ウォーヘッド・アンド・バスターキャノン-TS金髪オレ娘エースは美少女クラスメイト達と宇宙を駆け無双する-   作:ザンザザン!

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ボスバトル スタンディング・ヘヴィバトルタンク

 

 白い閃光が死に絶えた都市を駆ける。アルファ4ミエリが駆る人型機動兵器(アロウヘッド)ファイアイーターだ。

 金髪碧眼のオレ娘はナノシェルスーツと機体の耐G機構、そして己の肉体で慣性に耐え抜いている。

 

 ミエリは進路を塞ぐ敵を撃ち落としながら、目標地点に突き進む。

 

 大気圏内外を問わず等速での加速は容易に捕捉されてしまう。そのため、慣性制御機構によって加速度を保ちながら、四方八方に跳ね飛ぶことで敵のFCSから逃れる。

 窓ガラスはおろか老朽化が極まった建造物が倒壊するほどのソニックブームが吹き荒ぶ。

 

 コクピットに小気味よい電子音が鳴るのに合わせてトリガーを引く。ホーミングレーザー、リリース。背部ポッドから発射された、左右合わせて八つの光条が待ち伏せ中のVTOL機に殺到する。機体はプラズマと化して爆散。撃墜数+8。

 

 道路に沿って右に旋回するアルファ4のファイアイーター。

 

 空中トーチカ・ペリカンが低空に二機、滞空していた。

 

「二機ばかりで俺とコイツを止められると思うなよっ!」

 

 ファイアイーターが真っ向から突っ込む。ブースターが吠え猛り、青白いプラズマが噴き放たれる。

 

 ドッグファイトモード、レディ・ガン。視界にアサルトレールガンのレティクルが表示される。

 トーチカのミサイルと榴弾砲をフォースフィールドで弾きながらアサルトレールガンを連射。

 

 装甲の一点に電磁加速弾を叩き込んで、重厚な装甲を貫く。内側から爆発を起こし、墜落していくペリカン。十字路のど真ん中で爆発四散する。

 

「はぁ――――っ!」

 

 ミエリは息を吐き、腹筋を引き締めながらマガジンを投棄。

 左腕サブアームでアサルトレールガンをリロードしつつ砲身冷却。

 機体を傾けながらの急旋回で、もう一機の至近距離を飛び回りつつ、十六発のホーミングレーザーの同時発射で撃破した。

 

 

 レーダーをちらりと見る。別ルートから同じ目標地点を目指す漆黒のファイアイーターの機影があった。アルファ3灰音はやや後方を飛んでいる。

 

『置いてっちまうぜ灰音!』

『ミエリ、速すぎ。けど、すぐに追いつくから』

 

 銀髪赤眼のトップエースは言葉通り、愛機を急加速させてきた。

 

 一方、ミエリはランドマーク・モニュメントの前で脚を前に蹴り上げ、上昇。都市区画を下敷きにして墜落した巨大航宙艦が見えた。

 不時着時に十分な逆噴射を掛けたようで、周辺の被害は最小限に抑えられていた。

 

 帰還艦は戦闘艦に市民居住区を併設した方式だ。サイズは大きいが、純粋な戦闘艦と比べて戦闘力は高くない。

 その戦闘力も既に奪い去られており、至る所で黒煙が上がり、おまけに艦艇や艦載機の離着艦ハッチも破られている。

 

 無人兵器が内部に侵入したということだ。

 

『アルファ4、報告! 救助対象を視認したが、既に内部に侵入され――――ちぃっ!』

 

 周りの雑魚を即座に撃ち落す。ミエリは突入態勢に入ろうとするが、奇襲を受けて舌打ちした。

 

 瞬間的にスラスターを四度噴かした。一回目で回頭。瓦礫の下から姿を見せる灰色の巨体。

 二度目で敵巨大兵器の砲撃とミサイルを右に避ける。

 

 可動式砲塔によるピンク色のレーザーが追い縋る。アルファ4は上昇してから左に切り返してレーザーの追尾を切り抜けた。

 最後にメインブースターを炸裂させ、距離を詰め、頭上を飛び越すようにしながらアサルトレールガンとホーミングレーザーで応戦する。

 

 戦車型に見えた無人兵器の車体が起き上がり、上半身を構成する。その間にも履帯で瓦礫を弾いて苦も無く爆走。高速ドリフトで被弾を最低限に抑える。

 頭部がせり出し、センサーユニットとカメラアイを光らせ、ファイアイーターを睨む。

 

「ゴライアス! 懐かしい面だぜ!」

 

 今しがたスタンディングモードに変型し、40mの巨体となったこの半人半戦車型兵器の名だ。ミエリがよく知っている相手だった。

 

『うわっすっごい面白い戦車だね!』

『援護は間に合いそうにありません。ミエリ、どうか御武運を!』

『こっちにも似たようなのが出てきた。すっごく邪魔くさい』

 

『面白くなってきたじゃねえか、腕の見せ所だぜ、チビ助!』

『ふぅん、無骨で変形もして、中々素敵なメカじゃない。壊すのが少し勿体無いわ』

『いけいけ、ぶっとばせっス!』

『貴女の闘い、わたくしのお茶菓子代わりにさせて頂きますわね』

 

『まったくもうこの娘達は……』

 

 フェンリルを護衛するガラの悪い美少女達は好き勝手にヤジを飛ばした。

 これに艦長席にて、軽く波打つツインテールの艦長は苦笑い。この間に大気圏突入に備えた武装変更を行っているのは流石ではあった。

 

 

 《殲滅大戦》初期から活躍し、無数の改修型が製造された傑作兵器のうち、可変機構を有するのは稀少なエリート仕様だ。

 

