ウォーヘッド・アンド・バスターキャノン-TS金髪オレ娘エースは美少女クラスメイト達と宇宙を駆け無双する-   作:ザンザザン!

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アフターサービス・スローテンポ・クルーズ

 電子戦艦フランドルを旗艦とする《袰月》の艦分隊は貿易船団を護衛しながら低速で航行中だった。

 

 既に二日が経過している。

 

 艦隊の本来の目的は白頭鷲主義連合(イーグル・ステイツ)の植民惑星S7(スタンド・セブン)のテラフォーミング完了を祝う式典への参加である。事前に通達した到着予定日時に遅れることになるが、肝心の式典開始までには間に合う。

 

 そのため、"《袰月》側として"は問題視していなかった。

 

 ミエリ達が救助した、とある艦隊国家の貿易船団は幾つかの集団に別れて散り散りになっていた。

 船団を火力で圧倒する宇宙海賊を相手にした応戦は犠牲が大きいと判断し、戦場からの離脱を最優先して強引にワープ・ドライブを行ったため、ワープ・アウト後の座標が大幅に離れてしまったのだ。

 

 互いの識別信号(トランスポンダ)を受信できるギリギリの距離だったのは、不幸中の幸いであった。

 

 《袰月》外交艦隊は護衛と修復作業に並行して、散り散りになった船団の合流を手伝っている。

 長距離打撃戦隊は殲滅小隊を母艦フェンリルに残し、フル稼働していた。

 

「来た。突撃小隊の奴ら、亀みたいにノロノロ戻ってきてら。キャハ、すっとろくてブザマってカンジ♪ 引き連れている艦艇の反応はちょうど五十、ETA(到着予定時刻)は二十分後~♪」

 

 艦橋前方にあるバイクシート型操舵席に長い脚を広げて跨るエイリが歌うように報告する。

 

 紅い髪のシルフ姉妹、好戦的で残忍な性格の姉の方である。

 

 眼鏡をかけている以外は外見はそっくりな双子の妹のエルザレドは火器管制を担当。

 航法担当は褐色の不思議系長身娘レギ、艦内管制はサイドテールの蟲惑魔アラヒナ。

 

 殲滅小隊はブリッジ要員として、妖艶上品なクラス委員長ゼフィリスをサポートしている。おかげでゼフィリスは艦長としての指揮と機動部隊の管制という二つに集中できていた。

 

 操舵席のエイリは髪の後ろを纏めて、青い被膜のナノシェルが張り付いた臀部を艦長席に突き出している。 

 時々、フェンリルを操艦しながらお尻を振り、ゼフィリスを挑発していた。

 

「突撃小隊が先導しているグループが最後ですね」

 

 ゼフィリスは空間投影ウィンドウに表示された船団の船舶リストをチェックして言った。

 

「これでやっとタイクツな仕事も終わりか。清々するぜェ」

 

 赤髪ウェーブツインテの美少女艦長の視線は空間投影ウィンドウから正面、エイリの背中に移る。

 ゼフィリスの視線に応えるかのように、両手を組んで大きく伸びをする紅髪のシルフ姉。

 

 尊大に突き出した双丘が身動ぎで僅かに揺れる。妹のエルザレド共々、極端な巨乳というわけではない。

 だが、十分なボリュームがあり、シルフらしい造形美を誇っている。

 

「丁寧な操艦でした。フェンリルを大切に扱ってくれてありがとうエイリ」

 

 少し早いが、ゼフィリスはお礼を述べてことにした。

 

 上品妖艶な美少女艦長の琥珀色の眼差しは敬意に満ちている。

 

 常に意地悪な笑みを浮かべて周囲を挑発するエイリがその実、誰よりも真面目だとゼフィリスは良く知っている。

 彼女のフェンリルの操艦には、その気質がはっきりと現れていた。

 

 尻を振ってみせる挑発は美少女艦長の余裕たっぷりの態度に崩せず、エイリは悔しい想いであった。

 

 そもそも、エイリのお尻は引き締まっていて見応え抜群。見せても他人を不快にするどころか喜ばせるだけだ。

 しかも尻を自ら振るサービス満点ぶりだ。

 

 女同士でも惹きつけられてしまうワケで、そもそも効くわけがないのである。

 

 ゼフィリス自身、女神の生き写しと思えるほど完璧な美貌と肉体の持ち主である。

 だが、それを鼻にかけることは決してない。他者の持つ美点を見い出し、情熱的な瞳で真っ直ぐ見据えているのだ。

 

「私の機嫌を取ろうとしても、そうはいかないからな? 他の単純馬鹿どもとは違うんだ」

 

 不機嫌そうに腕を組み、そっぽを向く紅い髪のシルフ姉。

 

「エイリちゃんの言う単純馬鹿ってエルザレドちゃんも含まれるのかな~?」

 

 シートにもたれかかりながら、JKというよりJCに見える小柄な蟲惑魔、アラヒナがニヤニヤしながら言う。

 自分が話題に出て、少しびっくりする眼鏡のシルフ、エルザレド。

 

「当然、含まれるワケがないだろうが。お前らとエルザレドは出来が違うんだ」

 

 断言する紅シルフの姉様。視線は火器管制シートの妹に向けられている。

 

「そうだよね~♪ 愚問でありました小隊長閣下♪」

 

「ふんっ後でシゴいてやるから覚悟しろよ」

 

