ウォーヘッド・アンド・バスターキャノン-TS金髪オレ娘エースは美少女クラスメイト達と宇宙を駆け無双する-   作:ザンザザン!

58 / 62
フレネミー・オペレーションⅠ

 式典の翌日。もう一つの任務が開始された。 

 

 ミエリは更衣室に向かっているところだった。同室で寝起きしている、ハレとククリスが一緒だ。金髪のオレ娘より遥かに背が高い白肌金髪のJKと黒髪褐色のJK。二人は肩を並べ、意気揚々と前を歩いている。

 

 服装は揃ってシンプルなルームウェアだ。ハーフトップと、ショートパンツの組み合わせ。

 快適な着心地で動きやすい。しかし、ナノシェルスーツほどではないにしろ、ぴったりと体のラインが浮き出るし、肌も露出する格好だ。

 

 星系の主惑星であるS7のテラフォーミング完了を祝う式典に招かれた艦隊が、わざわざ工作艦を伴ったのは、惑星内の環境で各種兵器を試すためだ。

 ここからのミッションの主役となる工作艦ヤズマは静止軌道に留まり、そこから各所に向けて試験機材を降ろしている。

 

 長距離打撃戦隊は、試作アロウヘッドのデータ収集と星系に駐留する連合軍との合同演習を行う。

 

 任務開始時刻は、前日の疲労を考慮して遅めになっていた。

 ゼラ先生自身、昨晩は飲み過ぎてぐったりしていた、多分起きてくるのは生徒より遅いだろう。

 

 長距離打撃戦隊がいるのは、首都郊外にある連合軍の基地。大気圏内でのテストの間、長距離打撃戦隊はこの基地の一角を提供されることになった。

 

 基本的に小隊で纏って部屋を使っているのだが、灰音は別室でベルカとチェルシーと過ごしている。

 二人の体調管理のため、ノイミも同伴していた。

 今朝はまだ会っていないが、そのうち会うことになるだろう。

 

 

 ちょうど、ナノシェルスーツに着替えた殲滅小隊が更衣室から出てきた。深紅の髪のシルフに率いられた少女たちの瑞々しい肉体は、青い被膜に黒いプロテクターの戦闘装備に包まれている。

 

「おはようエイリ!」

 

 真っ先にハレが元気よく上げて挨拶。ルームウェアのトップスを押し上げる金髪ギャルの巨乳も元気に跳ねる。

 

「おう」

 

「おはようございます」

 

「おはよ~」

 

 殲滅小隊の面々、エイリ、その双子の妹のエルザレド、アラヒナ、レギが挨拶を返す。

 

 自他ともに認める残忍で狡猾な紅シルフの姉様だが、返事はちゃんとしてくれる。なお、無口な不思議系のレギはハンドサインで挨拶していた。

 

「調子はどうだ、英雄サン?」

 

 紅のシルフ姉様は、ミエリ・ライオネルを見下ろすように問いかけてきた。

 

 ナノシェルスーツのスキンが張り付いた、美麗な腰のラインに両手を当てた尊大なポーズは一枚の絵のように美しい。

 厚さ0.01mmの皮膜は、腹筋やおヘソはおろか、双丘の先端まで浮き出ているのだが、エイリの不遜な笑顔に恥じらいは一切ない。

 

「ばっちりだ。誰がどんな時に来ても負ける気はしない」

「なら、良いけど」

 

 金髪のオレ娘は曇りのない強気な眼差しで、しなやかな長身を誇るクラスメイトを見上げる。

 エイリが、彼女なりに気にかけてくれているのだと分かっている。

 

 パトリシアと名乗った連合軍人の少女は、ダンスに誘ったミエリをリードしながら宣戦布告してきたのである。

 

 傍目には、年下の女の子にダンスを教えてあげているような微笑ましい様子。

 実態は容赦なく振り回すようなステップ。ミエリは恥をかかないよう、全力でパトリシアのリードに付いていかなければなかなかった。

 

「私はシェリンガム家の名誉のために貴方に勝つわ。楽しみにしていてね」

 

