ウォーヘッド・アンド・バスターキャノン-TS金髪オレ娘エースは美少女クラスメイト達と宇宙を駆け無双する-   作:ザンザザン!

42 / 62
アンストッパブル・フォース

 突撃小隊が連合旗艦アンフィニへと突入してから数分後。

 

 長距離打撃戦隊の母艦である巡洋艦フェンリルは電子戦艦フランドルの防衛にあたっていた。自動殺戮兵団(プラネット・マーダー)はアンフィニの掌握を妨害する電子戦の相手であるフランドルめがけて攻撃を集中させており、高機動を活かした攪拌戦術から位置をほぼ固定しての迎撃に切り替えていた。

 

 深紅のホーミングレーザーが宇宙の暗黒に奔り、ミサイルセルから乱舞する誘導弾は大瀑布の如し。そして主砲のレールキャノンが轟き、遥か彼方で恒星めいて炸裂する。

 

 明晰な頭脳を持ってフェンリルの火力を最大効率で解き放つのは赤髪ツインテールの上品な女子高生。長距離打撃戦隊のクラス委員長でもあるゼフィリスだ。

 

『ラヴィ、翔鶴からの援軍が到着します。現在の担当宙域は味方に引き継いで武装の変更を』

 

『そいつはありがたい!――――小隊全機聞け! 後退だ、俺に続け!』

 

 ゼフィリスの指示に答え、灰髪の不良姉御は深青色のファイアイーターを後退させる。

 直後、援軍のアロウヘッドの攻撃がマーダーを食い止め、その間に反転、急加速。

 愛用のクレイモアはフェンリルに追随するための高速ブースターに架けられたままだ。得意の接近戦で暴れる余裕のない戦場であった。

 

 防空艦と化したフェンリルに向かいつつ、ラヴィは自機に追従する三人の不良JKに今後の作戦を説明する。

 

『フェンリルに戻ったら殲滅用の武装に交換だ。敵がまとまってるところにぶち込み続けろ』

 

 技量による精密狙撃を偏愛し、広範囲を攻撃する兵装を軽蔑する紅黒は不満を漏らすと灰髪の不良姉御は予想していたのだが。

 

『それは嬉しいですわね。指の感覚がなくなってきたところでしたの』

 

 お嬢様風不良JKはむしろ歓迎した。美学に反する広域殲滅兵器を受け入れるほど疲労しており、それが必要な戦況だと理解もしているのだ。

 

『任せてくださいよ姉御! エイリの奴が悔しがるくらい使いこなして見せるっス!』

 

 抜け目なく水分補給しながら威勢よく言い放つクーリエ。

 

『げっげほっ!?』

 

 しかし、敬愛する姉御に頼りになる子分ぶりをアピールしているその最中、視界に警告が表示されたため、クーリエはせき込んでしまった。

 

 新たなワープ反応。自動殺戮兵団(プラネット・マーダー)の増援だ。

 

『――――敵増援、艦艇だけでおよそ八千!? うひゃー、一体全体どこからこんなに呼び寄せてるんスかね』

 

 T2のコードを振られたタナトス・タイプが異能で呼び寄せるマーダーの物量に目を丸くする。いくら翔鶴を筆頭とする《袰月》の戦力が桁違いでも敵が無尽蔵ではいずれ押し負けてしまう。

 

『突撃小隊が戻ってくるまでの辛抱よ』

 

 ピンク髪の女王様メティスはタナトスを撃破するべく突入したハレ達の勝利を信じて疑わない。不良小隊の残りの面々も同じ気持ちである。

 敵の本拠地となった巨艦で戦う仲間たちを想い、ナノシェルスーツが張り付く裸身に力を漲らせる不良な女子高生たち。

 

 

 幸いにも新たに現れた増援の八千隻のマーダー艦隊は瞬く間に蹴散らされた。

 

 鎧武者のようなパラディンカスタム"シュラ"を駆る神薙 終とその僚機であり長年の付き合いであるシュテン族のジェラが駆る同型機"ラセツ"だ。白と黒、太刀と槍をそれぞれ手にした二機は果てしなく加速しながら立ち塞がる敵機を斬り伏せ、突き砕く。

