ウォーヘッド・アンド・バスターキャノン-TS金髪オレ娘エースは美少女クラスメイト達と宇宙を駆け無双する- 作:ザンザザン!
それは殲滅大戦から現在まで、ただ一度しか観測されていないタナトス・タイプ。最高の個体戦闘能力を持つマーダーであった。
それが二機。
ミエリは視界に投影されている二機のタナトスを見つめ、息を呑んだ。人類連合拡散派のアロウライダーとして、最期に戦った敵。
タナトスの性能を思い出し、操縦桿を強く握る。
(こいつはまともじゃないぞ。コクピットにいてもビリビリきやがる)
放出されている高次元エネルギーは周辺を歪め、浸食するような禍々しいヴィジョン。エネルギーの流れを視ることができるミエリの異能は、タナトスの恐ろしさを論理を超えた領域で捉えていた。
「あそこにいるんだ」
灰音に不調を与えた信号はタナトスの片割れが放ったものだ。
かつての自分と同じ、あの自律兵器の中で異能と高次元エネルギーを抽出する部品にされていた者が二人いる。
連合は人間を道具にしている。強い憤怒の感情が銀髪赤眼の少女の中に湧き上がっていた。
許されるのなら今すぐにでもタナトスからコアを引き出してやりたい。
だが虚木灰音としての己は《袰月》防衛群の戦乙女だ。仲間たちに迷惑がかかる真似はできない。
禍々しい深紅の光を漆黒のホディの各部から放ちながらタナトス二機は垂直上昇。二重螺旋を描くマニューバー。
ぴたりとアンフィニ上空に静止すると、タナトスの片割れから次元兵装の起動を意味する高次元エネルギーの流れが生じる。
二機の周囲に瞬間的にシャイターンなど機動兵器型のマーダーがワープ・アウト。その数、約五十機。
その事象は常識外れのものだった。
出現したマーダーはワープ・ドライブユニットを装備していない。
もし装備していたとしても、機動兵器では短距離かつ位置が大幅にズレる不正確なワープしかできないのが常識だ。
周辺にマーダーの反応はない。さらにいえば陣形をきっちり組んで通常空間に出ることなど通常のワープ・ドライブでは不可能だ。
『アナスタシアの異能に近いタイプだな』
『あちらは自らをマーカーとして招き寄せる形の転移能力のようですわね。機動兵器を召喚できる時点で、転移させられる質量や戦力はわたくしとは比較になりませんわ』
試作小隊の金髪ツインテなイケメン女子と小隊長の幼い淑女が通信する。アナスタシアは「妬けてしまいますわ」と一言。
翔鶴、艦橋下CIC。翔鶴の戦闘中枢に終を筆頭としたブリッジ要員は既に移行していた。
『連合旗艦よりデータリンク同期と通信要請です。通しますか?』
『承認しちゃって。けど回線開くのはもう五秒待って表情作るから』
終は通信士官に応えた。プラネット・マーダーが友軍反応に切り替わり、タナトスにT2、T3というコードネームが付与された。
きっちり五秒で通信ウィンドウが開き、禿頭の提督が得意気に笑っている。
『いかがですかなミス神薙? ご覧の通り、我々は
最高機密に当たるテクノロジーですが、いやはや《袰月》の技術力には感服するばかりで、今後の"適切な友好関係"のために我々も最新技術を披露したというわけです』
ロダン・フェリックス提督は上機嫌だ。
最高指揮官同士の通信に応じている終は、凛々しく冷徹な女艦長の顔を作っている。
それがハイペリオン・グループの力に圧倒され、必死に平静を装っているかのように思わせていた。
『驚きました。連合の技術がここまで進んでいるとは』
『連合が掲げる自由闊達な経済活動と適切な競争の賜物といえましょう。真の進歩は管理された社会では決して実現されません。ミス神薙、貴女のような聡明な女性にならば理解していただけると信じます』
(ミス、じゃなくて艦長って呼んで欲しいんだけどなー)
終は不満が顔に出ないよう抑えながら熱弁する禿頭の提督に付き合う。
『いずれは全てのプラネット・マーダーが連合の指揮下に入ります。
忌まわしい殲滅派の遺産は自由な銀河を護る無敵の守護者となるわけです。人類の新たな黄金の時代が白頭鷲の名の元に訪れる日はそう遠くないでしょう。そこに《袰月》に加わっていただければ心強いことこの上ない』
