ウォーヘッド・アンド・バスターキャノン-TS金髪オレ娘エースは美少女クラスメイト達と宇宙を駆け無双する- 作:ザンザザン!
妖精小隊は
灰白色を基調に黒と赤のアクセントカラーが入ったファイアイーターによる四機編成。
長槍のようなバスターキャノンから青く輝く巨光を解き放ちつつ、宙返りを交えた華麗な機動で敵を翻弄している。
優美に尖った笹穂耳と天上の美貌を持つ異種族シルフの金髪姫様、久遠が率いる隊はまさに戦闘妖精であった。
アロウヘッドの主用途であるバスター砲撃と並行して、他の火器も撃ち込んでいる。
「選り取り見取りですな」
白髪褐色の長身侍風シルフ、八坂はアサルトレールガンを掃射して接近してくる機動兵器級マーダーを片付ける。砲弾が命中した敵機だけでなく、その背後にいたマーダーまでも爆散している。
レールガンの砲弾が空けた穿孔ではなく、斬撃で横一文字に切断されている。八坂の異能である"次元刀"による空間切断が敵機を切り裂いたのである。
琥珀色の瞳の褐色シルフ侍JKは困難な戦場に血を滾らせ、飄々とした気質の裏に隠れた戦さ狂の本性を露わにしている。
蠱惑的な褐色の肉体を躍らせるように愛機を疾走させ、不可視の斬撃を見舞うべく腕を振るう。
「仕上げは頼んだ!」
「任せろ!」
銀髪片目隠れ、ボーイッシュな葉隠はシルフ流忍法を機動兵器戦闘でも駆使する。忍者なシルフの分身の術で生じた質量のある残像に惑わされるマーダー。
火狩が仕留めにかかる。
左腕と両背部にレールガンを装備したガンスリンガーとも称される武装パターンの火狩機は、精密射撃でマーダーを一気に撃破。艦艇クラスも動力炉や推進ブロックを射抜いて撃沈している。
「久遠の邪魔はさせん!」
漆黒の殺戮兵器群に向かって、猛々しく咆える金髪のシルフ。
優秀な狩人である火狩の撃墜数は小隊内トップである。
鍛えられた肉体に汗を滲ませつつ、主君であり親友でもある久遠の機体に意識を向ける。
縦横無尽に飛び回る機体のコクピットで、久遠の両手は空間投影コンソールを素早く叩いている。普段はビビりで御目付役の火狩にお小言を言われてばかり。だが、金髪の姫様はいざという時はやる女である。
思考操縦モードでファイアイーターを操って戦闘しながら、攻めるにしても逃げるにしても必須の儀式魔術を執り行う離れ業をしている。
コンソールを操作するため、操縦桿は握れない。そのため、激しいマニューバーでかかる負担を堪えるために脚を大きく開いて踏ん張っていた。
羞恥心が強い方なので、いつもよりさらに大股を開く姿勢になれば恥ずかしく感じるのが普段の久遠なのだが、今この瞬間に限り、そんな個人的なことは欠片も意識していない。
世界艦《袰月》の高次元制御技術はシルフ族に由来しており、彼女たちは魔術という形で高次元から力を招く術を体系化して《袰月》の民に伝えている。
そして、久遠は当代きっての魔術の使い手であり、多数の補助詠唱者が加わる大規模儀式を纏め上げるのに適任だった。
「ポイントAからZまで配置良し。既に補助詠唱も開始している。流石翔鶴、魔術部隊も優秀だな」
戦場全体を取り囲むように配置された魔術部隊―――専用機材を装備したアロウヘッドで構成された小隊と訓練を受けたアロウライダーからなる補助役が動き始めたことを確かめ、小隊に合図を出す。
「小隊各機! これより本機は詠唱に入る!」
威厳ある声で金髪の姫様が宣言すれば、三機は洗練された動きで小隊長機を守護するフォーメーションを組む。
久遠が詠唱を開始するとコクピット内に風が吹き、黄金色の髪が揺れる。美しい声音で紡がれている荘厳な響きの言葉が高次元から力を招き、戦略級の超常的現象を引き起こさんとする。
その力を留め置き、戦場を見渡して解き放つ機を見極めるのが儀式の主を任された久遠の役目である。
「んっなんだ?」
詠唱が完了した直後。強力な力の波がアンフィニを起点に巻き起こり、久遠は目を見開いた。