 金髪碧眼、八頭身の優美なスタイル、大きなバストに奔放なまでに張り出したヒップ。

 "美とは多様なもの"という連合が掲げる公理と裏腹に、多くの人々が内心で理想と考える容姿の美少女であるパトリシアは、統制派で名を馳せた軍人一族の末裔だった。

 

 敗者として、勝者である拡散派が創り上げた社会で生きてきた苦労は想像に難くない。

 二百年の間に伝説の英雄に祀り上げられたミエリ・ライオネルが目の前に現れ、自分が挑戦できる立場にいるのだから闘志を燃やすのも無理はない話だろう。

 これまでミエリ・ライオネルを英雄視する人々とばかり触れ合ってきたが、同じくらいに憎まれることもある。当たり前を思い出させられる一夜だった。

 

 

「なら、良いけど――それじゃあな」

 

 ミエリの反応に満足したようで、エイリは小隊を引き連れ歩み去った。

 

 パトリシアとの一件は、すぐに戦隊に共有され要警戒案件のひとつになった。いざとなれば、一丸となって迎え撃とうと誓いを立てている。

 その中心は、必然的に直接挑戦を受けたミエリ・ライオネルになるわけで。皆のためにも、全力を尽くす覚悟の金髪オレ娘であった。

 

 そのためにも、まずは戦闘装備を身に着けなければ始まらない。

 更衣室に入り、着替えを始める突撃小隊。

 

 まずは部屋の奥にある自走式コンテナで運び込まれたナノシェルスーツを取り出す。素肌に直接装着するパーソナルな性質が強い装備なので、万が一にも連合の手に渡らないよう徹底的に防護されていた。

 

 生体認証でロックを解除。中から自分のスーツを取り出す。

 

「これが初期状態か」

 

 式典に出ている間に最新の調整が施されたナノシェルスーツの変わり様に、ミエリは思わず声を漏らし、ついでに赤面した。

 

 なんと、スーツの保護被膜が完全な透明になっている。首元や四肢を保護する黒色のプロテクターは白と青に変色。純粋な装甲とセンサーや生命維持機能を有する箇所が判別できるように塗り分けられていた。

 

 コンテナから注意書きが、ホログラムで投射されている。

 パーソナルデータの設定は着用者自身が行うようにとのこと。アップデートの際にナノシェルスーツは、完全に初期化されたのである。

 

 先に着替えて出てきた殲滅小隊のスーツは、ちゃんと長距離打撃戦隊のカラーリングに戻っていた。再設定そのものはすぐにできるのだ。

 

「恥ずかしいよな、これ」

「ですね」

 

 褐色の物静かな美貌を朱色に染めたククリスと顔を見合わせ、気持ちを共有するミエリであった。そんな二人を後目に陽気な金髪ギャルJKは動いている。

 

「よーし、行動開始だ!」

 

 服を脱ぎ始めたハレのやる気の一言が室内に響く。ハーフトップをクロス脱ぎして、ぶるんと立派な双丘が揺れた。白い肌は滑らかな質感で健康的だ。

 

「さっさと着ちまうか」

 

 金髪のギャル小隊長に触発され、ミエリもククリスと一緒に服を脱ぎ始める。

 まず上を脱ぎ、仲間たちに比べると小振りで可愛らしい評判の胸を晒しながらショートパンツに手をかける。

 ちなみにククリスはまずショートパンツを下ろし、お尻を後ろに突き出すような姿勢に。

 褐色の生真面目JKは下から脱ぐ派であった。

 

 透明な被膜のナノシェルスーツの首の穴に足先を通して引っ張り上げていく。

 顎のプロテクターで仮固定。

 この時点では余裕があるサイズに伸びているので、すぐに身に着けられる。

 

 首元のフィッティングスイッチをオンに。

 ナノマシンが蠢くような音を立てながら素肌に密着していく。

 押し出された内側の空気は各部プロテクターから排出され、ミエリの髪を揺らした。

 

 透明なナノマシンのフィルムを纏うと意識が切り替わり、力が漲ってくる。それは錯覚ではなく、ナノシェルスーツの機能がそうさせていた。

 

 見た目には胸部や臀部を含めた身体の大部分が丸見えだが、ナノ被膜は適度な物理的圧迫や電圧によって心身を刺激して活動をサポートしてくれる。パワードスーツとして身体能力を強化し、着用者を保護する機能もある。

