに問題なし』

『アルファ4、同じくだぜ。正直暴れ足りないくらいだぜ』

 

『よーし、カンペキだね私達! それじゃ予定通り、アルファ2は私と残りを平らげるよ! 3と4は進路上の障害を全排除しながら救助対象に最大戦速で接触!』

 

 ハレが巨乳を弾ませる勢いで次の命令を出し、アルファ・フライトは地を蹴った。

 

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