 

 専用機としてカスタマイズされたアロウヘッドのコクピットにて、破天荒美女と剛毅にして寡黙な鬼娘は筋肉質かつ女性的な曲線も完璧な肉体を躍らせ、愛機を無双させている。

 

『それじゃ、合わせてねジェラ!』

『心得ている』

 

 銃撃はおろか、時には荷電粒子の砲撃や空間衝撃砲さえ斬撃で切り払ってみせる二機の超絶の戦闘。護衛機を蹴散らし、艦隊に肉薄すれば必殺技で纏めて片付ける。

 

――――神薙流合戦術、太刀嵐(タチアラシ)

 

 背中合わせとなったシュラとラセツが螺旋を描くように暴れ狂い、やがて一つの嵐となる。斬撃を受けて弾き飛ばされた残骸にも高次元エネルギーが纏わっており、飛び散った破片は斬撃が直接及ばない位置にいるマーダーまで破壊していた。

 

『あはは! やっぱアロウヘッドはいいねえ!』

『はしゃぐな。どういう状況なのか分かっていないお前ではないだろうに』

 

 文字通り敵を全滅させると、急制動をかけるシュラ。終は豊満な乳房を激しく揺らしながら、呵々大笑。翔鶴の指揮を副長に任せ、アロウライダーに戻った赤髪の女修羅は絶好調であった。

 

 

 スクリーンに映された蒼い空を征く四機のアロウヘッドが遠くなっていく。

 四機はマーダーを爆散させながら突き進んでいた。

 強力無比なアロウヘッドを迎撃するべく放たれたマーダーの激しい砲火が周辺に着弾。爆音や振動に機内で悲鳴が上がる。

 パイロットに訊くまでもなく、この場でじっとして流れ弾が来ないことを祈るしかない状況だ。

 

「あれがFFR-14ファイアイーター。実物は桁違いだ」

 

 ノイミの隣で副主任が呟く。戦闘態勢に入った漆黒の殺戮自律兵器の凄まじい攻撃に、たった四機がそれを上回る火力で応戦して蹴散らしている。

 急旋回していく純白のファイアイーターを辛うじて視界に捉えたノイミは、弾かれるように通信を入れた。

 

「ちょっと困りますよ博士! 勝手に動かれては!」

 

 パイロットの制止の声は聞こえない。

 

「ミエリ! その白いアロウヘッドに乗っているのはミエリ・ライオネルなんでしょう!? 私よ、ノイミ・ローレン! 覚えている!?」

 

 我を忘れて叫ぶ茶髪の女研究者。何を伝えたくて呼び掛けているのか自分でも分からなかった。間を置かず、高速戦闘による負担で苦しそうな息遣いをしながらも、猛々しい少女の声が応答した。

 

『覚えているとも! 生きていてくれて嬉しいぜ!』

「本当にごめんなさい! この状況を招いたのは私なの! ハイペリオンに拾われて、それからずっと彼らの研究に協力して――――」

 

 罪悪感と自分の情けなさに圧し潰され、謝り倒すノイミは涙と鼻水で整った顔をぐちゃぐちゃにしていた。

 

『気にすんなよ。ノイミの意志じゃないんだろ。悪いけど今はちょっと取り込み中でな――――それにオレだってノイミに謝りたいことがあるんだ。とにかく、また後で話そうぜ!』

 

 ノイミを助けることより、任務を優先したことを謝りたい。頭の片隅でそう考えながらミエリ・ライオネルはファイアイーターを加速させる。

 強気な顔立ちの金髪美少女の肉体にかかる強烈な荷重。ぴっちりと張り付いたナノシェルスーツはそれを受け止め、超高速戦闘でかかる苦痛を軽減していた。

 

 

 突撃小隊は群立する摩天楼を駆け抜けていく。

 

 小型艇の周りの敵機は殲滅したが、全長15kmのアンフィニの居住区画は広大だ。その全域に漆黒の自動殺戮機械が犇めいている。

 

 編隊をダイヤモンド形に組み替え、先頭をククリス機が司っている。隊長であるハレは最後尾。金髪ロングヘアの陽気JKは猛き戦乙女の笑みと共に群がってくる敵性反応の赤いマーカーの一群を見つめた。鋭く視線を流し、碧眼が睨むと視線照準によりマーク。

