ウォーヘッド・アンド・バスターキャノン-TS金髪オレ娘エースは美少女クラスメイト達と宇宙を駆け無双する-   作:ザンザザン!

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フレネミー・オペレーションⅡ

 基地の食堂には、長蛇の列が出来ている。

 しゃっきりした顔から眠そう――というか半分寝ている者まで。トレーを手にした兵の様々な顔色が見て取れる行列だった。

 そんな集団の一員となって、ミエリ達も並ぼうとしていた。

 

「気合入れ直しておいて正解だったね〜」

「覚悟はしていましたが、ここまで露骨とは……」

 

 ミエリの前にいるハレとククリスが言った。

 金髪ロングヘアのハレは陽気に笑っている。

 黒髪褐色のククリスは呆れと怒りが入り混じった表情を浮かべていた。

 いつもながら、好対照な表情をするJK二人組だった。

 

「無視しておきゃいい」

 

 立派な長身とお胸、を備えたJK二人と比較すると、金髪碧眼オレ娘は小柄だ。

 だが身長が低めなだけで手足は長く、毎日欠かさずハードに鍛えた腹筋が魅惑的。金髪を綺麗に纏め上げているので背面のラインが丸見え。背筋の美しさやしっかりと筋肉による丸みを帯びたお尻も良く分かる。

 

 そんなミエリ・ライオネルは、苛立ちを滲ませるククリスを年上としてなだめた。

 

 ミエリ達が何を話しているかと言えば。ミエリ達のボディラインを品評している若い男性兵士の集まりがいる。ガラの悪そうな連中だ。

 

 テーブルに着いている彼らの会話は直接聴こえない。だが、話している内容が身振り手振りやイヤらしい笑い方で理解というものだ。

 無遠慮に三人のおっぱいやお尻を指し示している。

 

(この恰好じゃ目立つのも仕方がないってもんだが……)

 

 ナノシェルスーツを着ている三人の姿は物凄く目立つ。青色のナノ被膜に申し訳程度に黒いプロテクターがあるぴっちりしたナノシェルスーツは、ひどく場違いなのだ。瑞々しく健康的な肢体をセクシーなコスプレで着飾った女子高生が軍隊に混じっている――そのようにしか思えない。

 

(余所者は歓迎できない。そりゃそうだよな)

 

 礼儀のなってない奴らだが、向こうの気持ちも理解できる。

 連合政府が正式に招いた客人とはいえ余所者。しかも女子高生兼超エリート部隊という、現実離れして派手派手しい触れ込み。

 

 基地の利用に関しても中央政府に急遽決められたことで星系軍からすれば寝耳に水だったでろう。なにせ、今回の件はハイペリオン・グループとの合同演習に端を発してるのだから。

 こうして起こる現地の星系駐留軍の反感も利用する腹積もりなのだろう。ここで騒ぎを起こせばナノシェルスーツの着用を強要した連合内の勢力の思うツボだ。

 

 ミエリ・ライオネルが我慢するスタンスを固めたそのときだった。連合のすべてが敵じゃない。そのようにミエリ達に思わせる出来事があった。

 

 ぴっちりスーツの戦闘JKたちに対する、男の兵士たちの無礼を見かねた連合の女性兵士が動いてくれた。まさしく女軍人という感じの厳つい女性兵士が、男どもをひと睨みで黙らせた。

 

 友軍(フレンドリー)。その言葉がミエリの脳裏をよぎる。

 

「いるもんだな。味方って」

 

 ミエリは片手を上げて、女性に合図する。女性は友好的な眼差し――味方だということを訴えている。純粋な好意。ハレとククリスもそれに気付いていた。

 陰謀渦巻く敵陣であっても友軍がいる。その事実だけで心強いものがあった。

 

 

 そんな一幕もあったが、ミエリ達は朝食を受け取った。トレーはずっしりと重い。朝食とはいえ、軍隊らしいハイカロリーな食事である。

 

「おーい、突撃小隊~ここ空いているよ~!」

 

 明るい声がした方向にミエリ達が顔を向けると、先に朝食を取っていたリーゼが手を振って合図していた。黒髪の淫魔風JKだけではない。アナスタシア、イリシア、ノエッタ、試作小隊が勢ぞろいだ。

 

 その隣のテーブルがちょうど空いている。リーゼの招きに従い、トレーを手にした突撃小隊は席に着く。

 