 殆ど死にかけの戦闘移民艦に背を向け、ゴライアスは対空散弾砲でミエリを牽制しつつ、再びレーザーを照射。

 

 艦のハッチに大穴を開けて融解させたのは、こいつの背中のビームキャノンだろう。

 

 先ほど浴びせたアサルトレールガンは装甲だけでなく関節部に命中した弾まで弾かれていた。これは電磁スクリーン装甲による防御のためだ。

 だが、レーザーは有効打となり、兵装の一部を破壊する。

 

 ゴライアスの二門の大型ビーム砲が青色の光を砲身に収束し始めた。

 

 それを睨みつつ、金髪碧眼オレ娘は軌道上の母艦にコール。

 

『アルファ4よりフェンリル、バスターキャノンの発砲許可を求む』

『了解。規定通り、高次エネルギーを投入しない、大気圏内出力でのみ発砲を許可します』

『十分だ。一発でキメてやるよ』

 

 魅惑のボディラインがくっきりと出たぴっちりスーツ姿で、艦長席に座る赤髪ツインテの美少女艦長からの応答は一瞬だった。

 

 超高集積ビーム兵器バスターキャノンは汎用人型兵器アロウヘッドとの組み合わせで《殲滅大戦》に名を轟かせた。

 

 チャージが必要という欠点があるものの、18m級の機動兵器が戦艦級の防御を打ち破り、撃沈することを可能としたものだ。

 陣営を問わず戦場に無数の伝説と番狂わせを生み出した兵装はアロウライダーの誇りであり、ミエリ自身も慣れ親しんできた。

 

 《袰月》においてバスターキャノンはさらなる強化改良を加えられ、高次元エネルギー投入による指数関数的な破壊力の増幅をも実現した。

 ファイアイーターのような異能者専用機であれば時空を歪め、物理法則そのものを打ち砕く悪魔的な威力を発揮するのだ。

 

 宇宙空間における殲滅戦では極めて効果的ではある。だが大気圏内においてはその威力は過剰ゆえに制限が掛けられ、高次元由来の強化は厳に慎まれていた。

 

 敵のエネルギーチャージに呼応して、ミエリのファイアイーターもバスターキャノンを展開して、二基のマテリアルレールによる力場収束を開始。

 ゴライアスが背中の二門を発射する直前、砲口を狙ってバスターキャノンを解き放つ。

 ミエリの狙い通り、膨大なエネルギー同士の干渉が起こった。

 

 青い光の爆発が大型人型戦車兵器を飲みこみ、装甲を融解させた上で転倒させる。

 カメラアイとセンサーも砕けるか、融けていた。

 

 閃光と化した白色のファイアイーターは、空中を切り刻むような機動で近接戦闘を挑む。

 

『もらったぁぁぁぁぁぁっ!!』

 

 獅子の如く咆え、ミエリは抜刀。彼女の要望でファイアイーターの腰には実体刀身の太刀が装備してあった。ラヴィの機体が装備している、クレイモアに影響を受けてのことだった。

 

 もはや機能していない頭部ユニットめがけて縦一文字に振り下ろす。高次エネルギーと加速が乗った斬撃はゴライアスの装甲を真っ二つに切り裂いた。

 爆発が起こる前に離脱したミエリは三機の味方機の接近を感知。アルファ・フライトは再び、ハレを先頭にした編隊を組む。

 

『お見事』

 

 操縦桿から手を放し、ぱちぱちと軽く拍手する灰音。それを皮切りに仲間達が次々にミエリの巨人殺しを讃えてくれた。

 

『アルファ・フライトは内部に突入し、救援対象への呼びかけを行いながら敵性存在を殲滅!』

 

 金髪の猟犬系JK小隊長の指示に『了解!』と力強く応えて、腹筋を引き締めて戦闘移民艦に突っ込むアルファ・フライト。

 

『フェンリルも降下開始します。ブラヴォー・フライトは警戒を厳に。空間海兵隊は出撃準備をお願いします』

 

 ゼフィリスの意志で白亜の巡洋艦フェンリルが惑星への突入コースに入り、ブラヴォー・フライトの四機と共に光に包まれながら大気圏へと降り立っていく。 

 

 ミエリは胸を高鳴らせ、ナノシェルスーツに浮かぶ腹筋に力を込めて、小隊長機を追う。戦場で心がこんなに晴れやかになったことはない。

 

 ミエリは生まれた時から異能者(ミュータント)として蔑視されてきた。やがて、絶大な戦果を上げたことで、拡散派の英雄、自由と革命の守護者と讃えられはした。だが、誰もが彼を恐れ、遠ざけていた。

 

 ここで共に戦う仲間達は誰もが認め合っている。金髪碧眼のオレ娘は分泌されたアドレナリンによるものだけではない、温かな高揚感を確かに感じていた。

 

 通路を駆け抜け、広大な市街区画に出る。

 建物の殆どが瓦礫と化していた。残っている建造物の造形を形容するのならば、禁欲的と言うべきだろう。

 

『予想通り、だね』

『今は残った生存者の救出に専心しましょう』

『うん』

 

 四機でセンサを同期させて、生体反応をスキャンするが、ごく僅か。

 恐らく、この状況に陥った内戦、不時着時の衝撃、そして現在進行している無人兵器の攻撃によって住人の大半が死亡している。

 艦政府や軍からの応答はなく、応戦している部隊も確認できない。

 

「助けられる命は救ってみせる! 行くぞ、皆!」

 

 熱くなり、柄にもない科白を叫ぶミエリ。ナノシェルスーツ姿の女子高生達の意志に呼応して、ファイアイーターが空中を疾走する。

 

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