 

『十時と二時の敵集団から先制攻撃が来る! 小隊、回避運動!』

 

 数瞬後、ハレが予知の異能で見たヴィジョン通り、マーダーが弾幕を浴びせてくる。

 

 《袰月》の戦士たる少女たちは四方に散った。荷電粒子ビームが、大口径の砲弾が襲い掛かる。ホーミングレーザーとミサイルが貪欲に少女たちのアロウヘッドを追尾する。

 しかし、ファイアイーターの機動性と次元兵装の防御力に長距離打撃戦隊の技量が合わされば、掻い潜れる。

 

『ククリスは流れ弾がシェルターと艇に当たらないように防いでいて!』

『了解!』

 

 既にフランドルから居住区のシェルターの位置を提供してもらっている。

 後退しながらバレルロールし、背中のシールドユニットを展開するオレンジ色のファイアイーター。

 黒髪褐色のククリスはマーダーの攻撃のうち、民間人に被害が出そうな攻撃を防いでいる。その間にも両手持ちのヘヴィーマシンガンを掃射して攻防一体の動き。

 

『そのコルベットは私が殺っておく!』

『頼んだっ!』

 

 舷側を向け、砲撃してくるコルベット級のマーダーから逃れているミエリに呼び掛け、ビームライフルを三連射。上空から正確に三点の急所を射抜き、爆散させる。

 

「助かった。これで!」

 

 砲撃から解放された純白のファイアイーターは、挟み撃ちを受けていたククリスを助けるべく、ホーミングレーザーを発射。包囲から逃れたオレンジ色のファイアイーターは砲身が焼け付いたヘヴィーマシンガンを投げ捨て、バスターキャノンのレールを展開していた。

 

「――――ッ!」

 

 直後、金髪の小柄なオレ娘は下方から迫る気迫に引かれ、視線をやった。超高層ビルに沿って、垂直に急上昇してくるのはT3タナトス。両手にプラズマブレードを持った二刀流のプラネット・マーダーから発生しているエネルギー反応は桁違いに高い。

 

 二刀流の敵機の姿が突如掻き消える。異能による短距離ワープ、フラッシュシフトであるとミエリはすぐに気付き、緊急回避。純白のファイアイーターは急上昇。

 

 深紅の禍々しさに彩られた漆黒のヒト型が眼下を横切る。視界の中央に捉える。ガンレンジ。ターゲットコンテナが赤く輝く。ロックオンだ。

 

 しかし、ミエリはトリガーを引かず、フラッシュシフトをかけた。ミエリがいた空域にT3が"もう一機"おり、必殺の刺突を繰り出している。正確にはそれは、タナトスを模したエネルギーの塊であり、高次元エネルギーによる実態のある分身であった。

 

 二つの異能を持つタナトスに、今度こそミエリはトリガーを引く。両腕のアサルトキャノンから電磁加速した徹甲弾を撃ち込み、ホーミングレーザーも併せて照射。分身は被弾して霧散したが、高速で下方に逃れたT3タナトス本体はビルの陰に隠れた。

 レーザーが当たった手応えはあったのだが、恐らくフォースフィールドで阻まれダメージになっていない。

 

『ミエリ!』

『平気だっ! 灰音はそっちのタナトスに集中してくれ!』

 

 銀髪赤眼の戦闘美少女を心配させないようミエリは叫んだ。

 内心ではこいつは前衛タイプか、とT3タナトスの特性を察している。統制機T2の直属の護衛、あるいは脅威になる強力な兵器を駆逐する処刑人だろう。

 

 ミエリは頭の片隅で命じて、識別コードに付記。T2をコンダクター、T3をグラディエーターと分かりやすく命名する。いいねと返事したいハレだが、今はそんな余裕はない。

 

 ミエリはグラディエーター――――高出力のプラズマブレードで二刀流した剣闘士めいたシルエットのタナトスと交戦し続ける。

 周りの雑魚を二挺のアサルトキャノンで蹴散らし、肉薄してきた一機の残骸を足蹴に後方に跳び、ホーミングレーザーをグラディエーター・タナトスに浴びせる。

 身を翻してから大ぶりな横薙ぎでこれを切り払い、ビルを蹴って跳ね回るように迫るグラディエーター。

 