要するにこの技術が完成したら従わない奴のところにはプラネット・マーダーをけしかけるぞ、ということだ。
「しかし、マーダーのニューロ・ネットワークの復元性は――――」
「博士、抑えてください」
碧髪の少女博士が口を挟みそうになり、副艦長のシフォン・ルーがストップをかける。グリムナイア博士は渋々黙る。
彼女はオブザーバー席にいつもの白衣姿で座っている。
ナノシェルスーツを瑞々しい肢体に張り付けた乗員達の中では、滅茶苦茶目立つ格好であった。
次はマーダーを使った実弾演習にしようと勝手に演習プログラムを変更し、ロダン提督が艦隊に宣言しようとした時だった。
タナトス二機が突然急降下。通信画面越しにアンフィニのCICが慌ただしくなるのが判った。
「T2、T3ともに制御できません!」
「なんだと!? そんなことは認められない! ええい、なんとしても制御を取り戻せ! 研究チームにも支援させろ!」
管制官の悲鳴に禿頭の提督が振り向く。艦の外ではタナトスがアンフィニの外殻をぶち破り、内部に進入。
さらに多数のプラネット・マーダーを転移させた。それらは先に呼び出していた機動兵器型マーダーと併せて連合艦隊に攻撃を開始。
事態は最悪の状況に推移していった。それは、あっという間に出来事だった。
連合艦隊の中核は一瞬でマーダーに浸食された。
タナトスに侵入されたアンフィニは交信途絶、周囲の連隊規模の護衛艦は現れたマーダーに群がられ、次々に轟沈している。
どうにか応戦できている艦もあったが、それも時間の問題という有り様。
連合側の指揮権は依然としてハイペリオンであり、次元兵装戦艦"モンタナ"、アンフィニ配備以前の艦隊旗艦が指揮している。
この艦はアンフィニから離れた宙域に展開しており、現在も味方に攻撃が吸い寄せられる幸運に恵まれ健在だった。
モンタナの艦長は発狂寸前の精神状態で指揮を執っていた。
「マーダー艦隊、新たに艦旅団規模がワープ・アウト! 我が艦隊の損耗率は十八%に達しました!」
「アンフィニは!? 制御を取り戻した兆候はないのか!」
「ありません!」
T2が招き寄せたプラネット・マーダーは既に連合艦隊を上回る物量に達している。
数千のマーダー艦が数十万の戦闘艦に勝るという戦力比であるため、普通に考えれば皆殺し確定の戦況だ。
だというのに、殲滅されていないのはプラネット・マーダーに勝る圧倒的な戦闘力の友軍が絶え間なく支援砲撃を行っているおかげだった。
「ホロヅキの艦は何をしている!?」
そのような他力本懐でありながら、それを恥じることはなく。当然どころか、援護が滞っている状況に腹を立てていた。
「翔鶴艦隊の支援砲撃は驚異的な威力でマーダーを撃滅しています。しかし、絶え間なく出現するマーダーの増援のため、援護が追い付いていません!」
《袰月》派遣艦隊の艦単位の戦力は連合と比較にならない。
その中でも規格外に強大な翔鶴、キメラの二隻の広範囲攻撃能力をもってしても、対処が追い付かない規模の戦闘になっている。
観測史上最大の物量でプラネット・マーダーは攻撃を仕掛けているのだ。さらにマーダーは連合艦隊に肉薄し、盾にする狡猾さを発揮している。
「機動兵器隊だけでも寄越させろ! でなければハイペリオン・グループの総力をもって《袰月》を経済制裁すると脅しをつけてな!」
「はっ!――――待ってください高速接近する機動兵器、翔鶴艦隊、特務巡洋艦フェンリル所属の長距離打撃戦隊機!」
管制官の一人が報告する。
九機のアロウヘッド、うち一機は巨大な兵装ユニットを背負っている――――がモンタナの右舷前方に見えた。
凄まじい速度で飛翔しながら、左右背部と左腕の兵装、さらに主砲のバスターキャノンでプラネット・マーダーを殲滅。
モンタナの呼びかけを無視して横切り、そのまま突き進んでいく先にはアンフィニがある。
それに引き寄せられるかのように、正規軍艦隊が統率の取れた砲撃を行い、黒い異形の自律兵器の一群を効率的に撃破する。
生き残りはアロウヘッドが各個撃破していた。
「なんだ? 正規軍の統率が回復しているのか?」