「久遠! これは一体!?」
「凄いエネルギーだ。さて、誰の仕業かな」
「突撃小隊の皆の気配がしますな」
妖精小隊のメンバーも高次元エネルギーの波を感じ取って少なからず驚く。
突入した突撃小隊を案じて久遠に問う火狩。口元に手を当て、その意味を考察する葉隠。八坂は悠然たる微笑みで、その波に仲間たちを見出している。
誰もが吉兆であると確かに感じていた。八坂が言う通り、その波長にハレ率いる突撃小隊のモノが感じられる。
特に強いのはミエリの魂の波長だ。
「何だか分からないが大丈夫だ。私達は勝てるよ」
久遠は珍しく断言した。それを肯定するかのように、宙域のプラネット・マーダーの動きが鈍り、増援がぴたりと止まる。
誰しもが戦闘の流れが傾いたと理解した。
ただならぬ気配に真っ先に動いたグラディエーター・タナトスは純白の敵機に肉薄。瞬間移動による翻弄。分身との連携攻撃による確実な処刑の一撃を見舞おうとするが――――
「遅い! 視えてるんだよ!」
雄々しく吼え猛りながら、金髪のオレ娘はカウンターの一撃を繰り出す。ミエリの意識には数瞬先の未来の光景が視えており、敵の動きが手に取るように判った。
まず、ミエリは回転をかけ斬撃で分身を霧散させると、グラディエーターの本体を蹴飛ばす。音速の十数倍の速さで弾き飛ばされた黒いヒト型殺戮機械は高層ビルを幾つも突き抜けていく。
グラディエーターが制御を取り戻すまでの間に、突撃小隊は一斉攻撃。
銃火と閃光が四機のファイアイーターから溢れる。一瞬にして漆黒の自律兵器の三分の一が爆散。
増大したファイアイーターの出力は不可視の波動となり、マーダーと戦場で見守るノイミに伝わっていた。
そして、宇宙へと広がっていくその波動に漆黒の殺戮兵器の制御体は、はじめて恐怖というモノを感じた。
コンダクター・タナトスは前衛に立てたマーダーを盾にして、後退していく。
恐怖の元凶を駆除するべく、コアとなっている銀髪の少女からさらなる力を絞り出す。少女は苦しみ悶え、吐き出した呼気が濃厚な気泡を作り出していた。
しかし、無駄だ。先ほどまでと比較にならない速度で黒い殺戮兵器の大群を爆散させながら、突撃小隊は敵の中核に肉薄していく。
並列戦闘処理システムという概念は
アロウヘッド同士で超高速並列処理を行うだけに留まらず、ライダーの精神さえ連結させるのだ。
異能者の魂魄を重ね合い、膨大な高次元エネルギーを引き出すことで、ファイアイーターの性能を天文学的なスケールで向上させる。それこそがライド・ザ・ライトニングの本質であり、意図なのだ。
最強のアロウヘッドを創り上げることに執心するグリムナイア博士の理想が今ここに現出していた。
だが、稲妻に乗ることは危険を伴う。これは魂魄さえ焼き尽くす死神の雷なのだ。
怒涛のような高次元エネルギーの流れを捉え、操ることができるミエリこそがシステムの中核だった。
「ぬぉぉりゃぁぁぁッ!!」
雄叫びを上げ、光を纏ったファイアイーターが駆ける。暴れ狂う四つの魂の力を束ね、制して御す金髪のオレ娘。
レールガンの砲弾一発が十数機のマーダーを一気に撃ち抜く。そんな威力の銃撃が一発も外れることなく叩き込まれていく。
ビームの光条が次元兵装搭載型のマーダーを易々と射抜いて破壊した。
赤白ツートンの派手な専用機、そして小隊の仲間たちと一つになっているのを金髪の陽気JKは感じていた。
「私は今、ミエリなんだ。ククリスでも灰音でもあって――なんかすっごい気持ちいい!」
自分の中にある異なる三つの魂を感じて、ハレは歓ぶ。金髪の突撃ギャルJKの歓喜に呼応するような動きをする赤白カラーのファイアイーター。
「気をつけてくださいハレ!」
「こういう時の戦い方はこう」
「こうするのもいいぜ」
「ありがと! 皆!」
死角から攻撃しようとする敵機をククリスが警告してくれた。