 

 とはいえ、今朝はちょっとばかり落ち着かない気分であった。

 

「このまっさらな感じ、違和感があるな」

 

 あちこちに触れながら、ミエリは呟く。

 

 まるで一体化したかのように着ている感覚がなく、身軽に動けるのが通常のナノシェルスーツの着心地だ。

 しかし、初期化されたスーツであるため、密着時の圧が必要以上に強い。

 裸同然の透明スーツなのに肌に纏わりつく。その矛盾が余計に違和感を強めていた。

 

 ミエリが最初に身に着けた際は既に標準的な身体データが入力されており、そこからバイタルデータを収集して最適化させた。なので、完全に初期化されたナノシェルスーツを纏うのは、今日がはじめてだった。

 

「胸が……」

「かなりキツいかも」

 

 特に局部プロテクターから生じる着圧の強さにミエリが内股気味になっている一方、ククリスとハレが大きく突き出た胸を気にしていた。小振りなミエリと比べものにならないバストが、締め付けられて苦しいようだ。

 

「さっさとパーソナルデータの入力を済ませちまおう」

 

 率先して身体を動かし始めるミエリ。それに触発され、ハレたちもその場でストレッチを始める。

 身体データの入力は軽い運動を数分間行うだけで十分だ。身体を包む違和感を解消するためにも運動に集中する。

 

「最適化が終わったみたい」

 

 三人揃って伸びやかに前屈して上体を起こしたとき、恥じらうかのようにナノシェルスーツの色が変わり始めた。局部プロテクターから青色が染み出すようかのように広がり、全身に達するプロテクターに触れれば装甲が黒一色に染まる。

 

 厚さは依然として0.01mm。

 だが、色が変わって素肌が隠されただけでも羞恥心が薄まってくるのだから不思議だ。ちなみに感覚としては最適化により締め付け感がなくなったので、生まれたままの姿でいるのに近い。

 

 

「いやー注目の的ですな~♪」

 

 こうして身支度を整え、向かった先は基地の食堂だ。

 専用区画の設備は必要最低限しかなく、交流の一環として食事や入浴などの場は、連合の兵と共有することになっている。

 ハレが言う通り、ナノシェルスーツで瑞々しい肉体を晒しながら廊下を進むミエリたちは、周囲の注目を集めまくっていた。

 

 ナノシェルスーツの着用は連合側から安全確保と無用なトラブルを避けるために要請されたことであった。

 

 任務中は基本的にいかなる時、場所であっても、このぴっちりスーツで出歩き、カラダをさらけ出すことになる。

 技術交流のため使節艦隊に乗船している、連合の科学者などにも同じ指示が出されている。

 

 単なる親切心ではなく、むしろ嫌がらせのための取り計らいだ。裸同然の格好で大勢の前に出されたら屈辱だろう、というのが相手の考えだろう。

 

 この植民惑星は最高レベルの治安を誇っている。星系開拓は植民船での生活に飽いたエリートやセレブのための事業でもあるのだ。

 それなのに、戦闘用のナノシェルスーツを着て出歩くことを求める、治安の悪さを認める真似は惑星の威信に関わるので絶対にあり得ない。

 

 今回、式典参加やその後の技術・軍事的な交流を強く求めたのは白頭鷲主義連合(イーグル・ステイツ)のうち、《袰月》に敵対的な勢力だった。

 この勢力は技術や軍事力は徹底的に収奪しつつ、《袰月》の価値観を連合流に作り替えることを目指しており、今回の計画はその第一歩として仕組まれたものだ。

 

 事前にそれを通知されていたミエリたちは、最大限警戒しながら任務に臨んでいる。だから、パトリシアの挑戦もそれほど驚くようなことではなかった。

 

「こんな程度でビビるほど、《袰月》の女はヤワじゃないって教えてやろう」

 

 注目をむしろ心地よく浴びてる。

 そんな風に思える余裕の笑顔を見せ、ハレとククリスに呼びかけるミエリ。綺麗に丸みのある引き締まったお尻が気合でさらに力強く締まる。

 それを見てしまった連合の兵士たちに、我知らず気まずい思いをさせるミエリ・ライオネルであった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。