「おはようございます、ミエリ」

 

 試作小隊長アナスタシアが挨拶してくれた。

 長距離打撃戦隊の一員だが、飛び級の天才。銀髪縦ロールが高貴さを感じさせるお嬢様のトレーの食事の量はミエリ達と変わらない。アナスタシアは連合のハイカロリーな朝食がお気に召したようでもあった。

 

斧槍兵部隊(ハルバーディア)の動きはこちらでも警戒しておきます」

「何か動きが合ったらすぐ報せるね。リーゼお姉さんにまっかせて♪」

 

 朝食を取っているときにアナスタシアとリーゼが告げた。|斧槍兵部隊《ハルバーディア。それが昨夜のパーティーでミエリに宣戦布告してきたパトリシア・シェリンガムなる少女が率いる巨人機(タイタン)部隊の名だった。

 

 殲滅小隊の話では、パトリシアの部下の少女たちは友好的だったそうだが、相手も連合の軍人だ。実戦的なテストなどの名目で一戦交えることになる可能性は十分にある。

 

「ミエリ様の敵であれば私達の、ひいては《袰月》の敵ですから」

 

 そう言ったのは、白い髪にホワイトブリムをいただくノエッタだった。危険なほど献身的なメイドである。

 そして試作小隊最後の一人。小隊内エースのイリシア――稀少な単距離空間転移(フラッシュシフト)の異能を持つ金髪ツインテールのイケメン女子は、涼し気な眼差しをミエリに向けた。

 

 今回の任務は兵器のテストであり、試作小隊はその総指揮を任されている。そのため戦意は非常に高い。《袰月》の名を落とさず、連合に技術や政治的な優位を与えず、無事に任務を終えてS7を離れるために全力を尽くす所存だった。

 

 パトリシアの事とは別に、ミエリはひとつ訊くことにした。

 

「灰音たちを見てないか? 今朝から会ってないんだ」

 

 長距離打撃戦隊を取り巻く住環境は万全とはいえない。精神的な負担になっていないか。ミエリは灰音とその妹二人のことが気がかりだった。

 

「トレーニングルームに行くのを見かけたよ。ノイミ・ローレン博士も一緒に」

「ノイミも一緒だって?」

 

 そう教えてくれたのはイリシアだった。

 金髪オレ娘の驚きポイントは、ノイミが一緒に筋トレしているということだった。

 ベルカとチェルシーの付き添いだろうと推測できるが、彼女は運動はそれほど得意ではない。アロウライダー基準の筋トレは、心身を活性化させるための軽い運動であってもハードなものだ。

 それに真面目に付き合うのは、かなり厳しいだろう。

 

「噂をすれば、だね~♪」

 

 ハレが能天気な声で報せてくれた。

 人が減ってきた朝食の列に、銀髪の美少女が三人と茶髪の若い女性の姿が見える。四人はミエリ達と同じく、ぴっちりしたナノシェルスーツを着ている。

 ぴっちりテカテカのナノ被膜が、食堂の照明を反射して艶やかな光沢を生み出している。

 

 機能性という点では、ナノシェルスーツに比肩する汎用環境スーツは存在しない。だが、厚さ0.01mmというあまりにも無防備な外観。ノイミはフェンリルの艦内で許可されてから白衣を羽織っている。

 しかし、白衣の前は閉じていないので、正面に立てばボディペイントと変わらない彼女の肉体と相対することになる。それでも、隠し過ぎることで、羞恥を悟られるのが嫌なのだろう。

 

 ノイミの羞恥心もだが体調が心配だった。

 ミエリが観察したところ、やはりノイミは虚来三姉妹のトレーニングに付き合ったせいかぐったりしている。ついでに言うと、お嬢様的風の次女ベルカも結構疲れている様子。対して末っ子のチェルシーは元気一杯のようだ。

 

 灰音はいつも通りクールだ。長女としての自覚が日に日に増しており、背筋を伸ばし、妹たちを守るように周囲を警戒している。

 

 こっちから呼びかける前に灰音が気付いた。赤眼がミエリを見つめ返す。

 無感情だが、ただ大好きな金髪のオレ娘と仲間たちを目にした、ただそれだけで輝きを増す。

 

「んっ」

 

 いつものように無口な挨拶をする銀髪赤眼の戦闘系美少女であった。

 

 

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