モンタナは真っ先に白頭鷲主義連合の正規軍を捨て駒に使った。
迫ってくるプラネット・マーダーの矢面に立たせ「高度の柔軟性を維持しつつ、臨機応変に対応せよ」とだけ命じて、ハイペリオン私設艦隊が結集し、反撃あるいは逃走できるまでの時間稼ぎに用いたのだ。
「何だというのだ……!」
その正規軍が自分たちより上手く戦っていることに困惑するモンタナの艦長。
正規軍艦隊よりモンタナ以下ハイペリオン艦隊に入電。
『生き残りたくば翔鶴の指揮下に入れ』というごく短い文面。
アロウヘッドで出撃した終に代わり、副艦長シフォン・ルーは切り捨てられた連合艦隊の将兵らに協力を持ちかけた。
その提案は速やかに承認され、電子戦艦フランドルは電子支援の傍らでデータリンクに加わった数千近い艦隊及び艦載機の火器管制まで実施。
マーダーは次々に撃破されており、攻撃を受けた味方を後退させる余裕までも生じていた。
その光景を前にハイペリオンの艦隊も《袰月》艦隊の指揮下に加わることを余儀なくされた。
ファイアイーター隊はマーダーを蹴散らしながら、突き進む。
蒼いプラズマの航跡を残しながら、バスター砲撃もマイクロブラックホール弾頭の炸裂も掻い潜る。
直撃すればファイアイーターのフォースフィールドでは防ぎきれない苛烈な攻撃が絶え間なく飛んできていた。
そんな苛酷な戦闘に恐怖ではなく、興奮を覚えるのが長距離打撃戦隊の戦乙女たちだ。激しい興奮は快感を伴い、ナノシェルスーツの厚さ0.01mm被膜に浮き出た双丘の先端は我知らず硬さを帯びていた。
長い脚を広げて力強く踏ん張る、股間に張り付いた装甲が目立つ着座姿勢で機体を操り、全周に視線を奔らせる。
機動に伴う爆発的な慣性荷重はロケットのように突き出た豊かな双丘のJK達だけでなく、微かな膨らみのミエリやアナスタシアの胸部さえ揺らすほど。
速度と機動をフルに活かして長距離打撃戦隊のJK達はターゲットを目指している。
ミエリは下方で白い光が爆ぜるのを見た。それはフェンリルの主砲レールキャノンによるもので、数千隻のマーダー艦とその艦載機を纏めて消し飛ばしていた。
戦闘機並みの機動で反撃を掻い潜り、迫ってくる機動兵器級マーダーは大型ブースターを背負った不良小隊が駆逐している。
戦友たるクラスメイト達の活躍に、金髪碧眼のオレ娘はますます士気を高めた。
『警告!
突撃小隊長のハレが異能の予知で危機を報せれば、九機のファイアイーターは即座に散開。
虹色の奔流を避ける。ミエリの頭上で漂っていた数多の残骸が分子分解されていった。
その光に誘われるように戦意が燃え立ち、右腕のマテリアルレールの間に溜められたバスターキャノンの輝きを振りかざす。
「こんにゃろ!」
『お待ちくださいミエリ。ここはわたくしが引き受けます』
ミエリが駆る純白のファイアイーターがバスターキャノンを向けようとするのを、アナスタシアが制止した。
サイドスラスターの小刻みな噴射で敵弾を回避しつつ、長大な兵装ユニット"ロングヴェール"を背負った試作小隊長機はミサイルの濃密な弾幕でフォースフィールドを削り、艦砲の一撃で分解砲を放ってきた戦艦を沈めた。
さらに巨体から想像もできない瞬発力で右にロール。
「こちらも危ないですわね。駆除いたします」
ぴっちりとしたナノシェルスーツに幼い肢体を包んだ淑女は下方にバスターキャノンの砲口を向け、発射。
もう一隻の分解砲装備の戦艦を消滅させた。
アサルトフォートレスと合体しているため、運動性に難があるアナスタシア機に集ってくるシャイターンなどの機動兵器級マーダー。
しかし、それらは実体ブレード型の遠隔攻撃端末スレイブに貫かれるか、切り裂かれて爆散していた。
『お嬢様に指一本でも触れられると思うな、害虫ども』
ぞっとするほど冷たい声音で言い捨てる試作小隊のメイドJK。ノエッタ機には大型ブースターで高加速するアサルトフォートレスに追従できる、加速力重視のカスタムが施されている。強烈な加速のGに鋼の忠誠心で耐え、アナスタシアに続く。
主従関係にあるクラスメイトの息はぴったりで、攻防一体の戦闘を繰り広げていた。