「ちいっ!」

 

 再びフラッシュシフトと分身のコンビネーション攻撃が迫る。さっきよりも鋭く、攻撃的な踏み込みだ。右手のアサルトキャノンを分身に投げつけて霧散させると、本体との斬り合いに応じる。腰の太刀の一振りを抜き、プラズマブレードと真っ向から鍔迫り合いする純白のファイアイーター。

 

「コイツ、やり手だ!」

 

 ミエリは歯を食いしばり、連続のフラッシュシフトーー異能による短距離瞬間移動を繰り返して高速の剣戟を演じつつ、その間にも雑魚を爆散させている。

 

 一対一の勝負であれば負けることはないが、しかし、無数の取り巻きが隙を突いてくるこの戦場では強敵だ。

 

 きりがない。倒しても倒しても、銀河の何処から援軍が召喚される。大気圏内でも使用可能かつ、超長距離からの転送を行なうコンダクター・タナトスの異能は人知を超えた強力なモノであった。

 いくらファイアイーターが超高性能アロウヘッドといえど弾薬には限りがあり、ライダーの体力も有限だ。

 

「流石にきっついな」という金髪の小隊長JKの独り言に「同感です」とククリスが言葉を添える。二人とも額の汗を拭う間もない。

 

『すまない皆。私が力不足なばっかりに』

 

 エースのなかのエースである灰音でさえも打開できない状況だった。

 

 銀髪の美少女戦士は強力だが消耗が激しい無敵化の異能を数回使用して消耗しており、黒を基調とする専用ナノシェルスーツでどうにか体力を維持している。

 タナトスのコアにされている自分の同類を救い出したいという気持ちが生み出す焦りを抑えながら、クールに灰音は戦っていた。

 

 敵の大本であるコンダクターを攻撃するべく、ククリスと共にバスター砲撃を試みたが、シェルターや小型艇に被害が出ないよう威力を制限しているため、護衛のマーダーが壁となって阻まれるに終わった。

 

 マーダーはバスター砲撃の威力は相当な脅威と見ているようで、チャージさせないよう絶え間なく攻撃している。

 

『背負い込み過ぎない! なんとかする方法は私が考えるよ!』

 

 金髪の陽気JKな小隊長は励ましながらも、さてどうしたものかと思案する。残された時間は限られている。ハレだけでなく、ミエリもククリスも灰音も状況を打破する手を賢明に探っていた。

 

 そして、その一手には唐突にやってきた。旗艦、翔鶴より緊急通信。

 

『ちょうどよかった。困っているようだね。タナトスを撃破する手段は僕が提供しよう』

『グリムナイア博士!?』

 

 その通信は翔鶴のブリッジにいる碧髪の少女博士からであった。

 神出鬼没の博士は翔鶴の電子戦を手伝いつつ、この試作段階だったファイアイーター用のプログラムを完成させる離れ業を成し遂げていた。

 

 グリムナイア博士の成果はマニュアル付きで送信され、ファイアイーターの制御OSに一瞬で着床した。

 

『これ、本当に機能するんですか? ちょっと信じられない感じなんですけどー』

『するさ。僕が組んだんだから』

 

 高速戦闘で汗を散らし、双丘を弾ませつつも、送られてきた概要を読んだハレは半信半疑。一方、当のグリムナイアは断言している。

 

『どっちにせよ、やるっきゃないぜ! 力尽きて撃ち落されるよりはマシだ!』

『ミエリに賛成だ。このまま、終わるなんてできない』

 

 何よりもこの機を逃したらタナトスに囚われた少女たちを救うことはできない――灰音には確信めいた予感があった。

 

『やりましょうハレ』

『皆がOKだっていうなら――――よっしゃ、やろう! 一気にやっつけるよ!』

 

 真剣な眼差しのククリスに後押しされ、ハレは獰猛な笑顔で覚悟を決める。小隊長権限で承認したプログラムをスタートさせた。

 

 並列戦闘処理システム(Ride the Lightning)――――起動!

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。