 吐き捨てるようなエイリの物言い。

 

 期待通りの反応を引き出せて、アラヒナは満足そうに敬礼している。エイリが妹を想う姿を見るのが好きで、時折こうして突っつく。

 

「アラヒナ、意地悪」

 

「ごめんごめん♪」

 

 不思議系褐色のレギが口数少なくも注意する。

 

 長距離打撃クラスで最も謎めいて予測不能なレギは、過激で大胆な行動をとりがちなエイリとアラヒナの良いストッパーであった。

 

(ハレ達が帰還したら次は船団への訪問。ふふ、楽しみね)

 

 殲滅小隊のやり取りを微笑ましく眺めながら、スケジュールを想い返すゼフィリス。

 軽く転がす程度だが、久しぶりにファイアイーターに乗る。しかも、同乗者までいるというのだから、美少女艦長の心は躍るばかりであった。

 

 

 

 突撃小隊がエスコートしている小船団は自衛用の武装を施した輸送船が大半を占め、戦闘艦は少数という心許ない編成だった。

 

『やっとフェンリルが見えてきた。はー長い道のりだった』

 

 金髪ロングヘアの猟犬風ギャルJK、ハレのボヤキ。

 護衛任務なのでファイアイーター本来の出鱈目なスピードは出せず、船団に足並みを揃えていた。

 

 ハレは小隊長としてダイヤモンド編隊の先頭を司っている。乗機は赤白ツートンのデモカラーめいた塗装。

 

 希少な予知の異能を持つこの陽気な女子高生は、緊急事態への備えに最適なアロウライダーであった。

 

「まだ気を抜くなよ。帰還間際が一番危ないんだからな」

 

『おっとこれは失礼しやした! へへっあっしとしたことが!』

 

 帰還間際になって気を緩めたような口ぶりのギャルJK小隊長を嗜める金髪のオレ娘。

 小隊最小の身長とバストサイズのミエリ・ライオネルだ。154cmと小柄だが背筋をピンと伸ばし堂々としているので、意外と迫力はある。

 

 とは言っても、《袰月》では頼もしくも可愛らしい生き物として愛されてしまっているのだが――元男という特異性は忌避感を持たれるどころか、魅力として受け取られてしまっている。

 

――ハレが三下口調でお道化て返事したことには、あえて突っ込まない。最近観た"ジダイゲキ"とやらの影響らしい。

 

「灰音もだ。ベルカとチェルシーは逃げたりしないんだからな。落ち着いていこうぜ」

 

『むっこれは面目ない』

 

 無表情でそわそわしている灰音にも注意する。

 

 銀髪赤眼の双子は訓練と試験に励んでいる。

今朝から調整槽で入念に体調を整え、ミエリ達の帰還する頃にブリーフィングに臨む――ベルカとチェルシーのスケジュールは二人の姉に共有されていた。

 

『ククリスを見習わないとね』

 

 ハレが呼びかけると黒髪褐色の小隊メンバーが僅かに反応した。

 

 エキゾチックな美貌のククリスは落ち着き払い、警戒を続けている。

 左右の操縦桿を握り、両脚は広げてシートに腰掛けた姿勢をキープしており、殆ど身動ぎしていない。

 

 大きく広げた股間の間にあるナノシェルスーツの数少ない装甲――幅の広いI字型のパーツが目立つ、美少女JKが取っていれば扇情的にも思える操縦姿勢だ。

 ミエリ達も同様で、堂々と大股を広げる安定した姿勢でファイアイーターを操縦している。

 

 以前はオレンジ色の鮮やかな塗装だったククリス機だが、現在は黒緑色(ダークグリーン)に塗装を変更している。微弱ながら電磁防御スクリーンと同様の作用を発揮して攻撃を弾く特殊塗料が一機分回ってきたので、試しているのだ。

 

(それにしてもデカいな)

 

 思わずミエリは呟いたが、それはバストアップ映像に映るハレとククリスの巨乳への感想ではない。工作艦ヤズマの巨大さへの感想である。

 

 徐々に近づいてくる《袰月》の艦隊は、船団を取り囲むように広がる陣形を組んでいる。

 

 二千隻をわずか十数隻で守るのは不可能というのが艦隊戦の常識ではあるが、それは《袰月》においては通用しない。

 数的不利を覆すほど高度な技術と戦闘能力を有しており、それを証明する数々の映像が守られる側の貿易船団に安心感を与えていた。

 

 唯一、戦闘艦ではない工作艦ヤズマは貿易船団の中心に位置している。

 

 合流して二千隻余りに膨らんだ船団は、大量の貨物を運ぶ輸送船が大半を占めており、サイズでは《袰月》の主力艦である雷級に勝っている船も多い。

 しかし、ヤズマの全長50kmの艦体に張り合えるような船はいなかった。

 

 貿易船団の修復はほぼ完了している。

 大破寸前だった艦船も含め、新品同然になっていた。ヤズマの製造設備と工作艇による修理のおかげだ。

 

《袰月》は修理費用を要求しておらず、艦の補修部品や医療支援を無償で提供している。それは、造作もないことだからというだけではない。

 

 この艦隊国家は防衛のための戦闘や工作こそすれど、人類全体を同胞と見做している、銀河屈指のお人好しなのだ。

 害されない限りは如何なる者も助けるというのが《袰月》の方針であった。

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