突撃小隊のうち、ハレとククリスはアナスタシアの兵装庫から渡された大型火器に換装し、それをぶっ放している。
『退いた退いた~!!』
金髪の猟犬風JKは光子ガトリングを両手で抱え、掃射。
右腕のバスターキャノンを折り畳んでいるため、アロウヘッドの本分は果たせないが、迫ってくるマーダーをサイズを問わず蜂の巣にしている。
白と赤のツートンが眩しい突撃仕様のファイアイーターは縦横無尽に動いて四方八方に光子の弾幕を振り撒いていた。
『この距離ならば――――発射しますっ!』
オレンジ色のファイアイーターを操るククリスは対艦レールガンで遠方の敵艦を狙撃。高速連射される加速弾で艦体側面を穿ち、轟沈させる。
「やば、これたまんないっ! クセになりそうだよ!」
『はいはーい、お楽しみ中の所ごめんね。リーゼお姉さんから警告、ジーニータイプが三百ほど下方、十時方向から接近中♪ しかもボンバー付き』
トリガー引きっぱなしの快感に浸っていたハレだが、新たな敵集団の接近に冷静になる。
黒髪シニヨンの淫魔風なJK、リーゼは電子戦でこの新手をキルしたかったが、今は他の敵を片付けるのに手一杯だった。
「やばいじゃん! パパっと撃ち落さないと!」
ジーニーは近接戦闘型の機動兵器級マーダーだ。
射撃武器は牽制程度の火力だが、格闘戦能力は極めて高く、対艦機動砲撃機という側面が強いアロウヘッドの懐に潜り込んでくる。
ボンバータイプは性質が悪い仕様で、敵に接近すると自爆する。対処法は十分距離を取って撃破するくらいしかない。
『新手はボクに任せろ! たかが三百機如き、生徒たちの手を煩わせるまでもない!』
愛する生徒達の戦いに奮い立ち、ゼラのファイアイーターが猛加速。
ランダムな加減速で向かってくる迎撃弾を潜り抜け、時折フラッシュシフトで短距離をワープする。
『張り切り過ぎだよ先生、付き合うぜ!――――小隊の防衛は頼んだぞ灰音!』
純白のファイアイーターが慌てて黒とオレンジのツートンカラーの同型機を追いかける。
ミエリはフラッシュシフトを繰り返し、ゼラの機体と並走した。
数十単位で編隊を組んで散るジーニーとはヘッドオンで相対している。ミエリとゼラは申し合わせることもなく、左右に散開。背部武装とアサルトキャノンで先制する。
「行けっ!」
データリンクで目標が被らないようにホーミングレーザーを発射。白い光の軌跡が奔り、幾つもの爆発が起こる。それでも半数近くが生き残ったマーダーが二機を球形に取り囲む。
ガンレンジに入り次第、左腕のアサルトキャノンを掃射。碧眼の動きに追従し、銃火が流れる。一射他殺。瞬く間に敵影が減っていく。
しかし、ボンバータイプ・ジーニーは生き残ってる。通常タイプが盾になり、ファイアイーターを爆発に巻き込むべく突進してきた。
「爆ぜさせてやる気はない!」
金髪の小柄な先生はコクピットで、吠えながら身を乗り出す。
すると黒とオレンジのゼラ機を捉えようとしたボンバータイプは突然、力場に圧縮され爆散した。
高重力を発生させるゼラの異能によるものだった。
自爆そのものは起こったが、爆発の威力も抑え込まれ、ファイアイーターは余裕で離脱。
ミエリも同じくボンバータイプに肉薄された。しかし、あえて加速して間合いを詰めている。
純白のファイアイーターはマーダーが反応できないほどの高速で動いていた。アサルトキャノンを投げ捨てた左手で太刀を抜き、一閃。
二機を同時に切り捨て、フラッシュシフトで離脱。遠くに投げ捨てたアサルトキャノンはすぐさま回収する。
爆発を背負いながら純白のファイアイーターは駆け抜ける。背後で起こる爆発の衝撃が背中やお尻に伝わってくる――そんな錯覚を覚えるほど、ボンバータイプの自爆は強烈だった。
「ふぅっ」
咄嗟にやってみたが、危なっかしい動きだったと反省するミエリであった。今は同型のラセツと二機編隊を組み、専用機シュラで無双している終から学んだ剣術殺法だった。
『今の動きは見事だった! しかし先生ヒヤヒヤしちゃったぞ!』
『ごめんな先生。気を付けるよ』
ゼラ機は残りのジーニーにバスター砲撃。射線上にいる敵艦隊諸共片付ける。
ミエリも同じく連合の部隊の援護するためにバスターキャノンを発射してマーダーを撃滅した。