褐色の寡黙JKの視覚を通して敵の位置が伝わってくる。ハレはミエリと灰音の技量で敵機の攻撃をすり抜ける。
突撃小隊は全員の知覚、技量、能力を共有しており、それらは何十倍にも高まっている。
そこにファイアイーターの戦闘処理能力が並列化された上で加わっている。もはや一挙手一投足ごとにマーダーを撃墜していた。
破壊神となったファイアイーターの前に、漆黒の機械どもは蹂躙されるばかりだ。
四機が互いに背を預け合い、同心円状に回転運動。
艦の外での戦闘を放り捨てて、居住区画に呼び寄せたマーダーで圧殺を試みるコンダクターの戦術を圧倒的火力で粉砕する。
四つの光が散った。
プラネット・マーダーはファイアイーターを追いかけ、苦し紛れの弾幕を浴びせるが――――
「これ以上好きにはさせません! そんな攻撃!」
「全部防いじゃうんだから!」
フォースフィールドが深紅の光や実体弾を分解して光に変えてしまう。ククリスの異能と合わさり、突撃小隊が展開する高次元エネルギー防壁は敵の攻撃を飲み込むように広がっていく。
もはやいかに高性能で強力な次元兵装を備えたマーダーであっても関係なく、ただ撃ち落されるだけ。
さらにフラッシュシフト――――ミエリの異能が発動して、敵機は小隊の位置を見失う。
次に現れた瞬間には猛烈な銃火が新たに転移してきたマーダーを蜂の巣にする。
――――戦友のためにも、一気に終わらせる!!
ぴっちりスーツの戦乙女なJKたちの鍛えられた体に宿る強い意志にファイアイーターが呼応する。
「行ってミエリ!」
「雑魚は私達が引き受けます!」
「あの娘たちを頼む!」
共に一つとなって駆ける仲間たちの思念にミエリは「任せな!」と勇ましく返す。
眩い光で鎧った純白のファイアイーターがジグザグ機動を描く。その周囲では次元兵装搭載型さえ有象無象となったマーダーが爆発四散。
赤と白、オレンジ、そして漆黒のファイアイーターの援護射撃も容赦なく。無数の敵機が文字通り全滅する勢いで撃破されていく。
一瞬たりともミエリ・ライオネルを阻むモノは無かった。
追い詰められた二機のタナトス。グラディエーターがコンダクターを庇うように前に出る。プラズマブレードが高次元エネルギーを集める。空間を崩壊させる出力の超長刀身の斬撃はファイアイーターのバスターキャノンにも勝る出力でミエリに襲い掛かる。
真紅の光帯が純白のファイアイーターを捉える。しかし、その破滅的な光をミエリの機体は素通りした。灰音の異能である無敵化を借りて、問答無用の理不尽な力と化している。
タナトスが逃げる。集中攻撃が純白のファイアイーターに降り注ぐ。
自分を食い止めようとする弾幕をククリスの力で強化されたフォースフィールドで無効化し、ハレの未来予知で相手の動きを読む。
「ジャストコースッ! 獲ったッッ!!」
右腕、バスターキャノンのエネルギーを収束するための二本のレールを突き出す。一直線上に並んだ二機のタナトスの頭部を狙い、真っ向から刺し貫く。
そのまま加速してビルの外壁にタナトスを叩きつける。衝撃がコクピットにまで響いた。
「こっからは皆一緒だ。覚悟決めてくれよ!」
叫ぶミエリ。並列処理でファイアイーターの戦術コンピューターが弾き出した戦術を実行する。接触回線でタナトスのシステムにハッキングを仕掛けるのだ。
視界が白一色に染まり、逆らえない流れに押されていくのが感じられた。
素肌に吸い付くようなナノシェルスーツの感触が消え、生まれたままの姿になる。
ハレ、ククリス、灰音が傍にいる。彼女たちの息遣いがはっきりと聞こえた。
突撃小隊は新たな戦場へとダイブした。フラネット・マーダーの制御システムに自らを送り込んだのである。
遥か彼方にタナトスに囚われた銀髪の少女たちが見える。
灰音を少し幼くしたような銀髪赤眼の容姿。禍々しい赤黒い茨が一糸纏わぬ姉妹を拘束している。
虚ろな深紅の瞳に反射する暖かな四つの光。