アンフィニまであと一息という距離までたどり着き、突撃小隊は息を整える。
青と白の試作小隊カラーのファイアイーター、イリシアとリーゼの機に護衛されながら突撃小隊は兵装を換装しようとしていた。
遠くにはアナスタシアのガードに加わったお子様先生がメイドJKと一緒に敵を撃破して生じた爆光が見える。
小隊は戦艦の残骸に隠れている。アナスタシアが高出力エネルギーフィールドを形成する使い捨てのUAVを射出して防護を固めてくれていた。
『スーツの中が汗でぐっしょりだよ。全然処理が追い付かない』
金髪の陽気なJKがナノシェルスーツを纏った長身の肢体を見下ろしながら一言。
それほどまでに激しい戦闘を繰り広げていたわけで、ミエリなど飲料水をパックを一瞬で空にして二杯目に口を付けている。
『うむ、気持ち悪い。帰ったらすぐにシャワーを浴びたい』
クールで感情を露わにしない灰音だが、不快感を感じていた。
『替えのスーツを持ってくるべきでした』
ククリスが珍しく冗談を言ったのはJK達を驚かせた。
黒髪褐色の真面目なJKとて、蒸れの不快感は耐え難い。特に汗が溜まったお尻をもぞもぞと動かしている。
『それいいね。今度からそうしようか? あーけど脱いだ時の匂いがぶわっとコクピットに広がるのは嫌かも』
ナノシェルスーツに閉じ込められた熱気と湿気は脱ぐときに一気に解放される。それが狭いコクピットに広がって匂いが充満するのを想像してハレは苦笑い。
実際、戦闘後に更衣室で戦隊のJK+先生が一斉に着替えると、室内に物凄い汗の匂いが甘ったるい女子のフェロモンと一緒に満ちて、ある意味壮絶な空間になる。
『つーか戦闘中に裸になるのは危険だろ』
とミエリはもっともらしい指摘をした。
突撃小隊の会話を微笑ましく見守りながら、銀髪の幼いアナスタシアは空間投影パネルをタッチして補給作業のセッティングを終える。
彼女のロングヴェール・ファイアイーターはその間も戦闘機動を行い、弾薬庫から火力を解き放ち続けていた。
『それではCQBパックを転送します』
『OK、よろしく!』
ハレはアナスタシアに答えて、武装をパージしてバスターキャノンを畳む。ミエリ以下突撃小隊の面々も金髪の陽気JKに倣う。
艦内でバスターキャノンは強力過ぎるので両手にアサルトレールガンなどの副砲を持って戦うスタイルに切り替える。
「これでよし」
灰音は右手にカービンタイプのレールガン、左手にショットガンを握っていた。隣のミエリはアサルトキャノンを二丁持ち。
ハレは右手に荷粒子ビームライフルをセレクトしている。
ここまで酷使した背部兵装ポッドも新品に入れ替える。
アナスタシアが異能で転移させたポッドはスラスターを吹かし、空いているファイアイーターの背中に取りついた。
『ここから先は私が盾になります』
『頼りにしてるよククリス♪』
ククリス機は両背部の装備を可動式シールドに取り換え、灰音と前衛を担当する。
武装は両手持ちで制圧力に優れたヘヴィーマシンガンだ。
『それでは皆様、ご武運を』
『ありがとアナスタシア。それじゃ――――突撃小隊、吶喊します!』
幼い淑女に見送られながら突撃小隊は漆黒の巨艦に突き進む。
周囲の生き残ったハイペリオン・グループの艦はマーダーに乗っ取られるか、無事であっても狂ったように艦砲を撃ち、手当たり次第に動くものを攻撃する有り様。
あと少しという距離で弾幕が殺到してきた。
『皆、私の後ろに!』
ロールを打ち、前方に進み出たオレンジ色のファイアイーター。ククリスは保護被膜に覆われた褐色の巨乳を弾まながら、仲間達に告げた。
無駄のない動きで黒髪褐色JKの後ろに退避する三機のアロウヘッド。
『悪いけど任せた!』
ミエリの声に微笑みで応じてるとククリスは長い両脚を踏ん張り、バキバキに割れた腹筋に力を込め、異能を全開にする。
シールドを前面に展開しながらフォースフィールドの出力を高め、襲い掛かってくるあらゆる妨げから小隊の仲間たちを護る。
一つの光の塊となった突撃小隊は漆黒の巨艦を覆う装甲を食い破り、マーダーの巣となった艦内に乗り込んだ。