その光は純白の天使の翼を生やした戦乙女だった。ミエリに率いられるようにハレ、ククリス、灰音は暗黒の空間を飛翔していた。
戦うために鍛えられた筋肉質な裸体を露わにして、武器も帯びない無防備な姿である。
しかし、天使の翼の羽ばたきが邪悪な殺戮兵器の意志を打ち砕き、光が闇を焼き滅ぼしていく。この精神世界での武器は意志の力なのだ。
「こんな奴らに従う必要はない。頼む、目を覚ましてくれ」
「そうそう! 灰音の妹さん達なのかな? 一緒に《袰月》に来ようよ!」
「どうか心を開いて。私達が貴女たちを守りますから」
白い翼の少女たちの声が空間に響く。
「クソっ意地でも渡さない気か!」
灰音たちの声は確かに届いていた。銀髪の姉妹が手を差し出すが、その腕に茨――マーダーの意識体が絡みつき、柔肌に刺が食い込む。
殺戮機械に利用され、苦しめられる少女たちの痛々しい姿に金髪のオレ娘は憤った。
その後ろで「やば」という金髪ロングJKの呟きが聞こえる。
「――――小隊散開!」
いつもの調子でハレが警告。それに従い、翼を力強く羽ばたかせて散る一糸纏わぬJK天使たち。
ミエリ達を阻むべく、虚空から茨の触手が現れたのだ。
四人の天使な戦乙女の輝きにも勝る凶悪な力が、瑞々しい肢体を絡め取る。
「ちょっ! 思ったよりも力が強い! しかもなんかスケベな感じだし!」
陽気なギャルJK、ハレの腹筋が魅力的なお腹に茨触手が巻き付き、別の触手が両腕を広げさせた姿勢で拘束する。
肉感的で筋肉がしっかりついた太股にも絡みついていて、ハレは刺の感触に顔を顰めていた。
「この! 離れなさい! こんな格好では!」
ククリスは足首を掴まれ、逆さ吊りにされた姿勢。寡黙で丁寧実直な褐色JKは赤面しながらもがく。
逆さに吊られた上に、無理やり開脚させられた格好で拘束されているのだ。辛うじて茨触手が股座の前を通って隠れているが、物凄く羞恥的で屈辱的な姿である。
銀髪の無感情戦闘少女風なJKと金髪のオレ娘は触手を掻い潜ったが、それでも第二波は躱しきれず、仲良く絡め取られてしまう。
しかし、痛みはない。鋭い刺は天使と化したJKの鍛えられた筋肉に歯が立たず、傷つけることができなかった。
「きゃっ!」
思わず可愛い声が金髪と銀髪のJKから同時に漏れた。
一本の茨が二人の腰を纏めて絡め取り、背中合わせにされ、お尻同士をくっつけた状態で身動きが封じられる。
「むー邪魔だ。あと少しなのに」
「よーし、灰音せーのでいくぞ」
「分かった」
しかし灰音たちは冷静だった。肌の感触を通して、暖かく強い力が湧いてくるのが感じられる。だから負ける気がしない。
「「せーのっ!――――おりゃ千切れろ!」」
ミエリの合図で一気に茨の触手を引き千切って高速から脱する。そのまま急旋回でハレとククリスを助けに向かう。
アロウヘッドの戦闘機動と変わらぬ見事なコンビネーションだ。再び捕えようとするマーダーの意志を避け、茨を千切って仲間を救出。
仲間と手を繋ぎ合うことで精神の力を高め、その裸身に纏う輝きを増す。
性懲りもなく襲ってくる触手。時には手を離して躱し、またある時には手を繋ぎ合って力づくで蹴散らしていく。
灰音はハレと、ミエリはククリスと共に飛んでいる。
ミエリたちが放つ光は銀髪の姉妹を捕らえた茨を萎びさせていく。
今や姉妹との距離は手が届くほどに近い。
たすけて、と銀髪の少女たちの唇が動くのが見えた。
「応っ!」
雄々しく凛々しくミエリは答える。グラディエーター・タナトスに囚われていた活発そうな少女の手を掴み、ククリスと一緒に引き上げる。
その横では灰音とハレがコンダクター・タナトスに囚われていた嫋やかな少女を助け出す。
空間が崩壊していく。マーダーの力の源はこの銀髪の姉妹であったようだ。
崩れていく空間に飲み込まれるよりも早く、天使の翼が生み出すスピードに乗り、突撃小隊は脱出する。